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24 精霊魔法薬

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「せっかく私が魔法を解いたのに何をなさっているんですか? 魔法の実行から解除されるまでに時間がかかるのかしら」

 ロメナは再度レクスに問いかけながら、後半は独り言のように呟く。

「何の話をしているのか、全て説明しろ」

 びしょ濡れのエステルを支えたまま、レクスは怒気を込めて言った。低く冷たい声に、自分に言われたわけでなくてもビクッとしてしまう。
 レクスの魔力特性が出ているのか、この場の空気が重くなり、恐怖で身がすくんだ。けれどエステルが震えていることに気づいたレクスが魔力をコントロールしたらしく、彼から発せられる圧のようなものはすぐに小さくなった。
 ロメナもレクスが怒っていることを感じ取って、徐々に顔色を悪くしながら焦って喋り始める。

「ち、違うんです! 私はレクス殿下をお助けしようとして……! この子が闇の精霊を使って殿下を操っていたから!」

 自分は悪くないという主張が激しくて説明は上手くなかったが、ロメナはエステルが闇の精霊を使ってレクスに同情心を植え付けていたことと、レクスを助けるために強制解除魔法が使える魔法使いに依頼したことを話した。

「今日の正午にこの子と闇の精霊との契約は解除されたはずなんです!」

 ロメナはもう一度懐中時計を確認してから、レクスに訴える。

「でもとにかく、レクス殿下がこのことを認識すれば多少は抵抗できるはずです。私もこの混血に同情するよう操られかけたことがありますが、こいつへの嫌悪の気持ちをしっかり持てば完全に操られることはありません。どうか心をしっかり持ってください」

 話を聞き終わると、レクスはまるで自分を落ち着かせようとしているみたいに細く長く息を吐いた。エステルの腰を抱いている手にも力がこもっている。

「大丈夫ですか……?」

 眉間にしわを寄せて何かに耐えているかのようなレクスを見て、エステルは思わず声をかけた。全身濡れて泥だらけで、端から見ればエステルの方が心配になる有り様だが。
 けれどレクスはエステルの声に反応してこちらを見ると、小さく頷いて冷静さを取り戻したようだった。

「話は大体分かった」

 レクスはロメナを見て言う。

「まずお前が勝手に懸念している、私が精霊に心を操られている事実はないと言っておく」
「そんなのどうして分かるのですか? 殿下は操られているから否定されているだけです」
「いや、違う。私は本当に精霊の力の影響を受けていない。我々王族は誰かに魔法や呪いをかけられる危険が常にあるから、そういったものの影響を受けていないか定期的に調べているからな。エステルに出会った後も、二、三度、一流の魔法使いに調べてもらって何の魔法も呪いもかかっていないとお墨付きをもらっている」
「本当ですか?」

 説明されても、ロメナは疑わしそうにレクスを見ていた。
 レクスは何度も説明することはせずに次の話題に移る。

「それからお前が依頼したという他人の精霊契約を強制解除する魔法だが、違法な魔法だ。依頼者も実行者も二人とも罪に問われる」
「でも私はレクス殿下を助けるために依頼したのです! お金だってすごくかかって……!」
「誰もそんなこと頼んでいない」

 反射的に言い返したロメナに、レクスは驚くほど淡々とした口調で言葉を投げる。

「それからお前の父親のことだが――」

 レクスが次の話に移ろうとしたところで、彼の夏服のシャツの胸ポケットが明るく発光し出した。今日は太陽が出ていないので、光っているのがよく分かる。
 何が光っているのかと戸惑うエステルの横で、レクスはポケットに手を入れ、中から手のひらサイズの丸い何かを取り出した。
 それはおそらく陶器でできていて、円盤型で、色は白だが青い絵の具で不思議な文様がびっしりと描かれている。
 
(授業で習った魔法文字に似てる)

 魔法文字は種類も多く全てを覚えているわけではないが、レクスの持っている小さな円盤が何らかの魔法道具であることは分かった。

「ちょうど連絡が来たようだ」

 そう言ってからレクスが短い呪文を紡ぐと、白い円盤は発光を止め、代わりに知らない男の人の声が聞こえくる。

『レクス殿下、キリルです。ご報告します』
「話せ」

 レクスは円盤を口元に近づけて許可を出す。エステルはこんな魔法道具を見たことも聞いたこともなかったが、この場にいない誰かと話ができるものなのだろう。
 すごい、とエステルは一瞬魔法道具の方に注目してしまったが、伝えられる情報を聞き逃すことはなかった。

『ダードン・ドールは最終的に罪を認めました。ずっと無実を主張しており、取り調べ中もしおらしい態度を取って騎士たちの同情を引き、私も憐れんでしまっていたのですが、どうやらそれはダードンに精霊魔法をかけられていたためだったようです』

 この声の主はレクスに仕える騎士なのかもしれない。朝に連行されたというダードンの取り調べを今までやっていたようだ。

『取り調べをしていた騎士全員、心を操られダードンに同情してしまっていましたが、先ほど急に正気に戻ったのです。精霊魔法が何故か解けたようで……。その後、それを理解したダードンは混乱していましたが最後は諦め、違法に薬を作っていたことを認めました』
「分かった。急に正気に戻ったのは、第三者によって精霊契約の強制解除が行われたせいだろう。ダードンと闇の精霊との契約が解除され、精霊がダードンに従う理由がなくなったのだ。後で詳しく説明する」

 そう言うと、レクスは円盤をポケットに仕舞った。
 そしてロメナを一瞥して言う。

「お前は自分の父親が闇の精霊ナトナと契約していたことを知らなかったのか? いずれにしろ、お前が依頼した強制解除魔法はダードンを追い詰めるのに役立った」
「どういうこと……? お父様がどうして精霊と契約を……」

 ロメナは困惑していたが、それはエステルも同じだった。

(ナトナは私とお義父さま、二人と契約していたということ?)

 そして二人とも契約が解除されたということだろうか。
 エステルが考えている間にも髪から水滴が滴り落ちてきたが、そんなこと気にしている場合じゃなかった。
 けれどレクスは気になるようで、ロメナにこう言って話を終わらせる。

「お前はこのまま家に戻れ。そして迎えに来た騎士に大人しく連れられ、取り調べを受けろ。違法な他人の精霊契約の強制解除魔法を依頼したこと、そして父親の薬の製造にどれくらい関わっていたかを話して罪を償え」
「待ってください! 私、お父様の薬のことなんて知らない!」
「それも全部騎士に話せばいい。私は今お前に構っている時間はないし、お前の弁解を聞くのも私の仕事ではない。だが逃げたり隠し立てしたりすれば罪は重くなると肝に銘じて、真っ直ぐ家に帰るんだな」
「……!」

 取りつく島がないと悟ったロメナは悔しそうに唇を噛み締めた後、標的をエステルに移した。

「あんただけ幸せになるなんて許さない!」

 大股で歩いてきてエステルとの距離を詰めると、両手で胸ぐらを掴んで叫ぶ。

「不幸にしてやるわ! 混血のあんたが純血の私より幸せになっていいはずないでしょ!?」
「やめろ」

 レクスがすぐにロメナを引き剥がしたところで、エステルの足元にナトナがやってきた。

「ナトナ!?」

 もう二度と自分の元に戻ってきてくれないんじゃないかと思っていたので、エステルは驚くと同時に胸を撫で下ろした。
 ナトナはエステルに詰め寄っているロメナを見上げて唸り声を上げている。ナトナの魔力が膨らんでいくのが分かるので、魔法を使うつもりなのだと気づいた。ロメナの心を操って、その理不尽な怒りを鎮めようとしているのだろう。
 けれどロメナの怒りや嫉妬の感情が強すぎるのか、いまいち効果はないようだ。

「あんたなんて醜いディタロプなのにッ!」

 ロメナはエステルに噛みつかんばかりの勢いで罵った。彼女が古代ドラクルス語に詳しいとは思えなかったが、混血を罵る単語だけはしっかり知っているらしい。

「黙れ」

 と、レクスがロメナの手首を強く握って、相手を気圧すように一歩前に進み出た。この場の空気がまた重くなり、恐怖で喉が締めつけられるような感覚がする。
 レクスが自身の魔力特性を使ってロメナを従わせるのは簡単だろう。レクスに任せればロメナは大人しくなるし、この場の混乱は収まる。

 けれどそれではいけないような気がして、自分で戦わないと、ロメナにはいつまでも弱いディタロプだと思われたままなのではとエステルは口を開いた。義姉に反論するのは初めてだ。

「そんな言葉使わないでください。私が混血なのは事実ですが、どうしてそれが蔑まれる理由になるんだろうってずっと思っていました」

 エステルが喋り出すと、レクスはハッとして自分の魔力を抑えた。それによってレクスへの恐怖がなくなったロメナも再び怒りを取り戻す。

「急に何を反抗してるのよ! 殿下という強力な味方がいるからって強気に出るのね。あんたはそういう卑怯な人間よ!」
「違います。味方がいるから強気になったんじゃなく、味方がいるから戦う勇気を出せたんです。今まではずっと、怖くて勇気が出なかったから」

 しっかり立って胸を張りつつも、エステルは泣きそうな顔をして言う。

「あなたは両親から愛されて、大事にされて、今までずっと欲しいものは全部与えてもらっていたのに、そうじゃなかった私から何を奪おうというの? 私が幸せに見えるなら、あなたも幸せになれるよう努力すればいいじゃない。私のことを不幸にするんじゃなくて、あなたも幸せになればいいのに」

