19 / 20
第三階層 ボスの間
第3話 最後の戦い!
しおりを挟む
ボスを閉じ込めた氷が割れようとしていた。
「もう一度凍らせるわ」
蒼ちゃんがそう言って氷河の杖を構えた。
だが、今度は氷河の杖の宝石がピキーンと音を立てて割れてしまう。
優汰が顔を引きつらせた。
「す、すごいね、蒼ちゃん。火の杖どころか氷河の杖ですら、蒼ちゃんの魔力にたえられなかったみたい」
「今はうれしくないわよ!」
このままでは、ボスが……飛翔兄ちゃんが氷から出てきてしまう。
まだ、解決策が見つかってないのに。教官は立ち上がることもできない状態なのに!
蒼ちゃんが自分の布袋に手を突っ込んだ。
取り出したのは万能の霊薬。あらゆる病気と怪我を治す神秘の秘薬。
「教官、これを」
蒼ちゃんは教官に万能の霊薬を使うつもりなのか?
「いいのか、海野蒼?」
「はい。いつか弟を救うためにも、私はここで死ねない。死ぬわけにはいかないのよ。疾翔くんだけじゃ飛翔さんには勝てない。なら、これしか方法はないわ」
悲壮さと無念さをにじませながらも、蒼ちゃんは自分自身に言い聞かせるように語った。
弟を救える神秘の薬を手に入れて、だけどそれをここで使ってしまおうというのか。
だが、優汰が「待って」とそれを止めた。
「優汰くん、ありがとう。でも今は私の弟のことよりも……」
「違うんだ。万能の霊薬があればもしかしたら飛翔お兄さんを救えるかもしれない」
そう言った優汰に、オレはたずねた。
「どういうことだ、優汰?」
「あんまり知られていないけど、霊薬系のアイテムには怪我や病気を治す以外にも、もう一つ効果があるんだよ」
その優汰の言葉に、挑英が言った。
「そうか、なぜ気づかなかったんだ。俺も混乱していたのか」
なんだ? 二人は何を言っている? 飛翔兄ちゃんを救えるってどういうことだ?
オレが理解していないと気がついたらしく、優汰が言った。
「霊薬にはモンスターの呪いを弱める効果もあるんだ。呪いを使ってくるモンスターは少ないし、怪我ほど劇的に効くわけじゃないから、プロのダンジョンアドベンチュラ-でも知らない人が多いけどね。だけど、万能の霊薬なら……」
「飛翔兄ちゃんの呪いも解けるってことか?」
オレが勢い込んで言うと、優汰がうなずいた。
「確証はないよ。人間がモンスターになる呪いなんて聞いたこともないから。でも、今のボクらの手持ちで、飛翔お兄さんを救える可能性があるとしたら、これしかないと思う」
優汰の言葉を聞いて、蒼ちゃんは少し悩んだ後言った。
「わかったわ。万能の霊薬を疾翔くんのお兄さんに使いましょう。教官、ごめんなさい」
「私はかまわん。そう簡単にくたばるつもりもない。飛翔を救えるなら……かつて、私が見捨ててしまったアイツを助けられるというならば、助けてやりたい。それが私の責任だ」
教官は立ち上がろうとしたがやはり無理だった。うめき声を上げて、膝をついてしまう。
蒼ちゃんがあわてて教官の体を支えた。
「むちゃですよ」
「だが、万能の霊薬は飲ませなければ効果がない。私が戦わなければ……」
だが、挑英が冷静な声で言った。
「今の教官に戦う力なんてないでしょう」
お前、教官に対してまでそういう言い方するのかよ。
一角教官はニヤリと笑った。
「たしかにその通りだな。貴様の冷淡なまでの冷静さ、私は嫌いではない。私にその冷淡さがあれば、あのとき飛翔を救えたのかもしれない。だが、ならばどうやって飛翔に万能の霊薬を飲ませる?」
蒼ちゃんは少し考えてから、万能の霊薬をオレに差し出した。
「疾翔くん、あなたにたくすわ。お兄さんだけじゃなく、私たち全員の命をあなたにあずける」
蒼ちゃんだけじゃない。優汰も挑英も教官もその言葉に賛同してうなずいてくれた。
ここで逃げるわけにはいかない。
「わかった、オレにまかせろ。オレは志音疾翔。最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男だ! 飛翔兄ちゃんもみんなも、オレが必ず助けてみせる!」
オレはそう言って、蒼ちゃんから万能の霊薬を受け取った。
小さな小さな瓶に入った薬。
だけど、このアイテムをたくされた意味は重い。
もちろん、物理的な重さって意味じゃない。
ここまで一緒に戦ってきた仲間たちの命。
飛翔兄ちゃんの命。
蒼ちゃんの弟の命。
オレ自身の命。
みんなの命の重さだ。
「蒼ちゃん、ごめん。オレの兄ちゃんのために……」
「いいのよ。弟を助けるチャンスは今後もあるかもしれないけど、疾翔くんのお兄さんを助けられるのは今だけよ。黒疑竜のときに、私たちは疾翔くんに救われたんだから」
「ありがとう、蒼ちゃん」
優汰が言った。
「疾翔、念のため言っておくけど万能の霊薬でも飛翔お兄さんを救える保証はないよ」
「ああ、わかってる。もし、それでもダメなら……」
オレは自分の決意を告げた。
「……オレが飛翔兄ちゃんを倒す」
みんなを助けるために。なにより飛翔兄ちゃんを助けるために。
さっき、飛翔兄ちゃんは苦しそうだった。悲しそうだった。
自分の意思と無関係に人を殺してしまって、つらくないはずがない。
飛翔兄ちゃんの苦しみは、ここでオレが終わらせる。
オレは絶対に逃げるわけにはいかない!
そのとき、飛翔兄ちゃんを封じ込めていた氷が完全に割れた。
飛翔兄ちゃんは電撃刀を構えてオレたちの方へ歩み寄ってくる。
優汰が暴風の杖を飛翔兄ちゃんに向けて叫んだ。
「これで!」
だが、暴風の杖からはそよ風一つ起きない。
優汰が焦った声を上げた。
「もしかして、魔法封じの玉!?」
飛翔兄ちゃんの左手には黒い水晶玉のようなアイテムが握られていた。
「なんだよ、それ?」
「魔法の杖系のアイテムを封じるアイテムだよ。本来、ダンジョン攻略にはほとんど役に立たないアイテムなんだけど……」
普通のモンスターは魔法の杖なんて使わないからな。
優汰は申し訳なさそうに言った。
「ごめん、疾翔。これじゃあ、ボクも戦力外だ」
「いいさ。飛翔兄ちゃんを救うのはオレの役目だ」
万能の霊薬を、オレはズボンのポケットの奥にしまった。
そして、自分の電撃刀をのばした。
薬を飲ませるためには、飛翔兄ちゃんを止めないとダメだ。
教官はもう戦えない。優汰と蒼ちゃんは魔法の杖なしで戦うのは無理だろう。挑英は魔力0だ。
オレが戦うんだ。
飛翔兄ちゃんと戦って、そして救うんだ。
「挑英、教官や優汰たちをたのむ」
「ああ、まかせろ。何があっても三人は俺がまもる」
コイツがそう言うなら、きっと大丈夫だろう。
オレは飛翔兄ちゃんに向けて電撃刀を構え、打ちかかった。
先手必勝。剣道でもオレの基本戦術はそれだ。
幼い頃、オレは飛翔兄ちゃんとチャンバラごっこで遊ぶのが好きだった。
ほとんど勝てなかったけど、先手で攻撃すればいい勝負はできた。
そりゃあさ、命のかかった場面では挑英の言うように慎重に行動することも必要だよ。
ダンジョン攻略中に優汰みたいに恐怖に震えることもあったよ。
蒼ちゃんみたいな優しさも大切なことだと思う。
だけど。
オレにそんなのは似合わない。
オレは進む。攻める。戦う。
それこそが飛翔兄ちゃんが教えてくれた、オレ――志音疾翔の生き方だ。
守りに入っては飛翔兄ちゃんに勝てない。
そう思ったから、オレは兄ちゃんに打ちかかった。
兄ちゃんはそれをかわした。
だが、その動きは飛翔兄ちゃんらしくなかった。
昔の飛翔兄ちゃんなら、もっとスパッとかわして、反撃もしてきたはずだ。
「なんで攻撃してこないんだよ!」
気がつくと、オレは叫んでいた。
飛翔兄ちゃんは、モンスター人間の青い顔をしたまま言った。
「今のお前なら、俺を倒せる。俺を殺してくれる」
「なんだよ、それ?」
「急げ。モンスターの本能を俺が少しでも押さえておく。その間に俺を殺してくれ」
「馬鹿を言うなよ!」
「俺がモンスターの本能に支配されないうちに。俺はお前や武巳を殺したくないんだ!」
「大丈夫だ、飛翔兄ちゃん。万能の霊薬(ハイパーエリクサー)万能の霊薬がある。兄ちゃんの呪いだって解けるんだ」
だが、飛翔兄ちゃんは首を横に振った。
「たとえ呪いが解けたとしても、俺は生きていけない。いや、生きていたくない」
「意味わかんねーよ!」
「俺はもう、何人ものダンジョンアドベンチュラ-を殺してしまった。その中にはお前と同じような子どももいた。いまさら人間に戻れたとして、おめおめと生きていけるわけがない」
「呪いのせいだろ! ジョージョーシャクリョーってやつだ。セキニンノーリョクなしだ」
「そういうことじゃないんだ。もう、俺は死にたいんだよ。人間に戻るよりも、ダンジョンのボスとして、ここで朽ちた方が楽だ」
そう言った飛翔兄ちゃんの目から、大粒の涙がこぼれた。
オレはそれを見て、猛烈に腹がたった。
「ふざけんな! なんだよそれは! 兄ちゃんがダンジョンで行方不明になって、母ちゃんがどれだけ泣いたか知ってんのか!? 父ちゃんがどれだけ苦しんだか、オレがどれだけ寂しかったか。一角教官だってきっと……」
「疾翔、たのむ。俺を殺して……」
「断る! オレは飛翔兄ちゃんを助ける、そのためにダンジョンアドベンチュラ-になろうと思ったんだから!」
世界一のダンジョンアドベンチュラ-になれば、いつか飛翔兄ちゃんを見つけて助けられると思ったんだ。
毎回姿が変わるダンジョンで、それは難しいと優汰には言われたけど。
でも、実際にこうやって飛翔兄ちゃんを見つけられた。
オレは叫んだ!
「逃げんなよ、兄ちゃん! モンスター人間になって、ボスになったっていうなら、オレと戦えよ! オレを殺してみせろよ!」
自分でも言っていることがむちゃくちゃだってわかっていた。
兄ちゃんがモンスターの本能を抑えてくれているなら、そのスキをついて万能の霊薬を飲ませるのが一番いいに決まっている。
それでも、オレは腹がたってしかたがなかったんだ。
自分のしてしまったことから逃げて死にたい、殺してほしいだなんて。
そんなの、オレが憧れた飛翔兄ちゃんじゃない!
そのときだった。飛翔兄ちゃんの瞳が暗く濁った。
「だ、だめだ……もう……」
飛翔兄ちゃんはそれっきり言葉を発さなかった。
そして、オレに向かって電撃刀を振り上げた。
オレはそれをかわしながら、再び打ち込む!
飛翔兄ちゃんもオレの一撃をかわして、次々と打ち込んでくる。
力強い連撃。
一瞬でも油断したら、瞬く間にやられてしまう!
それでも、命がけの戦いの中で、オレは懐かしさを感じていた。
「チャンバラごっこかよ。いいぜ兄ちゃん。今のオレの強さを見せてやるよ!」
オレが剣道を習い始めたのも、飛翔兄ちゃんに憧れたからだ。
チャンバラごっこで勝てなくて、ダンジョンアドベンチュラ-になりたいならもっと頑張れって言われて。
オレって挑英の言う通り馬鹿だからさ。チャンバラで勝ちたかったら剣道を習えばいいかなって思ったんだ。
剣道とチャンバラごっこじゃ別もんだし、ダンジョンでモンスターと戦うのも別の能力だって今なら理解しているけどさ。
でも、本気で頑張ったんだ。
飛翔兄ちゃんがいなくなってからもずっとさ。
だから、オレの剣術で飛翔兄ちゃんを止めてみせる。
飛翔兄ちゃんを助けてみせるんだ。
その後も、オレと飛翔兄ちゃんの戦いは続いた。
たぶん、時間にすれば五分程度。
でもオレにとっては何十分にも何時間にも感じる戦いだった。
「くそっ!」
やっぱり飛翔兄ちゃんは強い。
オレの電撃刀は飛翔兄ちゃんにとどかない。
どんなに頑張っても、オレは飛翔兄ちゃんに勝てないのか?
その焦りが、オレの動きを大雑把にさせた。
飛翔兄ちゃんの電撃刀がオレの脳天にヒットしそうになる。
オレは両腕で自分の頭をかばうしかなかった。
強力な電撃がオレの両手両腕を走り、心臓や脳みそにまで伝わる。
「ぐっ!」
一瞬、目の前が真っ暗になった。
意識が飛びそうになった。
それでも、オレは倒れなかった。倒れるわけにはいかなかった。
オレの命も、兄ちゃんの命も、それに優汰たちの命も。
「絶対に諦めない!」
だけど、倒れないだけで限界だった。
電撃刀を握る手の力がぬけてしまった。
カランコロンとオレの電撃刀が床を転がる音が響いた。
唯一の武器を失った上に、ダメージも激しい。
このしびれた両手じゃ、殴りかかるのも無理だろう。
足にも力が入らない。
飛翔兄ちゃんはそれを見て邪悪に笑った。
オレをなぶり殺そうとでもいうのか。わざとゆっくりと歩み寄ってきた。
ちくしょう!
負けられるか!
オレは叫んだ。
「兄ちゃんの顔でそんな風に笑うな!」
そのときだった。
兄ちゃんの顔面に、何かが飛んできた。
パンパンパン!
大きな音が響く。
今のは……
挑英の声が聞こえた。
「疾翔!」
アイツが爆豆を飛翔兄ちゃんの顔面に投げつけたんだ。
挑英の爆豆は黒疑竜のときに使ってしまったから、優汰か蒼ちゃんのをもらったのだろう。
もちろん、爆豆は大きな音を鳴らすだけのアイテムだ。飛翔兄ちゃんにダメージなんてあるわけもない。
それでも、一瞬のスキを作り出すことはできた。
「ありがとよ、挑英!」
オレはそう叫びながら力をふりしぼって、飛翔兄ちゃんのお腹に全力で頭突きした。
チャンバラごっこや剣道だったら頭突きなんて反則だ。
でも、ここはダンジョン。ダンジョンアドベンチュラ-とボスとの戦いに反則なんて無い。
そのまま全体重を乗せて押し倒してやった。
飛翔兄ちゃんの口を押さえて開かせる。
ポケットから万能の霊薬の瓶を取り出した。蓋を開け、薬を飛翔兄ちゃんの口の中に流し込んだ。
「がっ、ぐっ、あぁぁぁ」
飛翔兄ちゃんの体が虹色に輝く。
牙が縮み、ツノが消えていった。
肌の色も元通りになっていった。
「飛翔兄ちゃん!」
駆け寄ると、飛翔兄ちゃんは完全に気を失っていた。
でも息はしている。
心臓も動いている。
元の姿に戻せた。
モンスター人間じゃなくなった。
オレは兄ちゃんを助けられたんだ。
そのときだった。
オレの目の前に虹色に光るワープゲートが出現した。
優汰が言った。
「帰還のワープゲートだ……ボクたち、帰れるんだ」
優汰は泣きじゃくっていた。
挑英と蒼ちゃんも泣きそうな顔だった。
オレの目からも一滴の涙がこぼれ落ちた。
オレたちは気絶した一角教官と飛翔兄ちゃんを運んで、ワープゲートを抜けた。
こうして、オレたちの最初のダンジョン探索は終わり、元の世界へと戻った。
「もう一度凍らせるわ」
蒼ちゃんがそう言って氷河の杖を構えた。
だが、今度は氷河の杖の宝石がピキーンと音を立てて割れてしまう。
優汰が顔を引きつらせた。
「す、すごいね、蒼ちゃん。火の杖どころか氷河の杖ですら、蒼ちゃんの魔力にたえられなかったみたい」
「今はうれしくないわよ!」
このままでは、ボスが……飛翔兄ちゃんが氷から出てきてしまう。
まだ、解決策が見つかってないのに。教官は立ち上がることもできない状態なのに!
蒼ちゃんが自分の布袋に手を突っ込んだ。
取り出したのは万能の霊薬。あらゆる病気と怪我を治す神秘の秘薬。
「教官、これを」
蒼ちゃんは教官に万能の霊薬を使うつもりなのか?
「いいのか、海野蒼?」
「はい。いつか弟を救うためにも、私はここで死ねない。死ぬわけにはいかないのよ。疾翔くんだけじゃ飛翔さんには勝てない。なら、これしか方法はないわ」
悲壮さと無念さをにじませながらも、蒼ちゃんは自分自身に言い聞かせるように語った。
弟を救える神秘の薬を手に入れて、だけどそれをここで使ってしまおうというのか。
だが、優汰が「待って」とそれを止めた。
「優汰くん、ありがとう。でも今は私の弟のことよりも……」
「違うんだ。万能の霊薬があればもしかしたら飛翔お兄さんを救えるかもしれない」
そう言った優汰に、オレはたずねた。
「どういうことだ、優汰?」
「あんまり知られていないけど、霊薬系のアイテムには怪我や病気を治す以外にも、もう一つ効果があるんだよ」
その優汰の言葉に、挑英が言った。
「そうか、なぜ気づかなかったんだ。俺も混乱していたのか」
なんだ? 二人は何を言っている? 飛翔兄ちゃんを救えるってどういうことだ?
オレが理解していないと気がついたらしく、優汰が言った。
「霊薬にはモンスターの呪いを弱める効果もあるんだ。呪いを使ってくるモンスターは少ないし、怪我ほど劇的に効くわけじゃないから、プロのダンジョンアドベンチュラ-でも知らない人が多いけどね。だけど、万能の霊薬なら……」
「飛翔兄ちゃんの呪いも解けるってことか?」
オレが勢い込んで言うと、優汰がうなずいた。
「確証はないよ。人間がモンスターになる呪いなんて聞いたこともないから。でも、今のボクらの手持ちで、飛翔お兄さんを救える可能性があるとしたら、これしかないと思う」
優汰の言葉を聞いて、蒼ちゃんは少し悩んだ後言った。
「わかったわ。万能の霊薬を疾翔くんのお兄さんに使いましょう。教官、ごめんなさい」
「私はかまわん。そう簡単にくたばるつもりもない。飛翔を救えるなら……かつて、私が見捨ててしまったアイツを助けられるというならば、助けてやりたい。それが私の責任だ」
教官は立ち上がろうとしたがやはり無理だった。うめき声を上げて、膝をついてしまう。
蒼ちゃんがあわてて教官の体を支えた。
「むちゃですよ」
「だが、万能の霊薬は飲ませなければ効果がない。私が戦わなければ……」
だが、挑英が冷静な声で言った。
「今の教官に戦う力なんてないでしょう」
お前、教官に対してまでそういう言い方するのかよ。
一角教官はニヤリと笑った。
「たしかにその通りだな。貴様の冷淡なまでの冷静さ、私は嫌いではない。私にその冷淡さがあれば、あのとき飛翔を救えたのかもしれない。だが、ならばどうやって飛翔に万能の霊薬を飲ませる?」
蒼ちゃんは少し考えてから、万能の霊薬をオレに差し出した。
「疾翔くん、あなたにたくすわ。お兄さんだけじゃなく、私たち全員の命をあなたにあずける」
蒼ちゃんだけじゃない。優汰も挑英も教官もその言葉に賛同してうなずいてくれた。
ここで逃げるわけにはいかない。
「わかった、オレにまかせろ。オレは志音疾翔。最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男だ! 飛翔兄ちゃんもみんなも、オレが必ず助けてみせる!」
オレはそう言って、蒼ちゃんから万能の霊薬を受け取った。
小さな小さな瓶に入った薬。
だけど、このアイテムをたくされた意味は重い。
もちろん、物理的な重さって意味じゃない。
ここまで一緒に戦ってきた仲間たちの命。
飛翔兄ちゃんの命。
蒼ちゃんの弟の命。
オレ自身の命。
みんなの命の重さだ。
「蒼ちゃん、ごめん。オレの兄ちゃんのために……」
「いいのよ。弟を助けるチャンスは今後もあるかもしれないけど、疾翔くんのお兄さんを助けられるのは今だけよ。黒疑竜のときに、私たちは疾翔くんに救われたんだから」
「ありがとう、蒼ちゃん」
優汰が言った。
「疾翔、念のため言っておくけど万能の霊薬でも飛翔お兄さんを救える保証はないよ」
「ああ、わかってる。もし、それでもダメなら……」
オレは自分の決意を告げた。
「……オレが飛翔兄ちゃんを倒す」
みんなを助けるために。なにより飛翔兄ちゃんを助けるために。
さっき、飛翔兄ちゃんは苦しそうだった。悲しそうだった。
自分の意思と無関係に人を殺してしまって、つらくないはずがない。
飛翔兄ちゃんの苦しみは、ここでオレが終わらせる。
オレは絶対に逃げるわけにはいかない!
そのとき、飛翔兄ちゃんを封じ込めていた氷が完全に割れた。
飛翔兄ちゃんは電撃刀を構えてオレたちの方へ歩み寄ってくる。
優汰が暴風の杖を飛翔兄ちゃんに向けて叫んだ。
「これで!」
だが、暴風の杖からはそよ風一つ起きない。
優汰が焦った声を上げた。
「もしかして、魔法封じの玉!?」
飛翔兄ちゃんの左手には黒い水晶玉のようなアイテムが握られていた。
「なんだよ、それ?」
「魔法の杖系のアイテムを封じるアイテムだよ。本来、ダンジョン攻略にはほとんど役に立たないアイテムなんだけど……」
普通のモンスターは魔法の杖なんて使わないからな。
優汰は申し訳なさそうに言った。
「ごめん、疾翔。これじゃあ、ボクも戦力外だ」
「いいさ。飛翔兄ちゃんを救うのはオレの役目だ」
万能の霊薬を、オレはズボンのポケットの奥にしまった。
そして、自分の電撃刀をのばした。
薬を飲ませるためには、飛翔兄ちゃんを止めないとダメだ。
教官はもう戦えない。優汰と蒼ちゃんは魔法の杖なしで戦うのは無理だろう。挑英は魔力0だ。
オレが戦うんだ。
飛翔兄ちゃんと戦って、そして救うんだ。
「挑英、教官や優汰たちをたのむ」
「ああ、まかせろ。何があっても三人は俺がまもる」
コイツがそう言うなら、きっと大丈夫だろう。
オレは飛翔兄ちゃんに向けて電撃刀を構え、打ちかかった。
先手必勝。剣道でもオレの基本戦術はそれだ。
幼い頃、オレは飛翔兄ちゃんとチャンバラごっこで遊ぶのが好きだった。
ほとんど勝てなかったけど、先手で攻撃すればいい勝負はできた。
そりゃあさ、命のかかった場面では挑英の言うように慎重に行動することも必要だよ。
ダンジョン攻略中に優汰みたいに恐怖に震えることもあったよ。
蒼ちゃんみたいな優しさも大切なことだと思う。
だけど。
オレにそんなのは似合わない。
オレは進む。攻める。戦う。
それこそが飛翔兄ちゃんが教えてくれた、オレ――志音疾翔の生き方だ。
守りに入っては飛翔兄ちゃんに勝てない。
そう思ったから、オレは兄ちゃんに打ちかかった。
兄ちゃんはそれをかわした。
だが、その動きは飛翔兄ちゃんらしくなかった。
昔の飛翔兄ちゃんなら、もっとスパッとかわして、反撃もしてきたはずだ。
「なんで攻撃してこないんだよ!」
気がつくと、オレは叫んでいた。
飛翔兄ちゃんは、モンスター人間の青い顔をしたまま言った。
「今のお前なら、俺を倒せる。俺を殺してくれる」
「なんだよ、それ?」
「急げ。モンスターの本能を俺が少しでも押さえておく。その間に俺を殺してくれ」
「馬鹿を言うなよ!」
「俺がモンスターの本能に支配されないうちに。俺はお前や武巳を殺したくないんだ!」
「大丈夫だ、飛翔兄ちゃん。万能の霊薬(ハイパーエリクサー)万能の霊薬がある。兄ちゃんの呪いだって解けるんだ」
だが、飛翔兄ちゃんは首を横に振った。
「たとえ呪いが解けたとしても、俺は生きていけない。いや、生きていたくない」
「意味わかんねーよ!」
「俺はもう、何人ものダンジョンアドベンチュラ-を殺してしまった。その中にはお前と同じような子どももいた。いまさら人間に戻れたとして、おめおめと生きていけるわけがない」
「呪いのせいだろ! ジョージョーシャクリョーってやつだ。セキニンノーリョクなしだ」
「そういうことじゃないんだ。もう、俺は死にたいんだよ。人間に戻るよりも、ダンジョンのボスとして、ここで朽ちた方が楽だ」
そう言った飛翔兄ちゃんの目から、大粒の涙がこぼれた。
オレはそれを見て、猛烈に腹がたった。
「ふざけんな! なんだよそれは! 兄ちゃんがダンジョンで行方不明になって、母ちゃんがどれだけ泣いたか知ってんのか!? 父ちゃんがどれだけ苦しんだか、オレがどれだけ寂しかったか。一角教官だってきっと……」
「疾翔、たのむ。俺を殺して……」
「断る! オレは飛翔兄ちゃんを助ける、そのためにダンジョンアドベンチュラ-になろうと思ったんだから!」
世界一のダンジョンアドベンチュラ-になれば、いつか飛翔兄ちゃんを見つけて助けられると思ったんだ。
毎回姿が変わるダンジョンで、それは難しいと優汰には言われたけど。
でも、実際にこうやって飛翔兄ちゃんを見つけられた。
オレは叫んだ!
「逃げんなよ、兄ちゃん! モンスター人間になって、ボスになったっていうなら、オレと戦えよ! オレを殺してみせろよ!」
自分でも言っていることがむちゃくちゃだってわかっていた。
兄ちゃんがモンスターの本能を抑えてくれているなら、そのスキをついて万能の霊薬を飲ませるのが一番いいに決まっている。
それでも、オレは腹がたってしかたがなかったんだ。
自分のしてしまったことから逃げて死にたい、殺してほしいだなんて。
そんなの、オレが憧れた飛翔兄ちゃんじゃない!
そのときだった。飛翔兄ちゃんの瞳が暗く濁った。
「だ、だめだ……もう……」
飛翔兄ちゃんはそれっきり言葉を発さなかった。
そして、オレに向かって電撃刀を振り上げた。
オレはそれをかわしながら、再び打ち込む!
飛翔兄ちゃんもオレの一撃をかわして、次々と打ち込んでくる。
力強い連撃。
一瞬でも油断したら、瞬く間にやられてしまう!
それでも、命がけの戦いの中で、オレは懐かしさを感じていた。
「チャンバラごっこかよ。いいぜ兄ちゃん。今のオレの強さを見せてやるよ!」
オレが剣道を習い始めたのも、飛翔兄ちゃんに憧れたからだ。
チャンバラごっこで勝てなくて、ダンジョンアドベンチュラ-になりたいならもっと頑張れって言われて。
オレって挑英の言う通り馬鹿だからさ。チャンバラで勝ちたかったら剣道を習えばいいかなって思ったんだ。
剣道とチャンバラごっこじゃ別もんだし、ダンジョンでモンスターと戦うのも別の能力だって今なら理解しているけどさ。
でも、本気で頑張ったんだ。
飛翔兄ちゃんがいなくなってからもずっとさ。
だから、オレの剣術で飛翔兄ちゃんを止めてみせる。
飛翔兄ちゃんを助けてみせるんだ。
その後も、オレと飛翔兄ちゃんの戦いは続いた。
たぶん、時間にすれば五分程度。
でもオレにとっては何十分にも何時間にも感じる戦いだった。
「くそっ!」
やっぱり飛翔兄ちゃんは強い。
オレの電撃刀は飛翔兄ちゃんにとどかない。
どんなに頑張っても、オレは飛翔兄ちゃんに勝てないのか?
その焦りが、オレの動きを大雑把にさせた。
飛翔兄ちゃんの電撃刀がオレの脳天にヒットしそうになる。
オレは両腕で自分の頭をかばうしかなかった。
強力な電撃がオレの両手両腕を走り、心臓や脳みそにまで伝わる。
「ぐっ!」
一瞬、目の前が真っ暗になった。
意識が飛びそうになった。
それでも、オレは倒れなかった。倒れるわけにはいかなかった。
オレの命も、兄ちゃんの命も、それに優汰たちの命も。
「絶対に諦めない!」
だけど、倒れないだけで限界だった。
電撃刀を握る手の力がぬけてしまった。
カランコロンとオレの電撃刀が床を転がる音が響いた。
唯一の武器を失った上に、ダメージも激しい。
このしびれた両手じゃ、殴りかかるのも無理だろう。
足にも力が入らない。
飛翔兄ちゃんはそれを見て邪悪に笑った。
オレをなぶり殺そうとでもいうのか。わざとゆっくりと歩み寄ってきた。
ちくしょう!
負けられるか!
オレは叫んだ。
「兄ちゃんの顔でそんな風に笑うな!」
そのときだった。
兄ちゃんの顔面に、何かが飛んできた。
パンパンパン!
大きな音が響く。
今のは……
挑英の声が聞こえた。
「疾翔!」
アイツが爆豆を飛翔兄ちゃんの顔面に投げつけたんだ。
挑英の爆豆は黒疑竜のときに使ってしまったから、優汰か蒼ちゃんのをもらったのだろう。
もちろん、爆豆は大きな音を鳴らすだけのアイテムだ。飛翔兄ちゃんにダメージなんてあるわけもない。
それでも、一瞬のスキを作り出すことはできた。
「ありがとよ、挑英!」
オレはそう叫びながら力をふりしぼって、飛翔兄ちゃんのお腹に全力で頭突きした。
チャンバラごっこや剣道だったら頭突きなんて反則だ。
でも、ここはダンジョン。ダンジョンアドベンチュラ-とボスとの戦いに反則なんて無い。
そのまま全体重を乗せて押し倒してやった。
飛翔兄ちゃんの口を押さえて開かせる。
ポケットから万能の霊薬の瓶を取り出した。蓋を開け、薬を飛翔兄ちゃんの口の中に流し込んだ。
「がっ、ぐっ、あぁぁぁ」
飛翔兄ちゃんの体が虹色に輝く。
牙が縮み、ツノが消えていった。
肌の色も元通りになっていった。
「飛翔兄ちゃん!」
駆け寄ると、飛翔兄ちゃんは完全に気を失っていた。
でも息はしている。
心臓も動いている。
元の姿に戻せた。
モンスター人間じゃなくなった。
オレは兄ちゃんを助けられたんだ。
そのときだった。
オレの目の前に虹色に光るワープゲートが出現した。
優汰が言った。
「帰還のワープゲートだ……ボクたち、帰れるんだ」
優汰は泣きじゃくっていた。
挑英と蒼ちゃんも泣きそうな顔だった。
オレの目からも一滴の涙がこぼれ落ちた。
オレたちは気絶した一角教官と飛翔兄ちゃんを運んで、ワープゲートを抜けた。
こうして、オレたちの最初のダンジョン探索は終わり、元の世界へと戻った。
0
第2回きずな児童書大賞エントリー中です。
楽しくて、ドキドキで、ちょっぴり恐い!?一夏の物語
天倶小学校新聞部 ~ちびっ子天狗と七不思議のヒミツ~
ドラゴンレースに挑戦!
竜太のドラゴンライダー学園
人狼ゲーム風サバイバル!?
命がけの投票サバイバル!『いじめっ子は誰だゲーム』
普通の少女晴香とイケメンお金持ち兄弟のラブコメ?
中学生家庭教師晴香の奮闘記 ~イケメン兄弟と天文観測の夜~
楽しくて、ドキドキで、ちょっぴり恐い!?一夏の物語
天倶小学校新聞部 ~ちびっ子天狗と七不思議のヒミツ~
ドラゴンレースに挑戦!
竜太のドラゴンライダー学園
人狼ゲーム風サバイバル!?
命がけの投票サバイバル!『いじめっ子は誰だゲーム』
普通の少女晴香とイケメンお金持ち兄弟のラブコメ?
