転生ヴァンパイア様の引きこもりスローライフ。お暇なら国造りしませんか

水瀬 とろん

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第7章 新たな種族

第58話 種族遺伝子1

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 フィフィロとルルーチアの血を吸って、その遺伝子を調べる。調べると言っても機械などを使って調べるんじゃなくて、リビティナの体内で行なう。

 眷属化や血を分け与えて傷を治すときに、無意識ではあるけど相手の遺伝子を調べ、それに見合った処置をしているようだ。
 眷属化の時も遺伝子を調べて外殻遺伝子のみを壊している。生物に外殻遺伝子があることも後で知ったくらいだからね。

 そういう科学的な処理は体内で行なって、ガイダンス機能のように頭に思い浮かべると結果がすぐに分かる。
 それによると、フィフィロは人間ではあるけど外殻遺伝子を持っているようだね。

「まあ、魔法が使えるんだから予想していた通りなんだけど」

 魔獣を含めこの世界の生き物全てが、二重螺旋で二層構造の遺伝子になっている。その外殻遺伝子が魔力回路や魔結晶の生体設計図となり機能している。

 同じ兄妹であるルルーチアには、外殻遺伝子が一切ない。眷属化の時に完全に破壊したのだろう。白子の病気になるのと眷属化はほぼ同じ現象だ。フィフィロも外殻遺伝子が無くてあたりまえのはずなんだけど。
 親が違うのかとルルーチアの内殻遺伝子を調べたけど、確かに兄妹の物だね、同じ親から生まれている。するとフィフィロの遺伝子は、個人の突然変異と言う事になるね。

「でも、この外殻遺伝子は完全な物じゃないようだ……」

 獣人や鬼人族の遺伝子を調べたことがあるけど、内殻遺伝子の周辺を完全に覆うような構造をしている。でもフィフィロの遺伝子は四分の一ほどが欠けているようだね。

 そういえばこの里に来る前に、女性の魔術師からフィフィロの魔結晶は不完全か成長途中だと言われたらしい。そうだ、エマルク医師にも聞いてみよう。

「フィフィロは黒死病になる恐れがあってな。魔結晶から魔素が逆流するそうじゃ。日頃から魔術を使って魔素を放出すれば、健康を害する事はないから心配ないんじゃがな」

 やはり外殻遺伝子が欠けている影響なんだろうね。
 とは言え、人間の体で機能している魔結晶と外殻遺伝子。外殻遺伝子は種族固有の物。するとフィフィロの持つ遺伝子は人族として進化途中の遺伝子と言う事になるのかな……。

 この異世界に人族と呼ばれる種族はいない。リビティナの眷属は人間だけど、この世界に対応できていない未成熟な生物と言う事になる。他の種族はこの異世界で進化し、魔素や魔法に対応した体となっている。
 子供を成し、それを未来へと繋ぐ事ができる。

 フィフィロが子を成せば、さらに進化して人族としてこの異世界に生存できるかもしれない。

 これは実験してみる価値があるね。フィフィロの遺伝子も過去何万年もの進化が積み重なって発現したものだろう。この先何万年後かに完全な人間の外殻遺伝子が完成する可能性は高い。

「ボクは不死身とはいえ、そんなに待っていられないからね。フィフィロ君には沢山の子供を作ってもらおうかな」

 これは有意義な研究になりそうだよ。
 ちょうどいいや。芝生の上に座ってエルフィが里の女の子達と一緒に談笑している。

「ねえ、君達。フィフィロ君と子供を作りたい人はいるかな?」
「うわっ! リビティナ。あんた突然何言ってんのよ。バッカじゃないの」

 バカとは失礼な。とはいえ、他の女の子達も引いた目をしている。これは性急すぎたかな。

「あのね、実際に子供を作るんじゃなくてね。体外受精してその遺伝子を調べるんだよ」
「あの、リビティナ様。言っていることはよく分かりませんが、フィフィロ君ってまだ成人してませんよ。結婚してもいいんですか」
「まあ、この里では別に構わないよ。フィフィロ君、少し前に精通も済んでいるし子供は作れるからね」

 あれ。また、女の子達に引かれてしまったよ。

「ほんと、あんたは何考えているのよ。ちょっとこっちに来なさい」

 エルフィに手を引かれて、木の陰に連れていかれてしまった。

「まだ、あの子達は未経験なのよ。そんな子に子供をなんて……順番があるでしょう」
「そう言えばエルフィもまだだったね」
「あ、あたしの事はいいのよ」

 気恥ずかしいのか、プイッと顔を横に向けるエルフィ。ちょっと説明が足りなかったようだね。

「受精卵を作りたくてね、そのサンプルが欲しんだよ。血を吸わせてくれたら後はこっちでするからさ」
「リビティナが血を吸うだけなの。でもなんでそんな事すんのよ」

 人族の可能性の事を詳しく説明して、協力してくれないか頼んでみた。

「良く分からない事もあるけど、この里のためなのね。あの子達にはあたしから言っておくわ」
「そうだ、エルフィでもいいんだけどな」
「あ、あたしは嫌だからね! 体外受精とやらでも子供を作るんでしょう。やっぱり最初は、好きな人と……」

 何かゴニョゴニョと訳の分からない事を言っているけど、後はエルフィに任せた方がいいみたいだね。希望者はリビティナの家まで来てほしいと伝えて、その場を後にした。

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