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7話 三次試験
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7話 三次試験
「皆様、おはようございます。これより、3回目の試験を行います。試験の流れ、注意事項については2回目にお伝えした内容と変わりません。」
スピーカーから試験の開始を告げられたということは、朝の配給から2時間が経ったことを示していた。僕は、次は誰が指名されるのか…、と体を強張らせ、指名を待ったが、恭子さんが立ち上がり、ちょっと!と声を上げた。
「あんた、平川なの?ってか、もうそうとしか思えないんだけど。答えなさい!」
「試験問題に関することについてはお答えできません。」
「そんな言い逃れ、通じると思ってんの!?平川なんでしょ、答えなさいってば!」
「お答えできません。試験の妨害行為については、ペナルティとして、戸川氏と同じく、電流による失神を与えます。」
スピーカーから流れる機械的な説明、そして、戸川くんが二日目に、配給口から流された電流を恭子さんにも流すという脅し。
(まずい、恭子さんを止めないと…!)
「恭子さん!真相はすぐにわかるよ、だから、今は抑えて!」
「あんたは黙ってなさい!瑞稀を殺されて、黙ってられるわけないでしょ!」
「試験の妨害を継続されますか。次に発言を行った場合は、ペナルティとなります。」
「恭子!佐々木くんの言う通り、落ち着いて…」
恭子さんは、僕と優子さんの必死の説得、そしてこれ以上の発言はペナルティである、と宣言され、恭子さんは悔しそうに顔を歪めて、座り込んだ。恭子さんの、友達を奪われた気持ちはわかるが、今は恭子さんの身に危険なことが及ばないことが先決だ、僕はその姿を見てホッとした。
「では、試験を開始いたします。次の回答者は…」
みんなの顔に緊張が走る。そして宣言された人は…
「鶴本彰人さんです。」
「…とうとう、俺か。」
鶴本くんは、怯えるどころか、スピーカーに向かって鋭い視線を向けながら、今までで1番迫力のある声で試験官の指名に応じた。
「今俺は回答者だ。どれだけ喋ってもいいよなぁ?…おめぇの手の内はわかってんだ!!さっさと問題とやらを出しやがれ!さっさと正解してこっから出たら、真っ先にお前をぶっ殺しにいってやるぁああ!」
「では、問題です。あなたは殺人よりも業の深い罪を複数回にわたり、犯しました。その罪と回数を正確に述べよ。では、カウントダウン、スタート。」
「…殺人よりも『ゴウ』の深い罪ぃ…?あぁ、お前は平川だもんな、そう言うことか。ああ、そうだよ、俺はお前に何度もヤってやったよ!罪はレイプのこと言ってんだろ!?回数なんか知ったこっちゃねぇが、7、8回くらいだろ、どうだ、正解だろ!!」
「罪の部分に関しては正解です。回数について正確な回数を、再度回答してください。」
「あぁ!?だから、7、8回って言ってんだろうが!」
「不正解です。回数について、正確な回数を再度回答してください。」
鶴本くんは、当てずっぽうに回数を何度も答えるが、スピーカーからは不正解という結果しか返ってこない。タイマーのカウントは、あと20秒を切っていた。
(覚えていないからなのか、問題の内容を正確に把握できていないのかわからないけど、鶴本くんはさっきから、12、3回とか、曖昧にしか答えてない。試験官は正確な回数って言ってるってことは、今まで強姦してきた正確な回数を答えろって意味だ…!鶴本くん、気づいて…!)
恭子さんが瑞稀さんに助言ができなかったもどかしさを感じて、改めて僕は、傾向と対策なんて言い出さなければ良かったのか、と後悔した。回答している鶴本くんにも、焦りが出始め、だんだん声が掠れてきた。
「…何なんだよ、さっきから答えてんだろうが…!じゃあなんだ、22、3回か!?」
「不正解です。回数について、正確な回数を再度回答してください。」
「くっそおおお!!!!てめぇ、ぶっ殺してやる!!!」
鶴本くんの頭は完全に血の気が上がっており、もう回答どころじゃなかった。そして無情にも、タイマーは時間切れを宣告した。
「鶴本彰人、不正解です。よって、罰を与えます。」
「つ、鶴本くん…!」
不正解を宣告された鶴本くんの耳には、罰を与えるという言葉は届かなかったのか、ひたすら大声で言葉になっていない恫喝を繰り返している。すると、鶴本くんは恫喝をスイッチが切れたかのように止め、足元がふらつくのか、その場に座り込んでしまった。
「鶴本くん、鶴本くん!!」
「…あぁ?こんなもん、何てこと…。」
鶴本くんは強がっているが、とても大丈夫そうには見えなかった。すると今度は、声を高らかに上げて狂気を感じる笑い声を上げ始めた。
「ひゃあははははああああはは!!!!」
「な、何なのよ、ちょっと…」
「ああ?…なんだお前、ユイコじゃねぇか…客から連絡来てんぞ、行ってこいや…」
鶴本くんは幻覚でも見ているのか、恭子さんのことを別の女の人の名前で呼んだ。
「鶴本彰人氏の罰は、ベンゼンというガスによる呼吸器不全です。中枢神経を刺激し、不穏、興奮、多幸症、めまいを引き起こします。回答中、鶴本氏は興奮状態にあったため、興奮、多幸症の症状が強く出ている状況です。痙攣、呼吸不全、心室性不整脈等を引き起こし始めた場合、そのまま死亡します。本来ベンゼンは、0.4%の濃度が致死量となりますが、その5倍の2%のものを流しています。」
鶴本くんを苦しめているものの正体が分かった時には、彼はすでに息を引き取っていた。僕らの耳にも、スピーカーから流れるご丁寧な説明も、半ば耳の中を流れていくだけのような状況だった。
「鶴本氏の罪の部分については正解でしたが、回数については不正解でした。正解は、35回です。鶴本氏が高校2年在籍時、6月に2回、7月、8月に5回、9月から3月の間は月4回で、計35回でした。」
「…んなこと、どうでもいい。試験は終わった、鶴本が高校時代に平川って女を強姦していたことも言っていた、ってことは、あんたやっぱり平川なんでしょ!?答えなさいよ!」
「次の試験は、夕食配給後の2時間後に行います。では皆様、3回目の試験、お疲れ様でした。」
「ちょっと!!答えなさいって!!」
恭子さんは、半狂乱になりながらも試験官に向かって叫ぶが、そのまま音声は聞こえなくなってしまった。
僕は、口から泡を吹きながらも、不敵な笑みを浮かべたまま死んでしまった鶴本くんを見て、その場に座り込んでしまった。
(…試験の問題は、平川さんという女子にまつわるもの…。でも、僕は彼女に何もしていない、何もしていないんだ。僕は、生き残れるのか…?)
しばらく呆然としていた。問題を出されるにつれて、ますます自分がなぜ、ここにいる理由がわからない。わからないことは、どんな問題を出されても答えられない、と言うことであって、それは死…、僕の死は、決定づけられたものじゃないか、どうしたらいいんだ…、と虚空を見つめていたとき、叫ぶような声で、僕を呼ぶ声が聞こえた。
「佐々木!!しっかりしなさいよ!!!」
恭子さんの声だった。その声にはっとして声の方向に目を向けると、声色は怒っているように聞こえたが、その表情からは、真剣に僕のことを心配してくれていると伝わった。
「恭子、さん…?」
「やっと返事した。あんたまで狂わないでくれる?まだ、何も終わってないんだから。」
「…鶴本くんの死に方を間近で見てたのよ。仕方ないわよ…。」
「だからって、そうやっていつまでも呆けてるつもり?もうここまできたら、考えることは一つじゃない。平川にしたことを思い出して、答えを何通りも考える。私とか優子、久美が話してる内容聞いて、思い出すことも出てくるかもしれないでしょ。…鶴本じゃないけど、生き残って、平川本人なのか、協力してる別人なのか知らないけど、高みの見物から引き摺り下ろして、こんな目に遭わせた分だけやり返してやる!」
恭子さんは、気の強い女性で、この短い期間だけでも、ちょっと萎縮してしまうことがあった。でも、今回ばかりは彼女の強い言葉に助けられ、僕の抜けていた力も戻ってきていた。
「…ありがとう、恭子さん。」
「お礼はここを出てからにして。まだ私たちは危険な状態なんだから。」
「…そうだね。諦めたら、ダメだ。」
僕は、両隣の暗くなった二つの部屋を見た。一つは戸川くん、もう一つは鶴本くんの部屋。
(…2人が生きてる間に、この傾向と対策ができたらよかったのに…、ごめん、2人とも。)
僕は、目からこぼれそうになる涙を、女性たちに見られないようにぬぐい、3人の会話の中に入っていった。
「皆様、おはようございます。これより、3回目の試験を行います。試験の流れ、注意事項については2回目にお伝えした内容と変わりません。」
スピーカーから試験の開始を告げられたということは、朝の配給から2時間が経ったことを示していた。僕は、次は誰が指名されるのか…、と体を強張らせ、指名を待ったが、恭子さんが立ち上がり、ちょっと!と声を上げた。
「あんた、平川なの?ってか、もうそうとしか思えないんだけど。答えなさい!」
「試験問題に関することについてはお答えできません。」
「そんな言い逃れ、通じると思ってんの!?平川なんでしょ、答えなさいってば!」
「お答えできません。試験の妨害行為については、ペナルティとして、戸川氏と同じく、電流による失神を与えます。」
スピーカーから流れる機械的な説明、そして、戸川くんが二日目に、配給口から流された電流を恭子さんにも流すという脅し。
(まずい、恭子さんを止めないと…!)
