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湯けむり温泉淫行 ○
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【今回の内容】
イリア受け/母乳
それからまた数日、村とか廃村とか点々とある居住区を経由しつつ、俺たちはある港町に到着しようとしていた。
港、といっても大陸同士を横切っている大きな川を渡る為の船がほとんどだがだいぶ長いこと上流へ船旅をすれば、海に出るので潮に乗って東方の国へも行けるらしい。
俺たちも魔王の国を目指すのにこの川は越える必要があって、しばらくはこの町を目指していたのだった。
「…こんなに、何事もなく着くんだな…」
「変なこと、何も起きなかったね」
この間までが相当酷かったので二人は町へ足を踏み入れた瞬間深く感動していた。
…感動に水を注すのも悪いので、インキュバスの件は黙っておこうと心に決める。
通行人たちが貿易の影響なのかあまり俺の村では見ないようなオリエンタルな服や装飾をしているのが珍しくて、つい物珍しげに色々目で追ってしまった。
せわしなく町の風景を観察しながらたまに雑貨や軽食を買いつつ移動して、適当に一番ゴテゴテした宿を選んで入った。
同じく適当に一番派手な部屋を選ぼうとしたら金銭感覚のガバガバさをイリアに指摘され、交渉の結果無難なそれなりの部屋を取られてしまった。
レインにまで「全面金箔は怖いかな…」とか言われてショックだ。
こういうのは経験じゃないのか。
「当旅館では東方の島国の文化を経験いただけます。
畳、座敷布団、温泉、どうぞごゆるりとお楽しみください…」
独特の髪型をした女将が正座で部屋に通してくれて、玄関でもう素足にならないといけないことに驚きつつ楽だったので早々にそれを受け入れた。
「ここ、夕食付きだって」
「お前がそれを頼んだからだろ」
「…それでも金箔の部屋の、1/4より安かったね」
「気にしなくて良いのに」
金箔じゃなくてもなんか草の床はもの珍しくて面白いから俺はいいけど。
ちょっと落ち着いたら、久々のまともな風呂が嬉しくて温泉とやらを覗きに行った。
「じょわーーーー!!!!イリア!レイン!!!!見て!やばい!!!風呂もシャワーも外にある!!!あと浴槽でっか!!!」
覗きに行ったものの衝撃がデカすぎて、テンションが上って走って戻って報告してしまった。
浴槽はもはや浴槽と言って良いのだろうか、どでかい穴が掘ってあって、そこを石で敷き詰めた中に大量の湯が沸いてる。
そもそも全部が屋外にあって、白い湯気と開放感がすごかった。
「ふふ、レオン…はしゃいでるね。…はぁ……かわいい…」
「…そうか?だが、確かにすごい広さだな」
「なにあれ!!!風呂白く濁ってんじゃん!洗剤でもこぼしてんの!!」
「いえいえ、あれが【温泉】でございますよ、地下深くで色々な成分が溶け出した湯はただの水よりも、さまざまな効能でお客様の体を癒してくれるのでございます」
「……」
振り返ったら老婆がいて、廊下はお静かにとニコニコ笑っていた。
「あ、すんません」
「とんでもない。
…ところでこちらの温泉、お客様より先程キャンセルを頂いておりまして…向こう4時間貸切が可能となっております。
いかがですか?」
「え?マジ?じゃあそれで!」
「ほほ、よしなに」
老婆?大女将?にお礼を言ってその場で代金とチップを渡す。
4時間ここを好き放題できるかと思うと最高に気分が盛り上がった。
制限時間あるから!と(主にイリアを)説得し、温泉に全員で入る。
さっきの老婆こと大女将が長湯は毒ですのでお控えくださいね、と言いつつも貸切なら風呂に浸かりながら酒を飲んで良いと教えてくれた。
なんでも景色を「肴」にあったかい酒を飲むのがツウらしい。
体をさっさと洗って、乳白色の湯に浸かる。
「はやく来いって!泳げるから!!」
「…お前、さっき泳ぐなと言われたところじゃなかったか?」
「そうだっけ」
「そうだよ」
意味もなく湯の中をぐるぐる手で体を支えて遊泳してたらざば、と音がしていつのまにか湯へ浸かっていたらしいレインが隣に顔を覗かせた。
不意打ちと、海藻みたいに揺れる黒髪にビビって身体が硬直する。
「大人しく…ね?」
「はい…」
諭されて反省し、手頃な端の石の上に腰掛け湯に浸かったまま桶の中に数本に入れた瓶の酒を注いで飲んでみる。
「…これ、なんか独特の味するな」
「僕は結構好き」
甘いけどイガイガ辛い、慣れないけどキツそうな味をどう受け取るか考えつつ景色を肴とやらにしてみる。
…うん、わからん!
