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2話 悪人顔でも君が好きだと言うなら
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尾登木高校。
俺とユウキはここの2年生だ。
入学してから1年経ったこともあってか俺たちはこの学校の有名人である。
ユウキに限っては説明する必要がないだろう。
この見た目で文武両道。性格もよく、気さくで誰からも好かれる。
ひとりで街を歩けば必ずスカウトの目に留まるほど。
『少女漫画から飛び出してきた完璧ヒーローだ』と説明されても納得してしまう自信がある。
異名【艶麗王子】。
それに比べて亀島アクト、俺と来たら……。
校門をくぐるなり、ザザッと音を立てて生徒たちが道を作るかのように端に寄った。
そんなに怖いか、俺の顔は。
異名【数人はヤッてるさん】。
ユウキが誤解を解いてくれようとしたがこの見た目のせいで逸話が大量に作られていく。
「アクトと一緒にいると教室まで行くのに苦労しないからほんと助かる」
「……はぁ、こんな顔に生まれなければもっと楽だったろうに」
「こら、僕の好きな顔を侮辱しないでもらおうか」
「いたたっ、頬っぺたつねるな」
「謝れ」
「ご、ごめん。なぜに怒ってるっ⁉︎」
謝ったらつねるのをやめてくれたが、ムスッとして歩く速度を早めるユウキ。
さては朝ご飯を食べなかったな。
しかし口には出さないが怒っているユウキも可愛い。
頬っぺをぷうと膨らませているのなんて古典的すぎて頭を撫でてしまいたくなる…………いやいや、もちろん親友としてだぞ。
学校に入り下駄箱。
上履きで廊下を歩き出しても一向にユウキの早歩きのスピードは落ちない。
おかしい。いつもなら3歩進んだら機嫌が直るのに。
「でもまあ、うん。この顔で良かった、かもしれない」
「……その心は?」
確かに怖がられるのは嫌だけど、この顔で生まれていなかったらこうして一緒に登校することも出来ないかもしれない。
ユウキの学校での人気は尋常じゃない。
生徒たちが一斉に迫ってきたら、もう荒波だ。
簡単に押し流されてしまう。
それに過激なファンへの抑止力にもなれない。
うわっ、そう考えるとこの悪人顔に生まれて良かったと心から思うな。
なにより───
「ユウキが好きって言ってくれるなら他はどうだって良いや」
「っ…………………ワカレバイイヨ、ワカレバ」
ナゼカタコト?
しかも顔を覗こうとしたらぷいっとそらされ、横に行こうとしたら数歩前に。
絶対まだ怒っている。
どうやらとんだ地雷を踏んでしまったようだ。
ユウキの後ろ姿を眺めながら廊下を進んで行く。
別にうなじを眺めているわけではない。
後ろ髪をなでたいとか思っているわけでもない。
2年の教室は2階。
もちろんの事ながら階段を登るわけで。
コツコツとユウキは先へ進んでいく。
視線の先が髪からうなじ、肩から腰、そしてキュッと引き締まっているのに触れたらとても柔らかそうなおs───
「ユウキッッ‼︎」
「び、びっくりしたっ‼︎え、なに?」
「俺の前に立つんじゃねぇ」
「……そこは『後ろ』じゃないの?それより顔真っ赤だよ。もし風邪っぽいなら保健室寄ってく?」
「いや大丈夫。すぐ治る、と思う」
(変な所に視界がいかなければ)
それより振り返る姿も艶っぽいとはどういうわけだ。
俺とユウキはここの2年生だ。
入学してから1年経ったこともあってか俺たちはこの学校の有名人である。
ユウキに限っては説明する必要がないだろう。
この見た目で文武両道。性格もよく、気さくで誰からも好かれる。
ひとりで街を歩けば必ずスカウトの目に留まるほど。
『少女漫画から飛び出してきた完璧ヒーローだ』と説明されても納得してしまう自信がある。
異名【艶麗王子】。
それに比べて亀島アクト、俺と来たら……。
校門をくぐるなり、ザザッと音を立てて生徒たちが道を作るかのように端に寄った。
そんなに怖いか、俺の顔は。
異名【数人はヤッてるさん】。
ユウキが誤解を解いてくれようとしたがこの見た目のせいで逸話が大量に作られていく。
「アクトと一緒にいると教室まで行くのに苦労しないからほんと助かる」
「……はぁ、こんな顔に生まれなければもっと楽だったろうに」
「こら、僕の好きな顔を侮辱しないでもらおうか」
「いたたっ、頬っぺたつねるな」
「謝れ」
「ご、ごめん。なぜに怒ってるっ⁉︎」
謝ったらつねるのをやめてくれたが、ムスッとして歩く速度を早めるユウキ。
さては朝ご飯を食べなかったな。
しかし口には出さないが怒っているユウキも可愛い。
頬っぺをぷうと膨らませているのなんて古典的すぎて頭を撫でてしまいたくなる…………いやいや、もちろん親友としてだぞ。
学校に入り下駄箱。
上履きで廊下を歩き出しても一向にユウキの早歩きのスピードは落ちない。
おかしい。いつもなら3歩進んだら機嫌が直るのに。
「でもまあ、うん。この顔で良かった、かもしれない」
「……その心は?」
確かに怖がられるのは嫌だけど、この顔で生まれていなかったらこうして一緒に登校することも出来ないかもしれない。
ユウキの学校での人気は尋常じゃない。
生徒たちが一斉に迫ってきたら、もう荒波だ。
簡単に押し流されてしまう。
それに過激なファンへの抑止力にもなれない。
うわっ、そう考えるとこの悪人顔に生まれて良かったと心から思うな。
なにより───
「ユウキが好きって言ってくれるなら他はどうだって良いや」
「っ…………………ワカレバイイヨ、ワカレバ」
ナゼカタコト?
しかも顔を覗こうとしたらぷいっとそらされ、横に行こうとしたら数歩前に。
絶対まだ怒っている。
どうやらとんだ地雷を踏んでしまったようだ。
ユウキの後ろ姿を眺めながら廊下を進んで行く。
別にうなじを眺めているわけではない。
後ろ髪をなでたいとか思っているわけでもない。
2年の教室は2階。
もちろんの事ながら階段を登るわけで。
コツコツとユウキは先へ進んでいく。
視線の先が髪からうなじ、肩から腰、そしてキュッと引き締まっているのに触れたらとても柔らかそうなおs───
「ユウキッッ‼︎」
「び、びっくりしたっ‼︎え、なに?」
「俺の前に立つんじゃねぇ」
「……そこは『後ろ』じゃないの?それより顔真っ赤だよ。もし風邪っぽいなら保健室寄ってく?」
「いや大丈夫。すぐ治る、と思う」
(変な所に視界がいかなければ)
それより振り返る姿も艶っぽいとはどういうわけだ。
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