 精一杯の反論だったが、どんな言葉もロメナには届かないらしい。

「私も王子の恋人になりたいのよ! 王子はこの国に一人しかいないんだからあんたから奪うしかないでしょ!」

 甲高い声で叫ばれて、エステルは動揺しながら返す。

「こ、恋人……!? 誤解です! そんなっ、ありえない、何を言っているの!?」

 顔を真っ赤にして慌てて言った。
 ロメナはまだ何か反論しようとしていたが、そこでレクスがエステルの腕を取る。

「もう行こう」
「ま、待ってください!」

 止めたのはロメナだ。けれどレクスはそちらに視線を向けることなく、エステルを連れて踵を返す。ナトナも走って後をついてきた。

「お許しください! エステルも何とか言ってッ!」

 ロメナはエステルに侮辱的な言葉を吐いておきながら助けてもらおうとしているらしい。だがさすがにエステルも義姉を庇うことはしなかったので、必死な声はすぐに泣き声になり、距離が離れるにつれ消えていった。

(どこへ行くのかしら。私も取り調べを受けるのかな)

 エステルは不安に思ってレクスをちらりと見る。
 ダードンが作っていた薬が違法なものだとは知らなかったが、そんな危険なものをレクスに渡してしまっているのは確かだ。これは罪に問われてもおかしくないと怖くなった。
 緊張して呼吸や指先が震えたが、それに気付いたレクスはこちらを案じるように尋ねる。

「寒い? とりあえず医務室に行って着替えよう。確かタオルも替えの制服もあったはずだ」
「医務室ですか?」

 着替えはさせてくれるようなので、有り難く受け入れて医務室へ向かう。
 医務室には教師が一人いたが、タオルと替えの制服を出させた後でレクスが退室させた。

(そう言えば私もタオルと着替えの体操服持ってるんだった)

 竜舎の掃除用に持ってきていたのだが、もう医務室にあったものを受け取ってしまったので今日はこれを使わせてもらうことにする。色々起こったせいで今はあまり頭が働かない。
 そしてレクスも一旦廊下へ出たが、エステルが着替え終えるとまた中に入り、二人で診察用の椅子に向かい合って座る。ナトナはリラックスした様子でエステルの足元に伏せた。

「怪我はない?」
「ええ、大丈夫です」

 レクスもタオルで軽く髪を拭いた後、尋ねてきた。そしてさっそく本題に入る。
 
「ダードンが捕まったのは知ってる?」
「はい、聞きました」
「違法な薬を作っていたわけだが、それがどんな薬か知っているかな?」

 もしかして取り調べが始まっているのかと、エステルは慌てて弁解した。

「あの、わ、私本当に何も知らなくて……。でも殿下にそんな薬を渡してしまって、私……」

 するとレクスは安心させるように言う。

「いや、大丈夫だよ。あの薬は分析班に回して使ってないし。何も被害は受けてない。それに私は別にエステルの取り調べをしているわけじゃない。ただ今回のことの事情を説明したいだけだよ」

 そう前置きしてから説明を始めた。

「ダードンが作っていた薬は精霊魔法薬だ」
「精霊魔法薬……」
「授業ではまだ習ってないかな。人が魔法を使って作る薬を魔法薬というけど、精霊が魔法をかけた薬を精霊魔法薬と言うんだ。飲めば魔法薬と同じく、ただの薬以上の強い効果が得られる」

 人が作る魔法薬のことは知っていたが、精霊魔法薬のことは知らなかった。

「精霊の数がそもそも少ないから精霊魔法薬を作る者も少なく、市場に出回ることはなかなかない。かなり珍しい薬だね」
「それを義父が作っていたんですか? ナトナに作らせていたということでしょうか?」
「そうだね。出来上がったただの薬に魔法をかけさせていたんだろう」

 自分の名前が出たので、ナトナはピクリと耳を動かした。そして立ち上がるとエステルの脚に前足をかけて膝に乗せるよう催促してくる。
 エステルは希望通りにナトナを膝に乗せ、頭を撫でた。

「ナトナったらいつの間にお義父さまと契約していたの?」

 尋ねたが、ナトナはクゥンと鼻を鳴らすだけだ。

「無理矢理契約させられて、働かされてたのかしら?」

 ナトナがダードンに懐くとは思えないので、きっとそうなのだろう。もしかしてナトナが昼間エステルの側にいないことが多かったのも、ダードンの元で働いていたせいなのかもしれない。
 ダードンはナトナが姿を現すことを嫌がっている節があり、透明でいるよう命令することが多々あったが、それは今思うと、精霊魔法薬を作っていると疑われる可能性を少しでも排除しておきたかったからなのかもしれない。家の使用人からダードンとナトナの繋がりが外に漏れるということもあり得るから。
 レクスはエステルの疑問に答えて言う。

「ナトナがエステルに懐いた後でダードンが契約したんだと思う。契約すればエステルには優しくするとか、逆に契約しなければひどく扱うぞとか、そういうふうに脅したんだろうね」
「そんな……」

 エステルはナトナを抱きしめて謝った。

「私のせいでごめんね。ずっと大変な思いをしてきたのね」
「酷使させられていたわけではないと思うから、あまり気に病まないようにね。本当に嫌だったらナトナは契約を解除することもできたはずだし」

 レクスの言葉に同意するように、ナトナはエステルの頬を舐めた。確かに毎日夜になってエステルの元に戻ってくるナトナには疲れている様子も、精神的に参っている様子もなく、散歩に行っていたくらいの気楽さすらあった。

「ナトナは良くも悪くも精霊魔法薬を作ることについてはどうでもいいと思っていたんじゃないかな。何ならダードンに褒めそやされて気分良く薬を作っていた可能性もある。どちらにしろナトナにとっては、エステルと一緒にいるために昼間少し働くという、それだけのことだったと思うよ」

 その言葉に少しホッとしながら、ナトナを大切に抱えたままレクスに聞く。

「義父が売っていた薬は若返りに効果のある薬だと聞いています。だけどナトナにそんな薬作れるんでしょうか?」
「いや、薬の効果は全く違った。ダードンは貴族たちが食いつくように若返り薬と謳っていたが、実際には若返りの効果はなく、あるのはダードンへの同情心を起こさせる効果だけだった」

 レクスは手に持っていたタオルを側にある机の上に置くと、改めてエステルに向き直って続ける。

「ダードンの薬が売れていたのは、飲んだ者がダードンに同情してさらに薬を買っていくためだ。貴族たちに聞くと、ダードンは『養子を引き取って育てていて養育費がかかる』とか『事業が苦しい』と言って同情を引いていたらしい。普通なら聞き流して終わりだけど、薬を飲んだ後だと本当に同情してしまうんだろう。それで若返りの効果を感じていなくてもお情けで薬を買い続けていたみたいだ」
「そうなんですね」

 確かにそういう効果のある精霊魔法薬ならナトナにも作れるだろう。他人の同情心を湧き起こすというのは、ナトナが一番得意としていることだ。
 レクスは続ける。

「ナトナがまだ幼く未熟だからか、ダードンの売っていた薬にはそれほど強い効果はなかった。薬を飲むのをやめれば、被害者の貴族たちもすぐに正気に戻るよ」
「それは良かったです」
「ところでエステルはナトナと契約した記憶はある? 名前を与え、契約を結ぼうとナトナにはっきり伝えた?」
「いえ……」

 エステルは記憶を探りながら答える。

「名前はつけましたが、契約とかそんなことは言ってないと思います」

 するとレクスも考えを巡らせてからこう言った。

「もしかして、ナトナはエステルにただ懐いているだけじゃないのかな。そもそも精霊の数が少ないということもあって、契約していないのにずっと側にいるなんてケース見たことないけど、ナトナは幼いから人に懐きやすいのかもしれない。野生のドラゴンでも幼ければ幼いほど人に懐く可能性は高いから、それと同じなんだろう」
「懐いていただけ?」

 エステルはちょっとおかしくなって、笑い声を漏らしながらナトナを見た。

「あなた、私に懐いて側にいただけだったの?」

 それで七年も一緒にいてくれたのかとエステルは少し感激した。

「精霊は複数人と契約できるといわれている。けれど契約している全員が精霊に同じ真名をつけなければいけない制約がある。だからすでにエステルがナトナと契約していると思っていたダードンは、自分も『ナトナ』を真名として与えて契約するしかないと思ったのだろう」

 だからダードンは真名を隠すことはできなかった。
 レクスは続けて言う。

「この後、ダードンの件でエステルも騎士からいくつか質問を受けると思うけど、怖がらずに正直に話せば何も問題はないよ。そしてダードンは牢屋に入れられるだろうが、ロメナは拘束まではされないと思う。だからエステルはしばらく学園の寮に泊まるといい。ロメナのいる家に帰れば、追い詰められた彼女から何をされるか分からないから」
「寮に? それは有り難いですが、いいんでしょうか?」
「私から管理人に話をしておくよ。一室くらい空いているだろうから、是非そうしてくれ」
「ありがとうございます」

 そこでエステルは姿勢を正すと、改めてこう言った。

「本当に、色々助けていただいてありがとうございます。さっきも渡り廊下まで来てくださって……とても嬉しかったです」

 するとレクスは柔らかくほほ笑んで、優しい声で答えたのだった。

「いいんだよ」
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