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第2章 カイの大躍進とアグレットの没落
第6話 ギルド支部長のおじいちゃんに美味しいお菓子をもらったよ
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おじいちゃんのお部屋……支部長室にまねかれ、ぼくは椅子に座るように促された。
「さて、それじゃあ改めて自己紹介をしておこうかのぅ。ワシはグランクス。アンバを中心としてこの地方の冒険者ギルドの支部長じゃ」
うーん、さっきから気になっているんだけど、支部長ってなんだろう?
「えーっと、支部長って、えらい人……なんだよね?」
おじいちゃんは「カーッカカカ」と楽しそうに笑った。
「そうじゃそうじゃ。ワシはえらい人なんじゃよ」
それを聞いて、ぼくはビクッと背筋を伸ばした。
どうしよう。えらい人と話すのってどうしたらいいのか分からないよ。
ぼくが緊張しているのをみて、おじいちゃんは今度は「ククク」と笑った。
「冗談じゃ。ワシなどしょせんギルド長の部下に過ぎんよ。そう緊張せずともよい」
おじいちゃんのニッコリ顔に、僕も少しだけ緊張をとくことができた。
「いい子じゃな。そうじゃ、これをやろう」
おじいちゃんはそう言って、戸棚から小瓶をとりだして、中に入っていたピンク色の粒を1つ僕に渡してくれた。
「???」
なんだろう、これ?
トゲトゲがいっぱいついたキレイな玉っころだ。
ガラスみたいだけどちょっと違う?
「それはコンペイトウというお菓子じゃよ」
「え、お菓子? やったー。食べてもいいの?」
「かまわん、かまわん。噛むよりなめた方が美味いぞ」
「うん! ありがとう!」
お菓子……コンペイトウをお口に放り込むと、とっても甘い味がした。
すごい!
なめているとお口の中がとっても幸せになる。
「遠い国のお菓子なのだが、美味しいか?」
「うん! とっても美味しい!」
「カーッカカカ。それは良かった」
コンペイトウは僕のお口の中でだんだん小さくなって、最後は崩れて消えた。
もう一つ欲しいなぁと思ったけど、そんなわがままは言えないよね。
遠い国のお菓子ってことは、きっと貴重なんだろうし。
「ありがとう、おじいちゃん! じゃなかった、支部長様」
「おじいちゃんでいいぞ。カイくんは特別じゃ」
「うん」
「さてと、それじゃあ少しお話を聞かせてもらえるかの?」
そのあと、ぼくはおじいちゃんと色々なお話をした。
ぼくの両親のこと。
アグレットやプリラおねーさんとのこと。
それに、B-Tuberになったこととか。
おじいちゃんは僕の両親の名前を聞いたとき「なるほどのう、あの2人の……」とうなっていた。
ぼくの両親のことを知っているのかなと思ったけど、それ以上は教えてくれなかった。
ぼくがお話を終えると、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。
「カイくんはえらいのぅ。その年で独り立ちするとは立派じゃ」
「でも、ぼくなんてまだまだだよ。プリラおねーさんやマリアさんの力を借なきゃなにもできないもん」
「謙虚じゃのう。しかし、あの2人の子どもだけあって、カイくんはとても強い力を持っておる」
「ぼくなんてそんなに強くないよ? もっともっと強くならないと!」
うんうんとうなずくおじいちゃん。
「向上心が高いのは大いに結構じゃ」
おじいちゃんは「じゃが……」と続けた
「このジジイと1つだけお約束してほしいんじゃ」
「お約束?」
「悪人やモンスター以外にはむやみに力を使わないということじゃ。子ども同士のケンカで相手の足の骨を折ったらまずいじゃろう?」
そうだよね。
さっきもアグレットの足を折っちゃったもんなぁ。
「もちろんだよ! 約束する」
ぼくは大きくうなずいた。
「だけど、アグレットをやっつけたことは後悔していないよ。ダンジョンでモンスターと戦うのが悪いことだともおもわないし」
「もちろん、ダンジョンのモンスターを倒すのは良い。誰かを護るために力を尽くすことも必要じゃ。アグレットからプリラを救ったおぬしの行動も立派じゃったと思うよ」
