追放配信 ~最強ちびっ子冒険者カイと美少女エルフのわくわくダンジョン動画撮影記♪時々ざまぁ~

ななくさ ゆう

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第2章 カイの大躍進とアグレットの没落

第5話 冒険者たちに認められて

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  アグレットがギルドから追い出されたあと、ラッカさんがぼくに言った。

「さすがだなカイ」
「うん。ラッカさんありがとう」
「いやいや。アグレットのヤツには俺も常々ムカついていたからな」
「そうなんだ」
「動画を見て、お前なら手助けなんていらないと思ったが、やっぱりすごいな」

 ラッカさんもぼくの動画を見てくれたんだ!
 ぼくはラッカさんにたずねた。

「動画はどうだった?」
「すごかったぜ。マジでビックリしたよ」
「ホント?」
「おう。レッドスライムを一撃で倒したところなんて目を疑ったぜ。おめースゲーな」
「えへへ。あの時はレッドスライムを譲ってくれてありがとう」
「いや、俺たちは逃げ出しただけで、お前に譲ったつもりじゃなかったんだけどな」

 逃げ出す? レッドスライム相手に?
 ぼくはちょっとキョトンとしてしまった。

 うーん、そんなに強い相手じゃなかったけど……
……早めに次の階層に行きたいから、ザコモンスターを相手をするのが面倒だったのかな?

「なんだよ、そのキョトン顔?」
「えーっと、ううん。なんでもないよ」

 ぼくはそう言ってごまかした。
 なんとなく、余計なことは言わない方が良い気がしたから。

 そうこうしていると、他の冒険者達もざわざわとぼくの噂話を始めた。

「やっぱりあの動画のちびっ子か」
「なんだ、動画って? B-Tube?」
「そうそう、この子めちゃくちゃスゲーんだぜ。さっきの蹴りなんて本気じゃないだろ」
「ほら、この動画だよ」
「私、あこあれちゃう!」

 うわぁ、うれしいな。
 みんなぼくの動画を見てくれてるんだ。
 なんか照れちゃうよ。
 ちょっとした勇者みたいな扱いだ

……なんてちょっと調子に乗りすぎ?
 うれしくて、もうアグレットのことはどうでもいいやって気分だ。

 ひげもじゃのオジサン冒険者ぼくに言った。

「おうおう、天才ちびっ子、こっちにこいよ。一緒に飲もうぜ」
「え、えーっと……」

 そんなことを言われて、ぼくもちょっと戸惑ってしまう。
 するとプリラおねーさんがぼくをかばってくれた。

「ちょっと、子どもにお酒をすすめないでよ」

 実はお酒はちょっぴり興味あるけどね。
 すると、オジサン冒険者は「がーっはっは」と笑った。

「こりゃすまんかったな。だったらカイ、こっちの肉が美味いぞ」

 たしかに美味しそうだけど……

「さっきふくふく亭でご飯を食べたばかりだから」
「そうか残念だ」

 せっかくすすめてくれたのに申し訳ないかな。

「ごめんなさい」
「いやいや、気にするな。それより、カイ。俺たちのパーティにはいらないか?」
「え、ホントに?」

 ちょっぴり驚いてしまった。
 だって、あれだけ探してもぼくをパーティに入れてくれる人は、アグレットたちしかいなかったんだもん。
 おもわず頷きそうになったけど……すぐに思い直した。

「うーん、ごめんなさい。しばらくはソロでB-Tuberとして頑張るつもりだから」

 お父さんも言っていた。
 男なら一度決めたことはやり抜けって。
 ここでベテラン冒険者のパーティに入れてもらったら、ちょっと情けないもん。
 オジサン冒険者は笑った。

「そりゃそうだ。強さを考えたら足手まといだよな」

 言われてぼくはちょっとがっくり。
 やっぱりそうだよなぁ。
 ぼくの実力じゃは他のパーティに入ったら足手まといだよね。

 そんなかんじで、しばらくの間冒険者のみんなにもみくちゃにされてたんだけど。
 支部長のおじいちゃんが「コホン」と咳払いした。

「さて、そろそろワシの話を聞いてもらってもいいかのう?」

 あ、いけない。
 せっかく助けてくれた支部長のおじいちゃんを無視しちゃってた。

「カイくん。ちょっとだけわしの部屋に来てもらえんかの?」
「えーっと、どうして?」
「なに、ちょっとこのジジイとお話しようというだけじゃよ」

 プリラおねーさんも小さくうなずいて言った。

「私は別の用事を済ましておくわ。ここで待ち合わせましょう」
「うん、わかった」

 プリラおねーさんの用事はふくふく亭で燃料に使う魔石の購入らしい。
 ぼくが持ち帰った魔石はそのままじゃ燃料にならない。
 冒険者ギルドで加工された魔石が必要なのだ。

 こうして、ぼくは支部長おじいちゃんのお部屋に行くことになった。
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