「恭子さん!真相はすぐにわかるよ、だから、今は抑えて!」
「あんたは黙ってなさい!瑞稀を殺されて、黙ってられるわけないでしょ!」
「試験の妨害を継続されますか。次に発言を行った場合は、ペナルティとなります。」
「恭子!佐々木くんの言う通り、落ち着いて…」
恭子さんは、僕と優子さんの必死の説得、そしてこれ以上の発言はペナルティである、と宣言され、恭子さんは悔しそうに顔を歪めて、座り込んだ。恭子さんの、友達を奪われた気持ちはわかるが、今は恭子さんの身に危険なことが及ばないことが先決だ、僕はその姿を見てホッとした。
「では、試験を開始いたします。次の回答者は…」
みんなの顔に緊張が走る。そして宣言された人は…
「鶴本彰人さんです。」
「…とうとう、俺か。」
鶴本くんは、怯えるどころか、スピーカーに向かって鋭い視線を向けながら、今までで1番迫力のある声で試験官の指名に応じた。
「今俺は回答者だ。どれだけ喋ってもいいよなぁ?…おめぇの手の内はわかってんだ!!さっさと問題とやらを出しやがれ!さっさと正解してこっから出たら、真っ先にお前をぶっ殺しにいってやるぁああ!」
「では、問題です。あなたは殺人よりも業の深い罪を複数回にわたり、犯しました。その罪と回数を正確に述べよ。では、カウントダウン、スタート。」
「…殺人よりも『ゴウ』の深い罪ぃ…?あぁ、お前は平川だもんな、そう言うことか。ああ、そうだよ、俺はお前に何度もヤってやったよ!罪はレイプのこと言ってんだろ!?回数なんか知ったこっちゃねぇが、7、8回くらいだろ、どうだ、正解だろ!!」
「罪の部分に関しては正解です。回数について正確な回数を、再度回答してください。」
「あぁ!?だから、7、8回って言ってんだろうが!」
「不正解です。回数について、正確な回数を再度回答してください。」
鶴本くんは、当てずっぽうに回数を何度も答えるが、スピーカーからは不正解という結果しか返ってこない。タイマーのカウントは、あと20秒を切っていた。
(覚えていないからなのか、問題の内容を正確に把握できていないのかわからないけど、鶴本くんはさっきから、12、3回とか、曖昧にしか答えてない。試験官は正確な回数って言ってるってことは、今まで強姦してきた正確な回数を答えろって意味だ…!鶴本くん、気づいて…!)
恭子さんが瑞稀さんに助言ができなかったもどかしさを感じて、改めて僕は、傾向と対策なんて言い出さなければ良かったのか、と後悔した。回答している鶴本くんにも、焦りが出始め、だんだん声が掠れてきた。
「…何なんだよ、さっきから答えてんだろうが…!じゃあなんだ、22、3回か!?」
「不正解です。回数について、正確な回数を再度回答してください。」
「くっそおおお!!!!てめぇ、ぶっ殺してやる!!!」
鶴本くんの頭は完全に血の気が上がっており、もう回答どころじゃなかった。そして無情にも、タイマーは時間切れを宣告した。
「鶴本彰人、不正解です。よって、罰を与えます。」
「つ、鶴本くん…!」
不正解を宣告された鶴本くんの耳には、罰を与えるという言葉は届かなかったのか、ひたすら大声で言葉になっていない恫喝を繰り返している。すると、鶴本くんは恫喝をスイッチが切れたかのように止め、足元がふらつくのか、その場に座り込んでしまった。
「鶴本くん、鶴本くん!!」
「…あぁ?こんなもん、何てこと…。」
鶴本くんは強がっているが、とても大丈夫そうには見えなかった。すると今度は、声を高らかに上げて狂気を感じる笑い声を上げ始めた。
「ひゃあははははああああはは!!!!」
「な、何なのよ、ちょっと…」
「ああ?…なんだお前、ユイコじゃねぇか…客から連絡来てんぞ、行ってこいや…」
鶴本くんは幻覚でも見ているのか、恭子さんのことを別の女の人の名前で呼んだ。
「鶴本彰人氏の罰は、ベンゼンというガスによる呼吸器不全です。中枢神経を刺激し、不穏、興奮、多幸症、めまいを引き起こします。回答中、鶴本氏は興奮状態にあったため、興奮、多幸症の症状が強く出ている状況です。痙攣、呼吸不全、心室性不整脈等を引き起こし始めた場合、そのまま死亡します。本来ベンゼンは、0.4%の濃度が致死量となりますが、その5倍の2%のものを流しています。」
鶴本くんを苦しめているものの正体が分かった時には、彼はすでに息を引き取っていた。僕らの耳にも、スピーカーから流れるご丁寧な説明も、半ば耳の中を流れていくだけのような状況だった。
「鶴本氏の罪の部分については正解でしたが、回数については不正解でした。正解は、35回です。鶴本氏が高校2年在籍時、6月に2回、7月、8月に5回、9月から3月の間は月4回で、計35回でした。」
「…んなこと、どうでもいい。試験は終わった、鶴本が高校時代に平川って女を強姦していたことも言っていた、ってことは、あんたやっぱり平川なんでしょ!?答えなさいよ!」
「次の試験は、夕食配給後の2時間後に行います。では皆様、3回目の試験、お疲れ様でした。」
「ちょっと!!答えなさいって!!」
恭子さんは、半狂乱になりながらも試験官に向かって叫ぶが、そのまま音声は聞こえなくなってしまった。
僕は、口から泡を吹きながらも、不敵な笑みを浮かべたまま死んでしまった鶴本くんを見て、その場に座り込んでしまった。
(…試験の問題は、平川さんという女子にまつわるもの…。でも、僕は彼女に何もしていない、何もしていないんだ。僕は、生き残れるのか…?)
しばらく呆然としていた。問題を出されるにつれて、ますます自分がなぜ、ここにいる理由がわからない。わからないことは、どんな問題を出されても答えられない、と言うことであって、それは死…、僕の死は、決定づけられたものじゃないか、どうしたらいいんだ…、と虚空を見つめていたとき、叫ぶような声で、僕を呼ぶ声が聞こえた。
「佐々木!!しっかりしなさいよ!!!」
恭子さんの声だった。その声にはっとして声の方向に目を向けると、声色は怒っているように聞こえたが、その表情からは、真剣に僕のことを心配してくれていると伝わった。
「恭子、さん…?」
「やっと返事した。あんたまで狂わないでくれる?まだ、何も終わってないんだから。」
「…鶴本くんの死に方を間近で見てたのよ。仕方ないわよ…。」
「だからって、そうやっていつまでも呆けてるつもり?もうここまできたら、考えることは一つじゃない。平川にしたことを思い出して、答えを何通りも考える。私とか優子、久美が話してる内容聞いて、思い出すことも出てくるかもしれないでしょ。…鶴本じゃないけど、生き残って、平川本人なのか、協力してる別人なのか知らないけど、高みの見物から引き摺り下ろして、こんな目に遭わせた分だけやり返してやる!」
恭子さんは、気の強い女性で、この短い期間だけでも、ちょっと萎縮してしまうことがあった。でも、今回ばかりは彼女の強い言葉に助けられ、僕の抜けていた力も戻ってきていた。
「…ありがとう、恭子さん。」
「お礼はここを出てからにして。まだ私たちは危険な状態なんだから。」
「…そうだね。諦めたら、ダメだ。」
僕は、両隣の暗くなった二つの部屋を見た。一つは戸川くん、もう一つは鶴本くんの部屋。
(…2人が生きてる間に、この傾向と対策ができたらよかったのに…、ごめん、2人とも。)
僕は、目からこぼれそうになる涙を、女性たちに見られないようにぬぐい、3人の会話の中に入っていった。
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