100 / 101
第5章
第100話 久しぶりの薬草採取
しおりを挟む
「メアリィ店長。すまないが妹が熱を出して寝込んでいる。今日の仕事を休ませて欲しいんだが」
テニーニャちゃんの体調が悪いらしい。この王国に来て慣れない事も多くて、疲れが出たのかもしれないわね。
「あんた、お兄さんなんだからちゃんと看病してあげなさいよ」
「ああ、すまない。店長、明日は俺だけでも出てくるよ」
ティノスも疲れ気味だ。無理に仕事させるより一緒に休んでもらった方がいいだろう。
シンシアに今日の仕事を組み替えてもらって、なんとか仕事を回すようにする。
「あんたと薬草採取なんて久しぶりね」
昼からは私とユイトで山に入っての薬草採取だ。一緒にこんな事するのは、ユイトが来た頃以来じゃないかしら。
「あの頃はあんた魔獣討伐もまともにできなくて、採取ばかりやっていたわね」
「え~。そうだったけ。ちゃんと他にもお手伝いしてたよ。魔獣の解体とか上手いって言ってくれてたよね」
「そうだったかしら。まあ、ナイフの扱いだけは上手かったわね」
今ではショートソードも使い熟せるようになっている。背も伸びて私よりも高くなったし、ひょろっとしていた体もがっしりとして、もう討伐の前衛も任せられるようになっている。
「あら、あの木の根元に薬草が生えているわよ」
薬草を採っていると木の上から何かが落ちてきた。
「メアリィ!!」
「キャッ」
ユイトが覆いかぶさると同時に鋭い牙と爪が見えた。地面を転がって1撃目は躱せたようだけど近くにまだいる。
「このっ!!」
火魔法を連発する。ユイトが覆いかぶさったままで狙いは付けられないけど、とにかく気配のする方向に魔法を撃ち込む。
「ユイト! 大丈夫」
返事がない。ユイトの右肩と背中の軽鎧が跳ね飛ばされていて、肩から血が出ているのが見えた。
それよりも襲ってきたのは魔獣!? この山に魔獣はいないはずだけど。
覆いかぶさっているユイトの脇から抜け出し、辺りを見回す。
獣? 黄色い体に黒の縞模様、鋭い2本の大きな牙、サーベルタイガーね。普通は単独行動しているはずだけど2頭いる。若い個体で兄弟のようね。まだこちらを狙っているわ。
あいつは木の上から狙って来る俊敏な奴。前衛が抑えてくれないと単独の魔法では躱されてしまうだけだ。
「ユイト、ユイト!」
ダメだ。頭を打ったのか気を失っている。爪で引っかけられた肩の傷は、血が出ているけど致命傷じゃない。どこか安全な場所で治療したいけど、あのサーベルを何とかしないと……。
「アイスシールド!」
氷の壁を2面作り、1頭の進路を塞ぐ。ジェットブーツで高速移動して斜めから狙う。
「アイシクルランス!」
1頭は貫いて倒したけど、もう1頭が怒りの形相でこちらに向かって走って来る。またシールドを張れば魔力切れになる。引きつけて一撃に賭けるしかない。
「ウィンドカッター!」
しまった、避けられた。でも足に傷を負わせている。悲鳴を上げ飛び退いたサーベルタイガーは、木に隠れるようにして離れていく。
今の内だわ。ユイトの所に戻り、上半身を抱えるようにして引きずり移動する。少しでもここを離れよう、木のある林の中は不利だ。
「んん、ん……」
「ユイト、気が付いた。あっちの川の方に向かうわよ」
まだ朦朧とするユイトに肩を貸して、川へと移動する。草を踏み分けてさっきのサーベルが追ってくる気配がある。広い場所に出た方がいい。
「川が見えたわ」
下の方に河原が見えた。あの向こうは魔獣のいる魔の森だけど、こちら側まで渡ってこないはず。
肩に掴まっていたユイトがグラついて、つまずき土手を転がり落ちてしまう。
「キャー」
ユイトはまた気を失い、私は足を挫いてしまってまともに動けない。
少し離れた河原に、さっきのサーベルタイガーが足を引きずりながら降りてきて、こちらと向き合う。
「ここで、決着をつける気ね」
お互い手負いだ。最後の一撃で勝負がつく。サーベルが駆けだした。私も魔法を放つ準備をする。
「ばか! ユイト、なにしているの!」
ユイトが両手を広げて私の前に立ち上がる。サーベルの繰り出した前足にお腹を蹴られてユイトが吹っ飛んでしまう。
「ウィンドカッター!」
横に転がりながら首めがけて放った風の刃は、サーベルタイガーの首をはね夕暮れの空へと飛んで行った。
「ユイト、ユイト!」
土手には、ぐったりとしてるユイトがいる。まさか死んだんじゃないわよね。胸と胴体に着ていた軽鎧は吹き飛ばされているけど、ここからじゃ傷が見えない。
「ユイト、ユイト!」
痛む足を引きずりながら土手に向う。こんなところで私を一人にしないでよ。
引き裂かれた服の下から血がにじんでいるけど、幸い深い傷じゃないわ。光魔法を傷に当てて治療する。
「無茶な事をして……」
はっきりと意識があってしたのか分からないけど、私を守るためとはいえ剣も持たずにサーベルの前に立つなんて。
胸と肩に薬を塗って包帯を巻く。
「キイエ様を呼ばないと」
もうすぐ日が暮れる。ユイトが持っている笛を吹けばキイエ様が来てくれる。でもいつもユイトが首からかけていた笛が無い。
さっき飛ばされた時に鎖が切れたのかと思って辺りを探したけど見つからなかった。
もしかしたら最初に肩をやられた時、既に失くしていたのかもしれないわ。
夜になると、ここも危ないわ。倒したサーベルの血の臭いに誘われて他の獣たちが集まってくる。ユイトを引きずって離れた土手の窪みまで行く。
「ユイト。あなたは私が守るわ」
◇
◇
「社長がまだ帰って来ていないの?」
関係業者に支払いを済ませてお店に帰って来たら、メアリィが帰っていないとヨハノスさんから言われた。
「午後からはユイト君と山に行っているはずね。もうすぐ城門も閉まってしまうわ」
こんなに遅くなるはずがない。何かあったんだわ。
「ヨハノスさん、すみませんが一緒に王都近くの森まで行ってくれませんか」
キイエ様がいる森に行って確かめてみましょう。ムルームさんとロアクロ君にはお店に残ってもらうように言ってエアバイクで森へと向かう。
「キーエ様、キーエ様はいらっしゃいますか」
森に向かって呼びかける。
「どうした。シンシア」
キイエ様が森の奥から飛んできてくれた。
「ユイト君とメアリィがまだ帰って来ていないんです。キイエ様は何か知りませんか」
「今日はユイトとは会っていないな。何かあれば我れを呼ぶはずだが……。何処へ行った? 我れが探しに行こう」
メアリィが向かった山を教えると、そちらに向かって飛んで行ってくれた。
「ヨハノスさん、私達はお店に戻りましょう」
もしかしたら行き違いでメアリィが帰っているかもしれないわ。でもお店にはムルームさん達しかいなかった。
「私とヨハノスさんが残りますので皆さんは、帰っていただいて結構です」
もう、外も暗くなっている。みんな心配していたけど、キイエ様にメアリィ達の事は頼んであるから安心だと言ってみんなには帰ってもらう。
しばらくして、裏庭にキイエ様が帰って来た。
「メアリィ! 何かあったの」
「ごめん。獣に襲われてユイトが怪我したの。部屋に運ぶのを手伝って」
包帯を体に巻いてぐったりしているユイト君。
「ヨハノスさん、ユイト君を部屋まで運んであげて下さい。私は、お医者様を呼んでくるわ」
メアリィも足を引きずっているわね。山で獣に襲われたって言ってたけど……。私は急いで病院へ行き、お医者様に来てもらう。
---------------------
【あとがき】
お読みいただき、ありがとうございます。
明日は、いよいよ最終話となります。
(100話前後で完結というお約束通りですね。)
では、皆さん。お楽しみに。
テニーニャちゃんの体調が悪いらしい。この王国に来て慣れない事も多くて、疲れが出たのかもしれないわね。
「あんた、お兄さんなんだからちゃんと看病してあげなさいよ」
「ああ、すまない。店長、明日は俺だけでも出てくるよ」
ティノスも疲れ気味だ。無理に仕事させるより一緒に休んでもらった方がいいだろう。
シンシアに今日の仕事を組み替えてもらって、なんとか仕事を回すようにする。
「あんたと薬草採取なんて久しぶりね」
昼からは私とユイトで山に入っての薬草採取だ。一緒にこんな事するのは、ユイトが来た頃以来じゃないかしら。
「あの頃はあんた魔獣討伐もまともにできなくて、採取ばかりやっていたわね」
「え~。そうだったけ。ちゃんと他にもお手伝いしてたよ。魔獣の解体とか上手いって言ってくれてたよね」
「そうだったかしら。まあ、ナイフの扱いだけは上手かったわね」
今ではショートソードも使い熟せるようになっている。背も伸びて私よりも高くなったし、ひょろっとしていた体もがっしりとして、もう討伐の前衛も任せられるようになっている。
「あら、あの木の根元に薬草が生えているわよ」
薬草を採っていると木の上から何かが落ちてきた。
「メアリィ!!」
「キャッ」
ユイトが覆いかぶさると同時に鋭い牙と爪が見えた。地面を転がって1撃目は躱せたようだけど近くにまだいる。
「このっ!!」
火魔法を連発する。ユイトが覆いかぶさったままで狙いは付けられないけど、とにかく気配のする方向に魔法を撃ち込む。
