中年中太り成金アロハシャツおじさんを地獄の底へ叩き落とす所から始まる異世界転移物語

トムボーイ

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第八章 国家エスカルド

同時多発事件

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 「何故ニカエルを誘拐したんだ? 答えろ」
 
  リーダーを尋問しているのはアスミ
  しかし彼は黙秘を貫いていた。
  それを傍目から見ているジョンとレイそれにクァイケット
 
 「無駄だろうな、喋らせるとなったら時間がかなり必要になる、レイさっきは聞けなかった事がある」
 
  レイはジョンの方を見てジョンの言うことを聞く体制になる
 
 「サシャ・ネールネーナという少女を知らないか?」
 「……確か別班の誘拐対象の名前がそんな名前の奴だった気がする、確かじゃないが」
 「なるほどね、サシャの件もお前たちの仕業だったという訳か」
 「お前たちはニカエル以外にも人を攫ったのか……?」

 信じられないといったような表情でレイを見るクァイケット

「ニカエルとか言う奴は何か特別な何かは無かったのか? 何か?」
「知らない」
「本当か? 顔が強張って俺の目も見ずに居るが……まさか動揺しているのか? クククッ」
「動揺などしていない」
「”もし”嘘だったのならどんな事情が有れ素直に言わなきゃ一生ニカエルは見つからんかもしれんぜ?」
「言わないと約束したんだがな……」

 クァイケットは昔したニカエルとの約束を思い返している

「私がもし死にかけてても約束を守ってね、なんてニカエルが言ったのか?」
「……ニカエルはクローンだ。三賢者のな」
「三賢者? なんだそりゃ?」

 レイはクァイケットにそう質問をする

「知らないのか? 全く……騎士の癖に道化師よりも勉強不足とはこの国の未来が心配になるぞ」
「うるせぇ」
「ニカエルが三賢者のクローン……?」

 ジョンはこの時ある事を閃く

(サシャの屋敷の奴らもクローンの関係者だった。それに今回もクローン……クローン関係者とクローンの女性達が誘拐されてる……ローラ! ナサル!!)

 ジョンの頭に思い浮かんだのはその二人の名前、ジョンは次に狙われるのはローラとナサルと推測したのだ。
 ジョンは嫌な予感を抱えその場を急ぎ離れる

「まて! 何処へ行くんだ!?」
「おい! お前にも話がある!!」

 後ろからクァイケットとアスミの声が聞こえたが無視をし先を急ぐ

(先ずはあの二人を回収だ)

 ジョンはサーカステント内に待機させていたマリアとセルフィの元に向かう
 二人はジョンを見るとジョンに駆け寄ってきた。

「ジョン……大丈夫なの?」

 心配そうにジョンを見つめる二人

「俺よりもナサルやローラの方が心配です。急ぎましょう」
「え!? 一体何が有ったと言うのよ!! 教えなさい!」
「残念ながらそんな時間はありません、急ぎますよ」
「え? ちょ、ちょっと!」

 ジョンはマリアの静止も聞かずテントの外に出る
 するとジョンのずっと向こうからローラが血相を変え走って来た。
 その顔を見てジョンに嫌な予感が走る、ジョン達の目の前にローラが来ると何かを言おうとするが息継ぎをするのに忙しく言葉が出ない

「大丈夫? ローラ?」
「待っていて下さい水を貰って来ますね」

そう言ってセルフィはテント内に消えていった。

「……大丈夫だ。悪いニュースなのは分かってる」
「はぁ、はぁ、ナ、ナサルを見なかった……?」
「ナサルが消えたのか?」
「う、うん何処にも居ないの」

 ジョンの嫌な予感が的中してしまったかもしれない、ジョンは冷や汗をかく

「ジョンもナサルを探して欲しいんだけど、良い?」
「……構わない」
「じゃあ二手に――」
「ダメだ。お前は俺達の側に居ろ、お前も誘拐される可能性が有る」
「え? 誘拐……? 何を言っているの? ジョン?」
「そ、そうよ、誘拐って何の話よ……まさか貴方はナサルが誘拐されたとでも言うつもり?」
「えぇ、その通りです。ローラお前は知らないだろうがこのサーカスでも誘拐事件が起こってな、誘拐されたのはニカエル・シフォンそいつもお前と同じクローンだった。そしてサシャの屋敷の話になるが彼女の屋敷にはクローン実験の痕跡が残されていた。つまりクローン研究の関係者だ。そして家族使用人諸共、行方不明……偶然か?」

 ローラは震え始める
 ジョンそれにマリアも見たことがない程ローラは取り乱し始める

「そ、そんな、有り得ない、何で今更そんな事……」

 ローラ達が研究所から解放されミランダに拾われ騎士団に入って随分と経つ
 
「あ、あのお水を貰って来ました。どうぞ」

 とテントから帰って来たセルフィがローラに水の入った木製のコップを差し出す。

「ありがとう」

 そう言ってローラはコップを受け取り水を少し飲む、しかし動揺は治まらない

「兎に角、今はお前を一人にする訳にはいかない、ジェイクの元に行って事情を話しお前を保護して貰う事にする、文句は無いよな?」

 とジョンが言った時、またも今にでも死にそうな程顔色を悪くした者がジョン達の目の間に現れる

「どうしたんだ? メイヴィス?」
「ジョン……すまない……カーナが……」

 メイヴィスは瞳に涙を溜めている、唇からは唇を噛み締め、限度を越えて血が流れている

「攫われた」

 ジョンの顔色も悪くなる
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