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あみだくじ 前編
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隣の席の山田君は、すごく乱暴な子だ。
「なあ、あみだくじ作った」
二時間目の算数の時間、山田君が唐突にそんなことを言ってきた。
「……はい?」
一応聞き返したが、これはきっとやれという意味だろう。
自分で言うのもあれだけど、僕はかなり真面目だと思う。1学期の通知表は全てA評価だったし、二学期だってこのままいけば同じ評価がもらえるはずだ。
なので、授業中に友達とふざけるなんてやったことがなかった。
「じゅ……授業中だよ?」
「は?」
「喜んでやらせて頂きます!」
やっぱり山田君は怖い。引きつった笑みで返事をすると、山田君はノートの間に隠していた紙を僕の机に置いた。紙には縦に数十本、その線を繋ぐように横線が乱雑に引かれていた。
もう一度言うよ。縦線が数十本……細かく数えたら58本あった。
「昨日から作ってたんだ」
声を出さずに驚く僕に、ドヤ顔で胸を張る山田君。口には絶対出さないけど、中々おバカさんだと思う。他にやることなかったのかな?
「ほら、好きなところ選べよ」
言われるがままに、とりあえず一番左の線を選ぶ。指だと線同士の隙間が小さく、うまく辿れないため、鉛筆を使ってゆっくりと下へなぞっていく。
右へ曲がったり、左へ曲がったり、ひたすらなぞること3分。ついに一本目の線が終わりを迎えた。
結果が分からないよう紙の下が軽く折られているので、まだ何が書いてあるのか分からない。しかし、山田君の表情から察すると、どうせ大ハズレとかってオチに決まってる。
小さくため息をつきながら、紙をめくった。
『5分間猫のマネ』
なるほど、そう来たか。
「ほら、早く次選べよ」
……授業はまだ始まったばかりだ。
「なあ、あみだくじ作った」
二時間目の算数の時間、山田君が唐突にそんなことを言ってきた。
「……はい?」
一応聞き返したが、これはきっとやれという意味だろう。
自分で言うのもあれだけど、僕はかなり真面目だと思う。1学期の通知表は全てA評価だったし、二学期だってこのままいけば同じ評価がもらえるはずだ。
なので、授業中に友達とふざけるなんてやったことがなかった。
「じゅ……授業中だよ?」
「は?」
「喜んでやらせて頂きます!」
やっぱり山田君は怖い。引きつった笑みで返事をすると、山田君はノートの間に隠していた紙を僕の机に置いた。紙には縦に数十本、その線を繋ぐように横線が乱雑に引かれていた。
もう一度言うよ。縦線が数十本……細かく数えたら58本あった。
「昨日から作ってたんだ」
声を出さずに驚く僕に、ドヤ顔で胸を張る山田君。口には絶対出さないけど、中々おバカさんだと思う。他にやることなかったのかな?
「ほら、好きなところ選べよ」
言われるがままに、とりあえず一番左の線を選ぶ。指だと線同士の隙間が小さく、うまく辿れないため、鉛筆を使ってゆっくりと下へなぞっていく。
右へ曲がったり、左へ曲がったり、ひたすらなぞること3分。ついに一本目の線が終わりを迎えた。
結果が分からないよう紙の下が軽く折られているので、まだ何が書いてあるのか分からない。しかし、山田君の表情から察すると、どうせ大ハズレとかってオチに決まってる。
小さくため息をつきながら、紙をめくった。
『5分間猫のマネ』
なるほど、そう来たか。
「ほら、早く次選べよ」
……授業はまだ始まったばかりだ。
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