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第22話『村運営』

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 俺は仕事終わりに帳簿とにらめっこしていた。

 俺の隣に、アルテが座っている。
 事務処理能力が高いアルテが来てマジで助かってる。
 アルテのおかげで睡眠時間が増えた。


「はー。金勘定は苦手だーっ。めんどくせー」

「ふふっ、ですね」


「事務処理能力高いアルテが来てくれたのはマジで助かってる」

「私はユーリさんの事務処理能力の高さに驚きました」


「あんがとよ。でもやっぱ本職には叶わねぇぜ、さすがだな」

「いえいえ! お役に立てて私も嬉しいです」


「今週はトントンかぁー。もっと稼ぐ方法をそろっと考えないとなぁー」

「短期間でこれだけの黒字を出しているのは凄いことですよ」


「そんなものかねー。それと、今週の給料な。残業代も上乗せしといたぜ」

「報酬の件、ですが、……こんなにもらっても良いのでしょうか?」

「まっ、金は多くもらっても困らねーだろーからな」


人が残せる物は3つだそうだ。
ホネ、想いで、そして、カネ。

ホネはともかくとして。
カネくらいは残したいもんだ。


「へき地手当だ、不便な所で働いてもらっているからな」

「新人にこれほど報酬出すところを、私は知りません」


「まぁ、大丈夫。赤字にゃしねーさ。ちゃんと計算してるぜ」

「失礼しました! ありがたく、いただきますっ!」


「あいよっ」

「ところで、ユーリさんどこで算術を習得されたんですか?」



 ここは一つ、前世の知識と経験が役立った!
 ……そう言いたいところだが、実はそうでもない。

 まっ、そりゃそうだ。収益計算は計算ソフト。
 プライベートでも計算はスマホの電卓。
 自分の頭で計算する機会はほぼなかった。

 まぁ、バイトの金銭チェックは役立ってるかもな。
 ……ありゃ、地味に嫌いな仕事だったけどさ。

 金銭管理や計算は漆黒の片翼在籍時に実務で身につけた。
 習うより慣れろっつーやつだな。
 勉強するよりも圧倒的に身につくというもんだ。



「漆黒で金庫番任されてたから、そこで覚えた」

「ユーリさん、よほど信頼されていたんですね」

「そういうものか?」

「えぇ、金銭管理は、団長が行うのが普通です」



 横領や持ち逃げされる可能性もあるということか。
 まぁ、持ち逃げすればバングルが爆発するのだが。
 片腕を犠牲にしてでも、金が欲しい奴もいるのかもな。



「まぁ、俺が計算がある程度できるからってだけだろ」

「それだけじゃないと思いますが」


「……ユーリさん、そう言えばあの子は?」

「すまん、アルテには紹介できていなかったな」


 銀色の髪の少女が、自室から出てきていた。
 少女は俺の服の袖を掴みじっとアルテの瞳を見つめる。

 そういや、アルテに正式に紹介するのはまだだったな。
 自室にこもりがちで、なかなか紹介する機会がなかったのだ。



「紹介しよう。うちの期待の新人ニューホープだ!」
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