2 / 364
高1
5月(1)
しおりを挟む
「お、来た来た。すぐ戻ると思ってたんだ」
「腹減った。メシ行こーぜ」
教室へ戻ってきた和泉を迎えたのは戸塚とヒロ。彼らは制服が人気の高校へ入学したばかり。
落ち着いた雰囲気で物腰柔らかな戸塚、人懐っこく元気あふれるヒロ。2人とも整った容姿を持ち、多くの視線を集めている。
だが、ひときわ目立つのは「和泉」と呼ばれたこの男。
185センチ超えの長身。細身だがしなやかな体。長い手足。無造作に立たせた短髪は明るい栗色。そして、造り物のように整った涼しげな顔。
彼は有名だった。
──いつも違う女とヤっていることで。
「で? 今日の相手はどーだった? 三年だっけ?」
「別に」
「あの先輩、いつ見てもやたらエロいよな。興奮した?」
「しない。面倒なだけ」
和泉は携帯を見つつ、無表情で気怠そうな返事を寄越す。
その態度にヒロが不満をぶつけた。
「おい、ヤりたがってる奴がどんだけいると思ってんだ。そんな事言うなら代われよ俺と!」
「いーよ」
「簡単に言うんじゃねぇよ! 出来るならとっくに代わってるって!
あー、俺もヤりたい! ヤりまくりたい! なんならずっとツッコんだまま生活したい!」
すると、和泉が顔を上げた。
「あんなの、何がいいんだよ?」
「お前、それ……ヤりまくってる奴が言うセリフじゃねぇわ……」
ヒロはガクリと肩を落とした。
その横で、戸塚が苦笑しながら呟く。
「あの和泉が女にもセックスにも興味がない、なんて……誰も思わないだろうな」
「腹減った。メシ行こーぜ」
教室へ戻ってきた和泉を迎えたのは戸塚とヒロ。彼らは制服が人気の高校へ入学したばかり。
落ち着いた雰囲気で物腰柔らかな戸塚、人懐っこく元気あふれるヒロ。2人とも整った容姿を持ち、多くの視線を集めている。
だが、ひときわ目立つのは「和泉」と呼ばれたこの男。
185センチ超えの長身。細身だがしなやかな体。長い手足。無造作に立たせた短髪は明るい栗色。そして、造り物のように整った涼しげな顔。
彼は有名だった。
──いつも違う女とヤっていることで。
「で? 今日の相手はどーだった? 三年だっけ?」
「別に」
「あの先輩、いつ見てもやたらエロいよな。興奮した?」
「しない。面倒なだけ」
和泉は携帯を見つつ、無表情で気怠そうな返事を寄越す。
その態度にヒロが不満をぶつけた。
「おい、ヤりたがってる奴がどんだけいると思ってんだ。そんな事言うなら代われよ俺と!」
「いーよ」
「簡単に言うんじゃねぇよ! 出来るならとっくに代わってるって!
あー、俺もヤりたい! ヤりまくりたい! なんならずっとツッコんだまま生活したい!」
すると、和泉が顔を上げた。
「あんなの、何がいいんだよ?」
「お前、それ……ヤりまくってる奴が言うセリフじゃねぇわ……」
ヒロはガクリと肩を落とした。
その横で、戸塚が苦笑しながら呟く。
「あの和泉が女にもセックスにも興味がない、なんて……誰も思わないだろうな」
11
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
青春残酷物語~鬼コーチと秘密の「****」~
厄色亭・至宙
青春
バレーボールに打ち込む女子高生の森真由美。
しかし怪我で状況は一変して退学の危機に。
そこで手を差し伸べたのが鬼コーチの斎藤俊だった。
しかし彼にはある秘めた魂胆があった…
真由美の清純な身体に斎藤の魔の手が?…

彼氏と親友が思っていた以上に深い仲になっていたようなので縁を切ったら、彼らは別の縁を見つけたようです
珠宮さくら
青春
親の転勤で、引っ越しばかりをしていた佐久間凛。でも、高校の間は転校することはないと約束してくれていたこともあり、凛は友達を作って親友も作り、更には彼氏を作って青春を謳歌していた。
それが、再び転勤することになったと父に言われて現状を見つめるいいきっかけになるとは、凛自身も思ってもいなかった。

好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
Cutie Skip ★
月琴そう🌱*
青春
少年期の友情が破綻してしまった小学生も最後の年。瑞月と恵風はそれぞれに原因を察しながら、自分たちの元を離れた結日を呼び戻すことをしなかった。それまでの男、男、女の三人から男女一対一となり、思春期の繊細な障害を乗り越えて、ふたりは腹心の友という間柄になる。それは一方的に離れて行った結日を、再び振り向かせるほどだった。
自分が置き去りにした後悔を掘り起こし、結日は瑞月とよりを戻そうと企むが、想いが強いあまりそれは少し怪しげな方向へ。
高校生になり、瑞月は恵風に友情とは別の想いを打ち明けるが、それに対して慎重な恵風。学校生活での様々な出会いや出来事が、煮え切らない恵風の気付きとなり瑞月の想いが実る。
学校では瑞月と恵風の微笑ましい関係に嫉妬を膨らます、瑞月のクラスメイトの虹生と旺汰。虹生と旺汰は結日の想いを知り、”自分たちのやり方”で協力を図る。
どんな荒波が自分にぶち当たろうとも、瑞月はへこたれやしない。恵風のそばを離れない。離れてはいけないのだ。なぜなら恵風は人間以外をも恋に落とす強力なフェロモンの持ち主であると、自身が身を持って気付いてしまったからである。恵風の幸せ、そして自分のためにもその引力には誰も巻き込んではいけない。
一方、恵風の片割れである結日にも、得体の知れないものが備わっているようだ。瑞月との友情を二度と手放そうとしないその執念は、周りが翻弄するほどだ。一度は手放したがそれは幼い頃から育てもの。自分たちの友情を将来の義兄弟関係と位置付け遠慮を知らない。
こどもの頃の風景を練り込んだ、幼なじみの男女、同性の友情と恋愛の風景。
表紙:むにさん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる