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第5章 ちびっ子B-Tuber大量出現!?レインボーブーストポーションの陰謀
第1話 B-Tuberカイ、マンネリ化する
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イリエナちゃんと正式にパーティを組んでから、30日ほどが経過した。
今日も、ぼくとイリエナちゃんはダンジョンで冒険中だ。
今いるのは第5階層。
目の前には第6階層に続くオーブがある。
ぼくはイリエナちゃんに言った。
「じゃあ、帰ろうか?」
今日の冒険は第5階層まで。
最初からその予定だ。
だが、イリエナちゃんが言った。
「あの、今日は第6階層まで行きませんか?」
ぼくはびっくりしちゃった。
「え、なんで? 第5階層までって言ったよね?」
「はい、そうなんですけど……」
「第6階層からは本当に危ないんだよ。モンスターも強力になるし、罠もあるし……もし転移の罠で離ればなれになっちゃったら、本当にマズいよ」
ダンジョンには罠がある。
第5階層まではせいぜい落とし穴くらいだけど、第6階層からは本格的な罠が登場するのだ。
その中でもぼくが恐れているのが転移の罠。
踏んだ瞬間、同じ階層の別の場所へワープしちゃうんだ。
パーティを離ればなれにする罠だ。
第6階層でイリエナちゃんがひとりぼっちになったら……さすがにマズいよ。
歌魔法がいくら強力でも、発動までには時間がかかる。
以前、ぼくがプレゼントした魔法の杖もあるとはいえ、第6階層のモンスター相手には心許ない。
だから、イリエナちゃんが1人で戦えるようになるまでは、第6階層には行かない。
危ないもん。
そのことは何度もお話ししたんだけどな。
「でも、カイさん1人でなら10階層まで行けるんですよね?」
「うーん、まあ……」
危険がないとは言わないけど、ソロでなら行ける。
というか、実際イリエナちゃんとコラボする前に10階層まで行って撮影したし。
だけどなぁ。
イリエナちゃんはぼくに言った。
「昨日、マリアさんが言っていたことを覚えていますか?」
「マンネリ化のお話?」
「はい」
イリエナちゃんは頷いた。
コラボ撮影以降、ぼくらの動画の再生数は順調に伸びていた。
だけど、10日くらい前から再生数が増えなくなった。
もっといえば、徐々にだけど最新動画の再生数が減っている。
マリアさんはその原因を『マンネリ化』だって言っていた。
実際、第5階層までの冒険を撮影して、UPするのを繰り返しているだけだ。
もちろん、ぼくの色々なスキルや、イリエナちゃんの色々な歌魔法を使ってみせたりはしている。でも、それだけだ。
最近は動画のコメントに『いつもと同じ』、『平和な動画』、『なんか飽きた』みたいな書き込みすらでてきた。
ぼくだって、視聴者さんの気持ちが分からないではない。
せっかく動画を見るなら、新しいドキドキが欲しいもん。
第6階層どころか、第10階層、第20階層ってどんどん先に進んでほしいって期待している視聴者さんもいるはずだ。
もちろん、今でも変わらず応援してくれている人たちもいるんだけどね。
イリエナちゃんはそのことを気にして、第6階層に行こうって言っているんだと思う。
だけど。
ぼくは断固として言った。
「ダメだよ!」
「でも……」
「ダメったらダメ」
「ですが、このままじゃ……」
うーん、イリエナちゃんがこんなに言うのは珍しいなぁ。
でも、こればかりはぼくも譲れない。
ここはあえて言おう。
「このパーティのリーダーはぼく。それは最初に決めたよね?」
イリエナちゃんとパーティを組むと決めた日に、そういうことにした。
いくらイリエナちゃんの方が年上でも、ダンジョンの冒険は僕の方がずっと先輩だ。
「だったら、リーダーの言うことには従ってもらうよ。それが冒険者のルールだ」
冒険者パーティではリーダーの決定には従わなくちゃいけない。
話し合いをするのはいいし、反対意見をいってもいい。
でも、最終決定権はリーダーにある。
リーダーに従えないというなら、最悪パーティ解散まで考えなくちゃいけない。
それが冒険者のルールって奴だ。
もちろん、ダンジョンで仲間を追放するなんていう、アグレットがしたような暴挙はまた別のお話だけどね。
イリエナちゃんは『シュン』と泣きそうな顔になった。
「ごめんなさい……」
「ううん。いいよ。ぼくも言い過ぎちゃった。ごめんね」
「いえ、私の方こそ、すみません」
うーん、なんだろう。
ちょっぴりマズいなぁ。
ここだってダンジョン第5階層。
いつモンスターが出てきてもおかしくない。
こういう微妙な空気のまま冒険を続けると事故が起こりかねない。
