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第2章 街暮らし 冒険者編
第48話 冒険者ギルド
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帰りが遅くなってしまったな。焦って家に帰るが、空はまだ明るい。山の上に帰るんじゃないんだから焦ることもなかったか。
だが家に着くと、まだアイシャは帰っていなかった。今日は冒険者ギルドに行くと言っていたが何かあったのか?
家を出て探そうとすると、道の向こうからアイシャが足早に帰って来ている。
「ごめんなさい、ユヅキさん。少し遅くなってしまったわね」
「何かあったのかと心配したが、大丈夫だったか?」
「ええ、カリンの所で相談していたら遅くなってしまって。さあ、夕飯を作りましょう」
家の中に入って、一緒に夕食の準備をする。
「今日、冒険者ギルドで話を聞いてきたの。登録にお金は要るけど簡単にできて、最初は色々と相談にも乗ってくれるそうよ」
ひとりでちゃんと説明を受けて来れたようだな。ならず者が多いと聞いていたが、取り越し苦労のようだ。
「それなら俺もアイシャと一緒に、冒険者として仕事をしよう」
「えっ、ユヅキさんも。嬉しいけど今の仕事はどうするの」
「大丈夫さ。仕事は1週間に2日か3日だけだ。指定された日に職人ギルドへ行けば、他の日は何をしても良いとギルドマスターも言ってたからな」
今後は職人ギルドの職員と、冒険者ギルドでの仕事の掛け持ちになっていくんだろうな。この町で生活するならそれが一番だ。
「明日にでも冒険者ギルドに行ってふたりで登録しよう。それでどんな仕事があるんだ」
「最初は薬草の採取がいいそうよ。魔獣の狩りなんかもあるそうだけど、初心者でそれは無理だって言ってたわ」
「薬草の採取なら、俺もアイシャを手伝えそうだな」
冒険者か……話を聞いていると俺にもできそうかなと、少しワクワクしながらその日は眠りについた。
翌朝の鐘3つ。前の世界の朝9時に冒険者ギルドに向かう。ここは前に来たことがあるが、職人ギルドとは違って大きな石造りの3階建ての建物だ。
1階は酒場が併設されていて、冒険者なのかガラの悪い連中が朝から飲み食いしている。ドアを開け中に入って行ったアイシャに声を掛けてくる。
「お~、かわい子ちゃんだね。新人冒険者か? こっちに来ないか」
無視し前を行くアイシャになおも声を掛けようとしていたが、剣を携えた人族の俺が後ろから付いて入っていくと、ギクッとして黙ってしまった。人族というのもこういう時には役に立つものだな。
しかしアイシャも肝が据わっているな。こんな連中を前に、昨日も凛々しく歩いていたんだろう。
「ユヅキさん、あそこが受付なの」
受付の窓口は4つあって、その前に数人が並んでいる。その後ろに付き順番を待つ。
「いらっしゃいませ。あれ、昨日来てた子よね。冒険者になりに来たの?」
「ええ、ユヅキさんと一緒に登録に来ました」
受付嬢の獣人は狐族の女性だが、商業ギルド長のような美人タイプではなく、人懐っこいかわいい系のお嬢さんだ。昨日アイシャを担当してくれた人のようだな。
「では、改めて冒険者ギルドについて説明しますね。冒険者にはランクがありまして一番下の青銅から鉄、そして白銀というように上がっていきます。最上級はアダマンタイトです。
各ランク内にはレベルが1から4まであって、レベルを上げるには依頼をこなして実績を積んでいく必要があります。
でも受けられる依頼は自分のランク上下1つの範囲だけですので注意してくださいね」
俺達は青銅ランクのレベル1から始めて、依頼は鉄ランクまで受けられるという事のようだな。
「でもパーティーを組んでその中に上位者がいた場合、高ランクの依頼に参加することは可能です。その場合、実績としては認められませんが、報酬はパーティー内の話し合いで配分されます」
上位パーティーに付いて行くだけで、簡単にレベル上げができないようになっているのか。
「その他、非常時にギルドからの依頼で全員参加可能なものがありますが、それは個人の働きによって実績が認められます」
「依頼書は壁に貼っているようだが、俺達は文字が読めない。どうやって依頼を選べばいいんだ?」
受付嬢が手元にある依頼書を1枚カウンターに置いて説明してくれた。
「文字が読めない方は多いので、依頼書の角にあるこの☆印の数が依頼のランクになります。☆1つが青銅ランクですね」
依頼内容も絵で描いているものがほとんどで、カウンターに持っていけば受付嬢が依頼の詳しい説明をしてくれるらしい。
「この下の方の数字はなんだ?」
「ここには採取や討伐の必要数、その横が期限の日付ですね。その下は報酬額となっていて、どの依頼書も同じ書き方をしています」
数字なら俺でも読めるから、参考になるな。
依頼の期限に間に合わなかったり必要数が取れないと、報酬の減額や全額支払われないそうだ。依頼が失敗すれば、評価も下がるようだな。失敗が多ければランク落ちもするらしい。実力次第という事のようだ。
「最初のうちは、こちらからもアドバイスしますので安心してください」
「大体分かった。登録には金がかかるということだが」
「まず登録料ですが、おひとりに付き銀貨10枚が必要です。それとギルドの年会費として銀貨40枚。こちらは月払い5枚でも結構ですよ」
その程度なら、すぐにでも支払えるな。冒険者証もすぐ作れるそうで、それがあれば依頼に関する町の出入りの通行料が不要になるそうだ。それはお得だな。
「依頼の手数料はギルドに払わなくていいのか?」
「報酬の手数料はギルドが予め引いていますので、依頼が成功すれば書いてある報酬額を受け取り依頼終了となります」
ギルドのシステムは大体分かった。これなら素人の俺でもやっていけそうだな。
「アイシャ、お前から聞くことは無いか?」
「ええ、私からは無いわ」
「それじゃ、俺達ふたりの登録をお願いする」
「はい、ありがとうございます。ご夫婦で登録ということでよろしいですか」
「あ、いや俺達は夫婦ということではなくでだな、えーっと……」
「これは失礼しました。仲が良かったので、つい」
少し焦ってしまったぞ。アイシャも赤い顔で俯いてしまったじゃないか。
「では、それぞれこちらの書類にサインと、ここに拇印を押してください。字が書けない方も多いので名前を言ってもらえればこちらで記入します」
アイシャは自分の名前を言って拇印を押す。職人ギルドでサインしたときに、苗字も書いて家名持ちだとか言われたな。今回は名前の夢月とだけ書いて拇印を押しておこう。1ヶ月分の会費を含め、銀貨30枚を受付嬢に支払った。
「あの、すみません。こちらは外国の文字でしょうか? 読み方は何というのですか?」
「ユヅキだ」
「はい、アイシャ様とユヅキ様ですね。冒険者プレートを作りますので、しばらくお待ちください。できたらお呼びします」
受付嬢は事務所の奥へと歩いて行く。
俺達も席を立って、どんな依頼があるのか掲示板を見に行くことにした。
だが家に着くと、まだアイシャは帰っていなかった。今日は冒険者ギルドに行くと言っていたが何かあったのか?
家を出て探そうとすると、道の向こうからアイシャが足早に帰って来ている。
「ごめんなさい、ユヅキさん。少し遅くなってしまったわね」
「何かあったのかと心配したが、大丈夫だったか?」
「ええ、カリンの所で相談していたら遅くなってしまって。さあ、夕飯を作りましょう」
家の中に入って、一緒に夕食の準備をする。
「今日、冒険者ギルドで話を聞いてきたの。登録にお金は要るけど簡単にできて、最初は色々と相談にも乗ってくれるそうよ」
ひとりでちゃんと説明を受けて来れたようだな。ならず者が多いと聞いていたが、取り越し苦労のようだ。
「それなら俺もアイシャと一緒に、冒険者として仕事をしよう」
「えっ、ユヅキさんも。嬉しいけど今の仕事はどうするの」
「大丈夫さ。仕事は1週間に2日か3日だけだ。指定された日に職人ギルドへ行けば、他の日は何をしても良いとギルドマスターも言ってたからな」
今後は職人ギルドの職員と、冒険者ギルドでの仕事の掛け持ちになっていくんだろうな。この町で生活するならそれが一番だ。
「明日にでも冒険者ギルドに行ってふたりで登録しよう。それでどんな仕事があるんだ」
「最初は薬草の採取がいいそうよ。魔獣の狩りなんかもあるそうだけど、初心者でそれは無理だって言ってたわ」
「薬草の採取なら、俺もアイシャを手伝えそうだな」
冒険者か……話を聞いていると俺にもできそうかなと、少しワクワクしながらその日は眠りについた。
翌朝の鐘3つ。前の世界の朝9時に冒険者ギルドに向かう。ここは前に来たことがあるが、職人ギルドとは違って大きな石造りの3階建ての建物だ。
1階は酒場が併設されていて、冒険者なのかガラの悪い連中が朝から飲み食いしている。ドアを開け中に入って行ったアイシャに声を掛けてくる。
「お~、かわい子ちゃんだね。新人冒険者か? こっちに来ないか」
無視し前を行くアイシャになおも声を掛けようとしていたが、剣を携えた人族の俺が後ろから付いて入っていくと、ギクッとして黙ってしまった。人族というのもこういう時には役に立つものだな。
しかしアイシャも肝が据わっているな。こんな連中を前に、昨日も凛々しく歩いていたんだろう。
「ユヅキさん、あそこが受付なの」
受付の窓口は4つあって、その前に数人が並んでいる。その後ろに付き順番を待つ。
「いらっしゃいませ。あれ、昨日来てた子よね。冒険者になりに来たの?」
「ええ、ユヅキさんと一緒に登録に来ました」
受付嬢の獣人は狐族の女性だが、商業ギルド長のような美人タイプではなく、人懐っこいかわいい系のお嬢さんだ。昨日アイシャを担当してくれた人のようだな。
「では、改めて冒険者ギルドについて説明しますね。冒険者にはランクがありまして一番下の青銅から鉄、そして白銀というように上がっていきます。最上級はアダマンタイトです。
各ランク内にはレベルが1から4まであって、レベルを上げるには依頼をこなして実績を積んでいく必要があります。
でも受けられる依頼は自分のランク上下1つの範囲だけですので注意してくださいね」
俺達は青銅ランクのレベル1から始めて、依頼は鉄ランクまで受けられるという事のようだな。
「でもパーティーを組んでその中に上位者がいた場合、高ランクの依頼に参加することは可能です。その場合、実績としては認められませんが、報酬はパーティー内の話し合いで配分されます」
上位パーティーに付いて行くだけで、簡単にレベル上げができないようになっているのか。
「その他、非常時にギルドからの依頼で全員参加可能なものがありますが、それは個人の働きによって実績が認められます」
「依頼書は壁に貼っているようだが、俺達は文字が読めない。どうやって依頼を選べばいいんだ?」
受付嬢が手元にある依頼書を1枚カウンターに置いて説明してくれた。
「文字が読めない方は多いので、依頼書の角にあるこの☆印の数が依頼のランクになります。☆1つが青銅ランクですね」
依頼内容も絵で描いているものがほとんどで、カウンターに持っていけば受付嬢が依頼の詳しい説明をしてくれるらしい。
「この下の方の数字はなんだ?」
「ここには採取や討伐の必要数、その横が期限の日付ですね。その下は報酬額となっていて、どの依頼書も同じ書き方をしています」
数字なら俺でも読めるから、参考になるな。
依頼の期限に間に合わなかったり必要数が取れないと、報酬の減額や全額支払われないそうだ。依頼が失敗すれば、評価も下がるようだな。失敗が多ければランク落ちもするらしい。実力次第という事のようだ。
「最初のうちは、こちらからもアドバイスしますので安心してください」
「大体分かった。登録には金がかかるということだが」
「まず登録料ですが、おひとりに付き銀貨10枚が必要です。それとギルドの年会費として銀貨40枚。こちらは月払い5枚でも結構ですよ」
その程度なら、すぐにでも支払えるな。冒険者証もすぐ作れるそうで、それがあれば依頼に関する町の出入りの通行料が不要になるそうだ。それはお得だな。
「依頼の手数料はギルドに払わなくていいのか?」
「報酬の手数料はギルドが予め引いていますので、依頼が成功すれば書いてある報酬額を受け取り依頼終了となります」
ギルドのシステムは大体分かった。これなら素人の俺でもやっていけそうだな。
「アイシャ、お前から聞くことは無いか?」
「ええ、私からは無いわ」
「それじゃ、俺達ふたりの登録をお願いする」
「はい、ありがとうございます。ご夫婦で登録ということでよろしいですか」
「あ、いや俺達は夫婦ということではなくでだな、えーっと……」
「これは失礼しました。仲が良かったので、つい」
少し焦ってしまったぞ。アイシャも赤い顔で俯いてしまったじゃないか。
「では、それぞれこちらの書類にサインと、ここに拇印を押してください。字が書けない方も多いので名前を言ってもらえればこちらで記入します」
アイシャは自分の名前を言って拇印を押す。職人ギルドでサインしたときに、苗字も書いて家名持ちだとか言われたな。今回は名前の夢月とだけ書いて拇印を押しておこう。1ヶ月分の会費を含め、銀貨30枚を受付嬢に支払った。
「あの、すみません。こちらは外国の文字でしょうか? 読み方は何というのですか?」
「ユヅキだ」
「はい、アイシャ様とユヅキ様ですね。冒険者プレートを作りますので、しばらくお待ちください。できたらお呼びします」
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