純潔な妻を持つ男が熟れた女に劣情する

シロツユ

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純潔な妻を持つ男が熟れた女に劣情する

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マナは、なまめかしく熟れた胸と肢体を、持て余していた。彼女の旦那は長期出張で不在。一方でケイゴもまた、密かに疼く性欲を、日々抑え込むのに難儀していた。彼の妻は花も恥じらう可愛らしい女性だったが、一線を越えることにまだまだ抵抗があったのだ。

二人はマンションの隣同士だった。出勤時間が被るようで、同時に家を出ることが多い。それだけではなく、帰宅時に出会うことも多かった。

最初の頃こそ、普通に会釈したり「どうも」「こんにちは」を交わすくらいだった。が、いつしかケイゴはマナのエロティックな身体につい目が止まるようになっては「いかん、痴漢か俺は」と即座に目を逸らしたりするようになった。身体のラインにぴったり沿うTシャツ。胸元を出すデザインではなくとも、却ってそれが大きな胸を強調しているように思われた。

ある日も、つい見つめて目を逸らしたケイゴは驚いた。「あの…それ素敵ですね。腕時計」と、鼻に掛かった声で、マナが話し掛けて来たのだ。別の日には表札を見て「ケイゴさん…素敵なお名前…」とも。ケイゴもマナも、表札を見ればそれぞれ夫婦だと分かる筈だった。一体、何の意図があって?宗教の勧誘でもしようというのか?

相変わらず身体つきに気を取られて仕方が無いながらも、ケイゴはマナを少し警戒した。が、また別の日「お休みは何されてるんですか?」と言われ、気晴らしに買い物に行ったりゲームをしていると伝える。マナは「ちなみにお休みっていつですか?」と続け、ケイゴはドキッとした。えっ、次の?ってこと?と思ったが、いやいや、何曜日、ってことだよな、と思い、曜日を答えると、あろうことか「次のその日、空いてますか?」と来る。

はい?やっぱり勧誘かな?と思い「いや、予定が」と答える。本当は予定など無かった。「そっかぁ残念…。でも偶然ですね、私もその日は休みが多いんです」とマナが答えるので、ケイゴは思わず勧誘以外の可能性に思いを馳せる。残念?とは?まあどうせ勧誘対象の一人として見られて、なんだろうけど…でももしそうじゃなかったら…?もしも…もしも俺に気がある…なんてことが…いや、俺は何を考えているんだ…。

そんな中でケイゴは、自分がチラチラ見つめてしまうと同時に、マナもこちらを見つめていることに気付くようになる。やはりこれは…宗教やセールスの勧誘をしたいだけの人の眼差しだろうか?

…いや忘れよう、俺にはもう大切な妻が。気のせいか何かだ、きっと。

そう思っていたのに。ある休日の昼下がり、また二人は…今度は駐車場で出逢った。軽く会釈をしてケイゴが自身の車に乗り込もうとすると、丸いサングラスを掛けたマナが立ちはだかる。

「ねぇ、ドライブ連れてって?」

!?…は!?驚いて声の出ないケイゴにマナは妖しい微笑を浮かべ、しかし媚びたような小さな声で続ける。「ううん、いっそこのままここで、がいいかなぁ」ケイゴは「えっ…な 何が?」と言うなり、妻や他の誰かに見られてるのでは、と慌てて周囲を見渡す。幸い、誰も居ないようだ。動揺して「ち ちょっと入って!」と咄嗟にマナを車の助手席に押し込める。マナは抵抗することもなく車に乗る。慌ててケイゴも運転席に乗り、ドアを閉めるとマナは、サングラスの奥から鋭く目を光らせ「…知ってるの。ケイゴさんって奥さんと上手く行ってないんでしょ?あたしも旦那が全然帰って来なくて」えっ…?え…。何でそれを…。いや、噂なんてどこから広がるか分からないけど…いや、それよりも、彼女は一体何が言いたい?

