3 / 12
02 クローン人間1・2号
しおりを挟む
1/3
クローン人間が完成した。それも、ただのクローン人間ではない、科学者たちのモンスター研究の成果である『強化細胞M』を用いており、並の人間よりも強く美しい強化人間だ。もちろん、Mはモンスターの頭文字である。私は下手に凝っていない安直なのも好きだ。
強化細胞M――他の細胞そのものに影響を与える効果を持つ。ゲーム的に言うならば、細胞そのものにレベルアップ・魔法使いの炎の適正を+1や2上げるものだ。
さらに、この細胞の驚くべきところは、強化細胞同士がレベルアップを促しあうことで相乗効果が生まれることだ。『M1』の細胞が『M2』に+1の力を与えていた場合、『M2』の元々の影響力に『M1』の力が加点され、『M2』は+2を『M1』に与える。そして、『M1』は+3を『M2』に与える。
このサイクルにより、人間では不可能と思われていた三メートル跳躍・壁粉砕パンチなどを可能した!!
……嘘である。これには人間の肉体の耐久性は含まれていない。実際にそうなった場合、もちろん人間の肉体は溢れる力に耐え切れず破裂してしまう。
なので、加点される力は+1ではなく、+0.01に抑えられている。並の人間に毛先が生えた程度の能力しかないが、成長し才能を伸ばすほど、能力は相乗して上がっていく。人より大きな可能性を持っている肉体といえよう。
さらに、モンスター特有の肉体修復機能は人間の美肌・髪質修復機能となっている。映える役者はそれだけで人を惹きつけ、作品自体にも躍動感と『命』を吹き込ませる。
難しいことを言ってしまった。要は、好まれやすい人というのは、可愛いさやカッコよさが必要ということである。
2/3
バン、バン、バン――
青空の下で、クローン人間は私の指示通りに人形の的へ銃を向ける。
撃鉄の音が合計12回なってるはずなのだが、人形の的に弾が当たった様子は一切見られない。
クローン人間は不思議そうに銃を左手・右手に移し替えている。まるで、ビー玉で手遊びしているようだ。
私はクローン人間から銃を借り、試しに打ってみる。
バン、バン、バン――
6発中、4発命中。
こっそり練習していたのだが、成果に結びついてほっとした。
まだ感情を顔に出すのが苦手のようだが、なんとなく尊敬の眼差しを向けられている気する。
悪くない。
私はクローン人間に銃を返し――クローン人間は私の真似事をするように両手で銃を構える。
3/3
クローン人間2号、こいつは生まれて間もないが、成長促進液に漬けておいたため肉体的には12歳まで進めてある。赤子の肉体に強化細胞Mが適応しないからだ。
厳密には適応する。だが、成長しないのだ。何歳、何年過ごそうが肉体が大きくならない。それが判ったのはクローン人間1号を創ってから2か月後のことだった。
私にも奴ら科学者たちの癖が移っていたのだろう。赤子を毎日メディカルチェックしていた。どれぐらいあくびをしたのか、泣いたのか。夏休みの向日葵の自由研究よりも細目にチェックしていた。
それが幸いし、私はクローン人間1号が成長していないことに気が付いた。
これはとある小説で呼んだのだが、人間は変化を迫られた際、本能的に拒絶する生き物だ。現状を維持しようと躍起になって抵抗をする。
赤子にとって大きくなることは未知の世界であり、誰かの庇護から外れてしまうものだと思われたのかもしれない。赤子にそこまでの考察力があるのかを問われれば、私はないと断定する。
だが、成長しなかったのは現実だ。そして、その現状を私は認めない。
確かに私は既知の再現を求めたが、その先には私さえ予想できない未知がある――はずだ。
2号を12歳まで成長促進させたのには理由がある。私が12歳(仮)だからだ。同世代のほうがコミュニケーションを取りやすい。
少しは上達した2号の射撃術を遠くから見ながら、チラリと、私は1号専用のベビーカーを覗き込む。
すやすやと、生意気に寝ていた。
クローン人間が完成した。それも、ただのクローン人間ではない、科学者たちのモンスター研究の成果である『強化細胞M』を用いており、並の人間よりも強く美しい強化人間だ。もちろん、Mはモンスターの頭文字である。私は下手に凝っていない安直なのも好きだ。
強化細胞M――他の細胞そのものに影響を与える効果を持つ。ゲーム的に言うならば、細胞そのものにレベルアップ・魔法使いの炎の適正を+1や2上げるものだ。
さらに、この細胞の驚くべきところは、強化細胞同士がレベルアップを促しあうことで相乗効果が生まれることだ。『M1』の細胞が『M2』に+1の力を与えていた場合、『M2』の元々の影響力に『M1』の力が加点され、『M2』は+2を『M1』に与える。そして、『M1』は+3を『M2』に与える。
このサイクルにより、人間では不可能と思われていた三メートル跳躍・壁粉砕パンチなどを可能した!!
……嘘である。これには人間の肉体の耐久性は含まれていない。実際にそうなった場合、もちろん人間の肉体は溢れる力に耐え切れず破裂してしまう。
なので、加点される力は+1ではなく、+0.01に抑えられている。並の人間に毛先が生えた程度の能力しかないが、成長し才能を伸ばすほど、能力は相乗して上がっていく。人より大きな可能性を持っている肉体といえよう。
さらに、モンスター特有の肉体修復機能は人間の美肌・髪質修復機能となっている。映える役者はそれだけで人を惹きつけ、作品自体にも躍動感と『命』を吹き込ませる。
難しいことを言ってしまった。要は、好まれやすい人というのは、可愛いさやカッコよさが必要ということである。
2/3
バン、バン、バン――
青空の下で、クローン人間は私の指示通りに人形の的へ銃を向ける。
撃鉄の音が合計12回なってるはずなのだが、人形の的に弾が当たった様子は一切見られない。
クローン人間は不思議そうに銃を左手・右手に移し替えている。まるで、ビー玉で手遊びしているようだ。
私はクローン人間から銃を借り、試しに打ってみる。
バン、バン、バン――
6発中、4発命中。
こっそり練習していたのだが、成果に結びついてほっとした。
まだ感情を顔に出すのが苦手のようだが、なんとなく尊敬の眼差しを向けられている気する。
悪くない。
私はクローン人間に銃を返し――クローン人間は私の真似事をするように両手で銃を構える。
3/3
クローン人間2号、こいつは生まれて間もないが、成長促進液に漬けておいたため肉体的には12歳まで進めてある。赤子の肉体に強化細胞Mが適応しないからだ。
厳密には適応する。だが、成長しないのだ。何歳、何年過ごそうが肉体が大きくならない。それが判ったのはクローン人間1号を創ってから2か月後のことだった。
私にも奴ら科学者たちの癖が移っていたのだろう。赤子を毎日メディカルチェックしていた。どれぐらいあくびをしたのか、泣いたのか。夏休みの向日葵の自由研究よりも細目にチェックしていた。
それが幸いし、私はクローン人間1号が成長していないことに気が付いた。
これはとある小説で呼んだのだが、人間は変化を迫られた際、本能的に拒絶する生き物だ。現状を維持しようと躍起になって抵抗をする。
赤子にとって大きくなることは未知の世界であり、誰かの庇護から外れてしまうものだと思われたのかもしれない。赤子にそこまでの考察力があるのかを問われれば、私はないと断定する。
だが、成長しなかったのは現実だ。そして、その現状を私は認めない。
確かに私は既知の再現を求めたが、その先には私さえ予想できない未知がある――はずだ。
2号を12歳まで成長促進させたのには理由がある。私が12歳(仮)だからだ。同世代のほうがコミュニケーションを取りやすい。
少しは上達した2号の射撃術を遠くから見ながら、チラリと、私は1号専用のベビーカーを覗き込む。
すやすやと、生意気に寝ていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる