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高3
受験勉強とモヤモヤ(1)
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冬休みが終わり、亜姫達は受験一色になった。
直前だけ通塾すべきか再考したが、亜姫の状況を鑑みて避けるべきだと諦めた。受験当日はどうしたって人混みにまみれてしまうので、亜姫の負担が大きいだろう。それまでは出来るだけ慣れた場所で静かに日々を過ごした方がいいと判断した。
有り難いことに、学校から手厚いフォローがあった。塾の代わりにと、冬夜も知り合いを紹介してくれた。その人は和泉の家で教えてくれたので、その環境下で安心して学ぶことができた。
その最中にあったスポーツ大会。
そこで香田と再会し、久々にゆっくり話が出来て亜姫は安堵する。
香田から謝罪のメッセージを受け取ったまま出会う機会も話す時間もなく、ずっと気になっていたのだ。
香田は号泣しながら謝罪を繰り返したが、彼女は相変わらずだった。
けれど今までは亜姫に余裕がなかっただけで、香田のそういう部分を嫌っていたわけではない。気持ちの整理がついてきた今、亜姫も楽しく過ごすことが出来た。
しかし、やはり嫉妬心は渦巻いてしまう。それはどうにもできなかった。
少し先で春菜と話す和泉の姿が見えていて、亜姫はそれが気になって仕方がない。香田が試合に行くと離れた後も、競技待ちの春菜は和泉と話し続けている。
何気ないフリをしながら、モヤモヤした気分でそれを見ていると、
「おい、またやらかすなよ?」
ヒロがいきなり諭してきた。
亜姫は不満げな目を向ける。すると、更に追い打ちをかけられた。
「やらかす前に、ちゃんと和泉に話をしろよ? 面倒臭いから、もうフォローしねえぞ?」
「わかってますぅ……」
亜姫が不貞腐れたような返事をするとヒロは愉しげに笑い、面白そうに亜姫の顔を覗き込む。
「……何?」
「いや、別に? 亜姫も、ようやく人並みに嫉妬を覚えたんだなと思ってさ。お父さん、感激しちゃうよお前の成長に」
「ヒロみたいなお父さん、絶対いや!」
亜姫が不満の声を上げると、ヒロがまた声を上げて笑う。
「お前のおっぱいは、いつまで経っても成長しないのになぁ」
「したもん。この間、ちょっと大きくなったって言われたし」
「ははっ、誰に言われたんだよ。そんなの誤差だろ、誤差。見た目は全然変わんねぇじゃん。
もっとマッサージしろよ。あ、違うか。素材に限界があんのか。悪い悪い。お前にプルプルおっぱいなんて永遠に無理だと思うけどさ、まぁ頑張れ」
「もうっ、うるさいな!」
亜姫はヒロの腕にゴスッと拳を入れた。
「痛って! うわっ、暴力反対! 和泉ー! 早くこいつを引き取ってくれよ」
ヒロはそう言いながら、さり気なく春菜と和泉を引き離した。
和泉が苦笑しながら戻って来たが、隣に立っても亜姫は渦巻く嫉妬心を制御しきれない。そのまま和泉にぴたっと張り付き、俯いて下唇を少し突き出した。
和泉がそれを覗き込み、嬉しそうに顔を緩める。
「亜姫、また下唇出てるよ? 吸い付きたくなるから、その顔やめて」
「やだ」
亜姫の即答が可愛いと、和泉は密かに身悶える。
最近の亜姫は嫉妬や独占欲を隠さなくなった。あからさまに表現するわけではないので、他者からはそう変わらないように見える。だが、顔を隠すように俯いて少し下唇を突き出し、不満げな顔でむぅ……と不貞腐れるのだ。
最近は、この顔を見るのが楽しくてたまらない和泉だった。
「今日は疲れただろ? 終わったらお前んちに直行しような」
