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第7章 新たな種族
第60話 種族遺伝子3
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「ジェーン、なんであんたまでここに居るのよ」
「だって、私もこの実験に協力したのよ。それを言ったら協力してないエルフィの方こそダメじゃん」
「お二人とも、こんな所で喧嘩しないでください。リビティナ様に見つかってしまいますよ」
ここはリビティナの部屋の隣にある物置部屋。今晩、フィフィロとリビティナが性交……いいえ、実験を行なおうとしている。
「それにしてもルルーチア、あんたお兄さんがリビティナと交わるとこ見て気まずくないの」
「兄さまの事は何でも知っておきたいので」
「あんたのブラコンも大したものね」
「ブラコン?」
まあ、いいわ。こういう機会はめったにないからね。今後の参考のためにもしっかりと見ておかないと。
壁の隙間に空いた穴から隣りの様子を覗き見る。二人がベッドに座ってキスしているわ。ベロちゅうね。
割れている壁の隙間。あたしの上から覗いていたジェーンが、赤い顔をして口元を手で押さえている。初心な子ね。まだこれからなのに。それにしても、ルルーチアは平気な顔してるわね。
「リビティナ様が、兄さまのあんなところを舐めていますよ!」
「う、うん。そうね、意外と大きいわね」
「あ、あんなことまでするの!」
ジェーンが顔を真っ赤にしてるけど、目は隣の部屋に釘付けね。
二人は服を脱ぎながら、もつれるようにベッドに横になっていく。体を重ねて体中に口づけしていく。リビティナの漏らす吐息が徐々に大きくなってきたわ。
「リビティナ様、すごく気持ちよさそうですよ」
「そ、そうね。リ、リビティナったら、あんなはしたない声出して……」
「ん、うん……」
二人の動きが徐々に激しくなっていき、同時に果てたみたい。今は静かにベッドで抱き合っている。
「兄さま、すごく幸せそうな顔してました。あれが愛の営みなんですね」
「そ、そうね。私達もバレないうちに部屋に戻りましょう」
「ん、うん……。あの、手を貸して。なんだか足に力が入らないの」
ジェーンを支えながら、静かにあたしの部屋に戻って来た。三人横になって寝るけど、なかなか寝付けないわ。
「やあ、君達もお泊り会だったのかい」
朝食をネイトスに作ってもらって、三人一緒に食堂に入る。リビティナはやけに元気ね。それに比べあたしは寝不足よ。
「兄さま。お身体の方は大丈夫ですか」
「実験は二回目だしね。大丈夫だよ」
ルルーチアはニコニコとフィフィロの隣りで朝食を食べている。ジェーンったらモジモジとしながらリビティナ達を見てるけど、そんなことしてたら昨日覗いてたのがバレちゃうでしょう! 気を逸らすように、話題を振る。
「リビティナ。結果はすぐに分かるの?」
「そうだね。やっぱり一週間ぐらいは掛かるかな。でも今度は上手くいきそうな気がするよ」
そう言って、自分のお腹を優しく撫でる。
◇
◇
今回、ルルーチアの卵子は二百個用意した。その他にもエリーシアとメルーラも参加してくれた。元鬼人族に元妖精族。サンプルは多い方がいいしね。
今のところ、用意した卵子全てで受精が完了して、既に細胞分裂を起こしている。その細胞を一つ取り出して遺伝子を調べていく。外殻遺伝子が形成されていないか、それと内殻遺伝子に異常が見られないか詳細に調べる。
「おっ、これは外殻遺伝子……でも不完全だね」
ルルーチアの卵子を五十個調べたところで、外殻遺伝子が半分くらい残っている細胞を見つけた。その後も順番に受精卵を調べていく。
「おおっ! これはすごいね、完璧な外殻遺伝子じゃないか。欠損部分が補完されて、内殻遺伝子の周りを完全に取り囲んでいるよ」
欠けた部分に、少し変化したルルーチアの遺伝子がくっ付いているようだね。やはり、遺伝的に近しい者同士だと外殻遺伝子に変化が表れるんだ。この受精卵は冷凍保存しておかないと。
他にも外殻遺伝子だけがある受精卵も見つかった。でもこれは分裂が途中で止まったようだ。一応これも冷凍保存しておこう。
「おや、メルーラの卵子に外殻遺伝子の破片がくっ付いているのがあるね」
今までになかった現象だ。不完全ではあるけど、二層構造になっている卵子がエリーシアにも見つかった。
もう少し研究すれば、他の眷属にも完全な外殻遺伝子を移植できる可能性があるね。
「フィフィロ君、ルルーチアちゃん。二人のお陰で実験は大成功だよ」
「それじゃ、この里に新しい子供が生まれるという事ですね」
「そうだね、その事も確かめないといけないけど、実際に子供を産むのは別の人にしてもらうつもりだよ」
リビティナの体内で冷凍状態の受精卵を、出産経験のある眷属の子宮に移して代理出産してもらおう。これが一番リスクの少ない方法だからね。
完全な人間の外殻遺伝子を持つ子供。もし成功すれば最初の人族となる。フィフィロとルルーチアはそのアダムとイブ的な存在となる訳だ。
代理母を募集すると、複数の女性が協力してくれると言ってくれた。受精卵を四分割して、その内の一つを協力者の子宮に入れて着床させる。
「十ヶ月後に子供が生まれることを祈ろう」
「はい、リビティナ様」
「成功すれば、他の人も子供が授かれるようにするからね」
