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高3
ファミレス(3)
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店の責任者である店長。彼と話を済ませた和泉は、後方からまっすぐ祥子の席へと向かった。
首元の服を後ろから力任せに掴み、通路側へ躊躇なく引く。生地がミシッと音をたてたが、構わず力任せに引き倒した。
椅子から半分引きずりおろしたところで祥子が踏み留まる。驚愕の表情で見上げてくる顔は引き攣っていた。
和泉は激しい怒気を含んだ目で祥子を見下ろす。
「さっきからギャーギャーうるせぇんだよ。店の迷惑になってるって、わかんねぇ?」
強く引いた手はそのままに、和泉は低い声で吐き捨てた。
呆然と和泉を見上げていた祥子。
だが和泉が手を離すと、すぐに気を取り直して荷物を拾いながら椅子へと戻る。そして、乱れた髪を手で梳きながら意地の悪い笑みを浮かべた。
「いきなり何すんのよ。皆の為に私が教えてあげてんじゃない。相手探す手間も省けるんだし、あの女にも感謝してほ……」
「頼んでねぇよ」
「やだ和泉ってば、まだ騙されてんの? あんな汚れ……」
「汚れてない」
最後まで言わせず否定した和泉に、祥子が大声で笑いだした。
「はははははっ! そんなわけないじゃない、ヤられて傷だら、っ!」
和泉が机をバンッと叩いた。その衝撃で机上のコップが倒れ、大きな音を立てる。
「黙れ。そんなこと、されてねぇよ」
和泉が放つ猛烈な怒り。祥子が一瞬、言葉に詰まる。
その時、ポンと和泉の肩が叩かれる。
和泉が振り向くと、そこには店長が立っていた。
「店での暴力や、周りの迷惑になることは困ります。出ていっていただけますか?」
すると祥子が再び笑い出した。
「そうですよね! 迷惑だから、早く追い出してくださいよ」
あぁ酷い目にあったと言いながら、祥子は楽しそうだ。
だが店長は祥子を見据え、静かに告げた。
「いいえ、出ていくのはあなたです」
「は?……なんで私? 今、見てましたよね? 追い出されるのはそっち……」
「いいえ。あなたです」
「はあ? あんた、何言ってんの? 誰が酷い目にあってたか見てたでしょ!? 意味分かんない。どう見たって、私が被害者でしょうが!!」
祥子は悪態をつきながら背もたれへ寄りかかり、ふんぞり返るように足を組んだ。
その様子に、店長が呆れたような溜息を零す。
「あなたが先程からしていることは営業妨害で、他のお客様への数々の暴言は立派な暴力です。
前々から、あなたの来店には多数のクレームが出ているんですよ。店としても、これ以上見逃すわけにはいかない。
今をもって、あなたは出入り禁止とさせていただきます」
店長は、同じ席に座る千葉にも「君もね」と告げた。
しかし、祥子は怒りのままに叫ぶ。
「客に向かってそんな口」
「あなたを客とは認めない」
店長は最後まで言わせなかった。だが祥子は引き下がらない。
「なら、和泉も追い出しなさいよ! あの女だって周りに迷わ」
「いい加減にしろよ」
今度は和泉が言葉を遮ったが、祥子は怒りを貼り付けたまま挑戦的な目で睨みつけた。
「あの女が襲われたのは事実でしょうが。和泉だって、そばにいながら守りきれなかったんでしょ。だから犯され、っ!」
和泉が怒りを露わにして勢いよく手を出した。祥子は咄嗟に両手を前へ出し、身構える。
しかし、和泉の手が祥子に触れることはなかった。
和泉は空中で手を握りしめ、小さく息を吐く。
「………そうだな。近くにいたよ。
でも、あいにくだったな。すぐ助け出してんだ」
「誤魔化したって無駄。傷と痣だらけだったのは有名じゃない。それが何よりの証拠」
祥子は亜姫の方を見ながら下卑た笑みを向ける。
すると、和泉は低い声で笑った。
「あぁ、確かに。傷だらけだったかも」
「あははははっ! 認めちゃうんだ? ほら、私が言ったとお……」
「残念。あいつは綺麗なままだよ」
「は? どこが?」
怪訝そうな祥子を見て、今度は和泉がにやりと笑う。
と同時に手を伸ばすと、祥子の胸倉を強く掴んで一気に引いた。
祥子がヒュッと息を呑み、掴まれた服を振りほどこうとする。が、和泉は微動だにしないどころか更に強く引き、祥子の体は椅子から浮いた。されるがままの祥子は体を縮こまらせて固まる。
和泉は追い打ちをかけるように更にグッと持ち上げ、そのまま椅子の背へ叩きつけるように押し付けた。
ぶつかった衝撃で、祥子の喉からグウッと呻く声が漏れる。
押さえつけられた祥子が怯えた顔で震えだしたところで、和泉はさも楽しそうな笑い声を上げてその顔を見つめた。
首元の服を後ろから力任せに掴み、通路側へ躊躇なく引く。生地がミシッと音をたてたが、構わず力任せに引き倒した。
椅子から半分引きずりおろしたところで祥子が踏み留まる。驚愕の表情で見上げてくる顔は引き攣っていた。
和泉は激しい怒気を含んだ目で祥子を見下ろす。
「さっきからギャーギャーうるせぇんだよ。店の迷惑になってるって、わかんねぇ?」
強く引いた手はそのままに、和泉は低い声で吐き捨てた。
呆然と和泉を見上げていた祥子。
だが和泉が手を離すと、すぐに気を取り直して荷物を拾いながら椅子へと戻る。そして、乱れた髪を手で梳きながら意地の悪い笑みを浮かべた。
「いきなり何すんのよ。皆の為に私が教えてあげてんじゃない。相手探す手間も省けるんだし、あの女にも感謝してほ……」
「頼んでねぇよ」
「やだ和泉ってば、まだ騙されてんの? あんな汚れ……」
「汚れてない」
最後まで言わせず否定した和泉に、祥子が大声で笑いだした。
「はははははっ! そんなわけないじゃない、ヤられて傷だら、っ!」
和泉が机をバンッと叩いた。その衝撃で机上のコップが倒れ、大きな音を立てる。
「黙れ。そんなこと、されてねぇよ」
和泉が放つ猛烈な怒り。祥子が一瞬、言葉に詰まる。
その時、ポンと和泉の肩が叩かれる。
和泉が振り向くと、そこには店長が立っていた。
「店での暴力や、周りの迷惑になることは困ります。出ていっていただけますか?」
すると祥子が再び笑い出した。
「そうですよね! 迷惑だから、早く追い出してくださいよ」
あぁ酷い目にあったと言いながら、祥子は楽しそうだ。
だが店長は祥子を見据え、静かに告げた。
「いいえ、出ていくのはあなたです」
「は?……なんで私? 今、見てましたよね? 追い出されるのはそっち……」
「いいえ。あなたです」
「はあ? あんた、何言ってんの? 誰が酷い目にあってたか見てたでしょ!? 意味分かんない。どう見たって、私が被害者でしょうが!!」
祥子は悪態をつきながら背もたれへ寄りかかり、ふんぞり返るように足を組んだ。
その様子に、店長が呆れたような溜息を零す。
「あなたが先程からしていることは営業妨害で、他のお客様への数々の暴言は立派な暴力です。
前々から、あなたの来店には多数のクレームが出ているんですよ。店としても、これ以上見逃すわけにはいかない。
今をもって、あなたは出入り禁止とさせていただきます」
店長は、同じ席に座る千葉にも「君もね」と告げた。
しかし、祥子は怒りのままに叫ぶ。
「客に向かってそんな口」
「あなたを客とは認めない」
店長は最後まで言わせなかった。だが祥子は引き下がらない。
「なら、和泉も追い出しなさいよ! あの女だって周りに迷わ」
「いい加減にしろよ」
今度は和泉が言葉を遮ったが、祥子は怒りを貼り付けたまま挑戦的な目で睨みつけた。
「あの女が襲われたのは事実でしょうが。和泉だって、そばにいながら守りきれなかったんでしょ。だから犯され、っ!」
和泉が怒りを露わにして勢いよく手を出した。祥子は咄嗟に両手を前へ出し、身構える。
しかし、和泉の手が祥子に触れることはなかった。
和泉は空中で手を握りしめ、小さく息を吐く。
「………そうだな。近くにいたよ。
でも、あいにくだったな。すぐ助け出してんだ」
「誤魔化したって無駄。傷と痣だらけだったのは有名じゃない。それが何よりの証拠」
祥子は亜姫の方を見ながら下卑た笑みを向ける。
すると、和泉は低い声で笑った。
「あぁ、確かに。傷だらけだったかも」
「あははははっ! 認めちゃうんだ? ほら、私が言ったとお……」
「残念。あいつは綺麗なままだよ」
「は? どこが?」
怪訝そうな祥子を見て、今度は和泉がにやりと笑う。
と同時に手を伸ばすと、祥子の胸倉を強く掴んで一気に引いた。
祥子がヒュッと息を呑み、掴まれた服を振りほどこうとする。が、和泉は微動だにしないどころか更に強く引き、祥子の体は椅子から浮いた。されるがままの祥子は体を縮こまらせて固まる。
和泉は追い打ちをかけるように更にグッと持ち上げ、そのまま椅子の背へ叩きつけるように押し付けた。
ぶつかった衝撃で、祥子の喉からグウッと呻く声が漏れる。
押さえつけられた祥子が怯えた顔で震えだしたところで、和泉はさも楽しそうな笑い声を上げてその顔を見つめた。
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