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高2
和泉と野口(1)
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夏休みが終わり、今日から新学期。
「ごめんね、乗り遅れちゃって!」
和泉は駆け寄る亜姫に目を細める。
久々に見る制服姿には、やはり格別の思いがあった。更にこの光景が初めて見た姿と重なって……
と思っていたが、目の前に立った亜姫には苦笑しか出ない。
「なに、その頭」
さらさらなストレートのはずなのに、亜姫の頭は寝癖がついたように乱れていた。
和泉は手を伸ばして整えていく。
「えっ、変? あれ? 寝坊して走ったせいかな?
……いいってば。恥ずかしいからやめて。皆、見てるから……」
恥ずかしそうに俯く亜姫の首は真っ赤だ。
変わらぬ初々しさ。
体を重ねても純粋さや清らかさは健在で、少し近づくだけでアタフタする姿は何度見ても飽きることがない。
可愛いと思う一方、つい悪戯心も出てしまう。
和泉はそっと亜姫を抱きよせ、耳元で囁いた。
「これぐらい、もう恥ずかしくないだろ? もっと恥ずかしい姿……俺に見られてるし」
それを聞いた瞬間、亜姫は予想通り慌てふためいた。
「バッ、バ、バカなんてこと言っ……だ、誰かに聞かれっ……い、いやらしいこと言わないでっ!!」
「その声の方がでかいよ?」
和泉がくすくす笑うと。
「あんた、またそんなことしてんの?」
後ろから呆れた声がした。
振り向けば、そこにいたのは野口。和泉は無言で彼を睨みつける。
野口は爽やかに亜姫へ挨拶すると、怯むことなく和泉の視線を受け止めた。
「とっくに愛想尽かされたと思ってたのに。まだ捨てられてなかったんだ? なら、先輩に恥かかせるようなことすんな」
「本気で嫌がる前に止めるにきまってんだろ。自分ができないからって、いちいち突っかかってくるなよ」
和泉は小馬鹿にするような笑みを浮かべていたが、ふと真顔に戻る。
「携帯、貸せよ」
野口は一瞬きょとんとする。
「……はぁ? なんで?」
「亜姫の写真が入ってるだろ。消す」
凄みを増した眼差しに低く絞り出した声。
すると、野口がハハッと笑った。
「あぁ、水着のね。……あるよ、めちゃくちゃいい写真が何枚も」
「………早く貸せよ、携帯」
剣呑な空気。だが亜姫は気にすることなくプールの話を始める。
その話を聞いていた野口は、不意に和泉へと視線をずらした。
「あんた、亜姫先輩の水着姿を見たことなかったんだって?
あの日初めて着たらしいですよ、あの水着。……すみませんね。あんたの初めて、横取りしちゃって」
彼はさも愉快そうに笑う。
すると和泉は無言で野口の肩を抱え込み、その手から携帯を奪おうとしはじめた。
「痛ってぇ、何すんだよ! おい取るなっ、やめろ上から押すんじゃねぇっ! 無駄にでかいんだよ……こっの、くそ野郎!」
「うるせぇ、いーから早く渡せよ。悔しかったら早く成長しろ」
和泉が携帯を取り上げると、野口は荒い息を吐きながらニヤリと笑う。
「別にいーよ、消しても。家にデータ残してるから」
「は?」
「うっかり消えたら困るだろ。滅多に見られない貴重な姿だし?」
「お前……」
和泉が本気で苛つき始めると、横から呑気な声が割り込んできた。
「和泉達、いつからそんなに仲良しなの? いいなぁ、男の子同士って楽しそう!」
「「仲良くねぇ!」」
「ほら、息ぴったり!」
思わず二人が顔を見合わせる。
すると、後ろからブハッと噴き出す音がした。
ヒロと戸塚だ。
「お前ら、相変わらず面白いことやってるなぁ」
「和泉、大人げないよ」
「もうやめとけ。さすがに邪魔だ」
和泉が周囲を見渡した。そして状況を把握したのか、溜息をつきながら野口に携帯を返した。
「ごめんね、乗り遅れちゃって!」
和泉は駆け寄る亜姫に目を細める。
久々に見る制服姿には、やはり格別の思いがあった。更にこの光景が初めて見た姿と重なって……
と思っていたが、目の前に立った亜姫には苦笑しか出ない。
「なに、その頭」
さらさらなストレートのはずなのに、亜姫の頭は寝癖がついたように乱れていた。
和泉は手を伸ばして整えていく。
「えっ、変? あれ? 寝坊して走ったせいかな?
