中年中太り成金アロハシャツおじさんを地獄の底へ叩き落とす所から始まる異世界転移物語

トムボーイ

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第八章 国家エスカルド

仮面の中身

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そして運命のじゃんけんの時四人は唾を飲む、しかしそんな緊張感が漂っているのは四人の間だけ他の者はそれを微笑ましく見守っている
 
「そ、それじゃあ、準備は良い?」
「……うん」
「ちょ、ちょっと待って」

 そう言って息を整え始めたのはセルフィ

「そんな事したってじゃんけんが強くなる訳があるまいに」

 と言うジョン

「良し! 何時でも良いよ」

 セルフィは手を前に出す。それを合図に三人も同じ様に手を出し

「最初は! グー!」
「じゃんけん!!」
「ポン!!!」

 そして……
 肩を落とす三人、じゃんけんに勝利したのは仮面の少女セルフィ
 しかし素直には喜べない

「あ、あのやっぱり私、要らないわ……サーカス、好きじゃないし」

 羨ましそうに自分を見て居た三人を見て申し訳なくなり思っても無い事を言ってしまうセルフィ
 それを察した三人が

「嘘言っちゃダメだよ、セルフィ」
「そうよ、楽しんできなさい」
「後で話を聞かせてね」

 と快くサーカスに言って貰おうとする三人だったがそれがセルフィにとって逆に重しとなる

「……」
「そろそろ決まったか?」
「うん、決まったよ、セルフィが行くよ」
「ふーん、まぁ良かったな」
「……えぇ」

仮面の中で浮かない顔のセルフィ

「そんな顔をするんじゃない、カーナ達の分まで楽しむんだ。良いな?」

 とメイヴィスがセルフィを励ますように言う

「そうよ、みんなの分も楽しむのが礼儀というものよ」
「は、はい……そうですね」

 慌てふためくセルフィ

「あ、あとジョンさん……後で二人きりでお話しがしたいんですけど、宜しいですか?」

 とセルフィが言う

「二人きり……? 何だかいやらしいモノを感じるな」
「いやらしくありません!」
「冗談だ」
「それじゃあ、セルフィ、そんなお面被ってたら見えるモノも見えないよ、サーカス用にお母さんから借りたドレスがあるんでしょ? それに早く着替えなきゃ」

 サーカスの為に服を準備していたのはセルフィだけでは無い、三人も持って来ていた。

「う、うん……で、でもその前にジョンさん……」

 と手招きをするセルフィ

「あの、皆さん出て行って貰って良いですか? 私とジョンさんとでお話ししたいので」
「うん、良いよ」

 ジョンとセルフィ以外の全員が部屋を出て行った。
 ベットに腰掛けるジョン

「で? 話ってのは何だ?」
「……あの……お礼の件です」
「お礼? 何のお礼だ?」
「聖剣を返して貰ったり、この街でも私達を護ってくれてるじゃないですか、そのお礼です」

 ジョンはうんざりした顔をする

「要らないと言ってなかったか? 聞いてなかった?」
「それでは私の気が済みません! だ、だから……」

 ジョンは次の一言に仰天する事となる

「私を貰って下さい」



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