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第1章 共和国の旅
第24話 港町観光
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魔術師協会を出て、村人の夫婦が待つ馬車に戻ると、今まで払えなかった報酬だと言ってお金を渡してきた。
「村長に言われた分の報酬を渡しておくよ。君達のお陰で村は救われた。本当にありがとう」
そういえば木の魔獣などを倒した報酬をもらっていなかったな。だがもらった報酬はそれを遥かに上回る額だった。
「こんなには、もらえないぞ」
「あなた方には本当に助けてもらったわ。お陰で村の復旧もできました」
「だからと言ってこの額は多すぎだ。今まで食事も作ってもらっていたしな」
「村長からの伝言だ。あんた達は旅の途中に立ち寄って村を救ってくれた。後は我々でやっていく。危険な事をさせて悪かったと」
村長はそんな事を考えていたのか。確かに裏山の奥に踏み入るのは危険ではあるのだが、俺達の勝手でやったこと。報酬も要らないと言ったはずなんだがな。
「俺もあんた達に村に残って……。いや、あんたらは目的があって旅をしているのだろう。この金は旅の資金にでもしてくれ」
「村の恩人に怪我させちゃ申し訳ないからね。チセちゃんも元気でね」
村には今日売った分のお金があるから困らないのかもしれないが、気を遣わせてしまったようだ。
「それならありがたく頂いておくよ。あんたらの帰りの護衛はいいのか」
「俺達は何度もこの町に来ている。大丈夫さ」
元から護衛は必要なかったのだろう。どうも俺達が初めて訪れるこの町に一緒に来てくれたようだな。
城門まで一緒に行ったが、村人はそのまま帰るそうだ。城門を潜り名残惜しそうに手を振り俺達に別れを告げた。
――カンコ~ン カンコ~ン
もう昼か。門で待っていると、アイシャ達が城門までやって来た。馬車の中で、アイシャ達にさっき別れた村人の事を話す。
「村の人に気を遣われてな、旅の資金にと餞別までもらってしまったよ」
「まあ、どうしてかしら。まだ毒の川の調査も終わってないのに」
「危ない事をさせて、怪我させたら申し訳ないと言っていたな」
「私達は冒険者なんだから、危険なのは当たり前なのにね」
俺達からすると、当たり前の事でも村人からすると危険な事と映るようだな。今まで立ち入れなかった、森の奥へと踏み入れて行くんだからな。
「ユヅキ。それじゃこの港町に何日かいてもいいの」
「ずっとという訳じゃないが、しばらくは滞在してもいいと思うが」
「師匠。私は早く村に帰りたいです」
チセは村の毒を使って、マンドレイクを育てる実験をしたいと言っていたからな。
「元々この港町は、俺達が暮らせるか見に来ようとしていた町だ。2、3日見て回るのはどうだ、チセ」
「まあ、2、3日くらいならいいですけど……」
「アイシャとカリンもそれでいいか」
「そうね、それぐらいなら町の様子が分かるわね」
「それじゃ、町の高台に行ってみない。港や町が見渡せる場所があるんだって」
馬車を昨日泊まった宿屋に預けて、キイエも一緒にカリンが言っていた高台に行ってみる。
港の横の崖を登った展望台で、湾内と外海が一望できる。
「ユヅキさん、すごい、すごい。あんな遠くまでず~っと海よ」
「師匠、遠見の魔道具でも、あの海の先は見えませんよ。すごいですね」
アイシャ達はこんな広大な海の景色を見たことがないからな。この高台からの景色は感動ものだよな。キイエも海風を受けて、空高くまで飛んで気持ちよさそうだ。
ここまで来ると水平線も丸く見えるが、大地が丸いと言っても信じてもらえんし、野暮なことは言わす皆と景色を楽しむか。
「おっ、船が停まっているぞ」
朝には停まっていなかった、大きな船が港に停泊していた。あれが交易用の船のようだ。多くの荷物が積み込まれている帆船で、小型フェリーほどの大きさがある。
この世界で帆船を見るのは初めてだが、わりと大きな船もあるんだな。今度は港に降りてみんなで船を見に行く。
「師匠、すごくおおきな船ですね。これが海に浮かんでいるなんて信じられません」
「それにしてもすごい人ね。朝早くに来た浜とはえらい違いだわ」
船の積み荷を降ろしたり、荷物を小分けにして商人に引き渡したりと人々が行き交っている。
「ドワーフの人達が積み荷を運んでいるのね。船員の人達かしら」
町ではあまり見かけなかったドワーフ族が荷物を背に忙しく動き回っている。
「チセ。ドワーフの人はこういう仕事もしてるのか」
「さあ、どうなんでしょう。あたしは職人のドワーフしか見たことないですけど、力持ちが多いから大きな荷を運ぶのに向いているのかもしれませんね」
港の様子を見ていたら、そろそろ日も暮れてきた。夕食はカリンが見つけてきたレストランで食事をする。
このレストランの料理も美味かった。カリンは美味いものを見つける才能があるんだな。
食事を終えて、お腹一杯になり宿へと戻る。
今夜はカリンと一緒の部屋、ベッドで横になりながら話をする。
「ユヅキ。私はねえ、父さんにも負けない大きな店を持って商売するのが夢なの」
あれ、こいつ前は、お医者さんになるのが夢だと言ってなかったか。まあいろんな夢を持つことはいい事だ。
「共和国って商売してる人が、いっぱいいるでしょう。私も商売人になってもいいのよ。冒険者は危険でしょう」
「そうだな。町で暮らすんだったら、店を持つのもいいかもしれんな。でも商売も危険はある。無一文になる事もあるんだぞ」
「私は、ユヅキがいてくれたら、他はなにも要らないわ」
まあ、あまり深くは考えていないようだが、俺の事を思ってこんな事を言ってくれているのだろう。
「そうだな、俺達はいつまでも一緒だからな」
「ええ、いつまでも一緒にいましょうね」
「村長に言われた分の報酬を渡しておくよ。君達のお陰で村は救われた。本当にありがとう」
そういえば木の魔獣などを倒した報酬をもらっていなかったな。だがもらった報酬はそれを遥かに上回る額だった。
「こんなには、もらえないぞ」
「あなた方には本当に助けてもらったわ。お陰で村の復旧もできました」
「だからと言ってこの額は多すぎだ。今まで食事も作ってもらっていたしな」
「村長からの伝言だ。あんた達は旅の途中に立ち寄って村を救ってくれた。後は我々でやっていく。危険な事をさせて悪かったと」
村長はそんな事を考えていたのか。確かに裏山の奥に踏み入るのは危険ではあるのだが、俺達の勝手でやったこと。報酬も要らないと言ったはずなんだがな。
「俺もあんた達に村に残って……。いや、あんたらは目的があって旅をしているのだろう。この金は旅の資金にでもしてくれ」
「村の恩人に怪我させちゃ申し訳ないからね。チセちゃんも元気でね」
村には今日売った分のお金があるから困らないのかもしれないが、気を遣わせてしまったようだ。
「それならありがたく頂いておくよ。あんたらの帰りの護衛はいいのか」
「俺達は何度もこの町に来ている。大丈夫さ」
元から護衛は必要なかったのだろう。どうも俺達が初めて訪れるこの町に一緒に来てくれたようだな。
城門まで一緒に行ったが、村人はそのまま帰るそうだ。城門を潜り名残惜しそうに手を振り俺達に別れを告げた。
――カンコ~ン カンコ~ン
もう昼か。門で待っていると、アイシャ達が城門までやって来た。馬車の中で、アイシャ達にさっき別れた村人の事を話す。
「村の人に気を遣われてな、旅の資金にと餞別までもらってしまったよ」
「まあ、どうしてかしら。まだ毒の川の調査も終わってないのに」