と、硬直して言葉を返せずにいるケイゴの左腕をおもむろに掴むマナ。その腕を豊満な胸の谷間に押し当てる。ケイゴは瞬時に理性を失い「や、ちょっと…」と口籠もりながらも、引き剥がすつもりでマナの左肩に掛けたはずの右手は、背中へと回り込む。力強く抱きしめてから、興奮のあまり震えた自身の右手にハッと気付きケイゴは、また慌てて窓の外を見やり「ごっごめん…!」と、マナから後ずさる。ドアに背中をぶつけ、慌てて降りると助手席のドアを開け、マナから目を逸らしたまま「…その通りだけど…君の言う通りだけど…でも…」口籠もりながら、降りてくれ、とは言えずに、どうぞ、と手の仕草で促す。マナは暫く呆然と動かずにいたが「…またね?」と呟くと降りて行った。

またね?…いやいや冗談じゃない。こんな状況だけど俺は妻を愛しているんだ。…という気持から、ケイゴはあの後、本来の気晴らしの買い物にも行く気になれずに当ての無い一人ドライブを済ませて帰宅して以来、妙に妻のことを気に掛けるようになった。しかしその夜。「ねぇさっき、一瞬車にお隣の奥さんが、一緒に乗ったように見えたんだけど」

バレていた。やっぱりな。家にいた妻に、運良く見られていなければ、と願ったが、そうは行かなかった。「!…うん、何か俺の前にフラフラと具合悪そうに近付いて来たから、すぐ休める場所、と思ったら咄嗟に…」と嘘をつくと妻は、純潔な女性とは思えぬじっとりした目付きで「…ふうん」とだけ答えた。

ケイゴは怖くなり、それ以上何も言えずにその場を去る。同じ寝室で別のベッドに寝る日々。時々ケイゴから「今日はどう?まだその気になれないかな?」と誘うが、妻の返事は決まって「まだ待って」だった。その夜。いつものように互いに背を向けたまま二人は黙って寝ていた。ケイゴの中には昼間のマナの身体の感触が悶々と渦巻いていた。それを知ってか知らずか、妻が「…今日は大丈夫かも」と呟く。

待ち望んでいた一言。の筈だった。なのに…。日頃、ケイゴが妻に抱いていた密かな興奮は、今はマナへの抑え切れぬ劣情に置き換えられてしまっていた。いや、愛する妻がやっと身体を許してくれている。今こそ罪悪感など持たずに妻を抱けばいいじゃないか。

おずおずと妻のベッドへ身体を移す。そっと妻の小さな二の腕に触れ、そのまま背中に手を回した途端、マナの感触が生々しく蘇り、思わずびくっと手を避けるケイゴ。その心中を察したかのように妻も「ごめん、やっぱり無理かも」とベッドから逃げるように降り立つ。

そのまま気まずい沈黙が流れ、いたたまれなくなったケイゴは「ちょっと外の空気吸って来る」と、寝室のドアを開ける。「うん。先寝てるから」と背を向けてベッドに座り直した妻が言う。返事をせず、黙って出るケイゴ。

自慰をしたかった。したくてしたくて堪らなかった。もちろん、マナの妄想で。トイレにでも籠ろうか?だが以前、妻への欲情が抑えられぬ時そうしていたように、やはり外の方が怪しまれない。そう思ったケイゴは、財布と鍵を持ち、外へ出て車に乗り込む。どこか人気の無いところへ行こう。エンジンを掛けたその時。

何故こうもタイミングが被るのだろう、マナが居た。車の窓越しに見つめて手を振って来た。いっそまた彼女を乗せ、この劣情の赴くままに致してしまった方が、再び妻を愛せるだろうか?そんな思いに取り憑かれたケイゴは、人目を避けようと、ゆっくり車を発車する。バックミラー越しにマナに視線を送る。少し離れて、しかし、付いてくるマナ。ケイゴは、マンションの窓から目の届かない場所に来ると、車を停め、助手席のドアを開けた。

「こんばんは~」と、気怠く乗り込むマナ。「散歩してたらケイゴさん出て来るなんてね。しかもまた乗せてくれるなんて?」ととぼけた表情で言うマナに、堪らなくなり両肩を掴んで抱き締めるケイゴ。ふー…ふー…と荒い息を抑えられぬまま、左手でマナの胸を鷲掴む。「…ごめん…っ」

