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高2
文化祭(11)
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麗華が謝ると亜姫は首を振り、ギュッと抱きついた。
「嫌いって、言っちゃった。何度も、大っ嫌いって……。私、沢山酷いこと言った……」
グスッと鼻をすする音がする。
「思ってもいないことを言っちゃったの? それとも、本当に嫌いになった?」
「本当にそう思ったから、言った……」
「じゃあ、別れたい?」
亜姫は、抱きついたまま暫く考えて、小さな声で答える。
「わかんない。好きだけど……嫌。さっきの和泉、嫌だった……。今も、いや……。
だって、私……悪くないもん。今日は、絶対に悪くないもん。全部無駄になって駄目になって、その上であんな言われ方、本当に嫌なんだもん……だって、何も信じてくれないし。顔、見たくないもん……和泉なんか、もう知らないっ」
すると、聞いていた二人が笑った。
「亜姫が怒ってる! 初めて見た!」
怒る? 亜姫は理解できずに首を傾げる。
今までも和泉に怒った自覚があるが、それとこの感情は全然違うものだ。
「今までは、なんだかんだ和泉の気持ちも汲んでたでしょ? あとはパニック起こした勢いだったりとか。
今は、それすら考えられないぐらい心の底から怒ってるってことよ。それだけ今回の亜姫が一生懸命で、あいつがどうしようもなく最低だったってことね」
麗華がざまあみろと言わんばかりに冷たく笑い、こう言った。
「亜姫。和泉に仕返し、しようか」
目を瞬いた亜姫の横で、いいね! と沙世莉が楽しそうな声を上げた。
◇
亜姫と共に早めに教室へ戻り、のんびり準備をしていた麗華と沙世莉。その元へ和泉が飛んできた。
「おいっ! 何だよあれっ……」
あれから。
亜姫は午前中とは全然違う華やかなヘアメイクを施された。そして教室へ戻ると、和泉のことは一切見ずにメイド服を着たまま接客に出た。
それを見た和泉が慌て、麗華達のところへ確認しに来たのだ。
「何? あんた、偉そうに文句言える立場? 話、全部聞いたんだけど?」
冷たい視線と言葉。今回ばかりは和泉も言葉に詰まる。
「いや、でも、亜姫は裏方だったはず………」
「賞金かかってるし人手も欲しいしで、亜姫を接客に回すことにしたの。あんたの望み通り、一番可愛く仕上げといたから。
ほら見てよ、麗華。予想通り、集客効果ばつぐん。亜姫と話せるまたとないチャンスだもんね、午後は男の客が増えるかも! 亜姫も楽しそうだし、このまま接客担当にしちゃおうよ!
和泉は接客嫌そうだったし、もうやらなくてもいーよ。なんならこのまま少し休憩してれば?」
嫌味がこもった言葉に、和泉が頭を抱える。
「代わりに俺が二人分働く。だから亜姫は裏……」
「駄目。あんたは黙って眺めてなさい。これは和泉への罰でもあるんだから。
亜姫が接客をやりたがってたのは知ってるでしょ? これで止めたら間違いなく嫌われるわよ?
あぁ、既に嫌われたあとだっけ? 別れるんなら、ますます意見なんてできないじゃない」
「……別れてねーし。亜姫が、そう言ってた……?」
「さぁ? あとで自分で聞いてみたら? 亜姫がまだ話をしてくれるなら、ね」
それはさすがに堪えたようだ。和泉は明らかに沈んだ様子を見せた。
だが、麗華達は愉快そうに笑う。
「自業自得よ。でもそうね……接客中、もし亜姫に何かあったら助けに入るのはやらせてあげる。
これ以上嫌われたくないなら、亜姫のことをちゃんと守りなさいよ? まぁ、一番酷い事してるのは和泉だけどね」
……わかった。と小さな声で呟いた和泉は、一瞬の間を置き沙世莉に頼んだ。「ジンクスの詳細を教えてくれ」と。
「亜姫がしてくれるつもりだったことを、何もしないまま終わらせたくない。全部償いたい。その為に、少しだけ手を貸してほしい」
そう言って二人に頭を下げる。
沙世莉と麗華は「和泉の味方はしない。あくまでも最低限の協力のみ」と条件をつけた上で、亜姫には内緒でその提案を受けた。
「嫌いって、言っちゃった。何度も、大っ嫌いって……。私、沢山酷いこと言った……」
グスッと鼻をすする音がする。
「思ってもいないことを言っちゃったの? それとも、本当に嫌いになった?」
「本当にそう思ったから、言った……」
「じゃあ、別れたい?」
亜姫は、抱きついたまま暫く考えて、小さな声で答える。
「わかんない。好きだけど……嫌。さっきの和泉、嫌だった……。今も、いや……。
だって、私……悪くないもん。今日は、絶対に悪くないもん。全部無駄になって駄目になって、その上であんな言われ方、本当に嫌なんだもん……だって、何も信じてくれないし。顔、見たくないもん……和泉なんか、もう知らないっ」
すると、聞いていた二人が笑った。
「亜姫が怒ってる! 初めて見た!」
怒る? 亜姫は理解できずに首を傾げる。
今までも和泉に怒った自覚があるが、それとこの感情は全然違うものだ。
「今までは、なんだかんだ和泉の気持ちも汲んでたでしょ? あとはパニック起こした勢いだったりとか。
今は、それすら考えられないぐらい心の底から怒ってるってことよ。それだけ今回の亜姫が一生懸命で、あいつがどうしようもなく最低だったってことね」
麗華がざまあみろと言わんばかりに冷たく笑い、こう言った。
「亜姫。和泉に仕返し、しようか」
目を瞬いた亜姫の横で、いいね! と沙世莉が楽しそうな声を上げた。
◇
亜姫と共に早めに教室へ戻り、のんびり準備をしていた麗華と沙世莉。その元へ和泉が飛んできた。
「おいっ! 何だよあれっ……」
あれから。
亜姫は午前中とは全然違う華やかなヘアメイクを施された。そして教室へ戻ると、和泉のことは一切見ずにメイド服を着たまま接客に出た。
それを見た和泉が慌て、麗華達のところへ確認しに来たのだ。
「何? あんた、偉そうに文句言える立場? 話、全部聞いたんだけど?」
冷たい視線と言葉。今回ばかりは和泉も言葉に詰まる。
「いや、でも、亜姫は裏方だったはず………」
「賞金かかってるし人手も欲しいしで、亜姫を接客に回すことにしたの。あんたの望み通り、一番可愛く仕上げといたから。
ほら見てよ、麗華。予想通り、集客効果ばつぐん。亜姫と話せるまたとないチャンスだもんね、午後は男の客が増えるかも! 亜姫も楽しそうだし、このまま接客担当にしちゃおうよ!
和泉は接客嫌そうだったし、もうやらなくてもいーよ。なんならこのまま少し休憩してれば?」
嫌味がこもった言葉に、和泉が頭を抱える。
「代わりに俺が二人分働く。だから亜姫は裏……」
「駄目。あんたは黙って眺めてなさい。これは和泉への罰でもあるんだから。
亜姫が接客をやりたがってたのは知ってるでしょ? これで止めたら間違いなく嫌われるわよ?
あぁ、既に嫌われたあとだっけ? 別れるんなら、ますます意見なんてできないじゃない」
「……別れてねーし。亜姫が、そう言ってた……?」
「さぁ? あとで自分で聞いてみたら? 亜姫がまだ話をしてくれるなら、ね」
それはさすがに堪えたようだ。和泉は明らかに沈んだ様子を見せた。
だが、麗華達は愉快そうに笑う。
「自業自得よ。でもそうね……接客中、もし亜姫に何かあったら助けに入るのはやらせてあげる。
これ以上嫌われたくないなら、亜姫のことをちゃんと守りなさいよ? まぁ、一番酷い事してるのは和泉だけどね」
……わかった。と小さな声で呟いた和泉は、一瞬の間を置き沙世莉に頼んだ。「ジンクスの詳細を教えてくれ」と。
「亜姫がしてくれるつもりだったことを、何もしないまま終わらせたくない。全部償いたい。その為に、少しだけ手を貸してほしい」
そう言って二人に頭を下げる。
沙世莉と麗華は「和泉の味方はしない。あくまでも最低限の協力のみ」と条件をつけた上で、亜姫には内緒でその提案を受けた。
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