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エピソード:ゼロ
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私はクールジャパン、日本の娯楽文化が好きだ。
ゲームも好きだし、アニメもアニソンも特撮も漫画も好きだ。友達とゲームやアニメについて話すのも好きだし、相手が自分と同じ特撮が好きだったら、その特撮がもっと好きになった。
日本に似た世界に転生してしまったのだが、ここは日本とは違い、余り娯楽文化に力を入れていないように思えた。
どうしてか一度調べてみたが、どうやらこの世界の文明は一度モンスターにより滅んでしまったらしい。
モンスターというのはファンタジーなどで出て来る魔物ではなかった。科学の遺伝子操作にのバグによって生み出された化け物のことをいうらしい。赤い炎を鼻から噴射するイノシシ、翼が六つもあるシャチ。誰が思い付いたのか知らないが、碌な奴ではないだろう。
そんな化け物たちの洪水によって人類の7割は死んでしまった。これを人類崩壊時代といい、今から200年前のことだ。
そして、今の人類は崩壊前の5割ほど回復しているらしい。
……いや、私も驚きだよ。
200年で8割回復って、どうやったんだって思うよね。私も思った。
だが、これにはしっかりとした理由があった。
人類を絶滅一歩手前までしたモンスターたちには繁殖機能がなかったのだ。子どもが作れない、次世代を残せないのだ。
モンスターを作った科学者たちは、万が一モンスターが脱走したとしても繁殖できないように遺伝子操作をしていたことが後の研究で分かったと、教科書には記載されている。
こうして人類を絶望一歩手前まで追い込んだモンスターたちはやがて消え去り、後は生き残った人類が文明を築いてきた。
やるじゃん、科学者たち!!
……いや、騙されるな、元はといえばこいつらが原因だった。なんてことだ、クズに感謝をしてしまうとは。
……まあ、その生き残りが私なのだが。
◇ ◇ ◇
『マスター、珈琲をお持ちしました』
「ああ。ありがとう318号」
私は鉄のロボットに渡されたコーヒーを飲み、これからどうしようかと考える。
今まで私は人間保存カプセルの中に保管されていた。モンスターが暴れ出した際に、誰かが避難させるため私をカプセルの中へと入れてくれたらしい。
だが、このカプセルはまだ試験段階の状態にあり、正常に機能するか不明のものだったらしい――らしいというのは、この秘密基地のデータバンクから知った。
案の定、人間保存カプセルは設定どおりの2時間後に私を解凍せず、200年後に解凍を行った。
……自分たちで作ったモンスターに全滅されたことに加え、どうにもお粗末な組織だったようだ。人間、勉強ばかり出来てもダメなんだなと身に染みて思った。
さて、もはや世界の敵ともいえる科学組織とはいえ、私を育ててくれたことには間違いない。カプセルに避難させてくれたのも科学者の一人だ。恩を返すためにも、彼らの意思と研究を引き継ぐべきではないかと一瞬考えた。
だが、彼らの意思を私は知らない。教えて貰っていないのだ。
こんな殺戮モンスターを作ったのだ。何かしら理由や目的があったと思うのだが、教えて貰った覚えはないし、データバンクにも記載されていない。
それほど組織にとって常識的なことだったのか。この組織にいる時点が理解しているべきなことなのか。
ロボットにも訊いてみたが、不明とのことだった。
『その質問に対する回答を私は持ち合わせていません』
20体目からの返答で私は推察した。恐らくこいつらはデータバンクにないことは答えることが出来ない。
ならば、私は私のやりたいようにやろう。
文句があるなば、引き継ぎの資料を作らなかった組織が悪い。そう結論付けることにした。
こうして、私は前世のクールジャパンを自らの手で再生させるべく舵を切った。
ゲームも好きだし、アニメもアニソンも特撮も漫画も好きだ。友達とゲームやアニメについて話すのも好きだし、相手が自分と同じ特撮が好きだったら、その特撮がもっと好きになった。
日本に似た世界に転生してしまったのだが、ここは日本とは違い、余り娯楽文化に力を入れていないように思えた。
どうしてか一度調べてみたが、どうやらこの世界の文明は一度モンスターにより滅んでしまったらしい。
モンスターというのはファンタジーなどで出て来る魔物ではなかった。科学の遺伝子操作にのバグによって生み出された化け物のことをいうらしい。赤い炎を鼻から噴射するイノシシ、翼が六つもあるシャチ。誰が思い付いたのか知らないが、碌な奴ではないだろう。
そんな化け物たちの洪水によって人類の7割は死んでしまった。これを人類崩壊時代といい、今から200年前のことだ。
そして、今の人類は崩壊前の5割ほど回復しているらしい。
……いや、私も驚きだよ。
200年で8割回復って、どうやったんだって思うよね。私も思った。
だが、これにはしっかりとした理由があった。
人類を絶滅一歩手前までしたモンスターたちには繁殖機能がなかったのだ。子どもが作れない、次世代を残せないのだ。
モンスターを作った科学者たちは、万が一モンスターが脱走したとしても繁殖できないように遺伝子操作をしていたことが後の研究で分かったと、教科書には記載されている。
こうして人類を絶望一歩手前まで追い込んだモンスターたちはやがて消え去り、後は生き残った人類が文明を築いてきた。
やるじゃん、科学者たち!!
……いや、騙されるな、元はといえばこいつらが原因だった。なんてことだ、クズに感謝をしてしまうとは。
……まあ、その生き残りが私なのだが。
◇ ◇ ◇
『マスター、珈琲をお持ちしました』
「ああ。ありがとう318号」
私は鉄のロボットに渡されたコーヒーを飲み、これからどうしようかと考える。
今まで私は人間保存カプセルの中に保管されていた。モンスターが暴れ出した際に、誰かが避難させるため私をカプセルの中へと入れてくれたらしい。
だが、このカプセルはまだ試験段階の状態にあり、正常に機能するか不明のものだったらしい――らしいというのは、この秘密基地のデータバンクから知った。
案の定、人間保存カプセルは設定どおりの2時間後に私を解凍せず、200年後に解凍を行った。
……自分たちで作ったモンスターに全滅されたことに加え、どうにもお粗末な組織だったようだ。人間、勉強ばかり出来てもダメなんだなと身に染みて思った。
さて、もはや世界の敵ともいえる科学組織とはいえ、私を育ててくれたことには間違いない。カプセルに避難させてくれたのも科学者の一人だ。恩を返すためにも、彼らの意思と研究を引き継ぐべきではないかと一瞬考えた。
だが、彼らの意思を私は知らない。教えて貰っていないのだ。
こんな殺戮モンスターを作ったのだ。何かしら理由や目的があったと思うのだが、教えて貰った覚えはないし、データバンクにも記載されていない。
それほど組織にとって常識的なことだったのか。この組織にいる時点が理解しているべきなことなのか。
ロボットにも訊いてみたが、不明とのことだった。
『その質問に対する回答を私は持ち合わせていません』
20体目からの返答で私は推察した。恐らくこいつらはデータバンクにないことは答えることが出来ない。
ならば、私は私のやりたいようにやろう。
文句があるなば、引き継ぎの資料を作らなかった組織が悪い。そう結論付けることにした。
こうして、私は前世のクールジャパンを自らの手で再生させるべく舵を切った。
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