あっ…、と小さく喘ぎ、「何…が?」と訊くマナも息が荒くなっていく。

「あたしね…ずっと…っあ…っ…!したかった…ケイゴさ…ん…と…んっ!」

「俺もだよ」とケイゴは答え、二人は無言で互いの身体を貪り続けた。首筋を、胸元を、股間を、ねっとりと液が伝う。

「ああ…っ…あああんっ…っ!」

マナの喘ぎが次第に激しくなる。入れたい。入れて、出してしまえば、何もかも元に戻る…。そんな幻想に取り憑かれるも、マナはケイゴを制止した。「それは…無し…それだけは…」ケイゴはハッとする。ああ、何も考えられなかった。それに、コンドームを持ち歩いてなどもいなかった。確かにまずい。ああ、でも…ああ……

「だから、口でしてあげる」

と、マナ。言うが早いか、ケイゴの股間に覆い被さると、咥え始めた。んちゅっ、くちゅっ…と淫靡な音が響き始める。座席をリクライニングに倒したケイゴは気持ち良さに喘いだ。マナのテクニックはかなりのものだったため、何度もしごかれるうち、絶頂近くまで上がった。しかし…。何故か出すことはできなかった。「ごめん、出ないかも…ありがとう」と言い、ケイゴはシートに身体を横たえた。マナは「ん、また今度にしようか」などと言う。

また今度?いやいや、それはちょっと…。と思うも、ケイゴは否定できずに居た。「ところで」とマナが言う。「どうしよ?これ…絶対バレるよね?」と、自身やケイゴの、液で汚れた服を指す。悪戯っぽい表情すら浮かべていた。君はいいよな、帰っても誰も居ないんだから。でも俺は…。

結局、どうしようも無いので、妻が起きないことを願ってひっそり帰ることになった。そしてそれは意外に無難に済み、少なくともその場で追求されることも無かった。ケイゴは帰るなり、もし妻が起きて来たら、気分転換にその辺を走って汗だくになったことにしよう、と思いながら、すぐに洗濯機を回し、シャワーを浴びた。

再び平日。ケイゴはスッキリしなかった。それどころか、マナへの劣情は更に激しさを増す。妄想が実体となって叶ったのに、射精できなかった為か?身体はもっと、もっと、と貪婪な欲を増して行く。マナはどうなんだろう。彼女だって、俺のを入れずに終わったんだ、満足できてないはず。ケイゴは、再びまぐわいを得る思考に支配されて行く。

今日から早番、などと妻に嘘を言い、出勤時間をずらした。帰宅も、適当に暇を潰して遅らせた。マナと出逢ったら、白昼でもその場で身体に手が伸びそうだったから。幸い狙い通り、マナとは出逢わなかった。だがそれは3日しか続かなかった。4日目、やはり遅めに帰宅すると、マナが居た。「ちゃお」と話し掛けられ「…どうも」と目を逸らして挨拶し、家のドアを開けようとポケットに手を入れると、すかさずその腕に、餅のような白い両腕が絡みつく。硬直するケイゴに「後で、ウチに来て?待ってる」と囁くマナ。そのまま抱きつきたい衝動を必死に抑え、すぐに離れたマナに返事もせずに慌てて家に入る。

例によって散歩と言えばいい。ケイゴはいつものように告げて出ようとする。「うん、寝てるね」と妻は布団に入った。よし。…しかし。ケイゴが玄関のドアを開けると、起きてくる妻。ドキリとして振り返ると「…。本当に散歩?」と、問い詰める妻。「うん…何で?」

「目の泳ぎ方が、いつもと違う」

えっ。何それ…。

マナと出逢う前も、妻への欲情を処理しに行く後ろめたさで目は泳いでいた。しかしまさか、その違いの方を勘付かれるとは。

妻──ユリは言う。「前は、私の妄想で自慰してたんでしょ?…今は?」

やっぱり、バレてた。これ以上誤魔化すのは無理か。「…ごめん」というケイゴの呟きを掻き消すように「ケダモノ!何で…!どうして男の人ってそうなの!?」とユリが叫ぶ。ああ、こんなに拒絶されたんじゃ、今度こそ終わりかな。でも、泣き出したユリを見ると不意に怒りが込み上げて、ケイゴは思わず「ああそうだよ!…男なんて所詮ケダモノだよ!でも俺だってずっと我慢してたんだ…少しくらい分かってくれても…!」と口にする。

