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第64話『第一階層踏破』【二人の娘編】
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「なんか香ばしいにおいがしますね」
ダンジョンの中とは思えない磯の香りに包まれる。
「炙っているの、イカですか?」
ソフィアさんはライターでイカを炙っていた。
(……何故?)
そんな疑問が頭をフッとよぎった。ちなみに「ライター」と小型の魔道着火器具のことだ。手のひらにすっぽりとおさまるサイズ。
魔力を使わずに火をつけることができる画期的な魔道具なのだが燃える水が希少なため持っている冒険者は少ない。
「食べます?」
「いえ、結構です」
タコの軟骨も炙るとうまいそうだ。タコの軟骨はコリコリとして歯ごたえが良いらしい。ダンジョンの中でイカを炙る人もいるんだなぁ、そう思った。世界は広い。
(まあ、パパの言っていた裸ニンジャとチートサキュバスはさすがに信じられないけどね)
オートを使えば、1人で前衛と後衛の2役を果たすことができる。だが、魔力切れになった時が問題だ。今はぽんぽんレベルアップするし、そのたびに魔力全回復するので問題ない。
だが、レベルが上がるごとに求められる経験値も増えて行き、レベルアップによる魔力回復を期待するのが難しくなる。
(ダンジョン内での魔力回復の手段は限られているからなー)
そんなことを思いながら、1階層のボスフロアに立ち入るのであった。
………………………
………………
………
「おめでとうございます!フロアボス討伐達成です!」
ソフィアさんの声ではっと正気に戻る。目の前で巨大なオークが倒れている。壁も地面も抉れている。私が放った魔法の痕跡だ。戦いに夢中になっていて気づかなかった。
「これ、私が1人でやったのですか?」
「はい!杖で魔物を撲殺して、魔法でボスを焼死させました」
いや……。別に具体的な描写は必要なかったのだが。ソフィアさんには、もうちょっとマイルドな表現を学んでほしいものだ。
「とはいえボス戦は、魔力切れが怖いですね」
今回は魔力が残っていたのでフロアボスを遠距離から倒すことができたけど、ボスフロアにたどり着いた時には魔力切れなってことも無いとは限らない。
(いろいろと工夫していく必要がありそうね)
オートは便利なスキルだ。だが、万能ではない。少しずつ検証していく必要があるだろう。
(それにしても、魔石やドロップアイテムの数が凄いな。でも、拾うのはちょっと大変そう)
自動的にバックに収納されれば、より便利なんだけどなぁ。そんなことを思いながらちまちまと魔石をポイポイとカバンの中に放り込んで行く。
あちこちに散らばったドロップアイテムや魔石を回収し、帰路へつくのであった。
ダンジョンの中とは思えない磯の香りに包まれる。
「炙っているの、イカですか?」
ソフィアさんはライターでイカを炙っていた。
(……何故?)
そんな疑問が頭をフッとよぎった。ちなみに「ライター」と小型の魔道着火器具のことだ。手のひらにすっぽりとおさまるサイズ。
魔力を使わずに火をつけることができる画期的な魔道具なのだが燃える水が希少なため持っている冒険者は少ない。
「食べます?」
「いえ、結構です」
タコの軟骨も炙るとうまいそうだ。タコの軟骨はコリコリとして歯ごたえが良いらしい。ダンジョンの中でイカを炙る人もいるんだなぁ、そう思った。世界は広い。
(まあ、パパの言っていた裸ニンジャとチートサキュバスはさすがに信じられないけどね)
オートを使えば、1人で前衛と後衛の2役を果たすことができる。だが、魔力切れになった時が問題だ。今はぽんぽんレベルアップするし、そのたびに魔力全回復するので問題ない。
だが、レベルが上がるごとに求められる経験値も増えて行き、レベルアップによる魔力回復を期待するのが難しくなる。
(ダンジョン内での魔力回復の手段は限られているからなー)
そんなことを思いながら、1階層のボスフロアに立ち入るのであった。
………………………
………………
………
「おめでとうございます!フロアボス討伐達成です!」
ソフィアさんの声ではっと正気に戻る。目の前で巨大なオークが倒れている。壁も地面も抉れている。私が放った魔法の痕跡だ。戦いに夢中になっていて気づかなかった。
「これ、私が1人でやったのですか?」
「はい!杖で魔物を撲殺して、魔法でボスを焼死させました」
いや……。別に具体的な描写は必要なかったのだが。ソフィアさんには、もうちょっとマイルドな表現を学んでほしいものだ。
「とはいえボス戦は、魔力切れが怖いですね」
今回は魔力が残っていたのでフロアボスを遠距離から倒すことができたけど、ボスフロアにたどり着いた時には魔力切れなってことも無いとは限らない。
(いろいろと工夫していく必要がありそうね)
オートは便利なスキルだ。だが、万能ではない。少しずつ検証していく必要があるだろう。
(それにしても、魔石やドロップアイテムの数が凄いな。でも、拾うのはちょっと大変そう)
自動的にバックに収納されれば、より便利なんだけどなぁ。そんなことを思いながらちまちまと魔石をポイポイとカバンの中に放り込んで行く。
あちこちに散らばったドロップアイテムや魔石を回収し、帰路へつくのであった。
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