葉っぱとか落ちてくるの見てると一瞬何か感じそうになったけどすぐに飽きてしまった。
絵画とか見た時と同じ気持ち。
それより遠方で身体を洗っているイリアの背中の方が気になる。
流石に距離もあるし油断しているのか、無防備にしている背中の筋肉の動きがこう…良かった。
背骨の窪みとか、尻周りの窪んだ筋肉とか、あっちを見ていると不思議と酒が進む。
隣を見れば普段青白いレインも、酒と湯の効果か頬や首の裏が血色良く色づいていて、さっきあれだけびびった黒髪も束ねてうなじにちょっとだけ濡れたのが落ちているのはなんとも色気があった。
目があったらキスされたけど酒気を含んだ唇も熱くて、寄りかかるしっとりと暖かい肌の密着へ事情中を思い出し気分がいい。
これが、肴…?
俺は新感覚に、異国の情緒を思い知った。
「ふぅ…出来上がってるな?お前ら…」
「そうかな」
それから少しして、イリアがようやく湯につかりにくる。
俺の方はまだちょっと気分が上がってる程度だけどレインは酒を水みたいな勢いで飲み続け、独特の形状の瓶をあっという間に5本も空けるものだから逆上せて顔が赤くなっていた。
「うぅ…、熱い…ちょっと先に上がってるね…」
「あー、大丈夫?歩ける?」
「うん…」
心配で着いて行こうか聞いたけど、風にあたれば治るとからと断られてしまった。
多分、ちゃんと喋ってたし足取りもしっかりしてたから大丈夫だろうと思う、一応水置いてる場所は伝えたけど。
「それ、お前たちで飲んだのか?」
「うん、…あー、俺は全然飲んでないけど」
桶に6本も小さい空の容器が積んであるのでイリアが驚いている。
「まぁまぁイリアも」
「いや、俺は」
「記念なので」
自分の飲みかけの、半分くらい残った容器を傾けてイリアのコップにも透明の酒を注ぐ。
しげしげと小さなつまめるサイズのコップを眺めて、片手でそれを呷る姿はなんとも様になっていた。
「美味しい?」
「…慣れない味がする」
「だよね」
「あぁ、だが…悪くないかもしれない」
静かに、周りの木々が風で揺れたり雲がゆっくり流れるのを見てイリアは飲んでいる。
やっぱり木の何が良いのかわからなかったけど隣で大人しくして、物思いに耽る横顔を見てたら徐々に放置されてるのが悔しくなってきた。
「…俺の相手もしてよ」
「は?」
肩に顎を置いて視界の悪い、濁った湯の中でイリアの下腹を撫でる。
「おい、お前は……、本当に、場所を弁えないな…っ!?」
風情を知らないのか?とかも聞かれたけど、知らないので仕方がない。
イリアも少し酔ってるんだろうか、いつもより抵抗が薄くかったけど、指摘して覚められても勿体無いのでじわじわと身体を撫でて弱い快感を与えこのままなし崩しに至る方向でと俺の脳内で方針が決定した。
レインの真似をして、肩にもたれかかって身体を預けたまま胸の先を撫でたり耳を甘噛みして、自分の興奮したものをたまに腕に当てて今はそういう雰囲気なんだとイリアへアピールする。
(ところで言わないけど前のミルク騒ぎの時恥ずかしいくらい肥大してた乳首が元に戻ってて良かったね、と横目で見て他人事のように思った。)
まだ少しコップに残った酒をこぼしそうなのを気にしていたので、それを奪って全部自分の口に含んでから口移しでイリアにお裾分けした。
「…あ、これなら美味しいかも」
分け損ねた自分の分を飲み干し笑うと、その瞬間イリアに押し倒された。
