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21 本を書きたい?
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当たり前のことだが、お茶の葉が育つよりも本を読み終えてしまうほうが早い。
宿屋の兼業とはいえど、寝る前の30分間本を読む。これを10~20日ぐらいまで続ければ読了できる。
そして、読むのに慣れれば慣れるほど読むスピードが上がっていく。
絵を描くのと同じことだ。描けば描くほど上手くなる。
俺は読み終えた本をセリーヌ博士に持っていき――そして、次の本を渡される。読むスピードが自分でも実感できる頃には一度に3冊渡された。
最初は茶葉の育て方が書かれた本。美味しい紅茶を飲みたいのは俺も同じだ。
次はお花全般の本。俺が集めた花も書かれていたが、ほとんどが知らない花だった。ドラゴンの花なんてのもあって、心底驚いた。
その次が、冒険者が良く使う薬草について書かれた本だった。『冒険者薬草100』という本で、この本に書かれている草花のほとんどはギルドが取り扱うため入手が基本的に簡単だと教えて貰った。俺が作ろうとしている絵具の元なる花も、『冒険者薬草100』から候補を決めるべきだとセリーヌ博士は言った。
四冊目からなると、専門書のようなものを渡された。
薬草の図鑑から魔術師が使いそうなブックカバーが紫色の本。特に個性的だったのが『紅茶のレベルが貴方の腕で決まる! これで貴族の仲間入り!』だった。
貴族に叱られないの、コレ?
「大丈夫だよ。書いたの、貴族だから」
それも公爵のようだ。
懐が深い――というよりも自分の趣味をオープンにしたい人だったのだろうか。彼女・彼氏持ちだと自分から話したがるタイプの人間と見た。
俺は周囲に隠して付き合うタイプだと思う。思うというのは、自分から付き合ってますと公言しないからで、質問されれば答える。
なぜなら、話したくなる気持ちも俺には判るからだ。
だから、公爵の気持ちも一方的に無下には出来ない。公爵も、製本にする前に羞恥を覚えていたのかもしれないし、もしかしらた今も嬉し恥ずかしの気持ちを持っているのかもしれない。
だけど、さすがは公爵だった。ブックカバーからしてお金のかけかたが違うように見える。中身も紅茶の丁寧な入れ方などがイラスト付きで記載されており、セリーヌさんもお気に入りの一冊なんだとか。
膨大な知識を柱にした執筆力。本にして自慢したくなるレベルと言っていいだろう。
「セリーヌ博士も書かないの?」
「書かないわ。読んでくれる人がいないから」
「俺が読むよ」
「……いいわよ。直接教えるから」
少し間があった。
セリーヌ博士も公爵のように書きたい気持ちはあるみたいだった。
もし、本当に書く時が来るならば、イラストは俺に任せて欲しい。
綺麗な絵を描ける自身があるし、日々練習を重ねてきた腕前も披露したい!
そう思いながら、セリーヌ博士からお花について学んでいた。
宿屋の兼業とはいえど、寝る前の30分間本を読む。これを10~20日ぐらいまで続ければ読了できる。
そして、読むのに慣れれば慣れるほど読むスピードが上がっていく。
絵を描くのと同じことだ。描けば描くほど上手くなる。
俺は読み終えた本をセリーヌ博士に持っていき――そして、次の本を渡される。読むスピードが自分でも実感できる頃には一度に3冊渡された。
最初は茶葉の育て方が書かれた本。美味しい紅茶を飲みたいのは俺も同じだ。
次はお花全般の本。俺が集めた花も書かれていたが、ほとんどが知らない花だった。ドラゴンの花なんてのもあって、心底驚いた。
その次が、冒険者が良く使う薬草について書かれた本だった。『冒険者薬草100』という本で、この本に書かれている草花のほとんどはギルドが取り扱うため入手が基本的に簡単だと教えて貰った。俺が作ろうとしている絵具の元なる花も、『冒険者薬草100』から候補を決めるべきだとセリーヌ博士は言った。
四冊目からなると、専門書のようなものを渡された。
薬草の図鑑から魔術師が使いそうなブックカバーが紫色の本。特に個性的だったのが『紅茶のレベルが貴方の腕で決まる! これで貴族の仲間入り!』だった。
貴族に叱られないの、コレ?
「大丈夫だよ。書いたの、貴族だから」
それも公爵のようだ。
懐が深い――というよりも自分の趣味をオープンにしたい人だったのだろうか。彼女・彼氏持ちだと自分から話したがるタイプの人間と見た。
俺は周囲に隠して付き合うタイプだと思う。思うというのは、自分から付き合ってますと公言しないからで、質問されれば答える。
なぜなら、話したくなる気持ちも俺には判るからだ。
だから、公爵の気持ちも一方的に無下には出来ない。公爵も、製本にする前に羞恥を覚えていたのかもしれないし、もしかしらた今も嬉し恥ずかしの気持ちを持っているのかもしれない。
だけど、さすがは公爵だった。ブックカバーからしてお金のかけかたが違うように見える。中身も紅茶の丁寧な入れ方などがイラスト付きで記載されており、セリーヌさんもお気に入りの一冊なんだとか。
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「セリーヌ博士も書かないの?」
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「俺が読むよ」
「……いいわよ。直接教えるから」
少し間があった。
セリーヌ博士も公爵のように書きたい気持ちはあるみたいだった。
もし、本当に書く時が来るならば、イラストは俺に任せて欲しい。
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