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第5章
第99話 村の仕事2
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階段の先にあった扉。ユイトが横に手をかざすと、音もなく扉が開く。
「わっ、勝手に開いた。ここが家? 明るい部屋ね」
「//*%&$、ユイト」
「うわ! なに。誰もいないのに声がしたわよ」
何て言っているのか分からないけど、優しそうな女の人の声が聞こえた。
「あっ、ごめんね。これがセレンおばさんなんだ。目に見えないけどちゃんといるんだよ」
「&%%メアリィ。&%#$””」
「あんた、さっきから何て言ってんのよ。さっぱり分からないわよ」
「うん。日本語って言ってセレンおばさんと話すときは、この言葉を使うんだよ」
ユイトは背中のリュックに入れていた大きな紙を、上に向かって広げる。
「セレン&%#。&%’’#%$」
「&%$=&#/”」
ユイトが見上げている天井はデコボコだし、壁には黒い板が斜めに張り付けてあるだけだ。
何もない部屋で紙を掲げ話す様は、確かに神事に見えなくもないわね。イズホさんが言っていた仕事と言うのはこの事なのね。
ユイトは何枚かの紙を広げ終わったようだわ。
「&%&$、ユイト$=&0&/$?」
「ええっ、違うよ! まだお嫁さんじゃないよ!」
えっ、どうしたの。急にユイトが大陸語で大声を上げた。
「あっ、いや、何でもないよ。%&$! &&%$((&$””!!」
また、違う言葉で話す。何だか耳が赤くなっているわよ。
「メアリィ。これでここは終わりだよ」
ユイトが扉に向かう。また扉は音もなく開きユイトと共にこの部屋を後にする。
「ねえ、ユイト。あのセレンって人は神様なの」
「ボクもよくは分からないけどジンコウチノウの一族の人で、人族の国にも親戚のメイおばさんがいるんだよ」
聞いたこともない種族の人達みたいね。神様みたいな人だし私が知らないのは当然ね。
「ユイト以外で話せる人はいるの」
「家族の中だと、父さんとお姉ちゃんだけだね。人族じゃないとあの発音が上手くできないんだよ。他は従弟の女の子もいるけどまだ小さいからね」
ご家族でも弟さんは狐族だから、しゃべれないんだ。生まれた時から父親が日本語、母親が大陸語の両方でしゃべっていて、自然に話せるようになったらしい。
急な階段を降りて入り口付近でユイトが立ち止まる。
「確かこの辺だったはずだけど。メアリィ、ちょっとランプを持っててくれる」
ユイトが壁の辺りを調べていると、何の前触れもなく壁の一部が斜めに開く。取っ手もへこみもなくどうやって開いたのか、さっぱり分からない。この家は心臓に悪いわね。
「あっ、あった、あった」
ユイトは開いた壁の中に手を入れて、大きな白い塊をいくつも取り出した。
「なんなの、それ」
「今度作る新しい部品の型なんだ。これから鉄の部品を作る型を作って組み合わせると、新しい機械ができるんだ」
言っていることは分からないけど、新しい魔道具か何かをこれで作るみたいね。
その元となる物を、ここのセレンさんが作っているのかしら。
「賢者様って言っていたのは、ここのセレンさんの事なの」
「そうだね。村の人はそう呼んでいるよ」
ユイトは扉の中の部品をリュックに詰め込んで入口の扉を出る。入り口は手で閉めないといけないらしい。魔獣などが入ってこないようにしっかりと閉めて、キイエ様の背中に乗る。
「後は港町に行って、この部品を村に送る手続きをすれば終わりなんだ」
キイエ様に乗ってこのまま王都の港まで行く。港の事務所で木箱に部品を詰めてカイトス港まで送る手続きをする。料金は向こうの港でシャウラ村の人が支払ってくれるそうだ。
まだ貨物船は来ていなかったけど、1週間以内にはシャウラ村まで届くだろうって言っている。
「へえ、ユイトはこんな大事な仕事をしてるんだね。見直しちゃったわよ」
「えへへ、まだお姉ちゃんみたいに、難しい事はできないけど、これぐらいならボクにもできるさ」
10日程が経った日。お店にユイトのお父さんからデンデン貝が届いた。
「ユイト。お父さんから連絡が来てるわよ」
「なにかな。この前のお仕事のお礼かな。メアリィも聞いてみる」
一緒にデンデン貝に耳をつけて伝言を聞いてみる。
「コラッ! ユイト! お前が送ってきた部品、全て壊れていたじゃないか。何でこんな事もできないんだ……」
「はい、すみません!」
ユイトがデンデン貝に向かってペコペコと頭を下げて謝っている。
やっぱりユイトは、ユイトね。
「ごめん、メアリィ。今からセレンおばさんの所に行ってくる。今日はお店お休みするね」