結構勢いよく行ったけど、体をどこかにぶつけないように片腕でしっかりと支えられて床に着地して、見上げるとあんまり普段見ないイリアにのし掛かられてる風景にちょっとびっくりする。
「え、イリア、…イリアさん?」
というか、これ、あまりよろしくない展開なのでは。
首元に顔を埋められて、腕力でイリアに勝てる要素がないことを今更思い出した。
焦って声を出すけど無視されて、この間レインに噛まれて歯型のかさぶたのできてるそこを舐められた。
首にかかる息が熱くて、次第にその吐息が少しずつ下に行って胸の少し上、脇の斜め下くらいでちゅ、と音がして少しだけ吸われる。
皮膚がつっぱる感触がして顔を上げると目があったイリアは満足げに「日頃のお返しだ」と言っていた。
…めちゃくちゃ酔ってるな…。
胸の斜め上、そこに痕が1つだけ慎ましやかに付いていたけど、こんなとこ見せようと思わないと見えない。
それに、そんな強くつけたわけでも無さそうなので時間の経過でさっさと消えてしまいそうだ。
日頃のお返しと言いつつ、なんとも遠慮深いそれを見て改めて酔おうがイリアが真面目な性格をしていると思い知った。
「…他には?」
これは俺みたいな悪ノリをイリアはしないな、と安全を確信したのでまた寝転んで続きを促した。
さっきまで俺があたふたしてたのでせっかく勝ち誇ったような顔をしてたのに、その先を求められて急にイリアは困った顔をしている。
それから俺の身体を眺めて考え込んでしまった。
「やだー!えっちー!」
「っ…、ちが、お前が…っ!」
しげしげと上から下まで眺めるその視線にふざけて身体を隠して横向きになると途端にイリアは焦った声で弁明のような言い訳のような何かをしている。
必死な声が面白くてクスクス笑うと、からかわれているとわかったイリアは顔を赤くした後拗ねて、それから俺の顎を掴んで正面を向かせてキスをした。
「んっ…ふぅ、…ん…」
積極的な舌に応え、自分の舌を絡めて口を開いて口内へイリアの舌を誘った。
「ふぅっ…」
熱い、お互い酒の匂いのするキスに酔いが深くなるよう頭がぼんやりとしてくる。
それはイリアも同じようで、顔を離すと口の端から唾液が一筋伝っているのにぼんやりと蕩けた瞳でこっちを見ていた。
「押し倒すとこまでは良かったんだけどなぁ、惜しかったね、…お湯、汚したら悪いから上でしよっか」
起き上がって縁に腰掛け、足だけ湯につけて隣に座るように促すと、イリアは続きでも想像したのか一瞬迷って難しそうな顔をして、けど結局素直に俺の隣に腰掛けた。
「イリア」
耳元で名前を呼びながら、いろんなところにキスをしてイリアをゆっくり押し倒す。
石の床は固くて冷たくてちょっと寝心地悪そうだな、って思ったけど、もう興奮しすぎて移動する時間も惜しかったので上に覆い被さって身体を密着させたまま、また口内を舌でくすぐった。
身じろぎをどちらかがする度、お互いの勃ったのが擦れてぬるぬる当たって、特に俺の方は突っ込んでる時よく当たる感触なのでそれを思い出して一層興奮する。
「挿れていい?」
と見つめて聞くと、女みたいな位置でされるのが気に食わないのか、イリアはなにか言いかけてから俺を退かせて身体を起こして四つん這いになると「さっさとしろ」なんてよくわからない強がりみたいな何かを言っている。
挿れるの自体は良いんだ、とズレた意地がちょっと可愛くて笑って、それからご所望通り腰を掴んで後ろから挿れた。
「…っ、ぐ、う…!」
数回無茶しているけど、そこは相変わらず締まりが良くてやっぱり鍛えてると違うのかぁと勝手に納得する。
身体の構造上、内側から性器を直接突かれるとやっぱり良いんだろう。
そこを執拗に責めるとイリアは一際苦しげに呻くけれど、明らかに前から快感の証みたいな先走りを噴いて喜んでた。
「そのうち、後ろだけでイけるように、なろうね」
まだ後ろだけでどうにかなるほど開発できてるとは思わなくて、使われずに淋しそうに揺れてるご立派なそれを手で軽く握って扱いた。
身体の面と裏から刺激されるものだからイリアのそこは痛いくらいにきゅうきゅう締まって、自分でしてるくせにそれで俺のの存在を余計に感じてしまうのか良さそうに悶えて身体を反応させてた。
「ぐ、ぅ…ふ、あ、うっ…」
「声も、もっと聞きたいな」
さっきいいな、と思った背中や首筋へキスして少しだけ意味もなく嗅ぐ、べつになんか匂いがするわけでもないけど、熱い身体からフェロモンでも出てるのかやたら興奮した。
背中へ一滴、汗か水滴かわからないものが滴って、最後にイリアは声を押し殺したような声で咳みたいに喘ぎを吐くと、そのまま床に向かって射精した。
「……あれ」
俺もイリアの尻の上に出して、それから、なんかイリアの胸からやけに水滴が垂れてることに気づく。
「ちょっといい?」
ムードも余韻もへったくれもなく、正面を向いて座らせて、確認するとやっぱり胸から少しだけ滴ってる乳白色のそれ。
舐める、イリアは出した直後で辛いのか、二回目は嫌だみたいな動きをしてたけど違う。
…前、ちょっと食べた?飲んだ記憶のある味。
「……もしかして、ちょっと後遺症残ってる?」
俺が呟くと、イリアはまだ気づいていないのか不思議そうにこっちを呼吸を整えながら見ていた。
イリア受け/母乳
それからまた数日、村とか廃村とか点々とある居住区を経由しつつ、俺たちはある港町に到着しようとしていた。
港、といっても大陸同士を横切っている大きな川を渡る為の船がほとんどだがだいぶ長いこと上流へ船旅をすれば、海に出るので潮に乗って東方の国へも行けるらしい。
俺たちも魔王の国を目指すのにこの川は越える必要があって、しばらくはこの町を目指していたのだった。
「…こんなに、何事もなく着くんだな…」
「変なこと、何も起きなかったね」
この間までが相当酷かったので二人は町へ足を踏み入れた瞬間深く感動していた。
…感動に水を注すのも悪いので、インキュバスの件は黙っておこうと心に決める。
通行人たちが貿易の影響なのかあまり俺の村では見ないようなオリエンタルな服や装飾をしているのが珍しくて、つい物珍しげに色々目で追ってしまった。
せわしなく町の風景を観察しながらたまに雑貨や軽食を買いつつ移動して、適当に一番ゴテゴテした宿を選んで入った。
同じく適当に一番派手な部屋を選ぼうとしたら金銭感覚のガバガバさをイリアに指摘され、交渉の結果無難なそれなりの部屋を取られてしまった。
レインにまで「全面金箔は怖いかな…」とか言われてショックだ。
こういうのは経験じゃないのか。
「当旅館では東方の島国の文化を経験いただけます。
畳、座敷布団、温泉、どうぞごゆるりとお楽しみください…」
独特の髪型をした女将が正座で部屋に通してくれて、玄関でもう素足にならないといけないことに驚きつつ楽だったので早々にそれを受け入れた。
「ここ、夕食付きだって」
「お前がそれを頼んだからだろ」
「…それでも金箔の部屋の、1/4より安かったね」
「気にしなくて良いのに」
金箔じゃなくてもなんか草の床はもの珍しくて面白いから俺はいいけど。
ちょっと落ち着いたら、久々のまともな風呂が嬉しくて温泉とやらを覗きに行った。
「じょわーーーー!!!!イリア!レイン!!!!見て!やばい!!!風呂もシャワーも外にある!!!あと浴槽でっか!!!」
覗きに行ったものの衝撃がデカすぎて、テンションが上って走って戻って報告してしまった。
浴槽はもはや浴槽と言って良いのだろうか、どでかい穴が掘ってあって、そこを石で敷き詰めた中に大量の湯が沸いてる。
そもそも全部が屋外にあって、白い湯気と開放感がすごかった。
「ふふ、レオン…はしゃいでるね。…はぁ……かわいい…」
「…そうか?だが、確かにすごい広さだな」
「なにあれ!!!風呂白く濁ってんじゃん!洗剤でもこぼしてんの!!」
「いえいえ、あれが【温泉】でございますよ、地下深くで色々な成分が溶け出した湯はただの水よりも、さまざまな効能でお客様の体を癒してくれるのでございます」
「……」
振り返ったら老婆がいて、廊下はお静かにとニコニコ笑っていた。
「あ、すんません」
「とんでもない。
…ところでこちらの温泉、お客様より先程キャンセルを頂いておりまして…向こう4時間貸切が可能となっております。
いかがですか?」
「え?マジ?じゃあそれで!」
「ほほ、よしなに」
老婆?大女将?にお礼を言ってその場で代金とチップを渡す。
4時間ここを好き放題できるかと思うと最高に気分が盛り上がった。
制限時間あるから!と(主にイリアを)説得し、温泉に全員で入る。
さっきの老婆こと大女将が長湯は毒ですのでお控えくださいね、と言いつつも貸切なら風呂に浸かりながら酒を飲んで良いと教えてくれた。
なんでも景色を「肴」にあったかい酒を飲むのがツウらしい。
体をさっさと洗って、乳白色の湯に浸かる。
「はやく来いって!泳げるから!!」
「…お前、さっき泳ぐなと言われたところじゃなかったか?」
「そうだっけ」
「そうだよ」
意味もなく湯の中をぐるぐる手で体を支えて遊泳してたらざば、と音がしていつのまにか湯へ浸かっていたらしいレインが隣に顔を覗かせた。
不意打ちと、海藻みたいに揺れる黒髪にビビって身体が硬直する。
「大人しく…ね?」
「はい…」
諭されて反省し、手頃な端の石の上に腰掛け湯に浸かったまま桶の中に数本に入れた瓶の酒を注いで飲んでみる。
「…これ、なんか独特の味するな」
「僕は結構好き」
甘いけどイガイガ辛い、慣れないけどキツそうな味をどう受け取るか考えつつ景色を肴とやらにしてみる。
…うん、わからん!
葉っぱとか落ちてくるの見てると一瞬何か感じそうになったけどすぐに飽きてしまった。
絵画とか見た時と同じ気持ち。
それより遠方で身体を洗っているイリアの背中の方が気になる。
流石に距離もあるし油断しているのか、無防備にしている背中の筋肉の動きがこう…良かった。
背骨の窪みとか、尻周りの窪んだ筋肉とか、あっちを見ていると不思議と酒が進む。
隣を見れば普段青白いレインも、酒と湯の効果か頬や首の裏が血色良く色づいていて、さっきあれだけびびった黒髪も束ねてうなじにちょっとだけ濡れたのが落ちているのはなんとも色気があった。
目があったらキスされたけど酒気を含んだ唇も熱くて、寄りかかるしっとりと暖かい肌の密着へ事情中を思い出し気分がいい。
これが、肴…?
