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第三章 盗賊の腹の中
厄日
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私の朝は早い、まずは歯を磨き、今日のドレスを選び、着る、使用人にやらせる人も居るようだけれど人に着させられるのは恥ずかしいし、ドレス選びは楽しい、これを人にやらせるなんてとんでもない!
ベットの上で足をプラプラさせながら朝食の時を待つ、後五分ぐらいで誰か扉をノックするハズ、今日の朝食はなんだろう? シチューかな? それとも……
と考えていると早速ノックが掛かる、今日の当番はローラみたい
部屋を出るといつものように父と母が居て、私とネルヒムを待っている……ネルヒム、少し前までは恨んですらいた少女の名前、しかし今は恨む事を止め、彼女と仲良くなりたいと考えている、がそれは簡単では無く、そもそもネルヒムを一方的に嫌って意地悪をして来たのは私だ。今更許してくださいなんて言えない……
どうしようか……いつものようにナサルやジークに相談でもしようか? ジョンは……無いわね、相談なんかしたら馬鹿にされそうだし
お父様にもプレゼントを貰った時に酷い事を言ってしまった。それからあまり話していない、お母様とも同じだ……少し居心地が悪い今日この頃
朝食を終え私は考える、どうネルヒムや両親に話し掛けよう……そんな事を考えながら屋敷の庭を散歩する、時には青葉に寝っ転がり回る、回ると頭も回りそうで悩むといつもこうして考えている
はぁ~どうしよう、相談しようかな……でも恥ずかしい、「仲直りしたいんだけど、どうしたらいい?」と聞くだけだが私にとってはとても恥ずかしい
そう聞いたと考えるだけで顔が熱くなる
そしてまたはぁ~と溜息を吐いていると後ろから声が掛かる振り返るとそこにはジェシカが居た。私があげた青いドレスを着ている、やっぱり私の見立ては間違えていなかったわ! 可愛い!
「おはようございます。お嬢様」
と丁寧に私に挨拶をするジェシカ、ど、どうしたのかしら? 昨日はマリアちゃん呼びだったのに
「おはよう、どうしたの? 昨日はそんなじゃなかったじゃない……」
「いえ、今日から此処に仕えさせていただく訳ですから」
何よ! そんな丁寧に話し掛けないでよ! 折角同い年の友達が出来たのにそんなんじゃ台無しじゃない!
「もう、そういうの止めて! 主人からの命令は絶対よ! 止めて」
「……でも」
「でももヘチマも無いわ!」
ジェシカは観念したように
「分かったよ、マリアちゃん」
「そう、それでいいのよ、それに貴方はナサルに養われているんでしょ? 私達は関係ないわ」
「……でも」
「しつこい!」
それでジェシカは完璧に観念したようでそれからはマリアちゃんと呼んで来た。良かった良かった
私が上機嫌でジェシカと共に屋敷を散歩する、そして廊下でネルヒムとローラそれにエルと出会う
「あ、えぇと……これから廻りに行くの?」
「う、うん」
ネルヒムは困惑気味だ。当然よね……私から話し掛ける時は何か悪い事を言う時だものね……
「が、頑張ってね」
私の精一杯の言葉、これだけ言うだけでも恥ずかしくて涙が出てきそう
「え?」
するとネルヒムと他の二人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でこちらを見る、三人でそんなマジマジと見ないで頂戴……
「わ、私行くね、じゃあね」
私は居たたまれなくなり、そこを離れる、後ろからネルヒムが呼び止める声が聞こえた気がするが関係ないわ!私の顔、今どうなってるんだろう? 真っ赤になってるのかな? 恥ずかしい……
「マリアちゃん、あの子誰?」
「あれ? 会った事無かったの?」
「うん」
「あの子はこの山の神、カランダーンの巫女よ」
そうするとジェシカは驚き
