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キレた亜姫と暴露の和泉(3)

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 敬語も使わず強い眼差しを向けた亜姫を見て、鍋島はプライドを刺激されたようだ。笑みに嗜虐さを加えて、好戦的な様子を見せる。

「何かお気に召さなかった? でも、事実だろ?」 
「友達の話、全部取り消して。用事があるのは私でしょう? 他の人を話に出すのはやめて」
 
 和泉が亜姫の肩を引き「やめろ」と言うも、亜姫はその場から頑として動かず、強い視線を鍋島に固定し続けた。
 
 不穏な空気に、他の生徒達が遠巻きながら足を止める。その様子に気づいたヒロ達が止めようとするが、亜姫はそれも全て聞き流した。
 
 発言を無視した上に、動じることもなく真っ直ぐ見据えてくる亜姫。その姿に、鍋島は明らかな苛立ちを見せた。

「お前が、俺の相手もしてくれるなら? 取り消してやるよ」 
「おい、ふざけんな!」
 ヒロが怒鳴るが、鍋島は挑発的に嘲笑う。 
「お前らの為に言ってくれてんだろ? いい友達持ったなぁ?
 まぁ、俺も鬼じゃねぇからさ。アキちゃんがどれだけエロいのか、これでもかってぐらい教えてくれればそれで手を打つよ?」
 今にも殴り掛かりそうなヒロを、戸塚が必死に止めている。
 鍋島はそれを一瞥すると、どうする? と言わんばかりにニヤニヤしながら亜姫を見た。
 
 すると、亜姫が満面の笑みを浮かべる。
「そんなことでいいのなら、いくらでも。
 でも、あなたの相手はしたくないかな」
 
 明るい口調で紡がれた言葉に、鍋島は一瞬わけがわからないようだった。だが、みるみるうちに怒りで顔を染めていく。
「は? お前……自分の立場わかってんのか? 選べる立場になんかねぇんだよ! 迫られりゃ誰にでも股開く淫乱が!」
「あなたには開かないけど?」
 笑顔のまま変わらぬ口調で反論され、鍋島の怒りは頂点を迎えた。
「偉そうに言ってんじゃねーよ。石橋には開いたんだろーが! 今すぐここで犯してやろうか!?」
「亜姫、もうやめとけ」 
 和泉が肩を抱き寄せて引き離そうとしたが、亜姫は視線を鍋島に据えたまま、その手を思い切り振り払う。
「そんなに真相知りたいの? なら、お望み通り教えてあげる」 
「亜姫!」
 和泉がとうとう怒鳴ったが、亜姫は鍋島に向き合ったままそこから動かなかった。
 
「自ら股開いたか? 開くわけないじゃない。それから、レイプもされてないから。
 勿論、あなたにも股を開いたりなんてしない。誰かもわからないあなたとなんて有り得ない」
「てめぇ……ナメてんのか?……今すぐ犯す」
 青筋を立てて全身を震わせる鍋島に、いなと言うように亜姫は首を振る。
「いやだよ」
 笑顔を向けたまま、亜姫はおっとりとした口調で言った。
 
 鍋島は我慢ならないという様相で、これ以上ないほどの怒りを見せる。
「どうせ、誰のだろうが咥えこんだらすぐに夢中になるんだろ! そんな口、二度と叩けねぇようにしてやるよ!」 
 鍋島が亜姫を捕まえようと手を伸ばしてきたが、亜姫の発した言葉にその手が止まる。

「そんなにヤりたいの? なら、どうぞお好きに」
 まるで、お先にどうぞと道を譲るような口ぶり。内容に似つかわしくない呑気さで亜姫は言う。
「あなたは脅して無理やりするのが好きなんだ? じゃあ、いくらでもやれば? 私は抵抗も泣き喚きもしないけど。
 だって、私はあなたを楽しませたいとは思わないもの。それでもいいなら、気が済むまで好きにしたらいい」
 亜姫は鍋島に向かって、また楽しそうに笑いかけた。
「あぁそうだ、何があったか知りたかったんだよね?
 少し触られただけだよ。でも、ただ不快だっただけ。ちっとも、全然、良くなかった。楽しくもなかったな」
 
 「やめろって!」と伸びてくる手を再度振り払い、焦る和泉を完全に無視し、シンとした周りの空気に気づくこともなく、亜姫は言葉を失くした鍋島だけを見続ける。
「友達の話はしないって約束、絶対に守ってね。
 私がどれだけいやらしいのか、知りたいんでしょう? ちゃんと全部教えてあげる」 
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