そういって、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。
だけど、そこからは真剣なしかめっ面になって言った。
「力は使うべき時には使うべきじゃし、使うべきでない時には使うべきではない。わかるかの?」
「うん、わかった!」
おじいちゃんは再びにこにこ顔に戻った。
「ふむふむ、やはりカイくんはいい子じゃのう」
「えへへ」
「アグレットに関してはすまなかったのぅ。あの男を野放しにしてしまったのは支部長としてワシにも責任がある」
おじいちゃんは本当に後悔しているみたいだ。
「アグレット大丈夫かな?」
やっつけたことは後悔していないけど、足を骨折させちゃったみたいだしせめて回復魔法をかけておいた方が良かったかなって気もする。
「カイくんは優しいのう。じゃが、アグレットはこれまでに何度も問題を起こしておる。プリラに手を出そうとしたというのも、カイくんをダンジョンの中で追放したというのも本当じゃろう。そう考えればあの罰では足りないくらいじゃ」
「でも……」
おじいちゃんはぴしゃりと言った。
「カイくん、優しさと甘さは微妙に違う。ダンジョンで追放したわけでもなし、カイくんが気にする必要はない」
そうだよね。アイツのやったことはそのくらい悪いことだ。
「そうじゃ、アグレットをやっつけたご褒美に、もう1つコンペイトウをあげよう」
おじいちゃんは再び小瓶を手に取った。
ぼくはちょっと迷ってからたずねた。
「それ、持って帰ってもいい? できれば2粒」
ちょっとわがままかなぁと思いつつ、ぼくはおじいちゃんにそうお願いした。
「うん? 後で食べるつもりか?」
「そうじゃなくて、プリラおねーさんとマリアさんにもあげたいの。とってもお世話になってるけど、まだちゃんとお礼ができてないから」
おじいちゃんはちょっとびっくりした顔をして、それからニッコリうなずいてくれた。
「そうかそうか。じゃあ2つあげよう」
「わーい、ありがとう!」
おじいちゃんはコンペイトウを2粒、紙に包んでぼくに渡してくれた。
「カイくんがんばれよ。きみの未来に明るく幸福な日々が訪れるように祈っておるよ」
「うん、ばいばい、おじいちゃん」
ぼくは支部長室をかけだした。
それから20日間がすぎて、ぼくも実況しながら冒険するのに大分慣れてきた。
その日、ぼくはダンジョンの第9階層で、第10階層へのオーブを見つけた。
マホメラに向かって実況した。
「今日は第10階層まで冒険するよ!」
そして第10階層にワープした時、ぼくは50匹以上の獣人型モンスター――グリーンオークに囲まれて石の槍を向けられていたのだった。
「さて、それじゃあ改めて自己紹介をしておこうかのぅ。ワシはグランクス。アンバを中心としてこの地方の冒険者ギルドの支部長じゃ」
うーん、さっきから気になっているんだけど、支部長ってなんだろう?
「えーっと、支部長って、えらい人……なんだよね?」
おじいちゃんは「カーッカカカ」と楽しそうに笑った。
「そうじゃそうじゃ。ワシはえらい人なんじゃよ」
それを聞いて、ぼくはビクッと背筋を伸ばした。
どうしよう。えらい人と話すのってどうしたらいいのか分からないよ。
ぼくが緊張しているのをみて、おじいちゃんは今度は「ククク」と笑った。
「冗談じゃ。ワシなどしょせんギルド長の部下に過ぎんよ。そう緊張せずともよい」
おじいちゃんのニッコリ顔に、僕も少しだけ緊張をとくことができた。
「いい子じゃな。そうじゃ、これをやろう」
おじいちゃんはそう言って、戸棚から小瓶をとりだして、中に入っていたピンク色の粒を1つ僕に渡してくれた。
「???」
なんだろう、これ?
トゲトゲがいっぱいついたキレイな玉っころだ。
ガラスみたいだけどちょっと違う?
「それはコンペイトウというお菓子じゃよ」
「え、お菓子? やったー。食べてもいいの?」
「かまわん、かまわん。噛むよりなめた方が美味いぞ」
「うん! ありがとう!」
お菓子……コンペイトウをお口に放り込むと、とっても甘い味がした。
すごい!
