緋色の月と破滅の炎

睦月夜風

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第三章 凍てつく大地

第31話 ルーン

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「すっかり、夜だね」
「ですねー」
「ウサギちゃんは帰らないの?」
「私に家は無いよ」
「あ、そうなの」
「···眠たいです」
「貴女も寝なさいよ」
「で、でも」
「何かあったら意地でも守ってあげるから」
「わ、分かりました」
そしてウサギちゃんは眠りについた
「よし、私は起きておこう···それにしてもこの状態だとお腹空かないんだ」
その時
ガルルル!
白い狼がやって来た
「!狼···まさか··ウサギちゃんを食べに来たの?」
「あ?何だよ、お前」
「私は禿鷲宗古はげわしそうこ、今は木だけど元々、人間だったの」
「ほぉー?俺は人間が大嫌いだ、だから言いたいこと分かるよな?」
「ウサギちゃんを襲わないならお好きにどうぞ」
「なら!」
狼は私の体(茎)にかぶりついた
「(い、痛い!)」
私の皮膚(幹)が剥がれ落ち血(樹液)が流れ出した
「おら!おら!」
ガリッ!ガリッ!
「っ!う、う」
「オラァ!泣き叫べよ!痛いだろ!」
「な、泣き叫ぶわけないでしょ」
「ああ?」
「泣き叫んだら、皆、起きちゃうじゃない、もしそれで幼虫ちゃんの羽化が失敗でもしたら···」
「は?」
「それに、私にだってプライドはあるんだよ」
「···ちっ、何なんだよお前は」
「私は禿鷲宗古はげわしそうこ
「はぁー、もう良い、飽きた」
狼は去っていった
「はぁ、はぁ、い、痛い」
その時
ブーン
「え?」
ガチッ!
「おー、樹液じゃん」
「か、カブトムシ?」
「ん?何だ?」
そのカブトムシは青色で剣のような角が生えていた
「ふ、冬なのに居るんだ」
「ん?知らないのか?俺達は冬に行動するんだぞ」
「あ、そうなんだ、私、日本から来たからさ」
「はぁー、成る程、日本か、日本のカブトムシは夏なの?」
「そうそう、それにしてもカブトムシ見てたら思い出すなー」
「何を?」
「私が小さかった頃の話」
「僕達を見て思うことがあるって···」
「あ、私、朝まで人間だったの」
「あー···成る程ね、それで小さかった頃どうだったの?」
「友達と一緒にカブトムシ取りに行ってたの」
「まぁ、僕達は人間の子供達から人気だしね」
「うん、あー···ろうちゃん、元気にして···あれ、待てよ」
「どうした?」
「あ、ごめん、何かうーん、誰か他に居たんだけど、誰だっけ···」
「友達を忘れたの?」
「最低だな、私」
「まぁ、俺だってよく忘れるし」
「よくはダメでしょよくは」
「あはは、確カニー」
「···何でだろう、物凄く寒くなってきた」
「あはは」
その時他のカブトムシもやって来た
「お?」
「おい、どけ」
「やーだー」
「ああ?ヤンのか?あ?」
「やってやるよ」
「やめてー、私の為に争わないでー(棒)」
「スッゴい、棒読みじゃん」
「実際、見たいからね、縄張り争い」
「いよっしゃー!勝負じゃー!」
「上等だ!」 
カン!
「(え?物凄く刀がぶつかるような音したんだけど?え?)」
カン!カン! 
「ぐぬぬ」
「ふぬぬぬ!オラァ!」
カブトムシは後から来たカブトムシを落とした
「ぐおっ!」
「はーい、俺の勝ちー、ってことでいただきまーす」
「いや、その子にも分けてあげなよ」
「敗北者はその場から離れるっていうお決まりがあるからなぁ、無理だ」
「何それ」
「俺達の規則」
「へ、へぇ」
カブトムシは私の樹液(血)を舐めた
「う、う、う」
「どうひた?」
「く、くすぐったいw」
「我慢ひろー、ペロペロ」 
「あはは!」
しばらくして
「あ、樹液だ、いただきまーす」
鮮やかな色をした蝶がやって来て樹液を吸い始めた
「わぁ、可愛いね、蝶々さん」
「えへへ、そう?」
「うん!色鮮やかでとっても良い色だね」
「ありがとう、あ、そこで蛹になってるのは···私達とは違う別の仲間の子みたいね」
「へぇー、そうなんだ」
「で、貴女は···人間なの?」
「う、うん」
「へぇー、ならさ、恋人は居るの?」
「うん、居るよ」
「あら、そうなの、どんな人?」
「銀髪の長髪で元々、殺し屋をしてたって言うんだけど物凄く優しいくて格好いいの」
「へぇー、良いわねー」
その時、私はあることに気が付いた
「あ!そうだ!指輪!私の周辺にさ指輪ない?」
「待って、探してみるね」
蝶々さんは下に飛んで探していた
「うーん、雪が邪魔ね」
「カブトムシ、手伝ってあげて?」
「えー」
「樹液あげるから」
「ラジャー」
カブトムシは地面に降りて角で雪を掻き分けていた
「あ、あったわ!カブトムシ、そこよ」
「おー、これか」
カブトムシ達は指輪を持ったまま飛んで枝(腕)に乗った
「··何処に置いとく?」
「うーん、あ、そこの小枝(指)に引っ掛けといて」
「オッケー···よしっと」
「ありがとう、はい樹液」
「やったー」
「あー、私も頂戴」
「仲良く分けてね(···何か楽しいな木で居るのも)」
その時、蝶々さんは指輪を見つめた
「どうしたの?」
「指輪綺麗だなー、って思って」
「へぇ」
「ほら、月に照らされて青色に光ってるよ」
私は指輪を見た、指輪は月の光を反射して透き通った青色に光っていた
「わぁ··綺麗」
その時、私は途端に皆の事を思い出した
「···」
そして涙が零れた
「う、う」
「ど、どうしたの?」
「ご、ごめん、皆に会いたくなって」
「···そう」
「私、このまま戻らないのかな···皆に会いたい」
「そう祈りなさいよ、きっと誰が助けに来てくれるわ」
「気付くかな···私、木になってるのに」
「大丈夫だって、そんなに心配すんなって」
「···うん」





