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第一階層 緑の洞窟
第5話 試験中止!?そんなの納得できない!
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試験を中止すべきかもしれないという教官に、オレはたずねた。
「その場合、試験の合否はどうなりますか?」
教官が、少し言いにくそうに答えた。
「ダンジョンから途中離脱した場合、原則として不合格になる」
おい!?
「もちろんダンジョンアドベンチュラ-委員会に事態は説明するし、私からも再試験を受けられるよう申し入れするつもりだ」
いや、説得するつもりって言われてもなぁ。
蒼ちゃんが顔をしかめた。
「その言い方、絶対に再試験を受けられる保証はないって聞こえるんですけど?」
「ふむ。委員会の上層部は頭の固いジジイどもだからな。審議に時間が必要だろう」
「時間って、どのくらいかかるんですか?」
「一ヶ月……いや、下手をすれば半年くらいはかかるかもしれない」
蒼ちゃんが叫んで抗議した。
「半年って!」
「そもそも、このダンジョンがどうなっているのかの再調査にも時間が必要だしな。他のダンジョンも含めて異常がないか再チェックすることになるだろう」
蒼ちゃんはさらに抗議した。
「ダンジョンに入れるのが十八歳未満だってわかって言ってますよね? プロダンジョンアドベンチュラ-になるには最低でもあと二年はかかります。私たちは今十二歳。アドベンチュラ-として活躍できるのは実質四年もないんですよ!」
十八歳になるとどうやってもダンジョンに入ることはできない。規則や法律の問題ではなく、ワープゲートを通ることができなくなるのだ。
そのため、海外では十歳未満からアドベンチュラ-になれる国もあるくらいだ。国によっては五歳でダンジョンに入る子もいるとか。
さすがにこの国ではそんな無茶はありえないが。
この国でダンジョンアドベンチュラ-として活躍できる期間はきわめて短い。
もちろん、教官もそんなことは理解しているだろう。なにしろ……
「わかっている。私とて数年前にようやく資格を取得したのに、あと三ヶ月でダンジョンに入れなくなるのだ。貴様らの半年がどれだけ貴重かなど理解している」
「しかも、半年待っても本当に再試験が認められるかわからないんですよね?」
「遺憾ながら、一教官の立場では保証できないと言わざるをえない」
「なんですか、それは!?」
蒼ちゃんがこれまで見せたことがないほどの剣幕になった。顔を真っ赤にして、教官にとびかからんばかりだった。
もっとも、気持ちはオレも同じこと。
試験の成績が悪くて不合格だっていうなら、それはオレの実力不足だ。
でも、これは理不尽すぎる!
怒りに震える蒼ちゃんの肩を挑英がつかんだ。
「おちつけ、蒼。教官は俺たちの安全を考えてくれているんだ。お前ならそれくらいわかるだろう?」
「だけどっ」
優汰も蒼ちゃんに言う。
「それに、もしも本当にボクらに何かあったら、教官の責任問題になっちゃうよ」
だが、蒼ちゃんはそんな二人の説得にも耳を貸さない。
「ダンジョンアドベンチュラ-を目指したときから、命の危険なんて覚悟しているわよ」
たしかにその通りだ。
オレも教官に言った。
「オレだって同じ気持ちです! ここで逃げ帰って、半年待つとかありえない!」
蒼ちゃんはさらに言った。
「私はダンジョンアドベンチュラ-にならなくちゃいけないんです。絶対に万能の霊薬を見つけないと。それも一刻も早く。こんな理不尽な理由で半年待つなんて絶対にできない」
オレも言った。
「オレは最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男です! こんなところで逃げたりしません」
オレと蒼ちゃんは、しばし教官とにらみ合った。
そして、教官は言った。
「こうなった以上、ここから先は本当に何が起きるかわからん。本当に死ぬかもしれない。それを理解しているか?」
それはつまり……
オレは恐る恐るたずねた。
「試験を続行してもらえるんですか?」
「どのみち、離脱の指輪は本人の意思でしか使えん。どうしてもリタイアしないと言うならば致し方があるまい」
教官はやれやれという表情だった。
「飛来挑英、春風優汰、お前たちはどうする?」
挑英が言った。
「俺も、ここでリタイアは悔しい。なにより蒼をおいて自分だけ逃げるつもりもない」
次に優汰が口を開いた。
「ボクは……怖いです。正直に言えば逃げたいという気持ちもあります」
怖がりの優汰ならそう言うのも無理はないかもしれない。
命がけのこの状況では優汰がリタイアするのを止める権利はオレにもない。
だが、優汰は続けて言った。
「でも、このまま三人を残してボクだけダンジョンから逃げて、ボクだけ生き残ったら……きっとボクは一生自分を責めることになると思います。そんな人生を送る方が、モンスターなんかよりずっと怖いです。それに、やっぱりボクだってこれで不合格なんて納得できないです」
教官は「わかった」と答えた。
「ダンジョンアドベンチュラ-になろうとする者がこんな形であきらめるわけもないか」
その通りだ。命が惜しいなら普通の中学校に行って、会社員か公務員を目指している。
「わかった。試験を続行しよう。ただし、ここからは私の指示に従って動いてもらう」
教官のその言葉に、オレたちは『はい』とうなずいた。
「志音疾翔。先ほどまでのような突っ走りはなしだ。慎重に、しかし必要があれば迅速に立ち回れ」
「はい」
「飛来挑英。貴様もここから先は子どもじみたケンカは禁止だ」
「はい」
「春風優汰。慎重なのはいいが、恐怖に立ち止まるな。常に進むことを考えろ」
「はい」
「海野蒼。貴様ももっと機敏に動くことを意識しろ。モンスターに情けをかけるな」
「はい」
それぞれに言った後、教官はさらに続けた。
「牙ネズミに噛まれただけだとしても、怪我をしたならそれ以上の試験続行は認めん。そもそもダンジョンの異常とは無関係に脱出して治療の必要があると教官が判断した場合は試験不合格なのだからな」
オレたち四人は神妙にうなずいた。
「では行こう。ここから先は私が先頭を歩く。その後ろを海野蒼と飛来挑英。さらに後ろを春風優汰。しんがりは電撃刀を持っている志音疾翔だ。後方からの襲撃に備えろ」
こうして、オレたちはダンジョン探索を再開した。
だが、その先に何が待っているのか。この時点ではオレはもちろん、挑英も蒼ちゃんも優汰も、そして教官も誰も知らなかったのだ。
ダンジョンの細い通路を歩きながら、優汰が蒼ちゃんにたずねた。
「蒼ちゃんはどうしてそこまで万能の霊薬がほしいの?」
万能の霊薬は貴重な薬だ。誰もがほしがるアイテムだといっていい。
だが、蒼ちゃんの言い方は単に貴重だからほしいというだけではなさそうだ。
「……弟のためよ」
「弟?」
聞き返したオレに、説明してくれたのは挑英だった。
「蒼の弟は病気でずっと入院しているんだ。このままだと、大人になるまで生きられるかわからない」
蒼ちゃんが挑英の説明を引き継いだ。
「普通の薬や手術じゃどうにもならない。上霊薬でも症状を抑えるのがやっとよ。でも、万能の霊薬ならきっと助けられる」
ダンジョンで手に入る回復アイテムでも最高の力を持つ万能の霊薬。人類が作り出せる薬などにおよびもつかない力を持っている。だが、あまりにも貴重さが高すぎる。
「一般人がお金を出しても手に入らない。いいえ。そもそもそんなお金あるわけもない」
五年前に万能の霊薬が、世界中のお金持ちが集まるオークションに出費されたときの落札価格は、たしか日本円で五十億以上だったはずだ。
お金以前に、そんなオークション、普通の人間は立ち入りすらできそうもない。
たしかに、万能の霊薬を手にするなら、自分でダンジョンを探索して見つけるくらいしか方法がないかもしれない。
「だから、どうしても半年待てないんだな」
蒼ちゃんの場合はダンジョンに入れる十八歳の誕生日という期限だけじゃない。弟の病気の進行という期限もあるのだ。
「オレと同じだな」
そうつぶやいたオレに、挑英が言った。
「どういう意味だ? お前も万能の霊薬がほしいのか?」
「いや、オレも兄弟を……兄ちゃんを助けたいってこと」
蒼ちゃんが言う。
「疾翔くんのお兄さんも病気なの?」
「違う。飛翔兄ちゃんは二年前にダンジョンの中で行方不明になったんだ」
アドベンチュラ-の資格を取得して、一年後、飛翔兄ちゃんはいつものようにダンジョンに向かい、攻略することができなかった。仲間のアドベンチュラ-は戻ってきたのだが、冒険中に生き別れになって合流できなかったらしい。
挑英が首をひねった。
「モンスターに追われてはぐれたとかか?」
「オレも詳しい状況はわからないけど……」
そう言ったオレに、教官が言った。
「転移の罠だ」
え?
「貴様の兄、飛翔は転移の罠を踏んだ。ゆえに仲間たちとはぐれてしまった」
転移の罠。たしかダンジョンの同一階層内の別の場所に飛ばされてしまう罠だったか。
たしかにそれなら仲間とはぐれたのはうなける。
「どうして教官が飛翔兄ちゃんのことを知っているんですか?」
「さあな。無駄話はここまでだ。次の広間につくぞ。警戒しろ」
ダンジョンは広間と通路の組み合わせで構成される。モンスターは広間の方が出現しやすい。
だが、結果としてオレたちの警戒は無駄に終わった。
次の広間にはモンスターはおらず、代わりにあったのはワープゲートだった。
優汰がほっとした声を出した。
「第一階層クリアーだね」
ワープゲートを抜ければ第二階層。このダンジョンは第二階層をクリアーすれば攻略できるそうだから、折り返し地点ってことだ。
教官がうなずいた。
「うむ。そうだな。ゲートを開けるぞ。念のため通路からモンスターが現れないか警戒しておけ」
教官が第二階層へ続くワープゲートを開けた。特にモンスターが現れることもなく、オレたちは再び回転する不思議な空間へと足を踏み入れ、第二階層へとワープした。
そして、第二階層につくなり、教官が真っ青になって叫んだ。
「馬鹿な、黒の洞窟だと!?」
「その場合、試験の合否はどうなりますか?」
教官が、少し言いにくそうに答えた。
「ダンジョンから途中離脱した場合、原則として不合格になる」
おい!?
「もちろんダンジョンアドベンチュラ-委員会に事態は説明するし、私からも再試験を受けられるよう申し入れするつもりだ」
いや、説得するつもりって言われてもなぁ。
蒼ちゃんが顔をしかめた。
「その言い方、絶対に再試験を受けられる保証はないって聞こえるんですけど?」
「ふむ。委員会の上層部は頭の固いジジイどもだからな。審議に時間が必要だろう」
「時間って、どのくらいかかるんですか?」
「一ヶ月……いや、下手をすれば半年くらいはかかるかもしれない」
蒼ちゃんが叫んで抗議した。
「半年って!」
「そもそも、このダンジョンがどうなっているのかの再調査にも時間が必要だしな。他のダンジョンも含めて異常がないか再チェックすることになるだろう」
蒼ちゃんはさらに抗議した。
「ダンジョンに入れるのが十八歳未満だってわかって言ってますよね? プロダンジョンアドベンチュラ-になるには最低でもあと二年はかかります。私たちは今十二歳。アドベンチュラ-として活躍できるのは実質四年もないんですよ!」
十八歳になるとどうやってもダンジョンに入ることはできない。規則や法律の問題ではなく、ワープゲートを通ることができなくなるのだ。
そのため、海外では十歳未満からアドベンチュラ-になれる国もあるくらいだ。国によっては五歳でダンジョンに入る子もいるとか。
さすがにこの国ではそんな無茶はありえないが。
この国でダンジョンアドベンチュラ-として活躍できる期間はきわめて短い。
もちろん、教官もそんなことは理解しているだろう。なにしろ……
「わかっている。私とて数年前にようやく資格を取得したのに、あと三ヶ月でダンジョンに入れなくなるのだ。貴様らの半年がどれだけ貴重かなど理解している」
「しかも、半年待っても本当に再試験が認められるかわからないんですよね?」
「遺憾ながら、一教官の立場では保証できないと言わざるをえない」
「なんですか、それは!?」
蒼ちゃんがこれまで見せたことがないほどの剣幕になった。顔を真っ赤にして、教官にとびかからんばかりだった。
もっとも、気持ちはオレも同じこと。
試験の成績が悪くて不合格だっていうなら、それはオレの実力不足だ。
でも、これは理不尽すぎる!
