【完結】笑花に芽吹く 〜心を閉ざした無気力イケメンとおっぱい大好き少女が出会ったら〜

暁 緒々

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高3

新たな出会い(1)

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 亜姫が通路の角を曲がったところ、向こうから歩いてきた女子生徒とぶつかった。
 
 ガシャ、ドサッと荷物が落ちる音。
 
「ごめんなさいっ、大丈夫ですか!?」
 亜姫は、相手の散らばった荷物を慌てて拾う。
 
「あっ……うそっ、亜姫先輩だっ!」
「こらっ、いきなり失礼でしょっ!」
 
 亜姫が驚いて顔を上げると、その子達の後ろからまた誰かが勢いよく出てきた。
「うわっ、すみません! ってお前らか。何して……あれ? 亜姫先輩?」
「野口くん?」
 
 亜姫は次々起こる事に対応しきれず、ぽかりと口を開けたまま、そこにいる人の顔を順番に眺めた。
 間の抜けた顔を見て、野口が小さく噴き出す。
「こいつら、俺と同じクラスなんです」
 
 ぶつかった子達は、最初に叫んだほうが香田こうだ、それを諭したのが春菜はるなだと名乗った。
 
 それをキッカケに、校内で会うと言葉を交わすようになった。
 香田達は人懐こく、亜姫は聞かれるままに連絡先まで交換した。
 特に香田の方は筆まめらしく、暇さえあれば様々なメッセージを亜姫へ寄越してくる。
 二人はいつ会っても感じが良く、また珍しいことに和泉へ特別な関心を見せなかった。野口と同じく、亜姫と会うのを1番の楽しみにしている様子だった。
 
「しかしお前は年下によく懐かれるなぁ。先輩っぽさなんて見当たらねーのに」
 ヒロが相変わらずな調子で亜姫をからかう。
「うん、自分でも変な気分。でも二人とも可愛いから、そう呼ばれるとなんだか嬉しくなっちゃうなぁ」
「香田って、ちっこくてチョロチョロ動いてるから小動物みたいじゃねぇ? 春菜は可愛いし、普通にモテそうだよな。
 ……そういや、春菜ってちょっと亜姫に似てない? 全体の雰囲気とか」
 ヒロの言葉に、麗華がそうねと頷いた。
 
 春菜の身長や体型は亜姫と似たような感じで、髪も、亜姫より少し短いが黒髪のストレートロング。ただ、薄いメイクをしているので亜姫より年上に見える。
 
「亜姫より春菜のほうが色気あるけどな」
「それは、わざわざ言わなくていいやつ!」
 亜姫が睨むと、ヒロがまたそれをからかう。
 和泉は会話には参加しなかったが、そんな二人を見ていつものように笑っていた。
 そこに、でもさ……と戸塚の声。
「香田って、あんまり好かれてないらしいよ。一緒にいるのは春菜ぐらいだって。春菜はめちゃくちゃいい子だって評判で、なんで香田と一緒にいるのかわからないって言われてるらしい」
「えぇー? なんでだろう? 香田さん、素直ないい子に見えるけどなぁ……?」
 亜姫が不思議そうに言う。
 
 戸塚も詳しいことはわからないようだ。人に厳しい麗華が見ていても、香田に不審なものは感じないという。
「もしかしたら、積極的すぎて引かれちゃうのかしら?」
「俺も、もう少し調べてみるよ」
 
 この時は、意外な話を聞いたと思っただけだった。
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