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第七章 怨敵との再会
スモールワールド
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「お前は誰だ?」
ジョンのこの質問は当然の疑問だろう
知り合いにそっくりの人間? が目の前に居るのだ。この者が何者かを知りたいのは当然の欲求
しかし彼が知りたいのは彼女の名前では無い、もっと本質的な事
「……君は私とそっくりの顔をした知り合いが居るんだね? そうなんだね?」
「あぁ、そうだ。生き別れの双子か何かか?」
「ふふふ、そう言われればそうとも言えるかもね、私達は姉妹なのかも」
「姉妹?」
「そう、私達は姉妹、博士に作られたクローン」
「クローン……? クローンだと?」
クローンという彼女の言葉、ジョンにも聞き覚えがある
彼の元の世界にもその言葉が存在したからだ。
「私はダーチェ・エラカンダのクローン、ものを凍らせる事が出来るの」
「ふーん……クローンねぇ」
(なんだ? この世界の技術レベルが分からない馬車が現役のくせにクローンが作れるのか? それもこれも魔法があるおかげか?)
「君は何処から来たの?」
「何処だと思う?」
「知らないわ、だって私外に出た事がないんだもの外の世界は知識でしか分からないわ、本にはそんな服載っていなかったし」
ジョンは彼女のその発言を自分を無知だと偽ってジョンから情報を引き出す為の嘘では無く事実だと信じる
彼女の無知を信じた。だから事実を言う
「エスカルドから来た」
「エスカルド……? 随分と遠い所から来たんだね」
「まぁ色々あってな」
此処まで来るのに様々なドラマがあった。
先ずはザッラーに飛ばされ
マリア達を抱えたままカタリナとナイロンと戦うハメになり
その二人に何とか勝ったと思ったらカランダーンとメイヴィスそれにザッラーが現れそして奴と会うその名をジャック、ジョンの復讐相手
その後ジャックと四人の不死の騎士と戦い、勝つ
勝ったのはいいがザッラーに再び飛ばされ次は雪景色を観光、次はボロボロの洋館、そして今砂漠に潜む遺跡で秘宝捜し
しかし秘宝は未だに見つからず挙句の果てに何者かの罠に嵌り、三十分以上、地を掘り進めるハメになる
「そう、色々ね、貴方の顔を見れば大変だったのは分かるわ、だって死にそうな顔をしているんだもの」
「死にそうだからな」
「貴方の名前を聞いてもいい?」
「ジョン」
「いい名前ね」
「嬉しい事言ってくれるな」
「外の世界の人間と会ったのは初めてなの色々聞きたいわ」
「色々話したいがあまり時間が無い、此処で子供を連れた女と男の三人組を見なかったか?」
時間が無いのはマリア達の事
ジャック達が脱出できたか分からない今早めに彼らの所在を確認して置きたかった。もしかしたらさっきまでのジョンと同じように何処かに閉じ込められている可能性もある
「さっき言ったでしょ、外の世界の人に会ったのは貴方が初めて、会ってないわ」
「そうか、じゃあ探さなくちゃな」
「別の人も来てるの? その人達と逸れちゃったんだね」
「そうだ。落とし穴に落ちてな」
「この遺跡には沢山の罠があるから気を付けた方が良いよ、それも未だに全部ちゃんと稼働している」
「そりゃ恐ろしいな、ならアンタ道案内をしてくれないか? 安全な道を教えて欲しい、報酬として道案内の途中でお前の聞きたがっていた外の世界の話をする、どうだ?」
「いいよ、どうせ暇だからね」
ジョンとライラは書庫を後にする
「こっちだよ、そっちの道には罠がある」
遺跡は迷路の様に入り組んでいる、なので道案内が無ければ罠の無い道を選ぶのも一苦労だろう
つまりジャック達が危ないという事である
「何について知りたい?」
「そうね、外では色んな姿の人間が集団で生活してるというけど本当なの?」
「街や村や国があってそこで集団で生活をしている、老若男女問わずにだ」
「へぇ~そうなの、外では太陽が地上を照らすというけど、光とはどんな感じなの?」
「明るく暖かい」
「気持ちいい?」
「俺はあまり好きじゃない」
「明るい所が嫌いなら暗い所が好きなの?」
「両方共好きじゃない、片方が嫌いだったらもう片方の事を好きにならなくちゃならないのか?」
「そういうつもりで聞いた訳では無いわ」
「分かってる、悪かったな、意地の悪い言い方をした」
「いいのよ」
そんな話をしながらジョンとライラは通路を進む
ライラの案内通りに動けば危険は無いが暇
「こっちから質問してもいいか?」
「いいわよ」
「お前はクローンと言ったなそれに俺の知り合いの事も」
「えぇ、言ったわね」
「誰がクローンを作ったんだ? 博士とか言ってたが」
「グログリ・スターク博士、元々有ったこの遺跡を研究所に改修、改造をして私達を作ったの」
「私達? 他にも居るのか?」
「えぇ、みんなもう死んでしまったけどね」
「俺のその知り合いも此処出身なのか?」
「それは無いわね、だって此処で生まれた私の姉妹達はみんな此処で生まれて外を知らないまま此処で死んだもの」
「そうか、悪い事を聞いたな」
「別に事実だもの謝る事は無いわ」
「じゃあ、つまりクローン研究は此処以外でも行われているのか?」
「そういうことでしょうね」
「恐ろしいな、で? そのお前を作った恐ろしいグログリ博士は何処に行ったんだ?」
「さっきの書庫に居たわよ、剣を二本刺された白骨遺体が有ったでしょ? それが博士」
「なるほど、死んでいる訳か、誰が殺したんだ?」
「私よ、私と姉さん」
ジョンはライラと少し距離を取る
「そんな恐ろしい奴だったのか? お前は?」
「そんな怖がらないで貴方を攻撃するつもりは無いわ」
「そんな事言われてもな」
「彼には積年の恨みがあったのよ、だから殺した。でも貴方には無いわ、だから殺さない、簡単でしょ?」
「恨みって何があったんだ? 食べ物でも盗られたのか?」
「そんな可愛い理由だったら良かったんだけどね」
ライラはそれ以上博士について話そうとしなかった。
ジョンもそれ以上聴かない、人には聴かない方が良い事柄が少なからず存在するのだ。
「お前の姉妹が全員死んだと言っていたが、どうして死んだんだ? 疫病?」
「病気では無いわ、私達は元々寿命がとても短いのよ、長くて三十年程しか生きられないの」
「お前は幾つなんだ?」
「二十九歳よ、私も死期が近いわ」
「あ、あぁそうなの……」
「えぇ」
そこで会話が止む
頭を掻くジョン、珍しく人に気を使っている
「別に気にしなくていいのよ? 私も死は覚悟しているしこのまま生き続けても寂しいだけだもの」
彼女は最後の姉妹が死んでから三日経ち、精神的に弱くなっているのだ。
だからもう死んでも悔いはない、そう思えていた。
「最後に外の人と会えて良かったわ、楽しいひと時をありがとう、ジョン」
その後もライラに連れられ通路を歩く、ジャック達とはまだ会えていない
景色も変わらない道を延々と歩くのだ。暇だが会話は無い
黙々と暗い遺跡の通路の中を歩く、考古学者でも無ければ最悪の状況だろう、ジョンも例外ではない
風は無いが空気は冷やかで音はジョンとライラの足音だけ、耳を澄ましても二人の呼吸音が聞こえるだけである
暗い中を松明無しで歩く二人
その時ジョンに一つの疑問が浮かび沈黙が鳴く
「お前の姉妹が死に博士も死に此処に残ってるのはお前一人なんだよな?」
「そうよ」
「それでお前はものを凍らす魔法使いなわけだ……ならこの遺跡の砂を操作してるのは誰だ?」
「……知りたい?」
「是非とも」
「分かった。この砂を操っているのは人じゃないわ、糸よ細い一本の糸がこの遺跡全ての砂を操作しているの」
数日前までのジョンならこの一言に驚きたじろぐ所だったが今のジョンはあらゆる事からの耐性が出来ているので驚かずたじろがない
糸一本でこの遺跡の砂が操作されていると言われても一切表情を動かさず冷静に聞き返す。
「糸ねぇ……それにはどんな魔法が使われているんだ?」
本来ジョンとはこういう男、滅多に驚かず表情を崩さない、そしていつもニヤケ顔
しかしこちらの世界に来てからはそのニヤケ顔も幾度となく崩れたが心機一転し何か摩訶不思議な事が起こっても全て魔法の仕業と思えばそれで良い、そう思う事で心の平衡を保とうとしている
「ものを操作する魔法よ、通称 ラライクの糸と呼ばれているわね」
ジョン達があの村の村長から聞いた秘宝ラライクの糸は間違いなくライラの言うラライクの糸で間違いが無いだろうと思ったジョン
「砂を操作する糸か」
「いいえ、砂では無くても何でも操作出来るわ、動物でもいいのよ? 貴方欲しい?」
「欲しがっているのは俺じゃなくてこの遺跡の外の近くに住んでいる村長が欲しがっている、金にする為にな」
「お金……? あの糸を売るつもりなの? 何処の誰かも分からない人に? それは駄目よ、あの糸は強力過ぎる悪用されたらとんでもない程の死者が出てしまうかもしれない」
」
「俺も痛い目にあわされたからそれはよく分かる」
「そうでしょう? だからあの糸は信用できる人に渡して欲しいの出来れば神に返上するのが一番かもしれないわ」
「元々神の所持物だったのか?」
「そうよ、あの糸は総統の神・ラライクから譲り受けたの、だからラライクの糸と呼ばれているの」
「通りで強力だと思った」
「あんな協力な魔道、人間では作れないわよ」
魔道というジョンの知らない単語が出てきたがスルーする、理由は何となくその正体を察する事が出来るのとジョン達とはまた違う気配を察知したからだ。
「おい、誰か来るぞ、止まれ」
「そうなの? よく分かったわね、凄いわ」
ライラは驚く事も無くジョンを称賛する
そんな事言っている場合かと思いながらもジョンは通路の先から来るものに意識を集中する
足音は重い、ジャック達ではないと分かる程の重さを響かせている
透明の短剣を構えるジョン、ライラはその隣でそんなジョンを不思議そうに見つめている
「凄い足音ね、この遺跡には私の他に居なかった筈だけれど……」
「まさか幽霊とか?」
「霊は足音をさせないわ」
(そういえばこの世界では実際に霊が存在するんだったな……)
足音はゆっくりとジョン達に近付いて来る
「ライラ、戦えないなら後ろに下がってろ」
「分かったわ、頑張ってね」
「頑張らせていただくぜ」
現れたのは全身砂で出来た人間の形態をした砂人間、顔は無い、大きさは成人男性のジョンの倍ほど
「化け物じゃねぇか……」
(あの大きさにこの足音、相当身が詰まっているな、一撃でも攻撃を喰らえば間違いなく死だ)
「ライラ、あいつに見覚えは?」
「無いわ、私も初めて見た」
「素晴らしい返答だな……仕方がない、来いよでくの坊」
「でくの坊」そう呼ばれた人間の形状をとった砂の塊はジョン達を見つけた途端その遅い足を速くする、叫び声も上げず
速くすれば当たり前だが足音も振動も増す。
天井から落ちて来る遺跡の残骸に埃
ジョンを射程圏内に入れるとでくの坊はその大きな左手をジョンに向かって思いっ切り横へ振る
その速さは腕を壁に叩きつけた時に出来た壁の大きなヒビと壁への食い込み具合、遺跡全体が揺れた事実から推察出来るだろう
しかし壁にはヒビだけで血は飛び散っていない、ジョンは高速で振られたその左手をしゃがみ避けたのだ。
「恐ろしい、奴だな、お前言葉通じるのか?」
でくの坊はそんなジョンを蹴り飛ばそうとするがそれもジョンが後ろへ後退して避ける
「返答無しか? 寂しいな、それとも出来ないのか?」
でくの坊はさっき食い込んだ左手が抜けず立ち往生している、が近づけば左手以外の部位で攻撃されるだろう
しかしジョンはそんな事構わずでくの坊に突撃する
でくの坊はそんなジョンに対して右手を振るが簡単に避けられる
「動きが単調だぜ」
左手を封印されたおかげでジョンは次の動きがすぐに予想できる
そしてその右手の攻撃を避けられたのがでくの坊にとって致命傷だった。この一撃でジョンを仕留められなかったのが敗因
でくの坊は右手の攻撃を避けられた後、透明の短剣ででくの坊の左足を斬る、その影響でバランスを崩し倒れるでくの坊
ジョンは一旦でくの坊から離れる
「おい、まだやるか?」
でくの坊は必死に立ち上がろうとするが立ち上がれない
「何度やっても無駄だと思うぜ? アンタの動きは読み易いどんなに速い動きでも事前に予知されれば簡単に避けられる」
その言葉が通じているのか分からないがジョンは話し続ける
「次攻撃してきたら動かなくなるまで斬る」
ジョンの言葉など意に介さずでくの坊は立ち上がろうとする何かの使命に駆られているかの様に
しかし重いその体重を持ち上げるには片手だけでは立ち上がれない、ひっくり返った虫の様に無闇矢鱈に手や足をジタバタと動かし続ける
とても知能のある生物だとは思えないと感じるライラ
「そんな必死になったって無駄さ、左手が抜けない限り立ち上がれない、それにその左手の様子からそんなに簡単に抜けるとも思えない」
ジョンは話しかけ続ける、そんなジョンの事を不気味に思い始めるライラ
「ジョン……彼に話か通じているとは思いにくいわ、対話は無駄よ」
「だろうな、だが俺はお喋りが大好きでね、どんな相手だろうが対話を通じて分かり合いたいと願っているのさ」
「……そうなの? そうは見えなかったわ」
「まぁそりゃ嘘だからな」
なんだこいつは……と内心思うライラ
「お前此処に住んでから何年になるんだ?」
「生まれた時から居るから……二十九年よ」
「二十九年此処に住んでいてこいつを見た事もないのか?」
「無いわ、一度もね、恐らく侵入者が現れた時に発動する罠の一種なんでしょうけど……見たのは初めてだわ」
「これで一つの事実が分かった訳だな、お前はこの遺跡について全てを把握していないという事がな」
