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イリアと街に出かけて一緒に雨に打たれる回 ○

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看病大会ではなんと優勝者への景品として、
レオンハルトくんがなんでも1個言うこと聞いてくれる権を賭けてたらしい。

朝イチで知って、ついに俺の知らないところで俺が景品だったのを事後報告されるようになったかぁ、と少し笑った。

エロトラップダンジョンの最上階でハーピーに襲われて食われかける(襲って食べ返した)という稀有な経験から助けて貰ってるので、別に達成可能なお願いなので有れば全員分景品じゃなくても喜んで聞いたのにな、とは思う。

その後、同じく景品の話を初めて聞いたイリアの
「うわっ、要らない」とかいう素で出てそうな暴言には流石にびっくりしたけど。

看病大会で一位になれなかったこと含め、(特にレインが)あまりにも沈んでしまっているので可哀想になって、
結局優勝者以外の二人にも看病してくれたから簡単なやつならお願いを聞く、と約束した。

…で、今は。

「貸せ」

「やだ」

「なんで」

「俺だけ手ぶらはなんか気持ち悪いから」

次の街に着いて、イリアは買い出しに行くとのことだったので一緒にくから荷物持ちにでも使って欲しいと頼み込んだのに、
結局明らかに軽い荷物しか渡してもらってないしそれすら奪われそうになって死守している。

そもそもなんで「なんでも言うこと聞く権」の執行者の俺が押し売りでそれを使わせようとしてるんだろう。


「別に景品の事なら俺は要らない」

「俺がお礼できないと消化不良起こすから」

「お礼欲しさに看病したわけじゃない、そもそもあんなの看病のうちにも入らないだろ」

「俺がしたいんだって、いいのか、路上で泣き喚くぞ」

「…プライドはないのか?」

お前を名指ししたまま声を荒げて泣く、と脅したら、俺の本気を感じ取ったイリアは諦めて俺の前を歩き出した。

俺は人前で平気で土下座ができるタイプの人間だ。

ちなみに、以前から俺が買い出しを頼まれるとつい要らない物を買いまくって荷物が増えるので俺単独での買い出しは最近禁止された。

確かに俺も(もう宿屋に置いてきたけど)、前に鉄製のフクロウの壁掛け時計を買った後はなんで欲しかったのか思い出せず首を傾げたから、
その辺の感覚はしばらく勉強させて貰った方が良さそうと思ってる。

けど、イリアの買い物を見ていると俺だったら10倍は買うのに…、と、足りるかずっと不安だった。

こう言うところが金銭感覚ポンコツとか言われる所以なんだろうな、と改めて納得したけど。

「イリアってさ、買い出しとか路銀稼ぎの魔獣討伐とか、
外出ばっかしてる記憶あるんだけどやっぱ体動かすのがシュミなの?」

「まぁな、じっとしていると身体が鈍ってくる気がして性に合わない」

流石、と筋肉質な二の腕を数回軽く叩く。

俺も多分細い方ではないけど、明らかに俺には無い鍛えてる感触があった。
スノウは脱ぐと意外と硬い系の、使う筋肉だけ育ったっぽいストイックな硬さに興奮するけど、
イリアはそもそも体質的に筋肉がつきやすいのか全体的に綺麗な嬉しくなるハリがあってすごく良いと思う。

「へぇ…、あ、俺は本気で暇だと本読むよ。
この間は歴史書読んでた、なんか魔王戦争時代の面白い解釈してる人いてさ」

「……」

最近は読んで無いけど、と付け足したのに今すごい目でこっち見られた。
お坊ちゃんナメんなよ、ピアノも弾けるからな。

「惚れ直した?」

「元々惚れてるヤツにしか言わないだろ、ソレ」

軽口を叩いたらちょっとイリアが笑ってその綺麗な横顔、耳に付いているピアスが陽光を受けてるのが目についた。

「そういえばそれ、ちょこちょこデザイン代わってるけどいつのまに買ってんの?
木製?珍しいな」

「悪いか」

「いや?カッコいいと思う」

「…そうか」

ピアスを褒めるとなんかイリアは嬉しそうにしてて、たった今カッコいいと言ったけどもどちらかと言うとイリア自体が可愛いなと思ってしまった。

口に出すとチョップされそうだし言わないけど。

「…こう見えて、細かい作業も好きでな」

「うん?」

「たまに暇になると、作ってみるんだ」

何の話かしばらく考えて、ちょっと照れくさそうに言っているそれがピアスの事だとわかった。

「すごいな、模様とかあるし細かいのに。
この手のって作んのにどれくらい時間かかるの?」

「…一週間前後、大体寝る前に余裕があれば少しずつ作っている」

「へぇ、良いな。
今度俺のも作ってよ、ちゃんと材料費とか出すし」

「別にそれは要らない…、が、そもそもお前ピアス開けてないだろ」

耳たぶを見られる。
確かに今は開いていないが、

「いやあ…実は最近、レインが毎日さりげなく左耳たぶ噛んでくるんだけど、日に日に噛む力強くなっててさぁ
このままだと多分実を持っていかれるからその前になんか対策したかったんだよな」

「…あぁ…」

痛いのが怖いので本当はピアスを開けたくないが、このままだと千切られてもっと痛い思いをする。

切実な悩みを伝えると、イリアは気の毒そうな目でこっちを見ていた。

「…検討しておく」

「早めでよろしく」

針で耳たぶに穴開けるって聞いて改めて怖気ついたけど。

その後ギルドで、近辺で出る魔獣の習性や傾向を調べる情報収集とか、地図を買って避けた方がいいルートや街の場所の確認とか完全に買出し、二人きりだけど色気やデートとは程遠い時間をしばらく一緒に過ごした。

新鮮で楽しかったけど考えたり覚えたりすることが多くて頭が疲れて、こんなのを毎回何も言わずに調べて考えてくれてたイリアに敬語を使わないといけないんじゃないか、と思うレベルの感謝と反省をした。

「ここ数日天気が悪かったが、いい加減降ってきそうだな。
そろそろ戻ろう」

「…ウス」

「何だその口調」

「いや、敬意を示そうと…」

「変なヤツ」

またちょっと笑われた。

買い物もひと段落して宿に向かっていると、イリアの予想通りついにポツポツと雨が降り出した。

傘を持ってなかったからやばいと思って少し走って帰路を急いだけど、その間にも次第に雨足は強くなって、
主に俺がギャーギャー騒ぎながら宿に着く頃には、全身がぐっしょり濡れてしまっていた。

「へぶっ」

部屋で荷物を降ろしたら、寒くてくしゃみが出た。

スノウもレインもどこかに外出しているようで、戻ってきたけど部屋は静かで暗かった。

「風邪がぶり返すぞ。さっさとシャワー浴びてこい」

イリアは部屋に上がってタオルを2枚取ると、1枚を俺に投げた後もう1枚で自分の髪をガシガシと拭きながら俺へシャワー室へ行くよう道を開けてくれた。

さっきまで着てた、濡れて肌に張り付く衣服は脱ぎ捨てたようで、上半身裸になって雨を拭っている。

「えっ?イリアも寒くない?」

「俺は後でいい」

そこで俺は名案を思いつく。

「あ!一緒にはい」「らない」

…まさか食い気味に返事被せてまで断ってくるとは。

「なんで」

「狭いだろ」

「くっつきゃいいじゃん」

「本気でそれを、俺が良しとすると思うか?」

またまた、素直じゃ無いんだから。

余裕ぶっこいて服を脱いでも、呼んでも待てどもイリアはやって来なくて。
脱衣所から顔を覗かせるとため息を吐きながらズボンも脱いで、新しいのに履き替えようとしてた。

謀ったな、全然こっちくる気ないじゃ無いか。

根負けして脱衣所を背にし、パンツ一丁にバスタオルだけ首から下げたままの格好でイリアの隣に座る。

「いきしっ」

「…さっさと入ってこい」

くしゃみをしたらこっちを見ずにぶっきらぼうに言われたけど、
無視してイリアの方へ倒れてもたれかかった。

「べつに、これであったかいから」

肌が触れると、冷えてたのにそこだけじんわりと暖かくなった。

肩に頭を置いて、じっと見つめて。

目があったら二人ともそのまま動かなくなったから、
そっと腕を伸ばしてイリアの頭を支え、唇を重ねたけど別にイリアは逃げなかった。

それどころか俺を抱き寄せてもっと深いキスをしてくる。

二人でそのまま唇の柔らかい感触を楽しみながらベットに倒れて、
身体がマットレスに跳ねた弾みで一回唇が離れたけどまた見つめ合って何度もお互いを啄むようなキスをした。

鼻にかかった吐息や、どちらのものかわからない舌の絡む水音だけが聞こえて、興奮のままイリアの下半身に手をやると、
イリアも興奮しているのは同じだったようでそこは軽く質量を持っていた。

「…今日、楽しかった」

「そうか」

俺が伝えながら自分の下半身をイリアの太ももに当てると、イリアも俺のを触って下着から取り出す。

体は冷えていたのに、お互いそこだけは焼けたように熱かった。

下半身を密着させ、興奮したそれを合わせて二人の手で擦り上げた。

「んっ…、ふ、」

亀頭が擦れるたび、イリアの大きな手が先端を掠めるたび気持ち良くて、つい声が漏れて、
気恥ずかしくて声を噛み殺すとイリアが少し欲を秘めた目で俺を見てから、その場に不釣り合いな優しいキスを額にした。

「珍しく大人しいな」

「…たまには、イリアに良い顔させてやろうと思っただけ」

からかわれて悔しくて、絶対先にイかせてやろうと決めて、二人のものを擦り合わせる手の動きを少し早める。

少しだけイリアも声を出して、苦しげに顔を歪めたけど、
こっちを見たと思ったらまたキスをされて、表情は良く見えなくなった。

別に潤滑油を使ったりしたわけでもないのにお互いの出した先走りで滑るそこから、独特の肌の擦れ合う卑猥な水音がしてる。

「…っ、ぅ、は、あっ……」

やがてイリアの腰が逃げるように引かれて、それでも追いかけて刺激を与えていたらそこは精を放った。

指の間から糸を引く熱くて白いそれを、見せつけるように舌で掬って舐めとって、
イリアの手についた少しの飛沫も同様に唇で吸う。

「かわいかったよ」

茶化すように言ったら、いきなり俺のだけ強めに扱かれた。

「あ、ちょっと、待、く、うぅ…!」

さっきまでも十分気持ち良くてもう出そうだったのに、急にトドメを刺すみたいに動かれてあっさり果てる。

肩で息を整えながらイリアを睨んだら「かわいかったぞ」と、同じような言い方で笑われて、なんかおかしくてつい笑ってしまった。

「はぁ、…やっぱ少し寒い」

「だから言ったのに」

抱き寄せられる、大人しくする。
触れたところはやっぱりポカポカと暖かくなった、けど雨の降る夕方は気温も低くて、流石にちょっと冷える。

「あのさ、もうここまでしたんだし諦めて一緒にシャワー浴びない?
イリアも冷えてんじゃん」

「…はぁ、…いや、まぁ…、たまにはいいか」

少し考えた後、イリアは諦めたように頷いたから二人でシャワーを浴びた。

背中を流しあったり、たまにキスをしたけどそれ以上はお互い、疲れてたし何もしなかった。

上がって着替えて、夕食の配膳をしながら喋ってたら一緒に居たらしいスノウとレインが帰ってきて、
二人ともやっぱりびしょびしょだったので俺はシャワーを勧めた。
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