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第1章 異世界暮らし 山の家
第38話 プレゼント
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クロスボウの会議が終わり、俺とボアンは事務所に戻る。
「ユヅキ君、3日後にささやかながら君の歓迎会を開こうと思う。仕事が終わってからなので夜になるが、ここには宿泊できる部屋もある。君の都合はどうだ?」
明日から2日間は狩りで、3日後は毛皮作りだが午後なら空けられるか。
「ああ、その日は空いている」
「そうか、それなら今日はもう帰ってもらって結構だ。3日後は夕方鐘6つの前までに来てくれ」
羊獣人の女性の所に行って仕事が終わった旨を伝えると、大きな机に移動して今日の給料をもらう。銀貨15枚が渡された。
「この前と違って多いのだが」
「今日は図面を作ってもらった分が入っていますね。それと製品の登録には料金がかかりますが、その分を引かせてもらったものがこの金額になります」
羊の獣人は書類を見ながらそう答えてくれた。きっちりしているじゃないか。ホワイト企業バンザイ。
おサイフが暖かいと、ついつい顔が緩んでしまうな。そうだ、臨時収入も入ったしアイシャにお土産でも買って帰ろうと、大きな広場の近くにあるアクセサリー店に入る。
「色々あって迷うな……」
日頃から身に着けてもらいたいし、指輪は弓の邪魔になる。イヤリングは耳に穴を開けるタイプだ。モフモフの耳を傷つけるなんて俺にはできんな。
「いらっしゃいませ。どのような物をお探しですか?」
商品をあれこれ見ていると、キツネ獣人の女性店員が声を掛けてきた。
「日頃の感謝を込めて女性に贈りたいのだが、どんな物がいいか迷っている」
「奥様にでしょうか? ではこちらのネックレスはどうですか?」
「いや、知り合いの若い娘なので、そんな派手な物は要らないんだがな」
「ではこちらのブレスレットなどいかかでしょうか? お若い方には人気の商品ですよ」
アイシャの弓を引く姿を思い描いてみる。このブレスレットは少し大きいし、邪魔になるかもしれんな。
それとも街に出るときだけのおしゃれ用とした方がいいか……やはり迷うな。
カリンを連れて来て、選んでもらった方が良かったか? と思いつつ横を見ると、瑠璃色に輝く髪留めが目に入った。
「この髪留めは?」
「青金石という鉱石を磨いたもので、丸みを帯びた優美なデザインのヘアピンとなっています」
アイシャは黒髪の動きやすいショートカットだが、耳元の横髪を伸ばしたヘアスタイルだ。髪を止めるのにちょうど良いかもしれんな。色も派手すぎるのは似合わないだろうし、これならいいか。
値段は銀貨7枚、これ1つでウサギの毛皮の約3倍かよ。予算内ではあるが、お高いのね。
綺麗な石ではあるし、本当の宝石ならもっと高いはずだ。うんうんと唸っていると店員さんが、
「少しならお安くできますよ」
よくできた店員さんだ。このタイミングで声を掛けてくるとは。ここは乗せられてもいいか。
購入を決めて、瑠璃色の髪留めを小さな革袋に入れてもらい店を出る。
少し時間がかかってしまったか、もう日が傾いているな。俺はアイシャにお土産を渡すのを楽しみに家路を急ぐ。
「ただいま、アイシャ。少し遅くなってしまったな」
「うん、心配したけど、無事で良かったわ。夕食を温めるからちょっと待っててね」
「ありがとう。手と顔を洗ってくるよ」
洗い場で綺麗に洗った後、アイシャと夕食を共にする。プレゼントを渡すなら食事の後がいいだろう。
「最近、迷惑をかけてすまないな。今までの感謝のしるしにこれを」
俺はアクセサリー屋で買った髪留めを、胸ポケットから取り出しアイシャに渡す。
「わー綺麗。これを私に!?」
「そうさ、いつもお世話になっているからな。それに今日はギルドの仕事で沢山お金をもらったんだ。早速髪に付けてくれるか」
「こうかな?」
「うん、うん、よく似合っているよ。綺麗だ」
「ありがとう。大事にするね」
屈託のない笑顔を見せてくれる。やはり買ってきて良かった。
寝室に入ってからも、隣り合わせのベッドに寝ながら今日の出来事を話す。
「そうそう。ギルドで俺の持っていった図面を、コピーしてたんだ。あれは魔道具かな?」
「ユヅキさん、コピーって何?」
「ああ、コピーじゃ分からないか。文字や線を紙から別の紙に複写、写し取るんだよ」
「確かそんな魔道具があるって聞いたことはあるけど、見たことはないわね」
「すごいんだよ。粉を振り掛けて擦って、また擦って複写するんだ」
よく分からん説明になったが、アイシャは笑って聞いてくれている。こんなたわいのない話を聞いてくれる人が近くにいるなんて幸せな事だな。
翌朝の朝食後は、鹿を狩る作戦会議だ。
「前は東の方に行ったから、今日は北の少し登ったところに行きましょう」
「そうだな、いつも同じ場所では鹿も警戒するからな。北はどんなところだ?」
山頂へと続く山道だが、北の方はあまり行った事がない。
「少し坂が急な所があるから注意して。ユヅキさんは上の方から鹿を追い立てて、私の所に誘導してくれるかしら」
「ああ、分かった。髪飾りちゃんと付けてくれているんだな。アイシャ、いつもより顔がよく見えてかわいいよ」
「えっ、やだ、からかわないで。そんなこと言ってないで狩りに集中よ」
顔を赤らめて照れているアイシャもかわいいな~。モフモフしたいが、まずは狩りを成功させねば。
北の山は坂が多く少し苦労したが、大きな鹿を狩ることができた。
一旦家に帰ったが、まだ日は高い。
「まだ昼過ぎだけど、どうする?」
「そうね、時間もあるしもう少し狩りに行きましょうか」
近くの林の中をウロウロして、ウサギ2匹とこれは狐か? を1匹狩ったところで夕暮れとなった。
「今日は沢山獲れたな」
「ええ、やっぱりユヅキさんとふたりなら調子いいわね」
やはり一緒に狩りをするのは楽しいな。
「ユヅキ君、3日後にささやかながら君の歓迎会を開こうと思う。仕事が終わってからなので夜になるが、ここには宿泊できる部屋もある。君の都合はどうだ?」
明日から2日間は狩りで、3日後は毛皮作りだが午後なら空けられるか。
「ああ、その日は空いている」
「そうか、それなら今日はもう帰ってもらって結構だ。3日後は夕方鐘6つの前までに来てくれ」
羊獣人の女性の所に行って仕事が終わった旨を伝えると、大きな机に移動して今日の給料をもらう。銀貨15枚が渡された。
「この前と違って多いのだが」
「今日は図面を作ってもらった分が入っていますね。それと製品の登録には料金がかかりますが、その分を引かせてもらったものがこの金額になります」
羊の獣人は書類を見ながらそう答えてくれた。きっちりしているじゃないか。ホワイト企業バンザイ。
おサイフが暖かいと、ついつい顔が緩んでしまうな。そうだ、臨時収入も入ったしアイシャにお土産でも買って帰ろうと、大きな広場の近くにあるアクセサリー店に入る。
「色々あって迷うな……」
日頃から身に着けてもらいたいし、指輪は弓の邪魔になる。イヤリングは耳に穴を開けるタイプだ。モフモフの耳を傷つけるなんて俺にはできんな。
「いらっしゃいませ。どのような物をお探しですか?」
商品をあれこれ見ていると、キツネ獣人の女性店員が声を掛けてきた。
「日頃の感謝を込めて女性に贈りたいのだが、どんな物がいいか迷っている」
「奥様にでしょうか? ではこちらのネックレスはどうですか?」
「いや、知り合いの若い娘なので、そんな派手な物は要らないんだがな」
「ではこちらのブレスレットなどいかかでしょうか? お若い方には人気の商品ですよ」
アイシャの弓を引く姿を思い描いてみる。このブレスレットは少し大きいし、邪魔になるかもしれんな。
それとも街に出るときだけのおしゃれ用とした方がいいか……やはり迷うな。
カリンを連れて来て、選んでもらった方が良かったか? と思いつつ横を見ると、瑠璃色に輝く髪留めが目に入った。
「この髪留めは?」
「青金石という鉱石を磨いたもので、丸みを帯びた優美なデザインのヘアピンとなっています」
アイシャは黒髪の動きやすいショートカットだが、耳元の横髪を伸ばしたヘアスタイルだ。髪を止めるのにちょうど良いかもしれんな。色も派手すぎるのは似合わないだろうし、これならいいか。
値段は銀貨7枚、これ1つでウサギの毛皮の約3倍かよ。予算内ではあるが、お高いのね。
綺麗な石ではあるし、本当の宝石ならもっと高いはずだ。うんうんと唸っていると店員さんが、
「少しならお安くできますよ」
よくできた店員さんだ。このタイミングで声を掛けてくるとは。ここは乗せられてもいいか。
購入を決めて、瑠璃色の髪留めを小さな革袋に入れてもらい店を出る。
少し時間がかかってしまったか、もう日が傾いているな。俺はアイシャにお土産を渡すのを楽しみに家路を急ぐ。
「ただいま、アイシャ。少し遅くなってしまったな」
「うん、心配したけど、無事で良かったわ。夕食を温めるからちょっと待っててね」
「ありがとう。手と顔を洗ってくるよ」
洗い場で綺麗に洗った後、アイシャと夕食を共にする。プレゼントを渡すなら食事の後がいいだろう。
「最近、迷惑をかけてすまないな。今までの感謝のしるしにこれを」
俺はアクセサリー屋で買った髪留めを、胸ポケットから取り出しアイシャに渡す。
「わー綺麗。これを私に!?」
「そうさ、いつもお世話になっているからな。それに今日はギルドの仕事で沢山お金をもらったんだ。早速髪に付けてくれるか」
「こうかな?」
「うん、うん、よく似合っているよ。綺麗だ」
「ありがとう。大事にするね」
屈託のない笑顔を見せてくれる。やはり買ってきて良かった。
寝室に入ってからも、隣り合わせのベッドに寝ながら今日の出来事を話す。
「そうそう。ギルドで俺の持っていった図面を、コピーしてたんだ。あれは魔道具かな?」
「ユヅキさん、コピーって何?」
「ああ、コピーじゃ分からないか。文字や線を紙から別の紙に複写、写し取るんだよ」
「確かそんな魔道具があるって聞いたことはあるけど、見たことはないわね」
「すごいんだよ。粉を振り掛けて擦って、また擦って複写するんだ」
よく分からん説明になったが、アイシャは笑って聞いてくれている。こんなたわいのない話を聞いてくれる人が近くにいるなんて幸せな事だな。
翌朝の朝食後は、鹿を狩る作戦会議だ。
「前は東の方に行ったから、今日は北の少し登ったところに行きましょう」
「そうだな、いつも同じ場所では鹿も警戒するからな。北はどんなところだ?」
山頂へと続く山道だが、北の方はあまり行った事がない。
「少し坂が急な所があるから注意して。ユヅキさんは上の方から鹿を追い立てて、私の所に誘導してくれるかしら」
「ああ、分かった。髪飾りちゃんと付けてくれているんだな。アイシャ、いつもより顔がよく見えてかわいいよ」
「えっ、やだ、からかわないで。そんなこと言ってないで狩りに集中よ」
顔を赤らめて照れているアイシャもかわいいな~。モフモフしたいが、まずは狩りを成功させねば。
北の山は坂が多く少し苦労したが、大きな鹿を狩ることができた。
一旦家に帰ったが、まだ日は高い。
「まだ昼過ぎだけど、どうする?」
「そうね、時間もあるしもう少し狩りに行きましょうか」
近くの林の中をウロウロして、ウサギ2匹とこれは狐か? を1匹狩ったところで夕暮れとなった。
「今日は沢山獲れたな」
「ええ、やっぱりユヅキさんとふたりなら調子いいわね」
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