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高2
体育祭(1)
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体育祭当日。すこぶる快晴。
ここの体育祭はちょっとしたお祭りだ。イベント色の強い競技が多数あり、笑いが絶えない。
生徒間の交流を目的ともしていて、かといって真剣勝負にも手は抜かせない。その為に様々な趣向を凝らしてある。
運動が得意でなくても人前が苦手でも出来るものがあるように工夫されていて、例年盛り上がっている。
中でも人気なのは「借り物競走」。
最大の特徴は、「物」ではなく指示された物を持つ「人」を連れてくること。
特に「好きな人」と書かれたカードは人気があった。これを機につきあう子も多く、また出会うきっかけ作りにもなっている。
「好きな人」は友達や先生でも構わないので、誰が引いても困りはしない。
このあと、亜姫が出る競技だ。
そして今、和泉は苛立っていた。
「和泉、なんでそんなに不機嫌なの?」
「亜姫を見る男が多すぎる」
「あぁ……」
ヒロと戸塚が苦笑する。
開放的な場所のせいか、亜姫を見る男の視線がよく見えた。隙を見て話しかける奴もいる。
亜姫はいつもの笑顔を向け、楽しそうに対応している。それがまた面白くない。
「別にいいじゃん。和泉だって似たような状況だろ?」
「そういう問題じゃねーんだよ」
「大人気ねーな。自分のモノになった途端、独占欲丸出しとか」
「ほんとに。我慢のきかない子供みたいだね」
「うるせぇ」
二人にからかわれて和泉は不貞腐れる。
和泉だって、言われずとも分かっている。
亜姫を手に入れてから、「独占欲」と名のついたこれに振り回されているのだ。初めての感覚に戸惑うばかりで操縦不能。
亜姫にぶつけないようにするのが精一杯で、苛立つ自身すら抑えられずにいる。
和泉の視線の先には亜姫の姿。出番はまだ先だからか、リラックスして楽しそうに過ごしていた。
と、亜姫の前に知らない男が立った。
小柄で幼なげな男。どう見ても一年だ。そいつは亜姫になにかを伝えるとその手を握って立たせ、一緒に走り出した。
「あー、借り物に出てる一年か。どのカードを持ってたんだろうな?」
ヒロが何か言っていたが、和泉は男が気になって仕方なかった。
ゴールしたあとの様子を見れば、明らかに「好きな人」のカードを持っていたとわかる。
和泉は立ち上がり、歩き出した。
「和泉? どこに行くんだよ?」
「亜姫を迎えに行って来る」
二人の揶揄う声を無視して和泉は早足で亜姫の元へ向かう。
遠くに姿が見えたと思ったら、男が亜姫を呼び止めていた。さっきの一年だ。
亜姫は男に連れられ、校庭から離れていく。
和泉は小さく舌打ちしてすぐさま後を追った。
ここの体育祭はちょっとしたお祭りだ。イベント色の強い競技が多数あり、笑いが絶えない。
生徒間の交流を目的ともしていて、かといって真剣勝負にも手は抜かせない。その為に様々な趣向を凝らしてある。
運動が得意でなくても人前が苦手でも出来るものがあるように工夫されていて、例年盛り上がっている。
中でも人気なのは「借り物競走」。
最大の特徴は、「物」ではなく指示された物を持つ「人」を連れてくること。
特に「好きな人」と書かれたカードは人気があった。これを機につきあう子も多く、また出会うきっかけ作りにもなっている。
「好きな人」は友達や先生でも構わないので、誰が引いても困りはしない。
このあと、亜姫が出る競技だ。
そして今、和泉は苛立っていた。
「和泉、なんでそんなに不機嫌なの?」
「亜姫を見る男が多すぎる」
「あぁ……」
ヒロと戸塚が苦笑する。
開放的な場所のせいか、亜姫を見る男の視線がよく見えた。隙を見て話しかける奴もいる。
亜姫はいつもの笑顔を向け、楽しそうに対応している。それがまた面白くない。
「別にいいじゃん。和泉だって似たような状況だろ?」
「そういう問題じゃねーんだよ」
「大人気ねーな。自分のモノになった途端、独占欲丸出しとか」
「ほんとに。我慢のきかない子供みたいだね」
「うるせぇ」
二人にからかわれて和泉は不貞腐れる。
和泉だって、言われずとも分かっている。
亜姫を手に入れてから、「独占欲」と名のついたこれに振り回されているのだ。初めての感覚に戸惑うばかりで操縦不能。
亜姫にぶつけないようにするのが精一杯で、苛立つ自身すら抑えられずにいる。
和泉の視線の先には亜姫の姿。出番はまだ先だからか、リラックスして楽しそうに過ごしていた。
と、亜姫の前に知らない男が立った。
小柄で幼なげな男。どう見ても一年だ。そいつは亜姫になにかを伝えるとその手を握って立たせ、一緒に走り出した。
「あー、借り物に出てる一年か。どのカードを持ってたんだろうな?」
ヒロが何か言っていたが、和泉は男が気になって仕方なかった。
ゴールしたあとの様子を見れば、明らかに「好きな人」のカードを持っていたとわかる。
和泉は立ち上がり、歩き出した。
「和泉? どこに行くんだよ?」
「亜姫を迎えに行って来る」
二人の揶揄う声を無視して和泉は早足で亜姫の元へ向かう。
遠くに姿が見えたと思ったら、男が亜姫を呼び止めていた。さっきの一年だ。
亜姫は男に連れられ、校庭から離れていく。
和泉は小さく舌打ちしてすぐさま後を追った。
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