怒りに震える蒼ちゃんの肩を挑英がつかんだ。
「おちつけ、蒼。教官は俺たちの安全を考えてくれているんだ。お前ならそれくらいわかるだろう?」
「だけどっ」
優汰も蒼ちゃんに言う。
「それに、もしも本当にボクらに何かあったら、教官の責任問題になっちゃうよ」
だが、蒼ちゃんはそんな二人の説得にも耳を貸さない。
「ダンジョンアドベンチュラ-を目指したときから、命の危険なんて覚悟しているわよ」
たしかにその通りだ。
オレも教官に言った。
「オレだって同じ気持ちです! ここで逃げ帰って、半年待つとかありえない!」
蒼ちゃんはさらに言った。
「私はダンジョンアドベンチュラ-にならなくちゃいけないんです。絶対に万能の霊薬を見つけないと。それも一刻も早く。こんな理不尽な理由で半年待つなんて絶対にできない」
オレも言った。
「オレは最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男です! こんなところで逃げたりしません」
オレと蒼ちゃんは、しばし教官とにらみ合った。
そして、教官は言った。
「こうなった以上、ここから先は本当に何が起きるかわからん。本当に死ぬかもしれない。それを理解しているか?」
それはつまり……
オレは恐る恐るたずねた。
「試験を続行してもらえるんですか?」
「どのみち、離脱の指輪は本人の意思でしか使えん。どうしてもリタイアしないと言うならば致し方があるまい」
教官はやれやれという表情だった。
「飛来挑英、春風優汰、お前たちはどうする?」
挑英が言った。
「俺も、ここでリタイアは悔しい。なにより蒼をおいて自分だけ逃げるつもりもない」
次に優汰が口を開いた。
「ボクは……怖いです。正直に言えば逃げたいという気持ちもあります」
怖がりの優汰ならそう言うのも無理はないかもしれない。
命がけのこの状況では優汰がリタイアするのを止める権利はオレにもない。
だが、優汰は続けて言った。
「でも、このまま三人を残してボクだけダンジョンから逃げて、ボクだけ生き残ったら……きっとボクは一生自分を責めることになると思います。そんな人生を送る方が、モンスターなんかよりずっと怖いです。それに、やっぱりボクだってこれで不合格なんて納得できないです」
教官は「わかった」と答えた。
「ダンジョンアドベンチュラ-になろうとする者がこんな形であきらめるわけもないか」
その通りだ。命が惜しいなら普通の中学校に行って、会社員か公務員を目指している。
「わかった。試験を続行しよう。ただし、ここからは私の指示に従って動いてもらう」
教官のその言葉に、オレたちは『はい』とうなずいた。
「志音疾翔。先ほどまでのような突っ走りはなしだ。慎重に、しかし必要があれば迅速に立ち回れ」
「はい」
「飛来挑英。貴様もここから先は子どもじみたケンカは禁止だ」
「はい」
「春風優汰。慎重なのはいいが、恐怖に立ち止まるな。常に進むことを考えろ」
「はい」
「海野蒼。貴様ももっと機敏に動くことを意識しろ。モンスターに情けをかけるな」
「はい」
それぞれに言った後、教官はさらに続けた。
「牙ネズミに噛まれただけだとしても、怪我をしたならそれ以上の試験続行は認めん。そもそもダンジョンの異常とは無関係に脱出して治療の必要があると教官が判断した場合は試験不合格なのだからな」
オレたち四人は神妙にうなずいた。
「では行こう。ここから先は私が先頭を歩く。その後ろを海野蒼と飛来挑英。さらに後ろを春風優汰。しんがりは電撃刀を持っている志音疾翔だ。後方からの襲撃に備えろ」
こうして、オレたちはダンジョン探索を再開した。
だが、その先に何が待っているのか。この時点ではオレはもちろん、挑英も蒼ちゃんも優汰も、そして教官も誰も知らなかったのだ。
ダンジョンの細い通路を歩きながら、優汰が蒼ちゃんにたずねた。
「蒼ちゃんはどうしてそこまで万能の霊薬がほしいの?」
万能の霊薬は貴重な薬だ。誰もがほしがるアイテムだといっていい。
だが、蒼ちゃんの言い方は単に貴重だからほしいというだけではなさそうだ。
「……弟のためよ」
「弟?」
聞き返したオレに、説明してくれたのは挑英だった。
「蒼の弟は病気でずっと入院しているんだ。このままだと、大人になるまで生きられるかわからない」
蒼ちゃんが挑英の説明を引き継いだ。
「普通の薬や手術じゃどうにもならない。上霊薬でも症状を抑えるのがやっとよ。でも、万能の霊薬ならきっと助けられる」
ダンジョンで手に入る回復アイテムでも最高の力を持つ万能の霊薬。人類が作り出せる薬などにおよびもつかない力を持っている。だが、あまりにも貴重さが高すぎる。
「一般人がお金を出しても手に入らない。いいえ。そもそもそんなお金あるわけもない」
五年前に万能の霊薬が、世界中のお金持ちが集まるオークションに出費されたときの落札価格は、たしか日本円で五十億以上だったはずだ。
お金以前に、そんなオークション、普通の人間は立ち入りすらできそうもない。
たしかに、万能の霊薬を手にするなら、自分でダンジョンを探索して見つけるくらいしか方法がないかもしれない。
「だから、どうしても半年待てないんだな」
蒼ちゃんの場合はダンジョンに入れる十八歳の誕生日という期限だけじゃない。弟の病気の進行という期限もあるのだ。
「オレと同じだな」
そうつぶやいたオレに、挑英が言った。
「どういう意味だ? お前も万能の霊薬がほしいのか?」
「いや、オレも兄弟を……兄ちゃんを助けたいってこと」
蒼ちゃんが言う。
「疾翔くんのお兄さんも病気なの?」
「違う。飛翔兄ちゃんは二年前にダンジョンの中で行方不明になったんだ」
アドベンチュラ-の資格を取得して、一年後、飛翔兄ちゃんはいつものようにダンジョンに向かい、攻略することができなかった。仲間のアドベンチュラ-は戻ってきたのだが、冒険中に生き別れになって合流できなかったらしい。
挑英が首をひねった。
「モンスターに追われてはぐれたとかか?」
「オレも詳しい状況はわからないけど……」
そう言ったオレに、教官が言った。
「転移の罠だ」
え?
「貴様の兄、飛翔は転移の罠を踏んだ。ゆえに仲間たちとはぐれてしまった」
転移の罠。たしかダンジョンの同一階層内の別の場所に飛ばされてしまう罠だったか。
たしかにそれなら仲間とはぐれたのはうなける。
「どうして教官が飛翔兄ちゃんのことを知っているんですか?」
「さあな。無駄話はここまでだ。次の広間につくぞ。警戒しろ」
ダンジョンは広間と通路の組み合わせで構成される。モンスターは広間の方が出現しやすい。
だが、結果としてオレたちの警戒は無駄に終わった。
次の広間にはモンスターはおらず、代わりにあったのはワープゲートだった。
優汰がほっとした声を出した。
「第一階層クリアーだね」
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教官がうなずいた。
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教官が第二階層へ続くワープゲートを開けた。特にモンスターが現れることもなく、オレたちは再び回転する不思議な空間へと足を踏み入れ、第二階層へとワープした。
そして、第二階層につくなり、教官が真っ青になって叫んだ。
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