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高3
和泉の初体験(4)
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亜姫が落ち着いたのを見計らい、和泉は小さな声で話し出した。
「まず、里佳子は冬夜の女。近い将来、必ず結婚する。あの二人は相思相愛で、間に誰かが入る余地はない。
俺は里佳子に触れたいとは思わねーし、それは里佳子も同じ。二人きりになっても姉と弟、もしくは母と息子。それ以外の感情はない。絶対に。
俺が触れたいと思うのは亜姫だけ。今までも、これからも……お前だけだよ。
話の前に、今言った事は絶対に覚えておいて」
上手く言葉に出来ないが、和泉と里佳子の間には他にはない深い愛が存在しているように見える。それに胸がざわつき、和泉の言葉に物申したくなる。けれどそれを我慢して亜姫は頷いた。
はぁぁ……………………と、和泉が大きな溜息をつく。
そして、向かい合わせに座る亜姫の手をそっと取り、強く握った。
それは、「逃がさない」というより「縋りつきたい」と思っているように感じられた。
どうしてだか「大丈夫だよ」と抱きしめて安心させてあげたくなる。だが亜姫は口を噤み、代わりに重なった手を強く握り返した。
それを見て、和泉はまた深い溜息をつく。
更にまた一つ、大きな溜息。
「……お前に嫌われそうで、出来れば言いたくないんだけど。
いま思うと、昔の俺があまりにも情けないっつーか、申し訳無さしかない話で……。
これが普通じゃないってこと、自分では理解してる。ただ、お前に……同じように理解してもらえるかわからないってことが……今、怖くてたまらない」
亜姫は無言で先を待った。
「今からする話は、誰も知らない。麻美達でさえも。
俺と、里佳子と、冬夜……3人だけの話。
どこから話していいのかわかんねぇから、あちこち話が飛ぶかもしれないし、同じことを何度も言うかもしれない。
……でも、ちゃんと最後まで……聞いてくれる?」
和泉は再び念を押した。
亜姫は視線を合わせて、深く頷き返す。
今するべきは、全てを受け止めること。
そんな意志が伝わったのか、和泉は泣き笑いのような顔を見せ、また深く息を吐く。
「俺……幼い時から、いたずらとか誘拐に巻き込まれそうなことが多かったんだって。俺は記憶にないんだけど……誰彼問わず、よくない事をされそうになったり危ない目にあったりしてきたらしいんだ。
だから、冬夜は自分が認めた人としか関わりを認めなかったし、子供の頃はどこへ行くにも必ず冬夜が付いてきた。俺が一人になったり知らない人と会うことは絶対に許さなかった。
圭介達やその家族。冬夜が信頼する仲間。冬夜が一緒にいる時。その中では、好きに動けた。
仲間ってのは冬夜の友達っていうか……冬夜にはあちこち連れ回されてたんだけど、そこにいる人達のこと。皆、いい人なんだ。冬夜がいなくても俺の面倒を見てくれたりして。
けど……知らない人がいる時は、冬夜が俺のそばから絶対に離れなかった」
無反応な危なっかしいガキだったせいもあると思う、と和泉は苦笑する。
亜姫はなんと返事をしたらいいか分からず、ただ黙って和泉を見つめていた。
「まず、里佳子は冬夜の女。近い将来、必ず結婚する。あの二人は相思相愛で、間に誰かが入る余地はない。
俺は里佳子に触れたいとは思わねーし、それは里佳子も同じ。二人きりになっても姉と弟、もしくは母と息子。それ以外の感情はない。絶対に。
俺が触れたいと思うのは亜姫だけ。今までも、これからも……お前だけだよ。
話の前に、今言った事は絶対に覚えておいて」
上手く言葉に出来ないが、和泉と里佳子の間には他にはない深い愛が存在しているように見える。それに胸がざわつき、和泉の言葉に物申したくなる。けれどそれを我慢して亜姫は頷いた。
はぁぁ……………………と、和泉が大きな溜息をつく。
そして、向かい合わせに座る亜姫の手をそっと取り、強く握った。
それは、「逃がさない」というより「縋りつきたい」と思っているように感じられた。
どうしてだか「大丈夫だよ」と抱きしめて安心させてあげたくなる。だが亜姫は口を噤み、代わりに重なった手を強く握り返した。
それを見て、和泉はまた深い溜息をつく。
更にまた一つ、大きな溜息。
「……お前に嫌われそうで、出来れば言いたくないんだけど。
いま思うと、昔の俺があまりにも情けないっつーか、申し訳無さしかない話で……。
これが普通じゃないってこと、自分では理解してる。ただ、お前に……同じように理解してもらえるかわからないってことが……今、怖くてたまらない」
亜姫は無言で先を待った。
「今からする話は、誰も知らない。麻美達でさえも。
俺と、里佳子と、冬夜……3人だけの話。
どこから話していいのかわかんねぇから、あちこち話が飛ぶかもしれないし、同じことを何度も言うかもしれない。
……でも、ちゃんと最後まで……聞いてくれる?」
和泉は再び念を押した。
亜姫は視線を合わせて、深く頷き返す。
今するべきは、全てを受け止めること。
そんな意志が伝わったのか、和泉は泣き笑いのような顔を見せ、また深く息を吐く。
「俺……幼い時から、いたずらとか誘拐に巻き込まれそうなことが多かったんだって。俺は記憶にないんだけど……誰彼問わず、よくない事をされそうになったり危ない目にあったりしてきたらしいんだ。
だから、冬夜は自分が認めた人としか関わりを認めなかったし、子供の頃はどこへ行くにも必ず冬夜が付いてきた。俺が一人になったり知らない人と会うことは絶対に許さなかった。
圭介達やその家族。冬夜が信頼する仲間。冬夜が一緒にいる時。その中では、好きに動けた。
仲間ってのは冬夜の友達っていうか……冬夜にはあちこち連れ回されてたんだけど、そこにいる人達のこと。皆、いい人なんだ。冬夜がいなくても俺の面倒を見てくれたりして。
けど……知らない人がいる時は、冬夜が俺のそばから絶対に離れなかった」
無反応な危なっかしいガキだったせいもあると思う、と和泉は苦笑する。
亜姫はなんと返事をしたらいいか分からず、ただ黙って和泉を見つめていた。
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