「ユイト! 大丈夫」
返事がない。ユイトの右肩と背中の軽鎧が跳ね飛ばされていて、肩から血が出ているのが見えた。
それよりも襲ってきたのは魔獣!? この山に魔獣はいないはずだけど。
覆いかぶさっているユイトの脇から抜け出し、辺りを見回す。
獣? 黄色い体に黒の縞模様、鋭い2本の大きな牙、サーベルタイガーね。普通は単独行動しているはずだけど2頭いる。若い個体で兄弟のようね。まだこちらを狙っているわ。
あいつは木の上から狙って来る俊敏な奴。前衛が抑えてくれないと単独の魔法では躱されてしまうだけだ。
「ユイト、ユイト!」
ダメだ。頭を打ったのか気を失っている。爪で引っかけられた肩の傷は、血が出ているけど致命傷じゃない。どこか安全な場所で治療したいけど、あのサーベルを何とかしないと……。
「アイスシールド!」
氷の壁を2面作り、1頭の進路を塞ぐ。ジェットブーツで高速移動して斜めから狙う。
「アイシクルランス!」
1頭は貫いて倒したけど、もう1頭が怒りの形相でこちらに向かって走って来る。またシールドを張れば魔力切れになる。引きつけて一撃に賭けるしかない。
「ウィンドカッター!」
しまった、避けられた。でも足に傷を負わせている。悲鳴を上げ飛び退いたサーベルタイガーは、木に隠れるようにして離れていく。
今の内だわ。ユイトの所に戻り、上半身を抱えるようにして引きずり移動する。少しでもここを離れよう、木のある林の中は不利だ。
「んん、ん……」
「ユイト、気が付いた。あっちの川の方に向かうわよ」
まだ朦朧とするユイトに肩を貸して、川へと移動する。草を踏み分けてさっきのサーベルが追ってくる気配がある。広い場所に出た方がいい。
「川が見えたわ」
下の方に河原が見えた。あの向こうは魔獣のいる魔の森だけど、こちら側まで渡ってこないはず。
肩に掴まっていたユイトがグラついて、つまずき土手を転がり落ちてしまう。
「キャー」
ユイトはまた気を失い、私は足を挫いてしまってまともに動けない。
少し離れた河原に、さっきのサーベルタイガーが足を引きずりながら降りてきて、こちらと向き合う。
「ここで、決着をつける気ね」
お互い手負いだ。最後の一撃で勝負がつく。サーベルが駆けだした。私も魔法を放つ準備をする。
「ばか! ユイト、なにしているの!」
ユイトが両手を広げて私の前に立ち上がる。サーベルの繰り出した前足にお腹を蹴られてユイトが吹っ飛んでしまう。
「ウィンドカッター!」
横に転がりながら首めがけて放った風の刃は、サーベルタイガーの首をはね夕暮れの空へと飛んで行った。
「ユイト、ユイト!」
土手には、ぐったりとしてるユイトがいる。まさか死んだんじゃないわよね。胸と胴体に着ていた軽鎧は吹き飛ばされているけど、ここからじゃ傷が見えない。
「ユイト、ユイト!」
痛む足を引きずりながら土手に向う。こんなところで私を一人にしないでよ。
引き裂かれた服の下から血がにじんでいるけど、幸い深い傷じゃないわ。光魔法を傷に当てて治療する。
「無茶な事をして……」
はっきりと意識があってしたのか分からないけど、私を守るためとはいえ剣も持たずにサーベルの前に立つなんて。
胸と肩に薬を塗って包帯を巻く。
「キイエ様を呼ばないと」
もうすぐ日が暮れる。ユイトが持っている笛を吹けばキイエ様が来てくれる。でもいつもユイトが首からかけていた笛が無い。
さっき飛ばされた時に鎖が切れたのかと思って辺りを探したけど見つからなかった。
もしかしたら最初に肩をやられた時、既に失くしていたのかもしれないわ。
夜になると、ここも危ないわ。倒したサーベルの血の臭いに誘われて他の獣たちが集まってくる。ユイトを引きずって離れた土手の窪みまで行く。
「ユイト。あなたは私が守るわ」
◇
◇
「社長がまだ帰って来ていないの?」
関係業者に支払いを済ませてお店に帰って来たら、メアリィが帰っていないとヨハノスさんから言われた。
「午後からはユイト君と山に行っているはずね。もうすぐ城門も閉まってしまうわ」
こんなに遅くなるはずがない。何かあったんだわ。
「ヨハノスさん、すみませんが一緒に王都近くの森まで行ってくれませんか」
キイエ様がいる森に行って確かめてみましょう。ムルームさんとロアクロ君にはお店に残ってもらうように言ってエアバイクで森へと向かう。
「キーエ様、キーエ様はいらっしゃいますか」
森に向かって呼びかける。
「どうした。シンシア」
キイエ様が森の奥から飛んできてくれた。
「ユイト君とメアリィがまだ帰って来ていないんです。キイエ様は何か知りませんか」
