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高2
事件後(3)
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部屋が驚愕の空気に包まれ、無音となった。
亜姫も驚きの表情で顔を上げる。
「い、ずみ……何言って……」
「殺すよ。お前の前にまたあいつらが現れる? そんなの絶対許さない。誰も何もしないのなら俺がやる」
「そん、な……こと」
「本気だよ。……俺はずっと見てきた。お前が今日まで何されてきたか。どれだけ不安がってたか。今日どんな目にあって、どれだけの恐怖にさらされて怯えてたか。全部この目で見た。
これを明日からも? お前ができても俺には出来ない。お前が俺らの為にやらないっつーなら、俺はお前の為にあいつらを殺す」
そこまで一気に言い放つと、和泉は強い眼差しで亜姫を見つめ、静かに告げた。
「俺を、人殺しにしたくないなら。──取り消すな」
亜姫が息を呑んで和泉を見た。
口を挟ませないよう、和泉は更に畳み掛ける。
「だいたい、それでいいと本気で思ってんのか」
俺達が守っていたのはなぜ? 助けに行ったのはなぜ?
亜姫に問う。
「怪我しても罪に問われても構わないと思った俺達の気持ちを無駄にするのか?
警察に言うと決めた時、自分がなんて言ったのか思い出せよ」
そこで亜姫がハッとした。
皆にしてもらったことを無駄にしたくない。
無かったことにはしたくない。
自分がそう言ったことを思い出す。
「皆、お前の為に動いてんだよ。警察も学校も。お前の母さんだって仕事放り出して迎えに来てる。それはどうでもいいのか?
お前の親がこの先どれだけ心配するか……わからない?
俺達がどんな気持ちで明日から過ごすか。麗華がお前を止められなかったことをどれだけ悔やむか。
そういうの、本当にわからない?」
下を向いて無言になる亜姫。
「亜姫、聞いてる?」
声をかけるが反応がない。
「おい、聞い……っ!」
亜姫が突然腹を強く押し、和泉から離れた。
無防備だった腹に手の平が思い切りめり込み、和泉は思わず言葉に詰まる。痛む腹をさすりながら亜姫を見おろすと。
彼女はすっかり泣きやみ、強い光を宿した目で和泉を睨んでいた。
そして、言った。
「まだ、助けてもらったお礼を言ってなかった。ありがとう」
和泉が反応する前にヒロ達の方を向き、亜姫は同じように礼を言う。それから大人達を真っ直ぐ見据えた。
「わがままを言って申し訳ありませんでした。……予定通り被害届を出してください。
でも、もし。もし和泉達が罰を受けることになった場合……私も同等の罰を一緒に受けます。法律上不可能でも、自身に科します。
先生、もし学校が罰を必要とする時は私にも同じものを出してください。学校がそれを約束してくれないなら、届けは出しません」
「亜姫!」
「お蔭様で目は覚めた。でも、これだけは私も絶対譲らない。自分だけ守られるなんて嫌」
和泉の目を見て、亜姫ははっきりと言った。
そんな亜姫を見て、最善を尽くすと警察は約束した。
そして、山本達は言った。
「学校なら、大人ならできる。ってことを証明してやる」
結果として、和泉達が罰を受けることはなかった。
この時点ではまだわからないことだが、石橋達が以前から似たような犯行を重ねていたことが今回の手慣れた動きから発覚。彼らは退学となり、罪に問われることとなる。
ただ、この件に関しては石橋が亜姫に異様な執着を見せた末の犯行だった。
「好きだった。どうしても手に入れたかった。
何が何でも、自分のものにしたかった」
石橋はそう自白したが、亜姫がこれを知るのは当分先のこととなる。
亜姫も驚きの表情で顔を上げる。
「い、ずみ……何言って……」
「殺すよ。お前の前にまたあいつらが現れる? そんなの絶対許さない。誰も何もしないのなら俺がやる」
「そん、な……こと」
「本気だよ。……俺はずっと見てきた。お前が今日まで何されてきたか。どれだけ不安がってたか。今日どんな目にあって、どれだけの恐怖にさらされて怯えてたか。全部この目で見た。
これを明日からも? お前ができても俺には出来ない。お前が俺らの為にやらないっつーなら、俺はお前の為にあいつらを殺す」
そこまで一気に言い放つと、和泉は強い眼差しで亜姫を見つめ、静かに告げた。
「俺を、人殺しにしたくないなら。──取り消すな」
亜姫が息を呑んで和泉を見た。
口を挟ませないよう、和泉は更に畳み掛ける。
「だいたい、それでいいと本気で思ってんのか」
俺達が守っていたのはなぜ? 助けに行ったのはなぜ?
亜姫に問う。
「怪我しても罪に問われても構わないと思った俺達の気持ちを無駄にするのか?
警察に言うと決めた時、自分がなんて言ったのか思い出せよ」
そこで亜姫がハッとした。
皆にしてもらったことを無駄にしたくない。
無かったことにはしたくない。
自分がそう言ったことを思い出す。
「皆、お前の為に動いてんだよ。警察も学校も。お前の母さんだって仕事放り出して迎えに来てる。それはどうでもいいのか?
お前の親がこの先どれだけ心配するか……わからない?
俺達がどんな気持ちで明日から過ごすか。麗華がお前を止められなかったことをどれだけ悔やむか。
そういうの、本当にわからない?」
下を向いて無言になる亜姫。
「亜姫、聞いてる?」
声をかけるが反応がない。
「おい、聞い……っ!」
亜姫が突然腹を強く押し、和泉から離れた。
無防備だった腹に手の平が思い切りめり込み、和泉は思わず言葉に詰まる。痛む腹をさすりながら亜姫を見おろすと。
彼女はすっかり泣きやみ、強い光を宿した目で和泉を睨んでいた。
そして、言った。
「まだ、助けてもらったお礼を言ってなかった。ありがとう」
和泉が反応する前にヒロ達の方を向き、亜姫は同じように礼を言う。それから大人達を真っ直ぐ見据えた。
「わがままを言って申し訳ありませんでした。……予定通り被害届を出してください。
でも、もし。もし和泉達が罰を受けることになった場合……私も同等の罰を一緒に受けます。法律上不可能でも、自身に科します。
先生、もし学校が罰を必要とする時は私にも同じものを出してください。学校がそれを約束してくれないなら、届けは出しません」
「亜姫!」
「お蔭様で目は覚めた。でも、これだけは私も絶対譲らない。自分だけ守られるなんて嫌」
和泉の目を見て、亜姫ははっきりと言った。
そんな亜姫を見て、最善を尽くすと警察は約束した。
そして、山本達は言った。
「学校なら、大人ならできる。ってことを証明してやる」
結果として、和泉達が罰を受けることはなかった。
この時点ではまだわからないことだが、石橋達が以前から似たような犯行を重ねていたことが今回の手慣れた動きから発覚。彼らは退学となり、罪に問われることとなる。
ただ、この件に関しては石橋が亜姫に異様な執着を見せた末の犯行だった。
「好きだった。どうしても手に入れたかった。
何が何でも、自分のものにしたかった」
石橋はそう自白したが、亜姫がこれを知るのは当分先のこととなる。
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