「分かってくれたらいいんだ。今日はもう帰ろう」
ぼくは言って、イリエナちゃんの手を握って【脱出】のスキルを使ったのだった。
今日も、ぼくとイリエナちゃんはダンジョンで冒険中だ。
今いるのは第5階層。
目の前には第6階層に続くオーブがある。
ぼくはイリエナちゃんに言った。
「じゃあ、帰ろうか?」
今日の冒険は第5階層まで。
最初からその予定だ。
だが、イリエナちゃんが言った。
「あの、今日は第6階層まで行きませんか?」
ぼくはびっくりしちゃった。
「え、なんで? 第5階層までって言ったよね?」
「はい、そうなんですけど……」
「第6階層からは本当に危ないんだよ。モンスターも強力になるし、罠もあるし……もし転移の罠で離ればなれになっちゃったら、本当にマズいよ」
ダンジョンには罠がある。
第5階層まではせいぜい落とし穴くらいだけど、第6階層からは本格的な罠が登場するのだ。
その中でもぼくが恐れているのが転移の罠。
踏んだ瞬間、同じ階層の別の場所へワープしちゃうんだ。
パーティを離ればなれにする罠だ。
第6階層でイリエナちゃんがひとりぼっちになったら……さすがにマズいよ。
歌魔法がいくら強力でも、発動までには時間がかかる。
以前、ぼくがプレゼントした魔法の杖もあるとはいえ、第6階層のモンスター相手には心許ない。
だから、イリエナちゃんが1人で戦えるようになるまでは、第6階層には行かない。
危ないもん。
そのことは何度もお話ししたんだけどな。
「でも、カイさん1人でなら10階層まで行けるんですよね?」
「うーん、まあ……」
危険がないとは言わないけど、ソロでなら行ける。
というか、実際イリエナちゃんとコラボする前に10階層まで行って撮影したし。
だけどなぁ。
イリエナちゃんはぼくに言った。
「昨日、マリアさんが言っていたことを覚えていますか?」
「マンネリ化のお話?」
「はい」
イリエナちゃんは頷いた。
コラボ撮影以降、ぼくらの動画の再生数は順調に伸びていた。
だけど、10日くらい前から再生数が増えなくなった。
もっといえば、徐々にだけど最新動画の再生数が減っている。
マリアさんはその原因を『マンネリ化』だって言っていた。
実際、第5階層までの冒険を撮影して、UPするのを繰り返しているだけだ。
もちろん、ぼくの色々なスキルや、イリエナちゃんの色々な歌魔法を使ってみせたりはしている。でも、それだけだ。
最近は動画のコメントに『いつもと同じ』、『平和な動画』、『なんか飽きた』みたいな書き込みすらでてきた。
ぼくだって、視聴者さんの気持ちが分からないではない。
せっかく動画を見るなら、新しいドキドキが欲しいもん。
第6階層どころか、第10階層、第20階層ってどんどん先に進んでほしいって期待している視聴者さんもいるはずだ。
もちろん、今でも変わらず応援してくれている人たちもいるんだけどね。
イリエナちゃんはそのことを気にして、第6階層に行こうって言っているんだと思う。
だけど。
ぼくは断固として言った。
「ダメだよ!」
「でも……」
「ダメったらダメ」
「ですが、このままじゃ……」
うーん、イリエナちゃんがこんなに言うのは珍しいなぁ。
でも、こればかりはぼくも譲れない。
ここはあえて言おう。
「このパーティのリーダーはぼく。それは最初に決めたよね?」
イリエナちゃんとパーティを組むと決めた日に、そういうことにした。
いくらイリエナちゃんの方が年上でも、ダンジョンの冒険は僕の方がずっと先輩だ。
「だったら、リーダーの言うことには従ってもらうよ。それが冒険者のルールだ」
冒険者パーティではリーダーの決定には従わなくちゃいけない。
話し合いをするのはいいし、反対意見をいってもいい。
でも、最終決定権はリーダーにある。
リーダーに従えないというなら、最悪パーティ解散まで考えなくちゃいけない。
それが冒険者のルールって奴だ。
もちろん、ダンジョンで仲間を追放するなんていう、アグレットがしたような暴挙はまた別のお話だけどね。
イリエナちゃんは『シュン』と泣きそうな顔になった。
「ごめんなさい……」
「ううん。いいよ。ぼくも言い過ぎちゃった。ごめんね」
「いえ、私の方こそ、すみません」
うーん、なんだろう。
ちょっぴりマズいなぁ。
ここだってダンジョン第5階層。
いつモンスターが出てきてもおかしくない。
こういう微妙な空気のまま冒険を続けると事故が起こりかねない。
「分かってくれたらいいんだ。今日はもう帰ろう」
ぼくは言って、イリエナちゃんの手を握って【脱出】のスキルを使ったのだった。
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