中学生家庭教師晴香の奮闘記 ~イケメン兄弟と天文観測の夜~
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
命がけの投票サバイバル!『いじめっ子は誰だゲーム』
ななくさ ゆう
児童書・童話
見知らぬ教室に集められたのは5人のいじめられっ子たち。
だが、その中の1人は実はいじめっ子!?
話し合いと投票でいじめっ子の正体を暴かない限り、いじめられっ子は殺される!!
いじめっ子を見つけ出せ!
恐怖の投票サバイバルゲームが今、始まる!!
※話し合いタイムと投票タイムを繰り返す命がけのサバイバルゲームモノです。
※モチーフは人狼ゲームですが、細かいルールは全然違います。
※ゲーム参加者は小学生~大人まで。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
天倶小学校新聞部 ~ちびっ子天狗と七不思議のヒミツ~
ななくさ ゆう
児童書・童話
※第2回きずな児童書大賞 エントリー作品です。
世界一のスクープを夢見る少女と、天狗の少年が体験する、楽しくて、ドキドキで、ちょっぴり恐い一夏の物語。
(第1話 天狗の占い屋とちびっ子天狗)
天倶小学校新聞部長の新道深織は小学6年生。
スクープをゲットしたい深織は、ある日『天狗の占い屋』を取材することになった。
そこで出会ったのは美青年占い師と、その息子で天狗の末裔を名乗る生意気少年の神保楓林。
信じられないと思う深織だったが、楓林が団扇を一振りすると、深織の前に亡くなったはずのおばあちゃんの幽霊が現れた!?
(第2話 天倶町七不思議のヒミツ!?)
深織は天倶町七不思議の噂を知る。
深織は楓林と共に以下の七不思議の正体を取材することになった。
・よく当たる占い屋
・トイレの花子さん
・泣き声の聞こえる祠
・動き回るお地蔵様
・ありえないラーメン
・怪奇現象の映るレンタルビデオ
・夜な夜なお墓に漂う鬼火
取材を進めるとほとんどの七不思議に「オチ」がついてがっくり。
だが、七不思議には実はちょっぴり恐くて物悲しい真相が……
全ての真相を知ったとき、世界一のスクープを目指す深織は何を思う?
凸凹小学生コンビが夏に体験する、ちょっぴり恐くてドキドキのジュブナイル物語。
----------------------
※過去にカクヨムに掲載した作品を、改題、改稿したものです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
竜太のドラゴンライダー学園
ななくさ ゆう
児童書・童話
『ドラゴンライダー』
それは、ドラゴンに乗って空を翔る、命がけのスピードレースの選手。
大空竜太はドラゴンライダーになることを夢見る少年だ。
小学校を卒業する年齢になり、竜太はドラゴンライダー学園の入試に挑む。
そこで彼は、世界チャンピオンの息子高力龍矢らライバルの少年少女達と出会う。
危険な入学試験。
生涯の相棒となるドラゴンとの契約。
キビシイ学園生活。
ドラゴンライダーになりたい!
ただそれだけを夢見て、少年少女達は苦難を乗り越える。
一方で夢かなわず学園を去る者もいる。
それでも、竜太は前に進む。
相棒と共に、世界チャンピオンを目指して!
そしてやってくる初レース!
竜太VS龍矢、二人の対決の行方は?
----------
小中学生向けジュブナイルファンタジー。
舞台は現代の日本によく似た文化のドラゴンが存在する異世界です。
----------
※第2回きずな児童書大賞エントリー作品
※過去にカクヨムに掲載した作品です。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
僕らはロボットで宇宙《そら》を駆ける
ななくさ ゆう
児童書・童話
【少年少女×ロボット×宇宙! 広大な宇宙で、僕らは何を見る!?】
新世代ロボットバトルゲーム、バトル・エスパーダで優勝した中学生、森原宙《もりはらそら》。
だが、それは広大な冒険の始まりに過ぎなかった。
アンドロイド、トモ・エに誘われ、本物のロボットに乗り込んだソラは、宇宙へと旅立つ。
だが、その先にソラを待っていたのは恐ろしい宇宙生命体との戦いだった!?
少年と少女、そしてアンドロイドの交流と、宇宙の旅と、巨大ロボットがテーマのジュブナイルSF作品です。
---------------
※カクヨムにも掲載しています。
世にも奇妙な日本昔話
佐野絹恵(サノキヌエ)
児童書・童話
昔々ある所に
お爺さんと
お婆さんが住んでいました
お婆さんは川に洗濯物へ
お爺さんは山へ竹取りへ
竹取り?
お婆さんが川で
洗濯物をしていると
巨大な亀が泳いで来ました
???
━━━━━━━━━━━━━━━
貴方の知っている日本昔話とは
異なる話
ミステリーコメディ小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる