電光石火の雷術師~聖剣で貫かれ奈落で覚醒しましたが、それはそれとして勇者は自首して下さい~

にゃーにゃ

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第10話『ギルド嬢』

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「よしっ。報告書はこれで完成、と」

 ルルはベッドですやすや寝いきを立てている。 すやすや、という音がどこから出てるか、謎だ。

「よだれたらしてまあ」

 ルルは『あるじ様と徹夜のじゃ~☆』

 と、張りきってたが宿屋ついたらすぐ寝た。 子供かな? 吸血鬼って夜に強そうなイメージがあったのだが。 ルル見る限りあんま関係なさそ。

「じゃ、いってくる」

 ルルへの書きおきを書いておいた。 起きた時俺がいないと慌てるかもしれないからな。 軽食用サンドイッチを用意して、俺は部屋をでる。

「ふわっ、ねみー。まぶしいな、太陽」

   ◇  ◇  ◇

「着いた。ギルド、随分と久しぶりの気がするぜ」

 俺はギルドの中に進む。 うおっと! とてつもない衝撃。 いきなり抱きつかれた。ガバっと。 ついでにボキッと骨も折れてるかもしれん。

「うわああああああああああああああっ!!! クロノパイセンじゃないっスかぁ!!!! 生きてたんっすねぇっ!!!! それとも天国から迎えにきてくれたんすかぁ!!!!! あやうくパイセンに会いに行くために首くくろうと思ってたッスよぉ!!! すれ違いにならなくてよかったッス!!!! それともこれはぜんぶ幻覚っスかぁ!!!!! くんくんくんくん。このにおい、やっぱりクロノパイセンだぁっ! やったぁー!!!!!!!」

「おお、ひさしぶりだな。元気そうで何より」

 メキメキと両腕の骨がきしむ音がする。 ダークラウンズなら即死してた。 ギルド嬢リリム、フィジカルがハンパない。

「パイセン、まってたご褒美になでてくれるッスか?!」

「おう。こうか?」

 よしよしと頭をなでる。腕をほどいてくれた。 顔をうずめてくんくんしている。犬っぽい。

「その反応、やっぱ俺、死んだことになってんのか」

「はい。シンがデマ流してたっス。殺っちゃいましょうか?」

 物騒な流れになっているな。 リリムなら実力的にできそうだからマズイ。 気持ちはうれしいが。止めないとな。 未来ある後輩を犯罪者にしたくはない。

「まてまて、ステイだ! これから順に説明する」

「了解っス!」

「うむ。わかればよろしい」

「ところで、その服カッケーっスね!」

「そうか?」

「完全に、闇ッス! 超、ナイフ舐めてそッス! まねしていっすか?!」

「ノーだ」

「えええ!? そんなぁ……」

 実は俺もこの服カッケーと思ってる。 ナイフは舐めてないけど。マジで。

「この報告書、目通してもらえるか。字きたなくて悪いけど」

「いっスよ! もちろんッス! というか超最優先事項っス!」

 リリムが紙をめくっている。 凄い勢いで眼球が動いている。 読み終えたようだ。秒、さす天才。

「まっ、……マジっすかぁ!? あのゴミ、パイセンを殺そうとして、奈落に突き落としたんッスか?! もともと頭がおかしいと思ってたッスが、……ここまでとか、やばすぎッス! もう、完全にただの犯罪者じゃないッスか!」

「だな。一応、未遂だが。わるい、ギルドマスターに手渡し頼めるか。内密に。教会がからむ案件だ。ギルドマスター直属のリリムにしかまかせられない」

「さすパイセンッス。そッスね、……正規の手順で報告あげても、十中八九もみ消さる気しかしねーっス。慎重に動くっス! まかせてくだっさぁーい!」

「サンキュー。さすリリムだ」

「あざまぁーっス!!!!!」
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