「危ない事をさせて、怪我させたら申し訳ないと言っていたな」
「私達は冒険者なんだから、危険なのは当たり前なのにね」
俺達からすると、当たり前の事でも村人からすると危険な事と映るようだな。今まで立ち入れなかった、森の奥へと踏み入れて行くんだからな。
「ユヅキ。それじゃこの港町に何日かいてもいいの」
「ずっとという訳じゃないが、しばらくは滞在してもいいと思うが」
「師匠。私は早く村に帰りたいです」
チセは村の毒を使って、マンドレイクを育てる実験をしたいと言っていたからな。
「元々この港町は、俺達が暮らせるか見に来ようとしていた町だ。2、3日見て回るのはどうだ、チセ」
「まあ、2、3日くらいならいいですけど……」
「アイシャとカリンもそれでいいか」
「そうね、それぐらいなら町の様子が分かるわね」
「それじゃ、町の高台に行ってみない。港や町が見渡せる場所があるんだって」
馬車を昨日泊まった宿屋に預けて、キイエも一緒にカリンが言っていた高台に行ってみる。
港の横の崖を登った展望台で、湾内と外海が一望できる。
「ユヅキさん、すごい、すごい。あんな遠くまでず~っと海よ」
「師匠、遠見の魔道具でも、あの海の先は見えませんよ。すごいですね」
アイシャ達はこんな広大な海の景色を見たことがないからな。この高台からの景色は感動ものだよな。キイエも海風を受けて、空高くまで飛んで気持ちよさそうだ。
ここまで来ると水平線も丸く見えるが、大地が丸いと言っても信じてもらえんし、野暮なことは言わす皆と景色を楽しむか。
「おっ、船が停まっているぞ」
朝には停まっていなかった、大きな船が港に停泊していた。あれが交易用の船のようだ。多くの荷物が積み込まれている帆船で、小型フェリーほどの大きさがある。
この世界で帆船を見るのは初めてだが、わりと大きな船もあるんだな。今度は港に降りてみんなで船を見に行く。
「師匠、すごくおおきな船ですね。これが海に浮かんでいるなんて信じられません」
「それにしてもすごい人ね。朝早くに来た浜とはえらい違いだわ」
船の積み荷を降ろしたり、荷物を小分けにして商人に引き渡したりと人々が行き交っている。
「ドワーフの人達が積み荷を運んでいるのね。船員の人達かしら」
町ではあまり見かけなかったドワーフ族が荷物を背に忙しく動き回っている。
「チセ。ドワーフの人はこういう仕事もしてるのか」
「さあ、どうなんでしょう。あたしは職人のドワーフしか見たことないですけど、力持ちが多いから大きな荷を運ぶのに向いているのかもしれませんね」
港の様子を見ていたら、そろそろ日も暮れてきた。夕食はカリンが見つけてきたレストランで食事をする。
このレストランの料理も美味かった。カリンは美味いものを見つける才能があるんだな。
食事を終えて、お腹一杯になり宿へと戻る。
今夜はカリンと一緒の部屋、ベッドで横になりながら話をする。
「ユヅキ。私はねえ、父さんにも負けない大きな店を持って商売するのが夢なの」
あれ、こいつ前は、お医者さんになるのが夢だと言ってなかったか。まあいろんな夢を持つことはいい事だ。
「共和国って商売してる人が、いっぱいいるでしょう。私も商売人になってもいいのよ。冒険者は危険でしょう」
「そうだな。町で暮らすんだったら、店を持つのもいいかもしれんな。でも商売も危険はある。無一文になる事もあるんだぞ」
「私は、ユヅキがいてくれたら、他はなにも要らないわ」
まあ、あまり深くは考えていないようだが、俺の事を思ってこんな事を言ってくれているのだろう。
「そうだな、俺達はいつまでも一緒だからな」
「ええ、いつまでも一緒にいましょうね」
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