不良の兄が突然女装に目覚めたらしいけどめちゃくちゃ可愛いかった話

１話 兄貴の女装に恋をした

「おいバカハルカ。母さんが今晩なに食べたいか聞いてこい───…って」

扉を開くと金髪ロングで褐色のギャルがいた。
場所は不良でろくでなしの兄貴ハルカの部屋。

（また女でも連れ込んだか）なんて思ったが、なんか違う。
女子校の服装をしているがミニスカートから覗かせる素足の筋肉のつき具合と言うか。
肩幅の広さと言うか。

「マ、マサ……勘違いすんじゃねぇ、これはッ！」

ぎょっと魂が抜けそうな顔でこちらを見ている褐色ギャルは僕がよく知る人物と同じ声色だった。

（いや、落ち着け。こんなに可愛い娘・・・・・・・・があのガサツで声が大きいだけが取り柄の兄貴のはずがない）

「えっと、これは。そうだ！仲間ダチがふざけて女子校の制服を送って来やがってよ……仕方なく、ほんと仕方なくッ‼︎」

カシャっ。

「え？」

カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャっ。

どういうわけだか僕は無意識にスマホのカメラを起動して連写していた。

「お、おいッ‼︎さては写真で脅す気だな⁉︎それは漢オトコとしてやっちゃならねぇだろ！」

「……か……いい」

カメラの連写で後ずさる兄貴がこけそうになったが僕はすかさず手をとりベッドに腰掛けさせてあげる。

「……ありがと」

とてつもなく可愛い。
困ったことに女装した兄貴、いや『ハルちゃん』はどうしようもなく僕のタイプだった。


「好きだ。僕の家族になってくれ」


ハルちゃんは（なに言ってんだコイツ）みたいな呆れ顔をこちらに向けてくる。

───僕はある日兄貴の女装した恋をした。