なめているとお口の中がとっても幸せになる。
「遠い国のお菓子なのだが、美味しいか?」
「うん! とっても美味しい!」
「カーッカカカ。それは良かった」
コンペイトウは僕のお口の中でだんだん小さくなって、最後は崩れて消えた。
もう一つ欲しいなぁと思ったけど、そんなわがままは言えないよね。
遠い国のお菓子ってことは、きっと貴重なんだろうし。
「ありがとう、おじいちゃん! じゃなかった、支部長様」
「おじいちゃんでいいぞ。カイくんは特別じゃ」
「うん」
「さてと、それじゃあ少しお話を聞かせてもらえるかの?」
そのあと、ぼくはおじいちゃんと色々なお話をした。
ぼくの両親のこと。
アグレットやプリラおねーさんとのこと。
それに、B-Tuberになったこととか。
おじいちゃんは僕の両親の名前を聞いたとき「なるほどのう、あの2人の……」とうなっていた。
ぼくの両親のことを知っているのかなと思ったけど、それ以上は教えてくれなかった。
ぼくがお話を終えると、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。
「カイくんはえらいのぅ。その年で独り立ちするとは立派じゃ」
「でも、ぼくなんてまだまだだよ。プリラおねーさんやマリアさんの力を借なきゃなにもできないもん」
「謙虚じゃのう。しかし、あの2人の子どもだけあって、カイくんはとても強い力を持っておる」
「ぼくなんてそんなに強くないよ? もっともっと強くならないと!」
うんうんとうなずくおじいちゃん。
「向上心が高いのは大いに結構じゃ」
おじいちゃんは「じゃが……」と続けた
「このジジイと1つだけお約束してほしいんじゃ」
「お約束?」
「悪人やモンスター以外にはむやみに力を使わないということじゃ。子ども同士のケンカで相手の足の骨を折ったらまずいじゃろう?」
そうだよね。
さっきもアグレットの足を折っちゃったもんなぁ。
「もちろんだよ! 約束する」
ぼくは大きくうなずいた。
「だけど、アグレットをやっつけたことは後悔していないよ。ダンジョンでモンスターと戦うのが悪いことだともおもわないし」
「もちろん、ダンジョンのモンスターを倒すのは良い。誰かを護るために力を尽くすことも必要じゃ。アグレットからプリラを救ったおぬしの行動も立派じゃったと思うよ」
そういって、おじいちゃんはぼくの頭をなでなでしてくれた。
だけど、そこからは真剣なしかめっ面になって言った。
「力は使うべき時には使うべきじゃし、使うべきでない時には使うべきではない。わかるかの?」
「うん、わかった!」
おじいちゃんは再びにこにこ顔に戻った。
「ふむふむ、やはりカイくんはいい子じゃのう」
「えへへ」
「アグレットに関してはすまなかったのぅ。あの男を野放しにしてしまったのは支部長としてワシにも責任がある」
おじいちゃんは本当に後悔しているみたいだ。
「アグレット大丈夫かな?」
やっつけたことは後悔していないけど、足を骨折させちゃったみたいだしせめて回復魔法をかけておいた方が良かったかなって気もする。
「カイくんは優しいのう。じゃが、アグレットはこれまでに何度も問題を起こしておる。プリラに手を出そうとしたというのも、カイくんをダンジョンの中で追放したというのも本当じゃろう。そう考えればあの罰では足りないくらいじゃ」
「でも……」
おじいちゃんはぴしゃりと言った。
「カイくん、優しさと甘さは微妙に違う。ダンジョンで追放したわけでもなし、カイくんが気にする必要はない」
そうだよね。アイツのやったことはそのくらい悪いことだ。
「そうじゃ、アグレットをやっつけたご褒美に、もう1つコンペイトウをあげよう」
おじいちゃんは再び小瓶を手に取った。
ぼくはちょっと迷ってからたずねた。
「それ、持って帰ってもいい? できれば2粒」
ちょっとわがままかなぁと思いつつ、ぼくはおじいちゃんにそうお願いした。
「うん? 後で食べるつもりか?」
「そうじゃなくて、プリラおねーさんとマリアさんにもあげたいの。とってもお世話になってるけど、まだちゃんとお礼ができてないから」
おじいちゃんはちょっとびっくりした顔をして、それからニッコリうなずいてくれた。
「そうかそうか。じゃあ2つあげよう」
「わーい、ありがとう!」
おじいちゃんはコンペイトウを2粒、紙に包んでぼくに渡してくれた。
「カイくんがんばれよ。きみの未来に明るく幸福な日々が訪れるように祈っておるよ」
「うん、ばいばい、おじいちゃん」
ぼくは支部長室をかけだした。
それから20日間がすぎて、ぼくも実況しながら冒険するのに大分慣れてきた。
その日、ぼくはダンジョンの第9階層で、第10階層へのオーブを見つけた。
マホメラに向かって実況した。
「今日は第10階層まで冒険するよ!」
そして第10階層にワープした時、ぼくは50匹以上の獣人型モンスター――グリーンオークに囲まれて石の槍を向けられていたのだった。
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