「やだ。和泉んちに行く」
これまた即答する亜姫の顔を、和泉は笑いながらしばらく眺めていた。
直前だけ通塾すべきか再考したが、亜姫の状況を鑑みて避けるべきだと諦めた。受験当日はどうしたって人混みにまみれてしまうので、亜姫の負担が大きいだろう。それまでは出来るだけ慣れた場所で静かに日々を過ごした方がいいと判断した。
有り難いことに、学校から手厚いフォローがあった。塾の代わりにと、冬夜も知り合いを紹介してくれた。その人は和泉の家で教えてくれたので、その環境下で安心して学ぶことができた。
その最中にあったスポーツ大会。
そこで香田と再会し、久々にゆっくり話が出来て亜姫は安堵する。
香田から謝罪のメッセージを受け取ったまま出会う機会も話す時間もなく、ずっと気になっていたのだ。
香田は号泣しながら謝罪を繰り返したが、彼女は相変わらずだった。
けれど今までは亜姫に余裕がなかっただけで、香田のそういう部分を嫌っていたわけではない。気持ちの整理がついてきた今、亜姫も楽しく過ごすことが出来た。
しかし、やはり嫉妬心は渦巻いてしまう。それはどうにもできなかった。
少し先で春菜と話す和泉の姿が見えていて、亜姫はそれが気になって仕方がない。香田が試合に行くと離れた後も、競技待ちの春菜は和泉と話し続けている。
何気ないフリをしながら、モヤモヤした気分でそれを見ていると、
「おい、またやらかすなよ?」
ヒロがいきなり諭してきた。
亜姫は不満げな目を向ける。すると、更に追い打ちをかけられた。
「やらかす前に、ちゃんと和泉に話をしろよ? 面倒臭いから、もうフォローしねえぞ?」
「わかってますぅ……」
亜姫が不貞腐れたような返事をするとヒロは愉しげに笑い、面白そうに亜姫の顔を覗き込む。
「……何?」
「いや、別に? 亜姫も、ようやく人並みに嫉妬を覚えたんだなと思ってさ。お父さん、感激しちゃうよお前の成長に」
「ヒロみたいなお父さん、絶対いや!」
亜姫が不満の声を上げると、ヒロがまた声を上げて笑う。
「お前のおっぱいは、いつまで経っても成長しないのになぁ」
「したもん。この間、ちょっと大きくなったって言われたし」
「ははっ、誰に言われたんだよ。そんなの誤差だろ、誤差。見た目は全然変わんねぇじゃん。
もっとマッサージしろよ。あ、違うか。素材に限界があんのか。悪い悪い。お前にプルプルおっぱいなんて永遠に無理だと思うけどさ、まぁ頑張れ」
「もうっ、うるさいな!」
亜姫はヒロの腕にゴスッと拳を入れた。
「痛って! うわっ、暴力反対! 和泉ー! 早くこいつを引き取ってくれよ」
ヒロはそう言いながら、さり気なく春菜と和泉を引き離した。
和泉が苦笑しながら戻って来たが、隣に立っても亜姫は渦巻く嫉妬心を制御しきれない。そのまま和泉にぴたっと張り付き、俯いて下唇を少し突き出した。
和泉がそれを覗き込み、嬉しそうに顔を緩める。
「亜姫、また下唇出てるよ? 吸い付きたくなるから、その顔やめて」
「やだ」
亜姫の即答が可愛いと、和泉は密かに身悶える。
最近の亜姫は嫉妬や独占欲を隠さなくなった。あからさまに表現するわけではないので、他者からはそう変わらないように見える。だが、顔を隠すように俯いて少し下唇を突き出し、不満げな顔でむぅ……と不貞腐れるのだ。
最近は、この顔を見るのが楽しくてたまらない和泉だった。
「今日は疲れただろ? 終わったらお前んちに直行しような」
「やだ。和泉んちに行く」
これまた即答する亜姫の顔を、和泉は笑いながらしばらく眺めていた。
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