「え!? あの子が!? 此処の巫女様は若いんだね」
「だって巫女になって三年だもの」
そう三年前に此処に来て父様と母様の愛情を奪った……そう前までは考えていた。
「へぇ~此処には巫女様も居るんだ……」
「うん」
「すごい屋敷だね」
「そうかしら?」
「そうだよ」
別に私が褒められた訳では無いけれど誇らしげな気持になる私
「別にマリアを褒めた訳じゃないよ」
「なんですって!?」
え!? 何、私の心でも読んだのかしら? もしかしてジェシカは読心術のすごい使い手? と私があたふたとしていると
「マリアちゃんって面白いよね、思った事がすぐ顔に出る」
とジェシカが私の顔を覗き込みながら言う、顔!? 私そんな自慢げな顔をしていたのかしら? ジェシカに言われるまでそんな事知らなかったわ、だって誰もそう言わなかったのだもの……で、でも確かにこういう事、以前にもあった気がする……は、恥ずかしい! 生まれてからずっと私は心で思っていた事を顔で垂れ流していたという訳よね? はぁ~
と私は心の中でも溜息を漏らす。
気晴らしに外でも見ようかと窓を見ると雑草抜きをさせられているジョンの姿を見る、昨日はからかったりしたけど、私も共犯なのよね……ジョンの手伝いでもしようかな
と思い外に出てジョンに近付くするとジョンの独り言が聞こえる
「エレクト、お前……出産したのか!? 何てこった! こりゃめでたい!」
ひ、独り言? ジョンは草に話し掛けている、昨日も様子がおかしかったけど今日はそれに増してよりおかしくなってしまってるわ……これも、私の責任ね
「ね、ねぇ」
と私は困惑気味にジョンに話し掛ける
「何です? マリアお嬢様」
と振り向きもせず草を戯れながら返答する
「あの、何かやる事でも無いかなぁ~なんて、ほら、貴方可哀そうじゃない、昨日からずっと草と一緒なんでしょ?」
「まぁでも慣れたら楽しいですよ、今ではほら草が愛おしく感じる、まぁ、最終的にはこの人達も燃やされちゃうんですけどね」
それは慣れたのでは無く壊れてしまったんじゃ無いのかしら……?
「私も手伝うわよ、ここの雑草を抜けば良いの?」
「いいですよ、我が主人にそんな事やらせる訳にはいきませんよ」
この人、私の事を主人だと思った事も無い癖によく言うわよ……丁寧に言葉を話せばいいとでも思ってるのかしら?
「別にいいわよ、このカゴを焼却炉の所まで持って行けばいいんでしょ? 朝飯前よ」
「後ですけどね」
「う、うるさいわよ! 言葉の綾よ!」
絶対に私の事なんて主人だと思っていないわよ! この執事!!
腹は立つけど私が共犯だったのも事実、まぁいいわ憎たらしいけど運ぶわよ! 運べばいいんでしょ! そう私は思い、カゴをジェシカと二人で持ち運ぶ
草が大量に入ったカゴを焼却炉までジェシカと二人で運んでいると
「お嬢様! 何をなさっているんですか?」
と元気良くガルスがやって来た
「これを焼却炉まで持って行くの」
「その役目この老骨がやらせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「え? いいわよこのくらい二人で出来るわ、ね?」
とジェシカに視線を送るとジェシカもコクッと頷く
「いえいえ、可憐なお嬢様方にはそんな作業似合いません! 是非私めをお使い下さい!」
「え、でも……」
「こんなカゴ私の敵ではありません」
「そう言って前、腰痛めたんじゃない……」
と私が言うとガルスの表情が止まる
そう前にこういう流れで物の持ち運びを頼んだ時の話、その物を持ち上げた瞬間腰を痛め動けなくなりローラ達がガルスを必死にベットまで運んで行ったのだ
あれからガルスに肉体労働を誰も頼まなくなったのだ。
「い、いえ腰も完治しましたし……」
「そういう時が一番危ないのよ、治ったと思っているとまた来るの、ガルスはあっちに行ってなさい」
「……」
捨てられた子犬の様な顔で私を見るガルス、貴方の為なのよ! そんな顔で見ないで頂戴!!