プルルル!
「ほーい?地雲ちぐもだぞー?」
「俺だ地雲ちぐも
「あ、お兄様、どうしたのー?」
「今から氷の国に行くからお前も来い、本部で待ってる」
「はいなのだー」
ピッ
「隊長、お出かけですか?」
「そうなのだ、しばらく留守番頼んだのだ」
「はい、分かりました」
「それじゃー、行ってくるのだー」
「お気をつけて」
私はそうして、本部に行った
「お、来たか」
「でー、お兄様、何で彼処に行くの?」
「ツリーが復活したから殺しにいく為」
「成る程··って、あの木材復活したのか」
「そうみたいだな」
「で?どうやって行くのだ?」
「ゲート解放」
お兄様かそう言うと目の前に氷の門が現れた
「よし、行くぞ」
「おうなのだ!」
その時
「あ、あの」
「ん?」
「誰だ?」
青色の長髪で剣を持った少年が居た
「あ、あの、ぼ、僕も行かせてください」
「名前は?」
「ムーン・ライです」
「ムーン····ああ、月の魔人か」
「あ、覚えていましたか」
「そりゃ、そうだろ、で、何で連れていって欲しいんだ?」
「あ、いや、その···」
「何だよ、そんなに顔赤くして」
「そ、宗古そうこさんに会いたくて」
「ん?お前、アイツの事知ってるのか?」
「ええ、元々、友達だったので」
「···あー、そういや、お前、かなり前に友達居たな、その友達が宗古そうこなのか?」
「はい」 
「因みに、アイツに彼氏が出来た事はご存知で?」
「もちろんです、ってか月龍つきりゅうさんにも会いました」
「おお!そうなのか」
「あの人、物凄く無口ですね」
「「え?」」
「何か冷静でかっこよくて、宗古そうこさんが惚れるのも無理もないよ」
「···アイツ、もしかしてさ、修行して性格変わっちゃった?」
「まだ、修行初めて···3週間?ぐらいじゃ···」
「少し会ってみたいな、アイツに」
「あ、それで、少しだけ戦わせてくれたんだけど」
「ほぉ、で?どうだった?」
「術を使う前に倒された」
「は?」
「要するにワンパン?」
「うん、殴られて負けた」
「···お前ってさ、俺の斬撃を喰らっても大丈夫だったよな?」
「は、はい」
「「····」」
「と、とりあえず、行きましょうよ」
「あ、あ、そうだな」
「な、なのだ」
「「(アイツ、どれだけ強くなったんだよ)」」


ハウタウン
ザン!ザザザザ!!
月龍つきりゅうは刀で辺りにある沢山の人型人形を凪払った
「····」
「おーい!月龍つきりゅう!」
「···何だ、魚瀬うおせ
「ご飯出来たってよ」
「···分かった、行く」
「おう···お前、変わったよな」
「····まぁな」





















    
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