ユリは驚いて顔を上げ「なに…じゃあやっぱり私のこと身体だけだったの!?」

「ち 違う!…そんなわけ…!!…んで分かってくれないんだよ!!」ケイゴは叫び、膝をついて座り込む。

長い沈黙の後。

ユリは、意外にも「…ごめん、言い過ぎた」と、ケイゴをなだめた。ケイゴが日々積み重ねて来た愛が、彼女を冷静にさせたのだろうか。

「いや…謝るのは俺の方だ…ごめん…本っ当にごめん…」と、土下座するケイゴ。「今度こういうことがあったら絶対許さないから…」と言うユリにケイゴはひたすら謝罪を繰り返す。

また長い沈黙の後。

やがてユリも座り込み「…もういい。許せないけど…じゃあ、本当に悪いと思ってるなら…キスして?」ケイゴはユリが少しでも穏やかになってくれたことにホッとして、恐る恐るキスをした。

そのまま熱いキスに変わりゆく二人。そこから先をしようとするといつも「待って」や「ごめん」と言われることに以前は嫌気がさしていた。また言われるかな…いいよ、幾らでも待つから、と思いながらケイゴはそっと背中をまさぐる。いつの間にか、マナへの劣情も消えていた。

ユリは拒絶しなかった。背中にやった手を引いてお腹を触り、ブラウスの下から手を入れても、身を委ね続けるユリを見て、ケイゴは俄かに興奮を覚える。やっぱり俺は所詮、肉欲の奴隷だ。さっきあんなになじられたのに、もうこれだよ。でも…でも…ずっと待ってたんだ、この時を。どんなに待ったか。

「胸、触っていい?」と訊くとユリは、上目遣いで恥ずかしそうに小声で「…いいよ?」と答える。その様が最高にセクシーに思えて、でも、初めての相手に激しくしてはいけない、と、壊れ物に触れるように、そっと小さな胸を包む。そうか、俺たち、結婚している間柄なのに、セックスは初めてなんだな。

ユリは恥ずかしそうにじっと目を瞑る。「力抜いて?大丈夫だから」…何が大丈夫なのか?と思いながらも口にしてしまう。いや、心を傷付けた分、せめて優しくセックスしてあげたい。初めてだから痛いだろうけど、失望させちゃダメなんだ…沢山フォローしないと…。そう自分に言い聞かせながら、胸を優しく揉んだり、そっと舐め続ける。

「…ん…………っ……」

初めて聞くユリの喘ぎ声。抑え込んでいる、小さな小さな声。ケイゴの中を再び興奮が突き抜ける。

「もっと…聞きたいな…声…」

荒くなった息の中でケイゴは言いながら、ユリのスカートを捲り、ショーツの上から股間に触れると、温かく湿っていた。

そこから、ショーツを脱がしていいか?股間を舐めていいか?と、一つ一つ許可を取りながら行為を続けるうち、ユリの息も段々荒くなってゆく。

玄関先で、あの純潔な妻が、あられもない恰好で座り込み、俺に股間を吸われている───そんなシチュエーションもケイゴの興奮を更に昂らせた。が「…私、ベッドに行きたい」と、恥ずかしそうに、しかしケイゴの目をしっかり見てユリがリクエストして来たため、ケイゴはユリを立たせて寝室に入る。

