追放配信 ~最強ちびっ子冒険者カイと美少女エルフのわくわくダンジョン動画撮影記♪時々ざまぁ~

ななくさ ゆう

文字の大きさ
上 下
14 / 43
第2章 カイの大躍進とアグレットの没落

第6話 ギルド支部長のおじいちゃんに美味しいお菓子をもらったよ

しおりを挟む
 おじいちゃんのお部屋……支部長室にまねかれ、ぼくは椅子に座るように促された。

「さて、それじゃあ改めて自己紹介をしておこうかのぅ。ワシはグランクス。アンバを中心としてこの地方の冒険者ギルドの支部長じゃ」

 うーん、さっきから気になっているんだけど、支部長ってなんだろう?

「えーっと、支部長って、えらい人……なんだよね?」

 おじいちゃんは「カーッカカカ」と楽しそうに笑った。

「そうじゃそうじゃ。ワシはえらい人なんじゃよ」

 それを聞いて、ぼくはビクッと背筋を伸ばした。
 どうしよう。えらい人と話すのってどうしたらいいのか分からないよ。
 ぼくが緊張しているのをみて、おじいちゃんは今度は「ククク」と笑った。

「冗談じゃ。ワシなどしょせんギルド長の部下に過ぎんよ。そう緊張せずともよい」

 おじいちゃんのニッコリ顔に、僕も少しだけ緊張をとくことができた。

「いい子じゃな。そうじゃ、これをやろう」

 おじいちゃんはそう言って、戸棚から小瓶をとりだして、中に入っていたピンク色の粒を1つ僕に渡してくれた。

「???」

 なんだろう、これ?
 トゲトゲがいっぱいついたキレイな玉っころだ。
 ガラスみたいだけどちょっと違う?

「それはコンペイトウというお菓子じゃよ」
「え、お菓子? やったー。食べてもいいの?」
「かまわん、かまわん。噛むよりなめた方が美味いぞ」
「うん! ありがとう!」

 お菓子……コンペイトウをお口に放り込むと、とっても甘い味がした。
 すごい!
 なめているとお口の中がとっても幸せになる。

「遠い国のお菓子なのだが、美味しいか?」
「うん! とっても美味しい!」
「カーッカカカ。それは良かった」

 コンペイトウは僕のお口の中でだんだん小さくなって、最後は崩れて消えた。
 もう一つ欲しいなぁと思ったけど、そんなわがままは言えないよね。
 遠い国のお菓子ってことは、きっと貴重なんだろうし。

「ありがとう、おじいちゃん! じゃなかった、支部長様」
「おじいちゃんでいいぞ。カイくんは特別じゃ」
「うん」
「さてと、それじゃあ少しお話を聞かせてもらえるかの?」

 そのあと、ぼくはおじいちゃんと色々なお話をした。
 ぼくの両親のこと。
 アグレットやプリラおねーさんとのこと。
 それに、B-Tuberになったこととか。

 おじいちゃんは僕の両親の名前を聞いたとき「なるほどのう、あの2人の……」とうなっていた。
 ぼくの両親のことを知っているのかなと思ったけど、それ以上は教えてくれなかった。
 ぼくがお話を終えると、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。

「カイくんはえらいのぅ。その年で独り立ちするとは立派じゃ」
「でも、ぼくなんてまだまだだよ。プリラおねーさんやマリアさんの力を借なきゃなにもできないもん」
「謙虚じゃのう。しかし、あの2人の子どもだけあって、カイくんはとても強い力を持っておる」
「ぼくなんてそんなに強くないよ? もっともっと強くならないと!」

 うんうんとうなずくおじいちゃん。

「向上心が高いのは大いに結構じゃ」

 おじいちゃんは「じゃが……」と続けた

「このジジイと1つだけお約束してほしいんじゃ」
「お約束?」
「悪人やモンスター以外にはむやみに力を使わないということじゃ。子ども同士のケンカで相手の足の骨を折ったらまずいじゃろう?」

 そうだよね。
 さっきもアグレットの足を折っちゃったもんなぁ。

「もちろんだよ! 約束する」

 ぼくは大きくうなずいた。

「だけど、アグレットをやっつけたことは後悔していないよ。ダンジョンでモンスターと戦うのが悪いことだともおもわないし」
「もちろん、ダンジョンのモンスターを倒すのは良い。誰かを護るために力を尽くすことも必要じゃ。アグレットからプリラを救ったおぬしの行動も立派じゃったと思うよ」

 そういって、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。
 だけど、そこからは真剣なしかめっ面になって言った。

「力は使うべき時には使うべきじゃし、使うべきでない時には使うべきではない。わかるかの?」
「うん、わかった!」

 おじいちゃんは再びにこにこ顔に戻った。

「ふむふむ、やはりカイくんはいい子じゃのう」
「えへへ」
「アグレットに関してはすまなかったのぅ。あの男を野放しにしてしまったのは支部長としてワシにも責任がある」

 おじいちゃんは本当に後悔しているみたいだ。

「アグレット大丈夫かな?」

 やっつけたことは後悔していないけど、足を骨折させちゃったみたいだしせめて回復魔法をかけておいた方が良かったかなって気もする。

「カイくんは優しいのう。じゃが、アグレットはこれまでに何度も問題を起こしておる。プリラに手を出そうとしたというのも、カイくんをダンジョンの中で追放したというのも本当じゃろう。そう考えればあの罰では足りないくらいじゃ」
「でも……」

 おじいちゃんはぴしゃりと言った。

「カイくん、優しさと甘さは微妙に違う。ダンジョンで追放したわけでもなし、カイくんが気にする必要はない」

 そうだよね。アイツのやったことはそのくらい悪いことだ。

「そうじゃ、アグレットをやっつけたご褒美に、もう1つコンペイトウをあげよう」

 おじいちゃんは再び小瓶を手に取った。
 ぼくはちょっと迷ってからたずねた。

「それ、持って帰ってもいい? できれば2粒」

 ちょっとわがままかなぁと思いつつ、ぼくはおじいちゃんにそうお願いした。

「うん? 後で食べるつもりか?」
「そうじゃなくて、プリラおねーさんとマリアさんにもあげたいの。とってもお世話になってるけど、まだちゃんとお礼ができてないから」

 おじいちゃんはちょっとびっくりした顔をして、それからニッコリうなずいてくれた。

「そうかそうか。じゃあ2つあげよう」
「わーい、ありがとう!」

 おじいちゃんはコンペイトウを2粒、紙に包んでぼくに渡してくれた。

「カイくんがんばれよ。きみの未来に明るく幸福な日々が訪れるように祈っておるよ」
「うん、ばいばい、おじいちゃん」

 ぼくは支部長室をかけだした。



 それから20日間がすぎて、ぼくも実況しながら冒険するのに大分慣れてきた。
 その日、ぼくはダンジョンの第9階層で、第10階層へのオーブを見つけた。
 マホメラに向かって実況した。

「今日は第10階層まで冒険するよ!」

 そして第10階層にワープした時、ぼくは50匹以上の獣人型モンスター――グリーンオークに囲まれて石の槍を向けられていたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...