俺は新感覚に、異国の情緒を思い知った。
「ふぅ…出来上がってるな?お前ら…」
「そうかな」
それから少しして、イリアがようやく湯につかりにくる。
俺の方はまだちょっと気分が上がってる程度だけどレインは酒を水みたいな勢いで飲み続け、独特の形状の瓶をあっという間に5本も空けるものだから逆上せて顔が赤くなっていた。
「うぅ…、熱い…ちょっと先に上がってるね…」
「あー、大丈夫?歩ける?」
「うん…」
心配で着いて行こうか聞いたけど、風にあたれば治るとからと断られてしまった。
多分、ちゃんと喋ってたし足取りもしっかりしてたから大丈夫だろうと思う、一応水置いてる場所は伝えたけど。
「それ、お前たちで飲んだのか?」
「うん、…あー、俺は全然飲んでないけど」
桶に6本も小さい空の容器が積んであるのでイリアが驚いている。
「まぁまぁイリアも」
「いや、俺は」
「記念なので」
自分の飲みかけの、半分くらい残った容器を傾けてイリアのコップにも透明の酒を注ぐ。
しげしげと小さなつまめるサイズのコップを眺めて、片手でそれを呷る姿はなんとも様になっていた。
「美味しい?」
「…慣れない味がする」
「だよね」
「あぁ、だが…悪くないかもしれない」
静かに、周りの木々が風で揺れたり雲がゆっくり流れるのを見てイリアは飲んでいる。
やっぱり木の何が良いのかわからなかったけど隣で大人しくして、物思いに耽る横顔を見てたら徐々に放置されてるのが悔しくなってきた。
「…俺の相手もしてよ」
「は?」
肩に顎を置いて視界の悪い、濁った湯の中でイリアの下腹を撫でる。
「おい、お前は……、本当に、場所を弁えないな…っ!?」
風情を知らないのか?とかも聞かれたけど、知らないので仕方がない。
イリアも少し酔ってるんだろうか、いつもより抵抗が薄くかったけど、指摘して覚められても勿体無いのでじわじわと身体を撫でて弱い快感を与えこのままなし崩しに至る方向でと俺の脳内で方針が決定した。
レインの真似をして、肩にもたれかかって身体を預けたまま胸の先を撫でたり耳を甘噛みして、自分の興奮したものをたまに腕に当てて今はそういう雰囲気なんだとイリアへアピールする。
(ところで言わないけど前のミルク騒ぎの時恥ずかしいくらい肥大してた乳首が元に戻ってて良かったね、と横目で見て他人事のように思った。)
まだ少しコップに残った酒をこぼしそうなのを気にしていたので、それを奪って全部自分の口に含んでから口移しでイリアにお裾分けした。
「…あ、これなら美味しいかも」
分け損ねた自分の分を飲み干し笑うと、その瞬間イリアに押し倒された。
結構勢いよく行ったけど、体をどこかにぶつけないように片腕でしっかりと支えられて床に着地して、見上げるとあんまり普段見ないイリアにのし掛かられてる風景にちょっとびっくりする。
「え、イリア、…イリアさん?」
というか、これ、あまりよろしくない展開なのでは。
首元に顔を埋められて、腕力でイリアに勝てる要素がないことを今更思い出した。
焦って声を出すけど無視されて、この間レインに噛まれて歯型のかさぶたのできてるそこを舐められた。
首にかかる息が熱くて、次第にその吐息が少しずつ下に行って胸の少し上、脇の斜め下くらいでちゅ、と音がして少しだけ吸われる。
皮膚がつっぱる感触がして顔を上げると目があったイリアは満足げに「日頃のお返しだ」と言っていた。
…めちゃくちゃ酔ってるな…。
胸の斜め上、そこに痕が1つだけ慎ましやかに付いていたけど、こんなとこ見せようと思わないと見えない。
それに、そんな強くつけたわけでも無さそうなので時間の経過でさっさと消えてしまいそうだ。
日頃のお返しと言いつつ、なんとも遠慮深いそれを見て改めて酔おうがイリアが真面目な性格をしていると思い知った。
「…他には?」
これは俺みたいな悪ノリをイリアはしないな、と安全を確信したのでまた寝転んで続きを促した。
さっきまで俺があたふたしてたのでせっかく勝ち誇ったような顔をしてたのに、その先を求められて急にイリアは困った顔をしている。
それから俺の身体を眺めて考え込んでしまった。
「やだー!えっちー!」
「っ…、ちが、お前が…っ!」
しげしげと上から下まで眺めるその視線にふざけて身体を隠して横向きになると途端にイリアは焦った声で弁明のような言い訳のような何かをしている。
必死な声が面白くてクスクス笑うと、からかわれているとわかったイリアは顔を赤くした後拗ねて、それから俺の顎を掴んで正面を向かせてキスをした。
「んっ…ふぅ、…ん…」
積極的な舌に応え、自分の舌を絡めて口を開いて口内へイリアの舌を誘った。
「ふぅっ…」
熱い、お互い酒の匂いのするキスに酔いが深くなるよう頭がぼんやりとしてくる。
それはイリアも同じようで、顔を離すと口の端から唾液が一筋伝っているのにぼんやりと蕩けた瞳でこっちを見ていた。
「押し倒すとこまでは良かったんだけどなぁ、惜しかったね、…お湯、汚したら悪いから上でしよっか」
起き上がって縁に腰掛け、足だけ湯につけて隣に座るように促すと、イリアは続きでも想像したのか一瞬迷って難しそうな顔をして、けど結局素直に俺の隣に腰掛けた。
「イリア」
耳元で名前を呼びながら、いろんなところにキスをしてイリアをゆっくり押し倒す。
石の床は固くて冷たくてちょっと寝心地悪そうだな、って思ったけど、もう興奮しすぎて移動する時間も惜しかったので上に覆い被さって身体を密着させたまま、また口内を舌でくすぐった。
身じろぎをどちらかがする度、お互いの勃ったのが擦れてぬるぬる当たって、特に俺の方は突っ込んでる時よく当たる感触なのでそれを思い出して一層興奮する。
「挿れていい?」
と見つめて聞くと、女みたいな位置でされるのが気に食わないのか、イリアはなにか言いかけてから俺を退かせて身体を起こして四つん這いになると「さっさとしろ」なんてよくわからない強がりみたいな何かを言っている。
挿れるの自体は良いんだ、とズレた意地がちょっと可愛くて笑って、それからご所望通り腰を掴んで後ろから挿れた。
「…っ、ぐ、う…!」
数回無茶しているけど、そこは相変わらず締まりが良くてやっぱり鍛えてると違うのかぁと勝手に納得する。
身体の構造上、内側から性器を直接突かれるとやっぱり良いんだろう。
そこを執拗に責めるとイリアは一際苦しげに呻くけれど、明らかに前から快感の証みたいな先走りを噴いて喜んでた。
「そのうち、後ろだけでイけるように、なろうね」
まだ後ろだけでどうにかなるほど開発できてるとは思わなくて、使われずに淋しそうに揺れてるご立派なそれを手で軽く握って扱いた。
身体の面と裏から刺激されるものだからイリアのそこは痛いくらいにきゅうきゅう締まって、自分でしてるくせにそれで俺のの存在を余計に感じてしまうのか良さそうに悶えて身体を反応させてた。
「ぐ、ぅ…ふ、あ、うっ…」
「声も、もっと聞きたいな」
さっきいいな、と思った背中や首筋へキスして少しだけ意味もなく嗅ぐ、べつになんか匂いがするわけでもないけど、熱い身体からフェロモンでも出てるのかやたら興奮した。
背中へ一滴、汗か水滴かわからないものが滴って、最後にイリアは声を押し殺したような声で咳みたいに喘ぎを吐くと、そのまま床に向かって射精した。
「……あれ」
俺もイリアの尻の上に出して、それから、なんかイリアの胸からやけに水滴が垂れてることに気づく。
「ちょっといい?」
ムードも余韻もへったくれもなく、正面を向いて座らせて、確認するとやっぱり胸から少しだけ滴ってる乳白色のそれ。
舐める、イリアは出した直後で辛いのか、二回目は嫌だみたいな動きをしてたけど違う。
…前、ちょっと食べた?飲んだ記憶のある味。
「……もしかして、ちょっと後遺症残ってる?」
俺が呟くと、イリアはまだ気づいていないのか不思議そうにこっちを呼吸を整えながら見ていた。
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