レベル99のおままごと

赤たまねぎ

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02 クローン人間1・2号

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 クローン人間が完成した。それも、ただのクローン人間ではない、科学者たちのモンスター研究の成果である『強化細胞M』を用いており、並の人間よりも強く美しい強化人間だ。もちろん、Mはモンスターの頭文字である。私は下手に凝っていない安直なのも好きだ。

 強化細胞M――他の細胞そのものに影響を与える効果を持つ。ゲーム的に言うならば、細胞そのものにレベルアップ・魔法使いの炎の適正を+1や2上げるものだ。

 さらに、この細胞の驚くべきところは、強化細胞同士がレベルアップを促しあうことで相乗効果が生まれることだ。『M1』の細胞が『M2』に+1の力を与えていた場合、『M2』の元々の影響力に『M1』の力が加点され、『M2』は+2を『M1』に与える。そして、『M1』は+3を『M2』に与える。

 このサイクルにより、人間では不可能と思われていた三メートル跳躍・壁粉砕パンチなどを可能した!!

 ……嘘である。これには人間の肉体の耐久性は含まれていない。実際にそうなった場合、もちろん人間の肉体は溢れる力に耐え切れず破裂してしまう。

 なので、加点される力は+1ではなく、+0.01に抑えられている。並の人間に毛先が生えた程度の能力しかないが、成長し才能を伸ばすほど、能力は相乗して上がっていく。人より大きな可能性を持っている肉体といえよう。

 さらに、モンスター特有の肉体修復機能は人間の美肌・髪質修復機能となっている。映える役者はそれだけで人を惹きつけ、作品自体にも躍動感と『命』を吹き込ませる。

 難しいことを言ってしまった。要は、好まれやすい人というのは、可愛いさやカッコよさが必要ということである。

 2/3

 バン、バン、バン――

 青空の下で、クローン人間は私の指示通りに人形の的へ銃を向ける。

 撃鉄の音が合計12回なってるはずなのだが、人形の的に弾が当たった様子は一切見られない。

 クローン人間は不思議そうに銃を左手・右手に移し替えている。まるで、ビー玉で手遊びしているようだ。

 私はクローン人間から銃を借り、試しに打ってみる。

 バン、バン、バン――

 6発中、4発命中。

 こっそり練習していたのだが、成果に結びついてほっとした。

 まだ感情を顔に出すのが苦手のようだが、なんとなく尊敬の眼差しを向けられている気する。

 悪くない。

 私はクローン人間に銃を返し――クローン人間は私の真似事をするように両手で銃を構える。

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 クローン人間2号、こいつは生まれて間もないが、成長促進液に漬けておいたため肉体的には12歳まで進めてある。赤子の肉体に強化細胞Mが適応しないからだ。

 厳密には適応する。だが、成長しないのだ。何歳、何年過ごそうが肉体が大きくならない。それが判ったのはクローン人間1号を創ってから2か月後のことだった。

 私にも奴ら科学者たちの癖が移っていたのだろう。赤子を毎日メディカルチェックしていた。どれぐらいあくびをしたのか、泣いたのか。夏休みの向日葵の自由研究よりも細目にチェックしていた。

 それが幸いし、私はクローン人間1号が成長していないことに気が付いた。

 これはとある小説で呼んだのだが、人間は変化を迫られた際、本能的に拒絶する生き物だ。現状を維持しようと躍起になって抵抗をする。

 赤子にとって大きくなることは未知の世界であり、誰かの庇護から外れてしまうものだと思われたのかもしれない。赤子にそこまでの考察力があるのかを問われれば、私はないと断定する。

 だが、成長しなかったのは現実だ。そして、その現状を私は認めない。

 確かに私は既知の再現を求めたが、その先には私さえ予想できない未知がある――はずだ。

 2号を12歳まで成長促進させたのには理由がある。私が12歳(仮)だからだ。同世代のほうがコミュニケーションを取りやすい。

 少しは上達した2号の射撃術を遠くから見ながら、チラリと、私は1号専用のベビーカーを覗き込む。

 すやすやと、生意気に寝ていた。
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