「そうだったみたいね……」
ジョンはでくの坊を見る、まだ起き上がる兆も見えない、起き上がらないが道を塞ぎ尚且つジタバタ動いているのでライラがでくの坊を跨いで通過するのは危ない
そう判断したジョンはでくの坊の頭、右手右足左手左足を切断し、完全に無効化しでくの坊の上を渡り先に進む
そしてでくの坊を撃破した先に待って居たのは全身をフルプレートの鎧で身を包んだ。剣士、場所は又もや狭い通路、剣士は通路の横に立ったまま凭れ掛かっており
ジョン達の気配を感じたと同時に沈黙のまま、凭れ掛かるのを止め通路の真ん中に立ち剣を抜く、そして剣士は人を通さぬ壁となる
それを見たジョン
「またかよ……さっきとは違って明らかに人間じゃないか? こいつ」
耳を澄ますと呼吸音も聞こえ益々人間だという証拠が増える
「そんな……じゃあ今までこの人は何処に居たと言うの? 二十九年間も」
「知らんな、まぁそれはこいつを叩きのめしてから考える事さ、そのプレート剥がしてやるよ」
ライラの前に立ち構えるジョン
「来ないのか? ならこっちから先に行かせて貰うぜ」
この戦い、最初に仕掛けるのはジョン、高速で剣士に近付き透明の短剣を振る
透明の短剣の切れ味は極上、どんなものでも持ち主の腕が良ければ一刀両断する事が出来る、剣士が持つ剣も例外ではない
透明の短剣は攻撃を防ぐ為に動かされた剣士の剣をバターを斬ったかの様に滑らかに斬る、そしてその短剣は剣だけでは飽き足らずその顔を覆い顔を隠しているヘルムを斬る、その影響で顔の一部が露わになる
剣士はジョンの一撃で絶体絶命のピンチに陥る……がジョンが何故か追撃しなかった為何とかその場を退く
ジョンが追撃していれば勝負は決まっていた。がジョンは追撃しなかった。何故か?
「ローラか?」
剣士の顔はジョンの知り合いのローラにそっくりである
そしてその顔をライラも目撃する
「姉さん!?」
剣士の顔はライラが姉と慕っていた女性とそっくりである
ローラと姉と呼ばれたその剣士は斬れたヘルムを取り投げ飛ばす。美しい金色の髪が姿を現す。
顔はピクリとも動かず表情は静か
「まさか……ローラもクローンなのか? マジかよ」
「ど、どうして姉さんが……? 確かに私の前で死んだハズなのに……」
ライラは今までの無表情を崩し今までに無い程動揺を見せる
そんな二人を前にしても剣士は何も語りかける事は無い
無言で金髪の剣士は己の持つ属性の魔法で二つに斬れた剣を治す。そう彼女の属性はローラと同じ治癒
(あんな事が出来るのか? 凄いな、こいつは俺の知っているローラでは無くライラと同じ様に見た目ソックリの別人だろう、それに正気じゃない)
そう判断したジョンは攻撃を再開しようとするがライラが止める
「や、止めて! あの人は私の姉さんなの!」
「あの女の様子を見てみろ明らかに正気じゃない、諦めろ、あの女は殺す」
「そんな事をしたら案内はもうしない!!」
駄々を捏ね始めるライラ
「殺さなきゃ俺達が殺されるんだぜ?」
「そんな事知らない!」
今までのライラとはまるで違う、あの金髪の剣士が姿を現してから、落ち着いた女性のイメージから一変して子供っぽい一面を見せる
そんな子供っぽい彼女がジョンの一言二言ではそう易々と説得されないそして今の状況から延々と説得する事も出来ないと判断したジョンは仕方なく
「分かった。殺さなきゃいいんだろ?」
妥協する
「うん」
「注文の多いお嬢さんだな」
ジョンはこの戦で大きな枷が出来上がる
あの金髪の剣士を殺さず無効化しなければならない
「死ぬより惨めな事になるかも知れねぇが文句は言うなよ?」
ジョンは短剣をしまう
素手で戦うつもりなのである
ジョンのこの質問は当然の疑問だろう
知り合いにそっくりの人間? が目の前に居るのだ。この者が何者かを知りたいのは当然の欲求
しかし彼が知りたいのは彼女の名前では無い、もっと本質的な事
「……君は私とそっくりの顔をした知り合いが居るんだね? そうなんだね?」
「あぁ、そうだ。生き別れの双子か何かか?」
「ふふふ、そう言われればそうとも言えるかもね、私達は姉妹なのかも」
「姉妹?」
「そう、私達は姉妹、博士に作られたクローン」
「クローン……? クローンだと?」
クローンという彼女の言葉、ジョンにも聞き覚えがある
彼の元の世界にもその言葉が存在したからだ。
「私はダーチェ・エラカンダのクローン、ものを凍らせる事が出来るの」
「ふーん……クローンねぇ」
(なんだ? この世界の技術レベルが分からない馬車が現役のくせにクローンが作れるのか? それもこれも魔法があるおかげか?)
「君は何処から来たの?」
「何処だと思う?」
「知らないわ、だって私外に出た事がないんだもの外の世界は知識でしか分からないわ、本にはそんな服載っていなかったし」
ジョンは彼女のその発言を自分を無知だと偽ってジョンから情報を引き出す為の嘘では無く事実だと信じる
彼女の無知を信じた。だから事実を言う
「エスカルドから来た」
「エスカルド……? 随分と遠い所から来たんだね」
「まぁ色々あってな」
此処まで来るのに様々なドラマがあった。
先ずはザッラーに飛ばされ
マリア達を抱えたままカタリナとナイロンと戦うハメになり
その二人に何とか勝ったと思ったらカランダーンとメイヴィスそれにザッラーが現れそして奴と会うその名をジャック、ジョンの復讐相手
その後ジャックと四人の不死の騎士と戦い、勝つ
勝ったのはいいがザッラーに再び飛ばされ次は雪景色を観光、次はボロボロの洋館、そして今砂漠に潜む遺跡で秘宝捜し
しかし秘宝は未だに見つからず挙句の果てに何者かの罠に嵌り、三十分以上、地を掘り進めるハメになる
「そう、色々ね、貴方の顔を見れば大変だったのは分かるわ、だって死にそうな顔をしているんだもの」
「死にそうだからな」
「貴方の名前を聞いてもいい?」
「ジョン」
「いい名前ね」
「嬉しい事言ってくれるな」
「外の世界の人間と会ったのは初めてなの色々聞きたいわ」
「色々話したいがあまり時間が無い、此処で子供を連れた女と男の三人組を見なかったか?」
時間が無いのはマリア達の事
ジャック達が脱出できたか分からない今早めに彼らの所在を確認して置きたかった。もしかしたらさっきまでのジョンと同じように何処かに閉じ込められている可能性もある
「さっき言ったでしょ、外の世界の人に会ったのは貴方が初めて、会ってないわ」
「そうか、じゃあ探さなくちゃな」
「別の人も来てるの? その人達と逸れちゃったんだね」
「そうだ。落とし穴に落ちてな」
「この遺跡には沢山の罠があるから気を付けた方が良いよ、それも未だに全部ちゃんと稼働している」
「そりゃ恐ろしいな、ならアンタ道案内をしてくれないか? 安全な道を教えて欲しい、報酬として道案内の途中でお前の聞きたがっていた外の世界の話をする、どうだ?」
「いいよ、どうせ暇だからね」
ジョンとライラは書庫を後にする
「こっちだよ、そっちの道には罠がある」
遺跡は迷路の様に入り組んでいる、なので道案内が無ければ罠の無い道を選ぶのも一苦労だろう
つまりジャック達が危ないという事である
「何について知りたい?」
「そうね、外では色んな姿の人間が集団で生活してるというけど本当なの?」
「街や村や国があってそこで集団で生活をしている、老若男女問わずにだ」
「へぇ~そうなの、外では太陽が地上を照らすというけど、光とはどんな感じなの?」
「明るく暖かい」
「気持ちいい?」
「俺はあまり好きじゃない」
「明るい所が嫌いなら暗い所が好きなの?」
「両方共好きじゃない、片方が嫌いだったらもう片方の事を好きにならなくちゃならないのか?」
「そういうつもりで聞いた訳では無いわ」
「分かってる、悪かったな、意地の悪い言い方をした」
「いいのよ」
そんな話をしながらジョンとライラは通路を進む
ライラの案内通りに動けば危険は無いが暇
「こっちから質問してもいいか?」
「いいわよ」
「お前はクローンと言ったなそれに俺の知り合いの事も」
「えぇ、言ったわね」
「誰がクローンを作ったんだ? 博士とか言ってたが」
「グログリ・スターク博士、元々有ったこの遺跡を研究所に改修、改造をして私達を作ったの」
「私達? 他にも居るのか?」
「えぇ、みんなもう死んでしまったけどね」
「俺のその知り合いも此処出身なのか?」
「それは無いわね、だって此処で生まれた私の姉妹達はみんな此処で生まれて外を知らないまま此処で死んだもの」
「そうか、悪い事を聞いたな」
「別に事実だもの謝る事は無いわ」
「じゃあ、つまりクローン研究は此処以外でも行われているのか?」
「そういうことでしょうね」
「恐ろしいな、で? そのお前を作った恐ろしいグログリ博士は何処に行ったんだ?」
「さっきの書庫に居たわよ、剣を二本刺された白骨遺体が有ったでしょ? それが博士」
「なるほど、死んでいる訳か、誰が殺したんだ?」
「私よ、私と姉さん」
ジョンはライラと少し距離を取る
「そんな恐ろしい奴だったのか? お前は?」
「そんな怖がらないで貴方を攻撃するつもりは無いわ」
「そんな事言われてもな」
「彼には積年の恨みがあったのよ、だから殺した。でも貴方には無いわ、だから殺さない、簡単でしょ?」
「恨みって何があったんだ? 食べ物でも盗られたのか?」
「そんな可愛い理由だったら良かったんだけどね」
ライラはそれ以上博士について話そうとしなかった。
ジョンもそれ以上聴かない、人には聴かない方が良い事柄が少なからず存在するのだ。
「お前の姉妹が全員死んだと言っていたが、どうして死んだんだ? 疫病?」
「病気では無いわ、私達は元々寿命がとても短いのよ、長くて三十年程しか生きられないの」
「お前は幾つなんだ?」
「二十九歳よ、私も死期が近いわ」
「あ、あぁそうなの……」
「えぇ」
そこで会話が止む
頭を掻くジョン、珍しく人に気を使っている
「別に気にしなくていいのよ? 私も死は覚悟しているしこのまま生き続けても寂しいだけだもの」
彼女は最後の姉妹が死んでから三日経ち、精神的に弱くなっているのだ。
だからもう死んでも悔いはない、そう思えていた。
「最後に外の人と会えて良かったわ、楽しいひと時をありがとう、ジョン」
その後もライラに連れられ通路を歩く、ジャック達とはまだ会えていない
景色も変わらない道を延々と歩くのだ。暇だが会話は無い
黙々と暗い遺跡の通路の中を歩く、考古学者でも無ければ最悪の状況だろう、ジョンも例外ではない
風は無いが空気は冷やかで音はジョンとライラの足音だけ、耳を澄ましても二人の呼吸音が聞こえるだけである
暗い中を松明無しで歩く二人
その時ジョンに一つの疑問が浮かび沈黙が鳴く
「お前の姉妹が死に博士も死に此処に残ってるのはお前一人なんだよな?」
「そうよ」
「それでお前はものを凍らす魔法使いなわけだ……ならこの遺跡の砂を操作してるのは誰だ?」
「……知りたい?」
「是非とも」
「分かった。この砂を操っているのは人じゃないわ、糸よ細い一本の糸がこの遺跡全ての砂を操作しているの」
数日前までのジョンならこの一言に驚きたじろぐ所だったが今のジョンはあらゆる事からの耐性が出来ているので驚かずたじろがない
糸一本でこの遺跡の砂が操作されていると言われても一切表情を動かさず冷静に聞き返す。
「糸ねぇ……それにはどんな魔法が使われているんだ?」
本来ジョンとはこういう男、滅多に驚かず表情を崩さない、そしていつもニヤケ顔
しかしこちらの世界に来てからはそのニヤケ顔も幾度となく崩れたが心機一転し何か摩訶不思議な事が起こっても全て魔法の仕業と思えばそれで良い、そう思う事で心の平衡を保とうとしている
「ものを操作する魔法よ、通称 ラライクの糸と呼ばれているわね」
ジョン達があの村の村長から聞いた秘宝ラライクの糸は間違いなくライラの言うラライクの糸で間違いが無いだろうと思ったジョン
「砂を操作する糸か」
「いいえ、砂では無くても何でも操作出来るわ、動物でもいいのよ? 貴方欲しい?」
「欲しがっているのは俺じゃなくてこの遺跡の外の近くに住んでいる村長が欲しがっている、金にする為にな」
「お金……? あの糸を売るつもりなの? 何処の誰かも分からない人に? それは駄目よ、あの糸は強力過ぎる悪用されたらとんでもない程の死者が出てしまうかもしれない」
」
「俺も痛い目にあわされたからそれはよく分かる」
「そうでしょう? だからあの糸は信用できる人に渡して欲しいの出来れば神に返上するのが一番かもしれないわ」
「元々神の所持物だったのか?」
「そうよ、あの糸は総統の神・ラライクから譲り受けたの、だからラライクの糸と呼ばれているの」
「通りで強力だと思った」
「あんな協力な魔道、人間では作れないわよ」
魔道というジョンの知らない単語が出てきたがスルーする、理由は何となくその正体を察する事が出来るのとジョン達とはまた違う気配を察知したからだ。
「おい、誰か来るぞ、止まれ」
「そうなの? よく分かったわね、凄いわ」
ライラは驚く事も無くジョンを称賛する
そんな事言っている場合かと思いながらもジョンは通路の先から来るものに意識を集中する
足音は重い、ジャック達ではないと分かる程の重さを響かせている
透明の短剣を構えるジョン、ライラはその隣でそんなジョンを不思議そうに見つめている
「凄い足音ね、この遺跡には私の他に居なかった筈だけれど……」
「まさか幽霊とか?」
「霊は足音をさせないわ」
(そういえばこの世界では実際に霊が存在するんだったな……)
足音はゆっくりとジョン達に近付いて来る
「ライラ、戦えないなら後ろに下がってろ」
「分かったわ、頑張ってね」
「頑張らせていただくぜ」
現れたのは全身砂で出来た人間の形態をした砂人間、顔は無い、大きさは成人男性のジョンの倍ほど
「化け物じゃねぇか……」
(あの大きさにこの足音、相当身が詰まっているな、一撃でも攻撃を喰らえば間違いなく死だ)
「ライラ、あいつに見覚えは?」
「無いわ、私も初めて見た」
「素晴らしい返答だな……仕方がない、来いよでくの坊」
「でくの坊」そう呼ばれた人間の形状をとった砂の塊はジョン達を見つけた途端その遅い足を速くする、叫び声も上げず
速くすれば当たり前だが足音も振動も増す。
天井から落ちて来る遺跡の残骸に埃
ジョンを射程圏内に入れるとでくの坊はその大きな左手をジョンに向かって思いっ切り横へ振る
その速さは腕を壁に叩きつけた時に出来た壁の大きなヒビと壁への食い込み具合、遺跡全体が揺れた事実から推察出来るだろう
しかし壁にはヒビだけで血は飛び散っていない、ジョンは高速で振られたその左手をしゃがみ避けたのだ。
「恐ろしい、奴だな、お前言葉通じるのか?」
でくの坊はそんなジョンを蹴り飛ばそうとするがそれもジョンが後ろへ後退して避ける
「返答無しか? 寂しいな、それとも出来ないのか?」
でくの坊はさっき食い込んだ左手が抜けず立ち往生している、が近づけば左手以外の部位で攻撃されるだろう
しかしジョンはそんな事構わずでくの坊に突撃する
でくの坊はそんなジョンに対して右手を振るが簡単に避けられる
「動きが単調だぜ」
左手を封印されたおかげでジョンは次の動きがすぐに予想できる
そしてその右手の攻撃を避けられたのがでくの坊にとって致命傷だった。この一撃でジョンを仕留められなかったのが敗因
でくの坊は右手の攻撃を避けられた後、透明の短剣ででくの坊の左足を斬る、その影響でバランスを崩し倒れるでくの坊
ジョンは一旦でくの坊から離れる
「おい、まだやるか?」
でくの坊は必死に立ち上がろうとするが立ち上がれない
「何度やっても無駄だと思うぜ? アンタの動きは読み易いどんなに速い動きでも事前に予知されれば簡単に避けられる」
その言葉が通じているのか分からないがジョンは話し続ける
「次攻撃してきたら動かなくなるまで斬る」
ジョンの言葉など意に介さずでくの坊は立ち上がろうとする何かの使命に駆られているかの様に
しかし重いその体重を持ち上げるには片手だけでは立ち上がれない、ひっくり返った虫の様に無闇矢鱈に手や足をジタバタと動かし続ける
とても知能のある生物だとは思えないと感じるライラ
「そんな必死になったって無駄さ、左手が抜けない限り立ち上がれない、それにその左手の様子からそんなに簡単に抜けるとも思えない」
ジョンは話しかけ続ける、そんなジョンの事を不気味に思い始めるライラ
「ジョン……彼に話か通じているとは思いにくいわ、対話は無駄よ」
「だろうな、だが俺はお喋りが大好きでね、どんな相手だろうが対話を通じて分かり合いたいと願っているのさ」
「……そうなの? そうは見えなかったわ」
「まぁそりゃ嘘だからな」
なんだこいつは……と内心思うライラ
「お前此処に住んでから何年になるんだ?」
「生まれた時から居るから……二十九年よ」
「二十九年此処に住んでいてこいつを見た事もないのか?」
「無いわ、一度もね、恐らく侵入者が現れた時に発動する罠の一種なんでしょうけど……見たのは初めてだわ」
「これで一つの事実が分かった訳だな、お前はこの遺跡について全てを把握していないという事がな」
「そうだったみたいね……」
ジョンはでくの坊を見る、まだ起き上がる兆も見えない、起き上がらないが道を塞ぎ尚且つジタバタ動いているのでライラがでくの坊を跨いで通過するのは危ない
そう判断したジョンはでくの坊の頭、右手右足左手左足を切断し、完全に無効化しでくの坊の上を渡り先に進む
そしてでくの坊を撃破した先に待って居たのは全身をフルプレートの鎧で身を包んだ。剣士、場所は又もや狭い通路、剣士は通路の横に立ったまま凭れ掛かっており
ジョン達の気配を感じたと同時に沈黙のまま、凭れ掛かるのを止め通路の真ん中に立ち剣を抜く、そして剣士は人を通さぬ壁となる
それを見たジョン
「またかよ……さっきとは違って明らかに人間じゃないか? こいつ」
耳を澄ますと呼吸音も聞こえ益々人間だという証拠が増える
「そんな……じゃあ今までこの人は何処に居たと言うの? 二十九年間も」
「知らんな、まぁそれはこいつを叩きのめしてから考える事さ、そのプレート剥がしてやるよ」
ライラの前に立ち構えるジョン
「来ないのか? ならこっちから先に行かせて貰うぜ」
この戦い、最初に仕掛けるのはジョン、高速で剣士に近付き透明の短剣を振る
透明の短剣の切れ味は極上、どんなものでも持ち主の腕が良ければ一刀両断する事が出来る、剣士が持つ剣も例外ではない
透明の短剣は攻撃を防ぐ為に動かされた剣士の剣をバターを斬ったかの様に滑らかに斬る、そしてその短剣は剣だけでは飽き足らずその顔を覆い顔を隠しているヘルムを斬る、その影響で顔の一部が露わになる
剣士はジョンの一撃で絶体絶命のピンチに陥る……がジョンが何故か追撃しなかった為何とかその場を退く
ジョンが追撃していれば勝負は決まっていた。がジョンは追撃しなかった。何故か?
「ローラか?」
剣士の顔はジョンの知り合いのローラにそっくりである
そしてその顔をライラも目撃する
「姉さん!?」
剣士の顔はライラが姉と慕っていた女性とそっくりである
ローラと姉と呼ばれたその剣士は斬れたヘルムを取り投げ飛ばす。美しい金色の髪が姿を現す。
顔はピクリとも動かず表情は静か
「まさか……ローラもクローンなのか? マジかよ」
「ど、どうして姉さんが……? 確かに私の前で死んだハズなのに……」
ライラは今までの無表情を崩し今までに無い程動揺を見せる
そんな二人を前にしても剣士は何も語りかける事は無い
無言で金髪の剣士は己の持つ属性の魔法で二つに斬れた剣を治す。そう彼女の属性はローラと同じ治癒
(あんな事が出来るのか? 凄いな、こいつは俺の知っているローラでは無くライラと同じ様に見た目ソックリの別人だろう、それに正気じゃない)
そう判断したジョンは攻撃を再開しようとするがライラが止める
「や、止めて! あの人は私の姉さんなの!」
「あの女の様子を見てみろ明らかに正気じゃない、諦めろ、あの女は殺す」
「そんな事をしたら案内はもうしない!!」
駄々を捏ね始めるライラ
「殺さなきゃ俺達が殺されるんだぜ?」
「そんな事知らない!」
今までのライラとはまるで違う、あの金髪の剣士が姿を現してから、落ち着いた女性のイメージから一変して子供っぽい一面を見せる
そんな子供っぽい彼女がジョンの一言二言ではそう易々と説得されないそして今の状況から延々と説得する事も出来ないと判断したジョンは仕方なく
「分かった。殺さなきゃいいんだろ?」
妥協する
「うん」
「注文の多いお嬢さんだな」
ジョンはこの戦で大きな枷が出来上がる
あの金髪の剣士を殺さず無効化しなければならない
「死ぬより惨めな事になるかも知れねぇが文句は言うなよ?」
ジョンは短剣をしまう
素手で戦うつもりなのである
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