「分かりました、また用事があったら呼んで下さい……」
と肩をガックリと落とし屋敷に戻って行くガルス
「マリアちゃん、あんな事言っちゃ悪いよ……」
「で、でも、それでまた怪我したら元も子もないじゃない、ああいう時は強く言わなきゃいけないのよ」
そうよ、そうでもしないとずっと食い下がるもの、これは正しい事なのよ
「さ、行くわよ」
「うん」
うんせうんせとカゴを運ぶ私達、そしてようやく焼却炉前まで着く、そこにはナサルが立って居た
「お嬢様達が運んで来てくださったんですか? 有難う御座います」
「何てことないわ、このくらいへっちゃらよ、ね? ジェシカ?」
「うん」
カゴをナサルに渡し、カラのカゴを手に私達二人はジョンの元に帰る
「どうも、マリアお嬢様とジェシカ、貴方達の優しさに感泣至極」
一切実の入っていないお礼を後にして私達は次にジークの元に向かう、ナサルは色々と忙しそうだしジークに相談してみよう、気が乗らないけど……
ジークはいつものように調理場でお酒を飲んで居たので捜すのには苦労しなかった。
「おや、お嬢様どうかなさったのかな?」
「いや……えぇと……」
「ふむふむ……何と! お父様とお母様と仲直りしたいのですか!」
といつもの様に私が何も言わずとも言いたい事を言ってくれるジーク、何で分かるのかしら?
「ふむ、それなら、これが良い」
と言いジークは胸に飾っていた一輪の花を渡して来る、赤いこの花の名はイロコルーナと言う
「これでどうするの?」
「これを渡して、私と踊って下さらない? と言うんです。そう言えばどんな相手もダンスの申し入れを断る事は無いでしょう! そしてダンスをし終わった時には過去の事は忘れ、今のお嬢様にぞっこんになるはずです」
「ゾッコンって……相手は私の両親なのよ?」
「まぁ、そこは言葉の綾ですよ、ゾッコンじゃなくて仲直り? ですかね」
「その案はどうかと思うけど、プレゼントを渡す。という案はなかなか参考になったわ、ありがとう、それとお酒飲み過ぎないようにしてね、またローラに怒られるわよ」
「あぁ、それは恐ろしいが最も恐ろしいのは彼女(酒)が私の手を離れて行く事……あぁ、私はどっちを取ればいいのか? あぁ、悩ましい……」
とジークが言い始めたので話が長くなる前に唖然とするジェシカの手を引き撤退する
「ジークはいつもああだから、今の内に慣れておいた方がいいわよ」
「この屋敷の人達って個性的な人が多いね」
私も含まれてないわよね……?
ベットの上で足をプラプラさせながら朝食の時を待つ、後五分ぐらいで誰か扉をノックするハズ、今日の朝食はなんだろう? シチューかな? それとも……
と考えていると早速ノックが掛かる、今日の当番はローラみたい
部屋を出るといつものように父と母が居て、私とネルヒムを待っている……ネルヒム、少し前までは恨んですらいた少女の名前、しかし今は恨む事を止め、彼女と仲良くなりたいと考えている、がそれは簡単では無く、そもそもネルヒムを一方的に嫌って意地悪をして来たのは私だ。今更許してくださいなんて言えない……
どうしようか……いつものようにナサルやジークに相談でもしようか? ジョンは……無いわね、相談なんかしたら馬鹿にされそうだし
お父様にもプレゼントを貰った時に酷い事を言ってしまった。それからあまり話していない、お母様とも同じだ……少し居心地が悪い今日この頃
朝食を終え私は考える、どうネルヒムや両親に話し掛けよう……そんな事を考えながら屋敷の庭を散歩する、時には青葉に寝っ転がり回る、回ると頭も回りそうで悩むといつもこうして考えている
はぁ~どうしよう、相談しようかな……でも恥ずかしい、「仲直りしたいんだけど、どうしたらいい?」と聞くだけだが私にとってはとても恥ずかしい
そう聞いたと考えるだけで顔が熱くなる
そしてまたはぁ~と溜息を吐いていると後ろから声が掛かる振り返るとそこにはジェシカが居た。私があげた青いドレスを着ている、やっぱり私の見立ては間違えていなかったわ! 可愛い!
「おはようございます。お嬢様」
と丁寧に私に挨拶をするジェシカ、ど、どうしたのかしら? 昨日はマリアちゃん呼びだったのに
「おはよう、どうしたの? 昨日はそんなじゃなかったじゃない……」
「いえ、今日から此処に仕えさせていただく訳ですから」
何よ! そんな丁寧に話し掛けないでよ! 折角同い年の友達が出来たのにそんなんじゃ台無しじゃない!
「もう、そういうの止めて! 主人からの命令は絶対よ! 止めて」
「……でも」
「でももヘチマも無いわ!」
ジェシカは観念したように
「分かったよ、マリアちゃん」
「そう、それでいいのよ、それに貴方はナサルに養われているんでしょ? 私達は関係ないわ」
「……でも」
「しつこい!」
それでジェシカは完璧に観念したようでそれからはマリアちゃんと呼んで来た。良かった良かった
私が上機嫌でジェシカと共に屋敷を散歩する、そして廊下でネルヒムとローラそれにエルと出会う
「あ、えぇと……これから廻りに行くの?」
「う、うん」
ネルヒムは困惑気味だ。当然よね……私から話し掛ける時は何か悪い事を言う時だものね……
「が、頑張ってね」
私の精一杯の言葉、これだけ言うだけでも恥ずかしくて涙が出てきそう
「え?」
するとネルヒムと他の二人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔でこちらを見る、三人でそんなマジマジと見ないで頂戴……
「わ、私行くね、じゃあね」
私は居たたまれなくなり、そこを離れる、後ろからネルヒムが呼び止める声が聞こえた気がするが関係ないわ!私の顔、今どうなってるんだろう? 真っ赤になってるのかな? 恥ずかしい……
「マリアちゃん、あの子誰?」
「あれ? 会った事無かったの?」
「うん」
「あの子はこの山の神、カランダーンの巫女よ」
そうするとジェシカは驚き
「え!? あの子が!? 此処の巫女様は若いんだね」
「だって巫女になって三年だもの」
そう三年前に此処に来て父様と母様の愛情を奪った……そう前までは考えていた。
「へぇ~此処には巫女様も居るんだ……」
「うん」
「すごい屋敷だね」
「そうかしら?」
「そうだよ」
別に私が褒められた訳では無いけれど誇らしげな気持になる私
「別にマリアを褒めた訳じゃないよ」
「なんですって!?」
え!? 何、私の心でも読んだのかしら? もしかしてジェシカは読心術のすごい使い手? と私があたふたとしていると
「マリアちゃんって面白いよね、思った事がすぐ顔に出る」
とジェシカが私の顔を覗き込みながら言う、顔!? 私そんな自慢げな顔をしていたのかしら? ジェシカに言われるまでそんな事知らなかったわ、だって誰もそう言わなかったのだもの……で、でも確かにこういう事、以前にもあった気がする……は、恥ずかしい! 生まれてからずっと私は心で思っていた事を顔で垂れ流していたという訳よね? はぁ~
と私は心の中でも溜息を漏らす。
気晴らしに外でも見ようかと窓を見ると雑草抜きをさせられているジョンの姿を見る、昨日はからかったりしたけど、私も共犯なのよね……ジョンの手伝いでもしようかな
と思い外に出てジョンに近付くするとジョンの独り言が聞こえる
「エレクト、お前……出産したのか!? 何てこった! こりゃめでたい!」
ひ、独り言? ジョンは草に話し掛けている、昨日も様子がおかしかったけど今日はそれに増してよりおかしくなってしまってるわ……これも、私の責任ね
「ね、ねぇ」
と私は困惑気味にジョンに話し掛ける
「何です? マリアお嬢様」
と振り向きもせず草を戯れながら返答する
「あの、何かやる事でも無いかなぁ~なんて、ほら、貴方可哀そうじゃない、昨日からずっと草と一緒なんでしょ?」
「まぁでも慣れたら楽しいですよ、今ではほら草が愛おしく感じる、まぁ、最終的にはこの人達も燃やされちゃうんですけどね」
それは慣れたのでは無く壊れてしまったんじゃ無いのかしら……?
「私も手伝うわよ、ここの雑草を抜けば良いの?」
「いいですよ、我が主人にそんな事やらせる訳にはいきませんよ」
この人、私の事を主人だと思った事も無い癖によく言うわよ……丁寧に言葉を話せばいいとでも思ってるのかしら?
「別にいいわよ、このカゴを焼却炉の所まで持って行けばいいんでしょ? 朝飯前よ」
「後ですけどね」
「う、うるさいわよ! 言葉の綾よ!」
絶対に私の事なんて主人だと思っていないわよ! この執事!!
腹は立つけど私が共犯だったのも事実、まぁいいわ憎たらしいけど運ぶわよ! 運べばいいんでしょ! そう私は思い、カゴをジェシカと二人で持ち運ぶ
草が大量に入ったカゴを焼却炉までジェシカと二人で運んでいると
「お嬢様! 何をなさっているんですか?」
と元気良くガルスがやって来た
「これを焼却炉まで持って行くの」
「その役目この老骨がやらせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「え? いいわよこのくらい二人で出来るわ、ね?」
とジェシカに視線を送るとジェシカもコクッと頷く
「いえいえ、可憐なお嬢様方にはそんな作業似合いません! 是非私めをお使い下さい!」
「え、でも……」
「こんなカゴ私の敵ではありません」
「そう言って前、腰痛めたんじゃない……」
と私が言うとガルスの表情が止まる
そう前にこういう流れで物の持ち運びを頼んだ時の話、その物を持ち上げた瞬間腰を痛め動けなくなりローラ達がガルスを必死にベットまで運んで行ったのだ
あれからガルスに肉体労働を誰も頼まなくなったのだ。
「い、いえ腰も完治しましたし……」
「そういう時が一番危ないのよ、治ったと思っているとまた来るの、ガルスはあっちに行ってなさい」
「……」
捨てられた子犬の様な顔で私を見るガルス、貴方の為なのよ! そんな顔で見ないで頂戴!!
「分かりました、また用事があったら呼んで下さい……」
と肩をガックリと落とし屋敷に戻って行くガルス
「マリアちゃん、あんな事言っちゃ悪いよ……」
「で、でも、それでまた怪我したら元も子もないじゃない、ああいう時は強く言わなきゃいけないのよ」
そうよ、そうでもしないとずっと食い下がるもの、これは正しい事なのよ
「さ、行くわよ」
「うん」
うんせうんせとカゴを運ぶ私達、そしてようやく焼却炉前まで着く、そこにはナサルが立って居た
「お嬢様達が運んで来てくださったんですか? 有難う御座います」
「何てことないわ、このくらいへっちゃらよ、ね? ジェシカ?」
「うん」
カゴをナサルに渡し、カラのカゴを手に私達二人はジョンの元に帰る
「どうも、マリアお嬢様とジェシカ、貴方達の優しさに感泣至極」
一切実の入っていないお礼を後にして私達は次にジークの元に向かう、ナサルは色々と忙しそうだしジークに相談してみよう、気が乗らないけど……
ジークはいつものように調理場でお酒を飲んで居たので捜すのには苦労しなかった。
「おや、お嬢様どうかなさったのかな?」
「いや……えぇと……」
「ふむふむ……何と! お父様とお母様と仲直りしたいのですか!」
といつもの様に私が何も言わずとも言いたい事を言ってくれるジーク、何で分かるのかしら?
「ふむ、それなら、これが良い」
と言いジークは胸に飾っていた一輪の花を渡して来る、赤いこの花の名はイロコルーナと言う
「これでどうするの?」
「これを渡して、私と踊って下さらない? と言うんです。そう言えばどんな相手もダンスの申し入れを断る事は無いでしょう! そしてダンスをし終わった時には過去の事は忘れ、今のお嬢様にぞっこんになるはずです」
「ゾッコンって……相手は私の両親なのよ?」
「まぁ、そこは言葉の綾ですよ、ゾッコンじゃなくて仲直り? ですかね」
「その案はどうかと思うけど、プレゼントを渡す。という案はなかなか参考になったわ、ありがとう、それとお酒飲み過ぎないようにしてね、またローラに怒られるわよ」
「あぁ、それは恐ろしいが最も恐ろしいのは彼女(酒)が私の手を離れて行く事……あぁ、私はどっちを取ればいいのか? あぁ、悩ましい……」
とジークが言い始めたので話が長くなる前に唖然とするジェシカの手を引き撤退する
「ジークはいつもああだから、今の内に慣れておいた方がいいわよ」
「この屋敷の人達って個性的な人が多いね」
私も含まれてないわよね……?
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