「座って?」とケイゴはユリをベッドの端に正座崩しに座らせ、自身はベッドの下に膝を突いて股間を舐め続けた。

「んん…っ………あ………っ……!」

相変わらず小さな声でも、少しずつ喘ぎ声が昂ってゆく。

はぁ…はぁ…と、息も更に荒くなったユリを、仰向けに寝かせる。ブラウスのボタンを一つ一つ外し、ケイゴ自身も裸になり、覆い被さり、再びキスをすると、

「んっ……んっ…」と気持ち良さそうに喘ぐユリ。

ああ…早く入れたい…でもまだもう少し…迅る気持ちからケイゴが、股間をユリの腹部に押し当てると、不意にユリは起き上がり、

「…固い…こんなに…カチカチ…」

と、物珍しそうに眺めた。それからまた上目遣いで

「触っていい?」

と訊かれ、ケイゴは不覚にも更に激しく欲情し、思わず「は はい!お願いします!」などと下僕のような反応をしてしまう。

ユリはニッコリ笑うと、愛おしそうにケイゴのものにそっと触れ、優しく揉み始めた。

激しく喘ぐケイゴ。あの妻がとうとう触ってくれるなんて。だが激しく喘ぎ過ぎて無様な自分に少し恥ずかしくなり、慌てて「も もういいよ、ありがとう」と言うなり、ユリの肩に手を回す。鎖骨にキスをし「入れてもいい?」と訊く。

ユリの身体が硬直するのが分かった。大丈夫、少しずつ入れるから、と告げる。こくん、と無言で頷いたユリを見届けてから、再び彼女を仰向けにし、肩や胸にキスをしながら、慎ましく濡れた股間にそっと自分のものを押し当てる。

「…!…んく…っ」

感じているのか?痛いのか…?ユリの顔が僅かに歪む。先を少しだけ押し込み、ゆっくり動かす。

「ん は…っ…は…あ…っ…!」

ユリの息が再び荒くなり、顔がみるみる紅潮してゆく。さっきより明らかに昂りを増してゆく喘ぎ声。少しずつ、と思っていても、否が応にも吸い込まれて行くのをもはや抑えられないケイゴ。

気が付くと、優しく、と思っていた理性と裏腹に、奥まで激しく押し込んでしまい、しまった、と抜こうとした時、

「うう…っ……もっ…と…っ」

と、ユリが懇願した。空耳かな?と思って「え?何?」と聞き返すとユリは目を開け恥辱にまみれた表情で

「もっと…は…げしく……んっ…して…っ」

ケイゴはもう堪らず渾身の力を込めて奥を突くや否や「…あっ!!!」と鋭い叫びを上げるユリ。イッたのかな?と思いながらも、背中にゾクゾクとエロティシズムを感じながら、ケイゴ自身も絶頂に近付き、激しく腰を動かし続ける。

「…は…っ…っあ…っ!!あ…っ…ああ…っ!!!」

ユリの激しい喘ぎを耳にしながら、ケイゴも喘ぎを抑えられず、心地良い射精と共に果てた。

そしてその夜から毎晩、ケイゴの家にはユリの喘ぎ声が響き渡るようになった。心身共に満たされ、マナへの劣情に悩まされることも無くなったケイゴは、しかしだからこそマナを改めて警戒し、家の出入りの時間帯をずらし続けた。が、妻との初夜を果たした日以来、隣の家からは人の気配が消えてしまった。

その数ヶ月後にケイゴは、マナの旦那と思しき人が隣の家に入るところに居合わせる。本当すみません、貴方の奥さんと、してしまいました。と、目を合わさないまま、心の中で懺悔する。

だが、悪いことは特に何も起こらないまま平穏に日々は過ぎ、ある日、隣の表札そのものが撤去された。引っ越したのだろうか。

それから随分経った頃、風の噂で、マナはどうやらあの夜更け頃からどこかへ出掛け、また別の日、ケイゴの知らない間に荷物をまとめて家を出たのだと知る。旦那のところへ?或いは他の男友達のところへ?いずれも憶測の域を出ないようだった。俺のせいだっただろうか?と思うも、もはや知る由もない。ケイゴに分かるのは、最愛の妻がこれからもそばに居てくれるということだけだった。過ぎ去ったマナとのまぐわいを時々思い返しながらも、愛し愛される幸せを噛み締める。獣のような俺を優しく受け容れ、自身も獣に堕ちてくれたこの人を、護らなきゃ。そんなことを思いながら、今日も果てた身体を最愛の人と一つのベッドに横たえ、眠りに落ちてゆく。
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