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第八章 国家エスカルド
捻くれ者
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マリアは大きな部屋のベッドの上でポツンと座っていた。ナサルを失ってしまった喪失感と罪悪感の狭間で押し潰されてしまいそうになっているマリア、コンコンとガルスがマリアの部屋の扉を叩く
「誰?」
マリアは泣きそうな声でそう問う
「ガルスです。入っても宜しいでしょうか? ジョンも一緒に居ますよ」
マリアは力なく立ち上がり扉の前までフラフラと歩き扉を開く
「どうかしたの……?」
「マリアお嬢様の泣きっ面を見たかったんですよ」
「……何よそれ」
「おやおや」
と温厚に言うガルスだが裏でジョンの太ももを抓る
「痛でで!」
「? どうしたの?」
「ほほほ、何でもありませんよ」
「こんな所で話すのもなんだから二人共入って頂戴」
マリアはガルスとジョンを部屋に招き入れマリアはベッドに座り横をぽんぽんと叩く
「二人共、こちらへどうぞ」
ジョンとガルスは言われた通り隣同士でベッドに座る
「……私を笑いに来たんでしょ? 笑いなさいよ」
凄まじい程に落ち込んでいるマリアは自虐に走る
「笑えと言われて笑える程正直者じゃないので笑いません、それよりもマリアお嬢様は何故落ち込んでいるんですか?」
「落ち込んでなんかいないわよ」
「嘘おっしゃい、どう見ても落ち込んでるじゃないですか」
「しつこいわ! 落ち込んでいないと言ったら居ないの!!」
マリアもジョンに負けず捻くれている所がある、そんなマリアの肩を落ち着かせる為にぽんぽんと叩くガルス
「そうですね、お嬢様は落ち込んでなんかいらっしゃいませんよね?」
「そうよ、勘違いしないで頂戴」
「勘違いしてしまって失敬でしたね」
「ふん、失礼しちゃうわ、そんな事より何の用なのよ! 本当にさっき言った通りなの!?」
無理矢理、意識を高揚させ、憂鬱さを吹き飛ばすマリア
「さっきのは冗談です。貴方の泣き顔を見る為だけに此処まで来ませんよ」
「じゃあ何で来たの? 私の事を心配して来てくれたの?」
「えぇ、その通りですよ、主人に自殺されちゃ困りますからね、まぁ生きている様で良かったですよ」
ジョンの言葉を聞いて少し嬉しそうにするマリア
そんなマリアを見て安心してジョンに任せられると思ったガルスはベッドを立ち上がる
「申し訳ございません、急用を思い出しました。お嬢様ではまた後で来ても宜しいですか?」
「えぇ、大歓迎よ」
「ほほほ、そうですか、ではまた後で、ジョン君あとは任せましたよ」
「何を任されたんだかね」
ガルスは笑顔で手を振りながら部屋を出て行く
二人っきりでベッドに座っているジョンとマリア、マリアはジョンを真剣な眼差しで見つめる
「……ジョン、私の話を聞いてくれる?」
「何の話ですか?」
「ナサルの話よ」
「残念ながら手掛かりはまだ見つかってませんよ」
「そ、そうじゃないわよ、その話じゃないの……」
「?」
「私の所為なのよ、ナサルが連れ去られてしまったのは……私が「サシャを必ず見つけ出して」なんて言ったから捕まってしまったのよ」
ジョンは欠伸をする
「へーそうなんですか、で? それを俺に言ってどうしたいんですか? そんな事は無いと慰めて欲しいんですか?」
マリアがどんな状態であって尚且つジョンがその事に気が付いていてもジョンは何時もの様に辛辣で居る
マリアもそれは承知で弱音を吐いたのだ。
「そうよ……貴方に慰めて欲しい……そうでなきゃ、私、崩れてしまいそうなんだもの」
「嫌ですよ、慰めは別の人に頼んで下さい、俺の管轄外の事です」
マリアはジョンの腕に抱きつく
「おねがいよ、こんやは私の傍に居てちょうだい……かなしくてかなしくてしかたがないの……」
声が震え、ジョンの服の裾が濡れる
「今夜ずっとですか?」
「おねがいよ……」
今までジョンが見た事が無い程マリアは衰弱している
しかし
「嫌です」
ジョンには関係の無い事であった。
「マリアお嬢様、あんたは確かに辛いんでしょう、しかし貴方に以上に苦しんでいる奴等が居るでしょう?」
マリアは涙で濡れた顔をジョンの袖から放しジョンの顔を見る
「ナサルやサシャ達の事です。彼女達が今どんな扱いを受けているか分からない今一刻も早く彼女達を救い出すべきだと思いませんか? 俺は此処で貴方を慰める事も出来るでしょうしかしその時間を使って調査を続けたら彼女達が見つかるかもしれない……どうします? マリアお嬢様? それでも慰めが欲しいか?」
「誰?」
マリアは泣きそうな声でそう問う
「ガルスです。入っても宜しいでしょうか? ジョンも一緒に居ますよ」
マリアは力なく立ち上がり扉の前までフラフラと歩き扉を開く
「どうかしたの……?」
「マリアお嬢様の泣きっ面を見たかったんですよ」
「……何よそれ」
「おやおや」
と温厚に言うガルスだが裏でジョンの太ももを抓る
「痛でで!」
「? どうしたの?」
「ほほほ、何でもありませんよ」
「こんな所で話すのもなんだから二人共入って頂戴」
マリアはガルスとジョンを部屋に招き入れマリアはベッドに座り横をぽんぽんと叩く
「二人共、こちらへどうぞ」
ジョンとガルスは言われた通り隣同士でベッドに座る
「……私を笑いに来たんでしょ? 笑いなさいよ」
凄まじい程に落ち込んでいるマリアは自虐に走る
「笑えと言われて笑える程正直者じゃないので笑いません、それよりもマリアお嬢様は何故落ち込んでいるんですか?」
「落ち込んでなんかいないわよ」
「嘘おっしゃい、どう見ても落ち込んでるじゃないですか」
「しつこいわ! 落ち込んでいないと言ったら居ないの!!」
マリアもジョンに負けず捻くれている所がある、そんなマリアの肩を落ち着かせる為にぽんぽんと叩くガルス
「そうですね、お嬢様は落ち込んでなんかいらっしゃいませんよね?」
「そうよ、勘違いしないで頂戴」
「勘違いしてしまって失敬でしたね」
「ふん、失礼しちゃうわ、そんな事より何の用なのよ! 本当にさっき言った通りなの!?」
無理矢理、意識を高揚させ、憂鬱さを吹き飛ばすマリア
「さっきのは冗談です。貴方の泣き顔を見る為だけに此処まで来ませんよ」
「じゃあ何で来たの? 私の事を心配して来てくれたの?」
「えぇ、その通りですよ、主人に自殺されちゃ困りますからね、まぁ生きている様で良かったですよ」
ジョンの言葉を聞いて少し嬉しそうにするマリア
そんなマリアを見て安心してジョンに任せられると思ったガルスはベッドを立ち上がる
「申し訳ございません、急用を思い出しました。お嬢様ではまた後で来ても宜しいですか?」
「えぇ、大歓迎よ」
「ほほほ、そうですか、ではまた後で、ジョン君あとは任せましたよ」
「何を任されたんだかね」
ガルスは笑顔で手を振りながら部屋を出て行く
二人っきりでベッドに座っているジョンとマリア、マリアはジョンを真剣な眼差しで見つめる
「……ジョン、私の話を聞いてくれる?」
「何の話ですか?」
「ナサルの話よ」
「残念ながら手掛かりはまだ見つかってませんよ」
「そ、そうじゃないわよ、その話じゃないの……」
「?」
「私の所為なのよ、ナサルが連れ去られてしまったのは……私が「サシャを必ず見つけ出して」なんて言ったから捕まってしまったのよ」
ジョンは欠伸をする
「へーそうなんですか、で? それを俺に言ってどうしたいんですか? そんな事は無いと慰めて欲しいんですか?」
マリアがどんな状態であって尚且つジョンがその事に気が付いていてもジョンは何時もの様に辛辣で居る
マリアもそれは承知で弱音を吐いたのだ。
「そうよ……貴方に慰めて欲しい……そうでなきゃ、私、崩れてしまいそうなんだもの」
「嫌ですよ、慰めは別の人に頼んで下さい、俺の管轄外の事です」
マリアはジョンの腕に抱きつく
「おねがいよ、こんやは私の傍に居てちょうだい……かなしくてかなしくてしかたがないの……」
声が震え、ジョンの服の裾が濡れる
「今夜ずっとですか?」
「おねがいよ……」
今までジョンが見た事が無い程マリアは衰弱している
しかし
「嫌です」
ジョンには関係の無い事であった。
「マリアお嬢様、あんたは確かに辛いんでしょう、しかし貴方に以上に苦しんでいる奴等が居るでしょう?」
マリアは涙で濡れた顔をジョンの袖から放しジョンの顔を見る
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