子供が無事生まれて人間の外殻遺伝子だと証明できたら、それが種族遺伝子となる。それを他の人の受精卵に移植すれば人族としての子供が生まれる。
この里の未来は明るいよ。
「だって、私もこの実験に協力したのよ。それを言ったら協力してないエルフィの方こそダメじゃん」
「お二人とも、こんな所で喧嘩しないでください。リビティナ様に見つかってしまいますよ」
ここはリビティナの部屋の隣にある物置部屋。今晩、フィフィロとリビティナが性交……いいえ、実験を行なおうとしている。
「それにしてもルルーチア、あんたお兄さんがリビティナと交わるとこ見て気まずくないの」
「兄さまの事は何でも知っておきたいので」
「あんたのブラコンも大したものね」
「ブラコン?」
まあ、いいわ。こういう機会はめったにないからね。今後の参考のためにもしっかりと見ておかないと。
壁の隙間に空いた穴から隣りの様子を覗き見る。二人がベッドに座ってキスしているわ。ベロちゅうね。
割れている壁の隙間。あたしの上から覗いていたジェーンが、赤い顔をして口元を手で押さえている。初心な子ね。まだこれからなのに。それにしても、ルルーチアは平気な顔してるわね。
「リビティナ様が、兄さまのあんなところを舐めていますよ!」
「う、うん。そうね、意外と大きいわね」
「あ、あんなことまでするの!」
ジェーンが顔を真っ赤にしてるけど、目は隣の部屋に釘付けね。
二人は服を脱ぎながら、もつれるようにベッドに横になっていく。体を重ねて体中に口づけしていく。リビティナの漏らす吐息が徐々に大きくなってきたわ。
「リビティナ様、すごく気持ちよさそうですよ」
「そ、そうね。リ、リビティナったら、あんなはしたない声出して……」
「ん、うん……」
二人の動きが徐々に激しくなっていき、同時に果てたみたい。今は静かにベッドで抱き合っている。
「兄さま、すごく幸せそうな顔してました。あれが愛の営みなんですね」
「そ、そうね。私達もバレないうちに部屋に戻りましょう」
「ん、うん……。あの、手を貸して。なんだか足に力が入らないの」
ジェーンを支えながら、静かにあたしの部屋に戻って来た。三人横になって寝るけど、なかなか寝付けないわ。
「やあ、君達もお泊り会だったのかい」
朝食をネイトスに作ってもらって、三人一緒に食堂に入る。リビティナはやけに元気ね。それに比べあたしは寝不足よ。
「兄さま。お身体の方は大丈夫ですか」
「実験は二回目だしね。大丈夫だよ」
ルルーチアはニコニコとフィフィロの隣りで朝食を食べている。ジェーンったらモジモジとしながらリビティナ達を見てるけど、そんなことしてたら昨日覗いてたのがバレちゃうでしょう! 気を逸らすように、話題を振る。
「リビティナ。結果はすぐに分かるの?」
「そうだね。やっぱり一週間ぐらいは掛かるかな。でも今度は上手くいきそうな気がするよ」
そう言って、自分のお腹を優しく撫でる。
◇
◇
今回、ルルーチアの卵子は二百個用意した。その他にもエリーシアとメルーラも参加してくれた。元鬼人族に元妖精族。サンプルは多い方がいいしね。
今のところ、用意した卵子全てで受精が完了して、既に細胞分裂を起こしている。その細胞を一つ取り出して遺伝子を調べていく。外殻遺伝子が形成されていないか、それと内殻遺伝子に異常が見られないか詳細に調べる。
「おっ、これは外殻遺伝子……でも不完全だね」
ルルーチアの卵子を五十個調べたところで、外殻遺伝子が半分くらい残っている細胞を見つけた。その後も順番に受精卵を調べていく。
「おおっ! これはすごいね、完璧な外殻遺伝子じゃないか。欠損部分が補完されて、内殻遺伝子の周りを完全に取り囲んでいるよ」
欠けた部分に、少し変化したルルーチアの遺伝子がくっ付いているようだね。やはり、遺伝的に近しい者同士だと外殻遺伝子に変化が表れるんだ。この受精卵は冷凍保存しておかないと。
他にも外殻遺伝子だけがある受精卵も見つかった。でもこれは分裂が途中で止まったようだ。一応これも冷凍保存しておこう。
「おや、メルーラの卵子に外殻遺伝子の破片がくっ付いているのがあるね」
今までになかった現象だ。不完全ではあるけど、二層構造になっている卵子がエリーシアにも見つかった。
もう少し研究すれば、他の眷属にも完全な外殻遺伝子を移植できる可能性があるね。
「フィフィロ君、ルルーチアちゃん。二人のお陰で実験は大成功だよ」
「それじゃ、この里に新しい子供が生まれるという事ですね」
「そうだね、その事も確かめないといけないけど、実際に子供を産むのは別の人にしてもらうつもりだよ」
リビティナの体内で冷凍状態の受精卵を、出産経験のある眷属の子宮に移して代理出産してもらおう。これが一番リスクの少ない方法だからね。
完全な人間の外殻遺伝子を持つ子供。もし成功すれば最初の人族となる。フィフィロとルルーチアはそのアダムとイブ的な存在となる訳だ。
代理母を募集すると、複数の女性が協力してくれると言ってくれた。受精卵を四分割して、その内の一つを協力者の子宮に入れて着床させる。
「十ヶ月後に子供が生まれることを祈ろう」
「はい、リビティナ様」
「成功すれば、他の人も子供が授かれるようにするからね」
子供が無事生まれて人間の外殻遺伝子だと証明できたら、それが種族遺伝子となる。それを他の人の受精卵に移植すれば人族としての子供が生まれる。
この里の未来は明るいよ。
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