慌てて店を飛び出しキイエ様のところに走って行った。
まったく、ユイトにも困ったものだわ。
「わっ、勝手に開いた。ここが家? 明るい部屋ね」
「//*%&$、ユイト」
「うわ! なに。誰もいないのに声がしたわよ」
何て言っているのか分からないけど、優しそうな女の人の声が聞こえた。
「あっ、ごめんね。これがセレンおばさんなんだ。目に見えないけどちゃんといるんだよ」
「&%%メアリィ。&%#$””」
「あんた、さっきから何て言ってんのよ。さっぱり分からないわよ」
「うん。日本語って言ってセレンおばさんと話すときは、この言葉を使うんだよ」
ユイトは背中のリュックに入れていた大きな紙を、上に向かって広げる。
「セレン&%#。&%’’#%$」
「&%$=&#/”」
ユイトが見上げている天井はデコボコだし、壁には黒い板が斜めに張り付けてあるだけだ。
何もない部屋で紙を掲げ話す様は、確かに神事に見えなくもないわね。イズホさんが言っていた仕事と言うのはこの事なのね。
ユイトは何枚かの紙を広げ終わったようだわ。
「&%&$、ユイト$=&0&/$?」
「ええっ、違うよ! まだお嫁さんじゃないよ!」
えっ、どうしたの。急にユイトが大陸語で大声を上げた。
「あっ、いや、何でもないよ。%&$! &&%$((&$””!!」
また、違う言葉で話す。何だか耳が赤くなっているわよ。
「メアリィ。これでここは終わりだよ」
ユイトが扉に向かう。また扉は音もなく開きユイトと共にこの部屋を後にする。
「ねえ、ユイト。あのセレンって人は神様なの」
「ボクもよくは分からないけどジンコウチノウの一族の人で、人族の国にも親戚のメイおばさんがいるんだよ」
聞いたこともない種族の人達みたいね。神様みたいな人だし私が知らないのは当然ね。
「ユイト以外で話せる人はいるの」
「家族の中だと、父さんとお姉ちゃんだけだね。人族じゃないとあの発音が上手くできないんだよ。他は従弟の女の子もいるけどまだ小さいからね」
ご家族でも弟さんは狐族だから、しゃべれないんだ。生まれた時から父親が日本語、母親が大陸語の両方でしゃべっていて、自然に話せるようになったらしい。
急な階段を降りて入り口付近でユイトが立ち止まる。
「確かこの辺だったはずだけど。メアリィ、ちょっとランプを持っててくれる」
ユイトが壁の辺りを調べていると、何の前触れもなく壁の一部が斜めに開く。取っ手もへこみもなくどうやって開いたのか、さっぱり分からない。この家は心臓に悪いわね。
「あっ、あった、あった」
ユイトは開いた壁の中に手を入れて、大きな白い塊をいくつも取り出した。
「なんなの、それ」
「今度作る新しい部品の型なんだ。これから鉄の部品を作る型を作って組み合わせると、新しい機械ができるんだ」
言っていることは分からないけど、新しい魔道具か何かをこれで作るみたいね。
その元となる物を、ここのセレンさんが作っているのかしら。
「賢者様って言っていたのは、ここのセレンさんの事なの」
「そうだね。村の人はそう呼んでいるよ」
ユイトは扉の中の部品をリュックに詰め込んで入口の扉を出る。入り口は手で閉めないといけないらしい。魔獣などが入ってこないようにしっかりと閉めて、キイエ様の背中に乗る。
「後は港町に行って、この部品を村に送る手続きをすれば終わりなんだ」
キイエ様に乗ってこのまま王都の港まで行く。港の事務所で木箱に部品を詰めてカイトス港まで送る手続きをする。料金は向こうの港でシャウラ村の人が支払ってくれるそうだ。
まだ貨物船は来ていなかったけど、1週間以内にはシャウラ村まで届くだろうって言っている。
「へえ、ユイトはこんな大事な仕事をしてるんだね。見直しちゃったわよ」
「えへへ、まだお姉ちゃんみたいに、難しい事はできないけど、これぐらいならボクにもできるさ」
10日程が経った日。お店にユイトのお父さんからデンデン貝が届いた。
「ユイト。お父さんから連絡が来てるわよ」
「なにかな。この前のお仕事のお礼かな。メアリィも聞いてみる」
一緒にデンデン貝に耳をつけて伝言を聞いてみる。
「コラッ! ユイト! お前が送ってきた部品、全て壊れていたじゃないか。何でこんな事もできないんだ……」
「はい、すみません!」
ユイトがデンデン貝に向かってペコペコと頭を下げて謝っている。
やっぱりユイトは、ユイトね。
「ごめん、メアリィ。今からセレンおばさんの所に行ってくる。今日はお店お休みするね」
慌てて店を飛び出しキイエ様のところに走って行った。
まったく、ユイトにも困ったものだわ。
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