追放配信 ~最強ちびっ子冒険者カイと美少女エルフのわくわくダンジョン動画撮影記♪時々ざまぁ~

ななくさ ゆう

文字の大きさ
上 下
40 / 43
第5章 ちびっ子B-Tuber大量出現!?レインボーブーストポーションの陰謀

第4話 再びのサニア

しおりを挟む
 ふくふく亭に現れたサニアに、ぼくは警戒心を向けた。
 イリエナちゃんやプリラおねーさん、それにマリアさんを庇って立つ。
 ただならぬ空気を感じたのだろう、イリエナちゃんがおっかなびっくりぼくに聞いてきた。

「あの、どなたですか?」
「アグレットの仲間の魔法使いだよ!」

 その言葉で、イリエナちゃんもビクンっと警戒する。
 なにしろ、イリエナちゃんはアグレットに人質に取られた経験があるからね。

 だか、警戒しまくるぼくら4人に、サニアは両手を広げてみせた。

「ちょっとそんなに警戒しないでよ、カイくん。一時はパーティを組んだ仲じゃない?」
「それで、ダンジョンの中で追放されたけどね!」
「ああ、それは悪かったわね。ごめんなさい」

 軽く謝って見せたサニアに、プリラおねーさんが言った。

「よく言うわね! あきれるわ」

 イリエナちゃんも続けた。

「そうですよ! アグレットさんの仲間なんでしょう? あなたもカイさんを裏切ったって聞いてますよ」

 すると、サニアは小首をかしげてから言った。

「あなた……ああ、エルフの歌い手のイリエナちゃんだったかしら?」
「はい」
「私はカイくんとお話ししているの。口を挟まないでくれるかしら?」
「いやです」
「あらら、どうしてかしら?」
「私はカイさんの仲間です。カイさんを裏切ったあなたたちのことは許せません」

 そういうイリエナちゃんに、サニアは困った表情になった。

「あれはしょうがなかったのよ」
「しょうがないって……」
「あの時のパーティリーダーはアグレット。ダンジョンではリーダーの決定は絶対だもの。私だって心は痛んだのよ。でも、リーダーの決定だったしねぇ」

 そうはいうけどさ。

「サニアだって魔法を撃ってきたじゃないか」
「あの程度の魔法、カイくんなら簡単に避けられるでしょう? アグレットとあなたがあれ以上一緒にいるべきじゃ無いと思ってね。ほんと、悪かったと思っているわ」

 一瞬納得しそうになったけど。
 プリラおねーさんが言った。

「だまされちゃだめよ、カイくん。本当に謝る気があるなら、もっと早くここに来ているはずでしょ」

 それはそうだ!
 もう、あれから何十日も経っている。
 いまさらのこのこやってきて、『悪かった』なんて言われたって、納得しちゃダメだ。

 ぼくはもう一度警戒し直しながら、サニアにたずねた。

「それで、何のようなんだよ?」

 次にサニアが言った言葉は無視できないものだった。

「レインボーブーストポーション」

 なっ!?
 さっき、動画で子ども冒険者達が使っていたヤツだ。
 なんでサニアが知っているんだ?
 サニアも動画を見たのか?
 いや、でも……

 混乱するぼくに、サニアが言った。

「その顔は、すでにあなたたちも知っているみたいね?」

 そう言いながら、サニアはかばんから小さな小瓶を取り出した。
 中に入っているのは虹色の液体。

 マリアさんが叫んだ。

「何故あなたがそれを持っているっすか!?」
「もちろん、購入したからよ。あのガキ冒険者たちの動画は見たいんでしょう? 動画の概要欄に通販サイトへのアドレスがあったはずよ。そこでね。

 にこにこと笑うサニア。
 たしかにあれはポーションの宣伝動画だったらしいけど。

 サニアはそこで小さくため息をついた。

「でも、残念だったわ。私には使えないみたい」

 プリラおねーさんがたずねた。

「どういうこと?」
「これね、子どもにしか効果がないらしいのよ。ほんと、無駄な買い物しちゃったわ」

 子どもにしか効果が無い?
 どういうことだろう?

「説明してあげる。私がここに来た理由も含めて、ね」

 サニアはそういって、ウィンクをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...