……いいってば。恥ずかしいからやめて。皆、見てるから……」
恥ずかしそうに俯く亜姫の首は真っ赤だ。
変わらぬ初々しさ。
体を重ねても純粋さや清らかさは健在で、少し近づくだけでアタフタする姿は何度見ても飽きることがない。
可愛いと思う一方、つい悪戯心も出てしまう。
和泉はそっと亜姫を抱きよせ、耳元で囁いた。
「これぐらい、もう恥ずかしくないだろ? もっと恥ずかしい姿……俺に見られてるし」
それを聞いた瞬間、亜姫は予想通り慌てふためいた。
「バッ、バ、バカなんてこと言っ……だ、誰かに聞かれっ……い、いやらしいこと言わないでっ!!」
「その声の方がでかいよ?」
和泉がくすくす笑うと。
「あんた、またそんなことしてんの?」
後ろから呆れた声がした。
振り向けば、そこにいたのは野口。和泉は無言で彼を睨みつける。
野口は爽やかに亜姫へ挨拶すると、怯むことなく和泉の視線を受け止めた。
「とっくに愛想尽かされたと思ってたのに。まだ捨てられてなかったんだ? なら、先輩に恥かかせるようなことすんな」
「本気で嫌がる前に止めるにきまってんだろ。自分ができないからって、いちいち突っかかってくるなよ」
和泉は小馬鹿にするような笑みを浮かべていたが、ふと真顔に戻る。
「携帯、貸せよ」
野口は一瞬きょとんとする。
「……はぁ? なんで?」
「亜姫の写真が入ってるだろ。消す」
凄みを増した眼差しに低く絞り出した声。
すると、野口がハハッと笑った。
「あぁ、水着のね。……あるよ、めちゃくちゃいい写真が何枚も」
「………早く貸せよ、携帯」
剣呑な空気。だが亜姫は気にすることなくプールの話を始める。
その話を聞いていた野口は、不意に和泉へと視線をずらした。
「あんた、亜姫先輩の水着姿を見たことなかったんだって?
あの日初めて着たらしいですよ、あの水着。……すみませんね。あんたの初めて、横取りしちゃって」
彼はさも愉快そうに笑う。
すると和泉は無言で野口の肩を抱え込み、その手から携帯を奪おうとしはじめた。
「痛ってぇ、何すんだよ! おい取るなっ、やめろ上から押すんじゃねぇっ! 無駄にでかいんだよ……こっの、くそ野郎!」
「うるせぇ、いーから早く渡せよ。悔しかったら早く成長しろ」
和泉が携帯を取り上げると、野口は荒い息を吐きながらニヤリと笑う。
「別にいーよ、消しても。家にデータ残してるから」
「は?」
「うっかり消えたら困るだろ。滅多に見られない貴重な姿だし?」
「お前……」
和泉が本気で苛つき始めると、横から呑気な声が割り込んできた。
「和泉達、いつからそんなに仲良しなの? いいなぁ、男の子同士って楽しそう!」
「「仲良くねぇ!」」
「ほら、息ぴったり!」
思わず二人が顔を見合わせる。
すると、後ろからブハッと噴き出す音がした。
ヒロと戸塚だ。
「お前ら、相変わらず面白いことやってるなぁ」
「和泉、大人げないよ」
「もうやめとけ。さすがに邪魔だ」
和泉が周囲を見渡した。そして状況を把握したのか、溜息をつきながら野口に携帯を返した。
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