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第11話『ウルタールの村』
しおりを挟む ここは馬小屋だ。俺はステラのおでこに指を当てている。
「あははっ。くすぐったい」
「がまんしろ」
これはセクハラ的なアレではない。ボーナスポイントのリセマラのために必要な行為なのだ。昨日の玄室攻略でステラが3LV上がり、俺も2LV上がっている。
「よし、ステラこれで完了だ。ボーナスポイントは最大値にしておいた。ボーナスポインの割り振りはステラに任せる」
「私が決めちゃってもいいの?」
「ああ」
基本的には本人の方向性に任せるのが一番だろう。前回は、とりあえずまずは死なないようにするために、体力にある程度ポイントを振ってもらったが。
「決まったよ!」
【ボーナスポイント(18)】
名前:ステラ
種族:ポークル
職業:盗賊
LV:7↑ (+3)
筋力:5
体力:21↑ (+2)
知恵:7
信仰:7
速さ:43↑ (+8)
幸運:43↑ (+8)
特殊:なし
装備:ボーパルナイフ
装備:ねこの指輪
「なかなかいい感じだ」
「えへへっ。ありがと」
「じゃあ次は俺の番だ」
【ボーナスポイント(12)】
名前:アッシュ
種族:人間
職業:司教
LV:5↑ (+2)
筋力:24↑ (+2)
体力:45↑ (+5)
知恵:12
信仰:45↑ (+5)
速さ:8
幸運:9
特殊:鑑定
装備:メイス
まあ、ステラとLVの差が開いてしまっているが、仕方のない。司教とはそういう職業だ。だから、唯一鑑定が使える職業にもかかわらず、LV1のまま酒場に放置させられたり、荷物持ちにさせられたりする事件が多発してしまうのだ。
司教と比べて盗賊は人気職だ。トラップ解除と宝箱の開錠のためにパーティーに1人は必要になる。そのため熾烈な過当競争に巻き込まれ、ステラは解雇にされた。そして不人気な司教の俺は冷遇され解雇された。世の中、なかなかままならない。
「アッシュ、具合悪い? 無理しなくていいよ、明日にする?」
「すまん。哲学的なことを考えていた。気にするな」
「哲学か、なんか難しそうだね。アッシュは頭がいいねっ」
準備は整った。さぁ、迷宮へ出発だ。
「いくぞ盗賊王、回復薬の貯蔵は十分か」
「? はい」
ステラが微妙に反応に困ったような表情をしているので、まるで何ごともなかったかのようにサラッと流して迷宮へ向かうとしよう。
◇ ◇ ◇
ここは猫の石像の部屋だ。
「開いたな」
「だね」
「じゃ、進もう」
隠し通路か。なんかワクワクするな。こういう特殊な鍵じゃないと進めないような場所って冒険している感じがして楽しい。
「なんだかちょっとワクワクするねっ」
「そうだな」
「ちょっと、ドキドキもするけどねっ」
「うむ」
隠し扉を抜けた先には……。
「うわー。きれい。青い空、草原だよー」
「なんというか牧歌的な景色だな。とても迷宮内部とは思えない」
青い空、太陽、草原。どれも本物ではないのだろうが。それでも感動せずにはいられない。とてもここが迷宮のなかとは思えない絶景だ。
あと、猫がそこらじゅうにいる。猫はひなたぼっこをしたりと、のんきなものだ。いやー、癒やされる。抱きかかえて顔をうずめてモフモフしたい。
いかん。思わず猫を見てほのぼのしてしまった。……っと、いかんいかん。これも油断させるためのトラップの一部かもしれないな。気を引き締めていかないとな。
「わー。猫だー」
ステラが猫とじゃれている。この村の猫は人を警戒しないようだ。迷宮都市の猫は撫でようと近づくだけで「シャーッ」って威嚇してくるからな。
「ああ。やっぱ、かわいいな」
猫は良い。
「えっ……。あの、その……ありがとねっ、アッシュ」
ステラが指先で髪をくるくるさせている。なんだろうか、胸のあたりが、……凄くむずがゆい気持ちになってくるぞ。……まずは、話を変えよう。
「ステラ、この謎の場所も迷宮の一部だ。まずは調査だ。前人未到の大発見かもしれないからな」
「うん! そうだねっ」
ステラが張り切っている。それにしてもこの空間、とても迷宮の中とは思えない。迷宮はそれ自体が魔法と聞いたことがあるが、なるほどなと思わされる。
「ステラ、魔獣の気配はないか?」
「いまのとこは安全そうだよー。猫の気配しかないね。あと羊」
ステラは猫を抱えたまま歩いている。目の前から村人っぽい人が歩いて来た。
「あのー。冒険者の方ですかー?」
本当に人間だろうか? 判別がつかないためさり気なくチラッとステラの方に視線を送る。ステラが一回小さく頷いた。
この男は魔獣の擬態ではなさそうだ。相手が人間ならまずはあいさつだ。
「はじめまして。司教のアッシュと、盗賊のステラです」
「ようこそいらっしゃいました。ここは、ウルタールの村です」
「村、ですか?」
「はい。鍵を手に入れた、元冒険者たちが開拓した村なんです。私もいまは村長なんてしていますが、かつては冒険者として迷宮攻略をしていました」
「そうなんですね」
「それにしても、超難度の宝箱を開錠できたということは、アッシュさん達も相当腕の立つ冒険者ということですね。少なくともLV30といったところでしょうか」
とりあえずあいまいに頷いておいた。ステラ、凄かった。
「それではウルタールの村をご案内いたします」
「あははっ。くすぐったい」
「がまんしろ」
これはセクハラ的なアレではない。ボーナスポイントのリセマラのために必要な行為なのだ。昨日の玄室攻略でステラが3LV上がり、俺も2LV上がっている。
「よし、ステラこれで完了だ。ボーナスポイントは最大値にしておいた。ボーナスポインの割り振りはステラに任せる」
「私が決めちゃってもいいの?」
「ああ」
基本的には本人の方向性に任せるのが一番だろう。前回は、とりあえずまずは死なないようにするために、体力にある程度ポイントを振ってもらったが。
「決まったよ!」
【ボーナスポイント(18)】
名前:ステラ
種族:ポークル
職業:盗賊
LV:7↑ (+3)
筋力:5
体力:21↑ (+2)
知恵:7
信仰:7
速さ:43↑ (+8)
幸運:43↑ (+8)
特殊:なし
装備:ボーパルナイフ
装備:ねこの指輪
「なかなかいい感じだ」
「えへへっ。ありがと」
「じゃあ次は俺の番だ」
【ボーナスポイント(12)】
名前:アッシュ
種族:人間
職業:司教
LV:5↑ (+2)
筋力:24↑ (+2)
体力:45↑ (+5)
知恵:12
信仰:45↑ (+5)
速さ:8
幸運:9
特殊:鑑定
装備:メイス
まあ、ステラとLVの差が開いてしまっているが、仕方のない。司教とはそういう職業だ。だから、唯一鑑定が使える職業にもかかわらず、LV1のまま酒場に放置させられたり、荷物持ちにさせられたりする事件が多発してしまうのだ。
司教と比べて盗賊は人気職だ。トラップ解除と宝箱の開錠のためにパーティーに1人は必要になる。そのため熾烈な過当競争に巻き込まれ、ステラは解雇にされた。そして不人気な司教の俺は冷遇され解雇された。世の中、なかなかままならない。
「アッシュ、具合悪い? 無理しなくていいよ、明日にする?」
「すまん。哲学的なことを考えていた。気にするな」
「哲学か、なんか難しそうだね。アッシュは頭がいいねっ」
準備は整った。さぁ、迷宮へ出発だ。
「いくぞ盗賊王、回復薬の貯蔵は十分か」
「? はい」
ステラが微妙に反応に困ったような表情をしているので、まるで何ごともなかったかのようにサラッと流して迷宮へ向かうとしよう。
◇ ◇ ◇
ここは猫の石像の部屋だ。
「開いたな」
「だね」
「じゃ、進もう」
隠し通路か。なんかワクワクするな。こういう特殊な鍵じゃないと進めないような場所って冒険している感じがして楽しい。
「なんだかちょっとワクワクするねっ」
「そうだな」
「ちょっと、ドキドキもするけどねっ」
「うむ」
隠し扉を抜けた先には……。
「うわー。きれい。青い空、草原だよー」
「なんというか牧歌的な景色だな。とても迷宮内部とは思えない」
青い空、太陽、草原。どれも本物ではないのだろうが。それでも感動せずにはいられない。とてもここが迷宮のなかとは思えない絶景だ。
あと、猫がそこらじゅうにいる。猫はひなたぼっこをしたりと、のんきなものだ。いやー、癒やされる。抱きかかえて顔をうずめてモフモフしたい。
いかん。思わず猫を見てほのぼのしてしまった。……っと、いかんいかん。これも油断させるためのトラップの一部かもしれないな。気を引き締めていかないとな。
「わー。猫だー」
ステラが猫とじゃれている。この村の猫は人を警戒しないようだ。迷宮都市の猫は撫でようと近づくだけで「シャーッ」って威嚇してくるからな。
「ああ。やっぱ、かわいいな」
猫は良い。
「えっ……。あの、その……ありがとねっ、アッシュ」
ステラが指先で髪をくるくるさせている。なんだろうか、胸のあたりが、……凄くむずがゆい気持ちになってくるぞ。……まずは、話を変えよう。
「ステラ、この謎の場所も迷宮の一部だ。まずは調査だ。前人未到の大発見かもしれないからな」
「うん! そうだねっ」
ステラが張り切っている。それにしてもこの空間、とても迷宮の中とは思えない。迷宮はそれ自体が魔法と聞いたことがあるが、なるほどなと思わされる。
「ステラ、魔獣の気配はないか?」
「いまのとこは安全そうだよー。猫の気配しかないね。あと羊」
ステラは猫を抱えたまま歩いている。目の前から村人っぽい人が歩いて来た。
「あのー。冒険者の方ですかー?」
本当に人間だろうか? 判別がつかないためさり気なくチラッとステラの方に視線を送る。ステラが一回小さく頷いた。
この男は魔獣の擬態ではなさそうだ。相手が人間ならまずはあいさつだ。
「はじめまして。司教のアッシュと、盗賊のステラです」
「ようこそいらっしゃいました。ここは、ウルタールの村です」
「村、ですか?」
「はい。鍵を手に入れた、元冒険者たちが開拓した村なんです。私もいまは村長なんてしていますが、かつては冒険者として迷宮攻略をしていました」
「そうなんですね」
「それにしても、超難度の宝箱を開錠できたということは、アッシュさん達も相当腕の立つ冒険者ということですね。少なくともLV30といったところでしょうか」
とりあえずあいまいに頷いておいた。ステラ、凄かった。
「それではウルタールの村をご案内いたします」
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