「今日はユイトとは会っていないな。何かあれば我れを呼ぶはずだが……。何処へ行った? 我れが探しに行こう」
メアリィが向かった山を教えると、そちらに向かって飛んで行ってくれた。
「ヨハノスさん、私達はお店に戻りましょう」
もしかしたら行き違いでメアリィが帰っているかもしれないわ。でもお店にはムルームさん達しかいなかった。
「私とヨハノスさんが残りますので皆さんは、帰っていただいて結構です」
もう、外も暗くなっている。みんな心配していたけど、キイエ様にメアリィ達の事は頼んであるから安心だと言ってみんなには帰ってもらう。
しばらくして、裏庭にキイエ様が帰って来た。
「メアリィ! 何かあったの」
「ごめん。獣に襲われてユイトが怪我したの。部屋に運ぶのを手伝って」
包帯を体に巻いてぐったりしているユイト君。
「ヨハノスさん、ユイト君を部屋まで運んであげて下さい。私は、お医者様を呼んでくるわ」
メアリィも足を引きずっているわね。山で獣に襲われたって言ってたけど……。私は急いで病院へ行き、お医者様に来てもらう。
---------------------
【あとがき】
お読みいただき、ありがとうございます。
明日は、いよいよ最終話となります。
(100話前後で完結というお約束通りですね。)
では、皆さん。お楽しみに。
10
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

記憶喪失となった転生少女は神から貰った『料理道』で異世界ライフを満喫したい
犬社護
ファンタジー
11歳・小学5年生の唯は交通事故に遭い、気がついたら何処かの部屋にいて、目の前には黒留袖を着た女性-鈴がいた。ここが死後の世界と知りショックを受けるものの、現世に未練があることを訴えると、鈴から異世界へ転生することを薦められる。理由を知った唯は転生を承諾するも、手続き中に『記憶の覚醒が11歳の誕生日、その後すぐにとある事件に巻き込まれ、数日中に死亡する』という事実が発覚する。
異世界の神も気の毒に思い、死なないルートを探すも、事件後の覚醒となってしまい、その影響で記憶喪失、取得スキルと魔法の喪失、ステータス能力値がほぼゼロ、覚醒場所は樹海の中という最底辺からのスタート。これに同情した鈴と神は、唯に統括型スキル【料理道[極み]】と善行ポイントを与え、異世界へと送り出す。
持ち前の明るく前向きな性格の唯は、このスキルでフェンリルを救ったことをキッカケに、様々な人々と出会っていくが、皆は彼女の料理だけでなく、調理時のスキルの使い方に驚くばかり。この料理道で皆を振り回していくものの、次第に愛される存在になっていく。
これは、ちょっぴり恋に鈍感で天然な唯と、もふもふ従魔や仲間たちとの異世界のんびり物語。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~
夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】
「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」
アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。
理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。
もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。
自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。
王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると
「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」
オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが……
アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。
そして今日も大きなあの声が聞こえる。
「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」
と

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる