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感謝

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収納!

収納!

収納!

収納!

収納!

収納!

収納!




私が瞬きするたび上がる悲鳴に、口元がゆるむ。


忌々しい目。
この目に何度も見下された。

収納。



碌なことを言わない口。
この口に何度も嫌味を言われた。

収納。



何度も私の腕を掴んだ指。手。
許可なくわたしに触らないでよ気持ち悪い。ってずっと言いたかったけど、結局1回も言えなかったな。

収納。



あぁ。ひと思いに大きく抉ってみてもいいかも。


頬。

収納。



お腹。

収納。



太もも。

収納。




噴き上がる鮮血も、全部全部収納。

大丈夫。ちゃんと血の一滴も残さずに収納してあげる。




穴だらけの体でビクンビクンと痙攣する上司の横に座り込み、これまで毎日言われ続けたセリフをそのままお返しする。




「あなたがビクビクしてると、見てるこっちが不愉快ですよ。」





そして、その穴だらけの身体も収納。




念の為、周りをくるりと見回す。

うん。何も残ってない。
血の一滴も。肉片の一つも。髪の毛すら落ちてない。

全ては、わたしの倉庫の中に。









楽しいなぁ。
楽しいなぁ。

ありがとう。私の愛しい異次元倉庫達。
これをくれた神様も、ありがとう。

こんな素敵な物をもらえるなら、1回死にかけたのもきっと悪くない経験だったんだよ。




私いま、最高に幸せ。

全世界に感謝!

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