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本編
嵐が近づいている
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悪夢とも言えるメロヴィング家での社交も終わり、ハルとの距離が少し近くなったようなそうでもないような?
それでも確かに穏やかな日々を送れていた……はずだった。
「レオベルト様。メロヴィング家からのお手紙がレオベルト様宛に届いております。」
「め、メロヴィング…?」
何かやらかしたのか?
この前の交流会で俺は何の粗相もして無いはずだ。しつこく話しかけてきたアランを遠回しに避けたぐらいで…まさか避け方が露骨だったとか?
でもそんな事で手紙なんて送り付けないよな……
開けたくはないが、開けるしか無さそうだ。
ゆっくりと手紙開けて見てみると
『レオベルト・エンフィア様へ
この前の交流会に出席してくれて、どうもありがとう!とっても楽しかったよ!
それでね、良かったらまた僕のお家に来てくれないかな…?
ほら!僕の家のシェフのご飯美味しかったでしょ?食べに来て欲しいし……それに君と仲良くなりたいなって思って。
だから、空いてる日があったら僕にまた連絡して欲しいな!絶対絶対会いたいから!
絶対手紙送ってね!
アラン・メロヴィングより』
……好意的な内容。粗相はしてないようで一安心……ともいかない。
ここまで好かれているのも不気味だし、そもそもあんまり関わりたくない。
でも絶対に手紙を送れという圧を感じる…
それとなく断わりの手紙を書くか?
勉強が忙しいとか言って社交にしばらく出なかったら解決じゃないか?
いや、それもだめだな。
俺のお父様は堕落しきった親としても人としても駄目な人だが、公爵家というプライドは無駄にあるせいで外ヅラは異常に気を使う人だ。
愛人のために多額のお金をつぎ込んで本館よりも豪華な別荘を建てたくせして、愛人の存在を隠し、病弱な妻を気遣う当主を演じるという反吐が出るような性根を持っているのだ。
自分の息子が美形だったという話はそろそろ別荘にも届いた事だろう。これから馬車馬の様に社交界に引っ張り出されるにちがいない。
そんなお父さんに、もしメロヴィング家と仲良くなるチャンスが舞い込んだとバレたら、絶対に仲良くさせようとするだろうし、断ったとバレたらお母様に何をするか分からない。
下手したらお母様へ薬を与えなくなるかもしれない。与えられなくなってしまえば一巻の終わり。
やはりお父様には逆らえない。
……今世でも俺はお父様の言いなりだ。
でも、俺の事を心から愛してくれた人は前世でも今世でもお母様だけだった。優しくて温かくて、クズの父には勿体なすぎる人。
お母様の事は何があっても守り抜くんだ。
その為にこの顔も知識も何もかも利用する。そして、前世の二の舞にはならない。
俺ならできる。
自分に言い聞かせてペンを手にする。
『アラン・メロヴィング様へ
お手紙ありがとうございます。
お誘い大変嬉しかったです。
都合のいい日は来週の木曜日の昼頃です。
アラン様のご予定に合いましたらまたご連絡下さい。
レオベルト・エンフィアより』
書き終わった後、手は震えていた。アランに会うという、自分の選択に恐怖を覚える。
仲良くなんてなれない。話したくなんてない。
切られてない首が何故か痛む。
「レオベルト様……」
「!…ハル?どうしたの?」
ハルが心配そうに顔を覗き込んできた。
もしかしてずっとだまって傍にいたのか?
「レオベルト様が苦しそうだったので…ご迷惑でないなら、俺、ずっとそばに居ます。レオベルト様がまた笑顔になられるまで、ずっと。」
「あ…」
「あ、お、俺なんかに傍にいられても迷惑ですよね!ご、ごめんなさい。」
そうやって部屋から出ていこうとするハルの服の袖を引っ張った。
「ううん。」
「レ、レオベルト様……?」
「傍に、いて。」
「え、あ……も、もちろんです!」
ふわりと嬉しそうに笑うハルを見て、なんだか俺もうれしくなってくる。
味方なんて今世でもお母様だけだと思ってた。俺の事見てくれる人っていないって。
だけどそれは違かったのかもしれない。
俺はアランのことしか見てなかったから、周りの人の事見れてなかったんだ。
俺の事を心配してくれる人は居たはずなのに、どうして気づけなかったんだろう。どうしてこんな大切な事が分からなかったんだろう。
今世では絶対そんな愚かな事はしない。
…俺に寄り添ってくれるハルが嬉しくて、涙が出そうだ。
「レオベルト様…アラン様に会いたくないならお断りしてもよろしいのでは?」
「…そんな事いう人始めてだ。みんなこの家のためにも、意地でも交流しろって言うのに。」
「俺はレオベルト様に苦しんで欲しくないので……」
「ふふ、ありがとう。
だけど、やっぱり会わなくちゃ。楽しい未来の為にもね。」
覚悟は決めた。嵐はすぐそこにある。
だけどこの嵐を乗り越えたらきっと幸せな未来が待ってるはずだってそう思った。
だけどこの嵐はただの序章に過ぎないのだった。
それでも確かに穏やかな日々を送れていた……はずだった。
「レオベルト様。メロヴィング家からのお手紙がレオベルト様宛に届いております。」
「め、メロヴィング…?」
何かやらかしたのか?
この前の交流会で俺は何の粗相もして無いはずだ。しつこく話しかけてきたアランを遠回しに避けたぐらいで…まさか避け方が露骨だったとか?
でもそんな事で手紙なんて送り付けないよな……
開けたくはないが、開けるしか無さそうだ。
ゆっくりと手紙開けて見てみると
『レオベルト・エンフィア様へ
この前の交流会に出席してくれて、どうもありがとう!とっても楽しかったよ!
それでね、良かったらまた僕のお家に来てくれないかな…?
ほら!僕の家のシェフのご飯美味しかったでしょ?食べに来て欲しいし……それに君と仲良くなりたいなって思って。
だから、空いてる日があったら僕にまた連絡して欲しいな!絶対絶対会いたいから!
絶対手紙送ってね!
アラン・メロヴィングより』
……好意的な内容。粗相はしてないようで一安心……ともいかない。
ここまで好かれているのも不気味だし、そもそもあんまり関わりたくない。
でも絶対に手紙を送れという圧を感じる…
それとなく断わりの手紙を書くか?
勉強が忙しいとか言って社交にしばらく出なかったら解決じゃないか?
いや、それもだめだな。
俺のお父様は堕落しきった親としても人としても駄目な人だが、公爵家というプライドは無駄にあるせいで外ヅラは異常に気を使う人だ。
愛人のために多額のお金をつぎ込んで本館よりも豪華な別荘を建てたくせして、愛人の存在を隠し、病弱な妻を気遣う当主を演じるという反吐が出るような性根を持っているのだ。
自分の息子が美形だったという話はそろそろ別荘にも届いた事だろう。これから馬車馬の様に社交界に引っ張り出されるにちがいない。
そんなお父さんに、もしメロヴィング家と仲良くなるチャンスが舞い込んだとバレたら、絶対に仲良くさせようとするだろうし、断ったとバレたらお母様に何をするか分からない。
下手したらお母様へ薬を与えなくなるかもしれない。与えられなくなってしまえば一巻の終わり。
やはりお父様には逆らえない。
……今世でも俺はお父様の言いなりだ。
でも、俺の事を心から愛してくれた人は前世でも今世でもお母様だけだった。優しくて温かくて、クズの父には勿体なすぎる人。
お母様の事は何があっても守り抜くんだ。
その為にこの顔も知識も何もかも利用する。そして、前世の二の舞にはならない。
俺ならできる。
自分に言い聞かせてペンを手にする。
『アラン・メロヴィング様へ
お手紙ありがとうございます。
お誘い大変嬉しかったです。
都合のいい日は来週の木曜日の昼頃です。
アラン様のご予定に合いましたらまたご連絡下さい。
レオベルト・エンフィアより』
書き終わった後、手は震えていた。アランに会うという、自分の選択に恐怖を覚える。
仲良くなんてなれない。話したくなんてない。
切られてない首が何故か痛む。
「レオベルト様……」
「!…ハル?どうしたの?」
ハルが心配そうに顔を覗き込んできた。
もしかしてずっとだまって傍にいたのか?
「レオベルト様が苦しそうだったので…ご迷惑でないなら、俺、ずっとそばに居ます。レオベルト様がまた笑顔になられるまで、ずっと。」
「あ…」
「あ、お、俺なんかに傍にいられても迷惑ですよね!ご、ごめんなさい。」
そうやって部屋から出ていこうとするハルの服の袖を引っ張った。
「ううん。」
「レ、レオベルト様……?」
「傍に、いて。」
「え、あ……も、もちろんです!」
ふわりと嬉しそうに笑うハルを見て、なんだか俺もうれしくなってくる。
味方なんて今世でもお母様だけだと思ってた。俺の事見てくれる人っていないって。
だけどそれは違かったのかもしれない。
俺はアランのことしか見てなかったから、周りの人の事見れてなかったんだ。
俺の事を心配してくれる人は居たはずなのに、どうして気づけなかったんだろう。どうしてこんな大切な事が分からなかったんだろう。
今世では絶対そんな愚かな事はしない。
…俺に寄り添ってくれるハルが嬉しくて、涙が出そうだ。
「レオベルト様…アラン様に会いたくないならお断りしてもよろしいのでは?」
「…そんな事いう人始めてだ。みんなこの家のためにも、意地でも交流しろって言うのに。」
「俺はレオベルト様に苦しんで欲しくないので……」
「ふふ、ありがとう。
だけど、やっぱり会わなくちゃ。楽しい未来の為にもね。」
覚悟は決めた。嵐はすぐそこにある。
だけどこの嵐を乗り越えたらきっと幸せな未来が待ってるはずだってそう思った。
だけどこの嵐はただの序章に過ぎないのだった。
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