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第五章 神の暇潰し
吸血鬼と神
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「おぉ! 火種を持って来てくれたのか! 良かった……」
ジョンは蝋燭に火を灯す。部屋は明るくなる、当然の事だがクァイケットにとってこれ程嬉しい事は無かった。
「本当に吸血鬼を名乗る少女が此処に現れたのかい?」
「何だ、あの乙女はお前達の仲間じゃないのか?」
とクァイケットがジークに言う
「違ったみたいだぞ」
「じゃあ……あれは誰なんだ?」
「俺と同じ事を聞くなよ」
と言って不機嫌そうに腕を組むジョン
「やっぱ、悪霊の祟りだったんじゃ……」
と不安を煽るような事を言うクララ
「あの女の悪霊とは見た目が明らかに違っただろ」
「きゅ、吸血鬼と名乗ってましたよ」
「吸血鬼という種族は珍しい種なのか?」
「珍しいもなにも……おとぎ話の世界の住人だと思っていた」
(おとぎ話の住人ねぇ……俺にとってはお前等も神も吸血鬼も同じだがね)
「魔力は感じない……一応の為に騎士全員にこの事は伝えて置こう、何かあってからでは遅い」
ジークは部屋から出て行くその後を追うジョン
「私は屋敷に居る者に今の事を伝える、ジョンは外に居る者に伝えて来てくれ」
「そう言えば、巫女様は何処に居る? 今この現状で一番狙われたら不味いのは巫女様だろ? この時間なら廻りの最中か?」
「……そうなるな」
ジョンは急ぎ外に向かう、廻り中であろうネルヒムに出会う為に
「祝福を!」
ネルヒムはいつもの様に村人達に幸せを振り撒いている、そんな所にジョンが大急ぎで現る
「よぉ! 生きてるか!」
「きゃ!」
「な!? どうしたんだ! ジョン!?」
「先生が廻りの最中にやって来るなんて珍しいですね」
ジョンがネルヒムの護衛に就いていたエルとナサルに事情を説明する
「……吸血鬼だと?」
「お前等も知らないみたいだな」
「でもその話が本当だったら、不味くないですか? 不審者があの屋敷に一人潜り込んでいるって事ですよ!」
「そうなるな……ジョン、気のせいという事は無いのか?」
「無いな、俺以外にもそいつを見た奴らが居る、クァイケット達だ。もし俺を疑うならアイツ等に話を聞いてみろ」
「屋敷に居る非戦闘員は宿に集めよう、我々で屋敷を捜索するぞ」
「あの女が何か企んでいるとは思えんがな……なんだか寂しそうにしてたぜ?」
「安全優先だ」
ナサル達は屋敷に居た非戦闘員を宿まで避難させ、屋敷の捜査を開始する
が何処にも少女の姿は見られなかった。魔力も感じられないと言う
「お前たちは本当にそんな少女を見たのか?」
ナサルは牢屋がある地下の部屋でジョンとクァイケット達に疑いの眼差しを四人に向けながらそう聞く
「嘘を言っていると思うのか? 何故嘘を言わなきゃならない」
「そうだそうだ」
「だがそんな少女の気配は一切感じられないぞ」
「逃げたんでしょうかね?」
「かもしれねぇな」
「念の為もう一度屋敷を回ってそれでも何も感じなかったら宿に居る全員を戻そう」
「確かに居たんだがな……」
もう一度回っても何も発見されなかったので警戒は解かれ屋敷に人が戻される
ジョンはおかしいおかしいと首を傾げながら、地下に一人でウロウロとしていた。
「我を探そうとしても無駄だぞ」
そんな時ジョンの後ろから声がする、ジョンはその声がした方向を向くそこには少女
「お前何処に居たんだ? お前の御蔭でこっちは嘘つき野郎だ」
「済まないな、だが驚いたのはこっちだ。行き成り泥棒呼ばわりとはな」
「仕方ないだろ、自分の住む家に正体不明の不審者が潜んでいたら、誰だってそいつの事を泥棒か何かだと思うだろうよ」
「そういうものかな……」
「泥棒じゃなかったら、お前は何なんだ?」
「言っただろう? 我は此処に仕えている」
「その事をこの屋敷の主は知っているのか?」
「知らないだろうな、お前とあの曲芸師しか我の事を知らないハズだ」
「やっぱり不審者じゃねぇか」
「……そうか不審者か」
メイヴィスは寂しそうにそこに座る
「仕方のない事だがそう言われてしまうと寂しいな」
「アンタにどんな事情があるか分からんがアーロックに言って正式に雇って貰う事は出来ないのか?」
「出来ないな、我は此処でワルクルス家と巫女を見守る命を受けている」
「誰からだ? アーロックじゃないんだよな?」
「カランダーンからだ」
「な、何?」
「カランダーン、この村の近くにある山に住む神の事だ」
ジョンは思わぬ所でカランダーンの名を聞き驚く
「カランダーンに会ったのか?」
「あぁ、会ったぞ」
「どうやって会った? 巫女に入れて貰った訳じゃないんだろ?」
「我は特別でな巫女の許可無くあの結界を通り抜けられるのさ」
「入れるのはお前だけか? それとも同伴者も一緒に入れるのか?」
「出来るぞ」
「なら俺を連れて行って貰えないか?」
「礼の必要は無い、カランダーンにお前を呼べというお達しが出た」
「俺を?」
「あぁ、そうだ。今からいいか? 準備の必要があるか?」
「準備の必要は無い、今から会いに行こうぜ」
ジョンにとってはこの上ない機会だが何か嫌な予感を感じ、一切喜べなかった。その予感は当たる
メイヴィスに案内され山の中に入り、その山の中にある大きな洞窟に入る、洞窟の最深部は広い広場になっていてその広場の奥に褐色の少女が岩の上で胡坐をかいていた。
「もしかしてあれがカランダーンか?」
「そうだ。失礼が無いようにした方がいいぞ」
「緊張しちまうな」
「そう緊張する必要は無いよ、ジョン私は神だが崇められるのは好きじゃない友達にでも話し掛けるつもりで話してくれ」
カランダーンがニコニコの笑顔でフレンドリーにそうジョンに話し掛ける
「そう言って貰うと助かる、よろぴくな」
「よろしくジョン、私がカランダーンだ。私に聞きたい事は分かっているぞ、元の世界に戻る為にはどうしたら良いのか? それを聞きたいんだろ?」
「流石神様だな話が早くて助かる、どうすれば良い?」
「その前にジョン、君に話す事がある」
「何だ?」
「君をこの世界に呼び寄せたのは私だ」
「……驚かないぞ」
「私の力で元の世界に戻す事も出来るが条件が有る」
「自分が勝手にこっちの許可も無く呼んだくせに条件だと?」
「悪いね、で、その条件なんだけどある人を此処に連れて来て欲しいんだ」
ジョンはカランダーンを睨むが無駄だと諦め、話を聞く事にする
「誰だ? 特徴は?」
「名前は知らないだが特徴は知っている、右手が無く赤髪に緑の眼をした男と聞いている、最大の特徴は右手が無いという事か」
ジョンの顔が変わる
「右手が無い? それに赤髪に緑の眼だと?」
ジョンはその特徴を聞き驚く、何故ならジョンも同じ様な特徴の人物を捜していたからだ。
「そうだ。君と同じ世界からとある神が面白半分で連れて来たんだがこれが問題でね、我々が作った法律ではそういうのは禁止になっているんだ」
「法律だと? 神にもそんなものがあるのか?」
「あるぞ、全世界の神々が集まってルールを決めたんだ。そのルールの中に人間に対して過度な接触を禁ずるというものが有る、異世界から人間を連れて来るという行動はそのルールに触発するという事になってね元の世界に戻そうという事に裁判で決まったんだ」
「神に法律と裁判か……」
「だがその男が見当たらなくてね、君にその男を探して欲しいんだ」
「何故俺なんだ? お前らが探せば一発なんじゃ無いのか?」
「それがそう簡単じゃなくてね、神は基本的にその自分の住んでいる土地からそう簡単に離れられないんだよ、だから捜し人が居る場合代わりに誰かに探して貰うのが通例だね」
「神なら此処を動かなくても人を探す術ぐらいあるんじゃないのか?」
「神にも得意不得意が有る、残念ながら私は探し物を探すのはとても苦手なんだよね、だから君に頼みたい訳」
「異世界から人間を捜すために異世界から人を呼んだのか? それはお前等のルールじゃ無しなんじゃないのか?」
「本来はね、でも”異世界人を異世界人に捜させる”という事が裁判で決まってね、今回は特例で許可を貰っているだから問題無しなんだよ」
「……よく分からんな、何故捜すのが異世界の人間じゃなきゃ駄目なのか? それをハッキリさせてくれ」
「あぁ、そうだなその赤髪の異世界人――」
とカランダーンが言った時ジョンが
「ジャック……」
と呟く
「何だ?」
「赤髪の異世界人だと言い難いだろ? だから仮名さ「ジャック」、良い名前だろ?」
「そうかそれならそのジャックが此処に転移した時、転移させたとある神がある力をその男に授けたんだ」
「どんな力だ」
「『拒絶』我々はそう呼んでいる、神が人間に与えたこの世界最強の防御魔法、ありとあらゆる攻撃を拒絶し防ぐどんな攻撃も通用しない、だがこの力にも弱点がある……この力が通用するのはこの世界の住人のみという事だ。つまり異世界から来た人間には通用しない」
「俺の事は拒絶出来ないという訳だ。で? 俺を呼んだのか?」
「当たり、今回の件で最も適任な人物を異世界から呼び寄せた結果君が来たんだ」
「俺が適任ねぇ、まぁそれはいいそれより俺をこっちに呼んどいてお前は何故すぐに俺の前に姿を現さなかったんだ? 俺がお前に会う為にどれだけ苦労をしたか知ってるか?」
カランダーンはクククと笑い
「それは悪かったね、君を放置した理由は君の能力と性格を知る為、どんな人間か会う前に知って置きたかったんだ。もし馬鹿な事をする様な人だったら元の世界へ逆戻りさせるつもりだった。だが君は私の眼から見てそこまでの問題を抱えていないと判断し会う事に決めたという訳だよ、納得した?」
「……俺が今此処で泣き叫んで小便をまき散らしながら転げまわったら返してくれるって事か……?」
「そんな事しても、もう遅いから、此処は私の家なんだからそんな事絶対しないでね、怒るよ、一生この世界に閉じ込めるよ?」
「人間に対して過度な接触はしないんじゃなかったか?」
「”過度”では無いよ? ね? メイヴィス?」
「……そうかもしれませんね」
「神ってのはどいつもこいつもこんな感じなのか?」
ジョンは蝋燭に火を灯す。部屋は明るくなる、当然の事だがクァイケットにとってこれ程嬉しい事は無かった。
「本当に吸血鬼を名乗る少女が此処に現れたのかい?」
「何だ、あの乙女はお前達の仲間じゃないのか?」
とクァイケットがジークに言う
「違ったみたいだぞ」
「じゃあ……あれは誰なんだ?」
「俺と同じ事を聞くなよ」
と言って不機嫌そうに腕を組むジョン
「やっぱ、悪霊の祟りだったんじゃ……」
と不安を煽るような事を言うクララ
「あの女の悪霊とは見た目が明らかに違っただろ」
「きゅ、吸血鬼と名乗ってましたよ」
「吸血鬼という種族は珍しい種なのか?」
「珍しいもなにも……おとぎ話の世界の住人だと思っていた」
(おとぎ話の住人ねぇ……俺にとってはお前等も神も吸血鬼も同じだがね)
「魔力は感じない……一応の為に騎士全員にこの事は伝えて置こう、何かあってからでは遅い」
ジークは部屋から出て行くその後を追うジョン
「私は屋敷に居る者に今の事を伝える、ジョンは外に居る者に伝えて来てくれ」
「そう言えば、巫女様は何処に居る? 今この現状で一番狙われたら不味いのは巫女様だろ? この時間なら廻りの最中か?」
「……そうなるな」
ジョンは急ぎ外に向かう、廻り中であろうネルヒムに出会う為に
「祝福を!」
ネルヒムはいつもの様に村人達に幸せを振り撒いている、そんな所にジョンが大急ぎで現る
「よぉ! 生きてるか!」
「きゃ!」
「な!? どうしたんだ! ジョン!?」
「先生が廻りの最中にやって来るなんて珍しいですね」
ジョンがネルヒムの護衛に就いていたエルとナサルに事情を説明する
「……吸血鬼だと?」
「お前等も知らないみたいだな」
「でもその話が本当だったら、不味くないですか? 不審者があの屋敷に一人潜り込んでいるって事ですよ!」
「そうなるな……ジョン、気のせいという事は無いのか?」
「無いな、俺以外にもそいつを見た奴らが居る、クァイケット達だ。もし俺を疑うならアイツ等に話を聞いてみろ」
「屋敷に居る非戦闘員は宿に集めよう、我々で屋敷を捜索するぞ」
「あの女が何か企んでいるとは思えんがな……なんだか寂しそうにしてたぜ?」
「安全優先だ」
ナサル達は屋敷に居た非戦闘員を宿まで避難させ、屋敷の捜査を開始する
が何処にも少女の姿は見られなかった。魔力も感じられないと言う
「お前たちは本当にそんな少女を見たのか?」
ナサルは牢屋がある地下の部屋でジョンとクァイケット達に疑いの眼差しを四人に向けながらそう聞く
「嘘を言っていると思うのか? 何故嘘を言わなきゃならない」
「そうだそうだ」
「だがそんな少女の気配は一切感じられないぞ」
「逃げたんでしょうかね?」
「かもしれねぇな」
「念の為もう一度屋敷を回ってそれでも何も感じなかったら宿に居る全員を戻そう」
「確かに居たんだがな……」
もう一度回っても何も発見されなかったので警戒は解かれ屋敷に人が戻される
ジョンはおかしいおかしいと首を傾げながら、地下に一人でウロウロとしていた。
「我を探そうとしても無駄だぞ」
そんな時ジョンの後ろから声がする、ジョンはその声がした方向を向くそこには少女
「お前何処に居たんだ? お前の御蔭でこっちは嘘つき野郎だ」
「済まないな、だが驚いたのはこっちだ。行き成り泥棒呼ばわりとはな」
「仕方ないだろ、自分の住む家に正体不明の不審者が潜んでいたら、誰だってそいつの事を泥棒か何かだと思うだろうよ」
「そういうものかな……」
「泥棒じゃなかったら、お前は何なんだ?」
「言っただろう? 我は此処に仕えている」
「その事をこの屋敷の主は知っているのか?」
「知らないだろうな、お前とあの曲芸師しか我の事を知らないハズだ」
「やっぱり不審者じゃねぇか」
「……そうか不審者か」
メイヴィスは寂しそうにそこに座る
「仕方のない事だがそう言われてしまうと寂しいな」
「アンタにどんな事情があるか分からんがアーロックに言って正式に雇って貰う事は出来ないのか?」
「出来ないな、我は此処でワルクルス家と巫女を見守る命を受けている」
「誰からだ? アーロックじゃないんだよな?」
「カランダーンからだ」
「な、何?」
「カランダーン、この村の近くにある山に住む神の事だ」
ジョンは思わぬ所でカランダーンの名を聞き驚く
「カランダーンに会ったのか?」
「あぁ、会ったぞ」
「どうやって会った? 巫女に入れて貰った訳じゃないんだろ?」
「我は特別でな巫女の許可無くあの結界を通り抜けられるのさ」
「入れるのはお前だけか? それとも同伴者も一緒に入れるのか?」
「出来るぞ」
「なら俺を連れて行って貰えないか?」
「礼の必要は無い、カランダーンにお前を呼べというお達しが出た」
「俺を?」
「あぁ、そうだ。今からいいか? 準備の必要があるか?」
「準備の必要は無い、今から会いに行こうぜ」
ジョンにとってはこの上ない機会だが何か嫌な予感を感じ、一切喜べなかった。その予感は当たる
メイヴィスに案内され山の中に入り、その山の中にある大きな洞窟に入る、洞窟の最深部は広い広場になっていてその広場の奥に褐色の少女が岩の上で胡坐をかいていた。
「もしかしてあれがカランダーンか?」
「そうだ。失礼が無いようにした方がいいぞ」
「緊張しちまうな」
「そう緊張する必要は無いよ、ジョン私は神だが崇められるのは好きじゃない友達にでも話し掛けるつもりで話してくれ」
カランダーンがニコニコの笑顔でフレンドリーにそうジョンに話し掛ける
「そう言って貰うと助かる、よろぴくな」
「よろしくジョン、私がカランダーンだ。私に聞きたい事は分かっているぞ、元の世界に戻る為にはどうしたら良いのか? それを聞きたいんだろ?」
「流石神様だな話が早くて助かる、どうすれば良い?」
「その前にジョン、君に話す事がある」
「何だ?」
「君をこの世界に呼び寄せたのは私だ」
「……驚かないぞ」
「私の力で元の世界に戻す事も出来るが条件が有る」
「自分が勝手にこっちの許可も無く呼んだくせに条件だと?」
「悪いね、で、その条件なんだけどある人を此処に連れて来て欲しいんだ」
ジョンはカランダーンを睨むが無駄だと諦め、話を聞く事にする
「誰だ? 特徴は?」
「名前は知らないだが特徴は知っている、右手が無く赤髪に緑の眼をした男と聞いている、最大の特徴は右手が無いという事か」
ジョンの顔が変わる
「右手が無い? それに赤髪に緑の眼だと?」
ジョンはその特徴を聞き驚く、何故ならジョンも同じ様な特徴の人物を捜していたからだ。
「そうだ。君と同じ世界からとある神が面白半分で連れて来たんだがこれが問題でね、我々が作った法律ではそういうのは禁止になっているんだ」
「法律だと? 神にもそんなものがあるのか?」
「あるぞ、全世界の神々が集まってルールを決めたんだ。そのルールの中に人間に対して過度な接触を禁ずるというものが有る、異世界から人間を連れて来るという行動はそのルールに触発するという事になってね元の世界に戻そうという事に裁判で決まったんだ」
「神に法律と裁判か……」
「だがその男が見当たらなくてね、君にその男を探して欲しいんだ」
「何故俺なんだ? お前らが探せば一発なんじゃ無いのか?」
「それがそう簡単じゃなくてね、神は基本的にその自分の住んでいる土地からそう簡単に離れられないんだよ、だから捜し人が居る場合代わりに誰かに探して貰うのが通例だね」
「神なら此処を動かなくても人を探す術ぐらいあるんじゃないのか?」
「神にも得意不得意が有る、残念ながら私は探し物を探すのはとても苦手なんだよね、だから君に頼みたい訳」
「異世界から人間を捜すために異世界から人を呼んだのか? それはお前等のルールじゃ無しなんじゃないのか?」
「本来はね、でも”異世界人を異世界人に捜させる”という事が裁判で決まってね、今回は特例で許可を貰っているだから問題無しなんだよ」
「……よく分からんな、何故捜すのが異世界の人間じゃなきゃ駄目なのか? それをハッキリさせてくれ」
「あぁ、そうだなその赤髪の異世界人――」
とカランダーンが言った時ジョンが
「ジャック……」
と呟く
「何だ?」
「赤髪の異世界人だと言い難いだろ? だから仮名さ「ジャック」、良い名前だろ?」
「そうかそれならそのジャックが此処に転移した時、転移させたとある神がある力をその男に授けたんだ」
「どんな力だ」
「『拒絶』我々はそう呼んでいる、神が人間に与えたこの世界最強の防御魔法、ありとあらゆる攻撃を拒絶し防ぐどんな攻撃も通用しない、だがこの力にも弱点がある……この力が通用するのはこの世界の住人のみという事だ。つまり異世界から来た人間には通用しない」
「俺の事は拒絶出来ないという訳だ。で? 俺を呼んだのか?」
「当たり、今回の件で最も適任な人物を異世界から呼び寄せた結果君が来たんだ」
「俺が適任ねぇ、まぁそれはいいそれより俺をこっちに呼んどいてお前は何故すぐに俺の前に姿を現さなかったんだ? 俺がお前に会う為にどれだけ苦労をしたか知ってるか?」
カランダーンはクククと笑い
「それは悪かったね、君を放置した理由は君の能力と性格を知る為、どんな人間か会う前に知って置きたかったんだ。もし馬鹿な事をする様な人だったら元の世界へ逆戻りさせるつもりだった。だが君は私の眼から見てそこまでの問題を抱えていないと判断し会う事に決めたという訳だよ、納得した?」
「……俺が今此処で泣き叫んで小便をまき散らしながら転げまわったら返してくれるって事か……?」
「そんな事しても、もう遅いから、此処は私の家なんだからそんな事絶対しないでね、怒るよ、一生この世界に閉じ込めるよ?」
「人間に対して過度な接触はしないんじゃなかったか?」
「”過度”では無いよ? ね? メイヴィス?」
「……そうかもしれませんね」
「神ってのはどいつもこいつもこんな感じなのか?」
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