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告白
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思い耽れば時間が経つのが恐ろしく早い。
六日前の出来事がまるで昨日の事のように思えるぐらいだったが、良い意味でも悪い意味でも時間の経過が平等なのは不変だ。俺がこうしてベッドに寝転がって天井を仰いでる間にもハルカの誕生日は明日に迫っていた。
「はあ、どうしたものかね……」
彼女が欲しいか欲しくないかと聞かれれば、迷いなく欲しいと答えるだろう。
可愛い彼女が欲しい。綺麗な彼女が欲しい。
そう思ったことは何千回とあっても、過去の“実績”から期待なんてものは全くと言っていいぐらいしていなかったわけだが、そんな俺に訪れたチャンス――。
性格に難があるとはいえその点を除けば、ほぼすべてにおいて完璧と形容できる美少女と付き合えるという可能性。
普通なら狂喜乱舞するところなのだろうが、なぜか俺の心には言葉にできないモヤモヤが燻っていた。
「はああ……」
なんとも言えないごちゃごちゃとした気持ち。
枕に顔を埋めて足をバタつかせたところで状況が好転しないのは分かりきっている。わかっちゃいるが、今の俺にはそうすることぐらいしかできなかった。
「お兄さん。今ちょっといいかな?」
「キャ――――――――――!?」
ノックなく俺の部屋に入ってきたカエデさん。
マイマザーが“家族”として許可を出してるとはいえ、我がもの顔でさも当然とばかりに俺の部屋に侵入してくるのは如何なものだろうか?
仮に運悪く俺の“紳士タイム”と鉢合わせなんて展開を想像するだけで身の毛がよだつ。
そういった観点からプライバシーは守られて然るべきだ。今度抗議してやる。
「いきなりどうした? 今日の家庭教師は休みじゃなかったのか?」
「じつはその件なんだけどね」
数日前にどうしても外せない大切な用事があるとメールをくれたはず。
そのメールを送ってきた張本人であるカエデが今この場にいるということは俺にとって違和感以外の何者でもなかった。
「お兄さんに大事な話があるの」
「えっ……」
「すごく言い出しにくいんだけどね……」
「……まさか、俺に会わせたい人がいるとかか?」
それを考えるだけで俺のテンションは瀕死。心はすでに息をしていなかった。
今なら娘を嫁がせたくない父親の気持ちが分かる気がする。
相手が誰にしろ俺はカエデが紹介する相手と刺し違える覚悟を決めた。
「えっ……? それはなんの話?」
「前にカエデが言ってた好きな男を俺に紹介しようってことだよな……?」
「…………」
「なんだその反応! やっぱり図星!? 図星か、くそが……」
たしか昔、草野球で使ってた鉄バットがクローゼットの中にあったはず。
――武器(エモノ)は決まった。
あと俺に必要なのは相手の脳天をフルスイングする覚悟だけだ。
やってやる。妬みや怒りを憎悪に変えてやってやるぞ。
「んー……やっぱお兄さんって馬鹿だね。そんなのいるわけないじゃない」
「馬鹿とは何だ! 馬鹿とはッ! こっちは真剣に……」
「まだ気付かないの?」
「へっ……?」
「……私が好きな人はお兄さんだよ」
…………は?
その言葉を聞いた直後、俺の脳は完全にその機能を停止した。
おそらくは数千の脳細胞が瞬時に死滅したのだろう。
混乱のあまり息を吸うことすら忘れた俺は馬鹿みたいに口をパクパクとさせた。
「は……? え……?」
呼吸の仕方を忘れた。そしてどうゆうわけか言葉がうまく出てこない。
気分的には夢の中にでもいるような気分だ。
「鈍感ね。私はお兄さんから告白してくれる日をずっと待ってたのよ?」
「マジ……で……?」
「だから私が今やってることはルール違反なんだけどね」
一言一言を俺以外の誰かに聞こえるようなハキハキとした口調。
どうゆうわけかカエデは窓の外を見ていた。
「……悪かったわよ」
すると、観念するように窓の外の死角から姿を現したのはハルカ。
強気な彼女にしては珍しく弱気な感じ。そして気のせいか申し訳なさそうな感じでもあった。
「先にルールを破ったのは義姉ちゃんだからこのぐらいは許してくれるよね?」
「そんなつもりは……」
「ルールは厳守。破れば灯馬は破られた相手のものって決めたよね?」
「それは……」
久々に見るハルカが他人に圧倒される姿――。
その相手が義妹のカエデというのは初めて見る組み合わせだ。
「義姉ちゃんもそろそろはっきり言ったらどうなの? でないと私が――……」
「わかってる。わかってるからちょっとだけ待って」
――場が制止したような沈黙。
とてもじゃないが何かを言えるような空気ではなかった。
「決めた!」
ハルカはそう言って鷹が地上の鼠を狩るが如く俺との間合いを一気に詰めてきた。
「トーマ!」
「なんだよ……?」
なぜか掴まれる胸座。不思議と普段は感じる怖さを感じなかった。
「私もトーマが好き。だから私と付き合って欲しい」
柄にもなくハルカはそう言ってボロボロと涙を零した。
それは子供のように我慢を知らない大粒の涙。
見ていてこっちが恥ずかしくなるぐらいのものだったが、その感情とは裏腹に俺はハルカに対して一種の尊敬のような念を抱いてしまった。
「ハルカ……」
俺には好意を寄せた相手に面向かって告白する勇気なんてない。
それができるだけでもハルカとカエデは俺なんかとは全然違う。
そんな二人の相手が俺でいいのだろうか?
二人とも相手を選べる権利はいくらでもあるのにどうして俺なんかが――……。
「俺は……」
異常とも思える心拍数。
血がマグマに変わったんじゃないかって思うぐらい体が熱い。
まるで細胞が蒸発しているようだ。
今さらだが、二人の美少女から告白を受けるなんて夢でも見ているかのようだ。
「だから言ったのよ。お兄さんは優しいからどっちか片方なんて選べないって」
状況に圧倒されて俺が何も答えられないでいると、あえて優柔不断という言葉を避けるようにカエデがそうフォローしてくれた。
冷静を装っていても震えたその声。何年も見てきたからこそ分かる。
カエデもその内心は涙を零すハルカと何ら変わりがないのだ。
「でも、こうなった限りは仕方ないよね。どちらか選んでもらわないと」
「ごめんねカエデ。私の所為で……」
「済んだことは言っても仕方ないじゃない。こうなる日はいつか来るってわかってたし」
二人の会話において俺は完全に蚊帳の外だったが、なんとなく事情は分かった。
発端はおそらくハルカが俺に恋人になれと言い出したことだ。
そして、俺がそれをカエデに話したことでこの状況が生まれた。
結果論だが、パズルのピースをはめるようなものだったというわけだ。
「でも、義姉ちゃん。このままでいいの?」
「いいってなにが?」
「例えば、お兄さんに暴力を振るってきたのは好きな子に意地悪したい心理だったってきちんと説明して謝っておかないと、事情を知らない灯馬からすればただの暴力女よ?」
「う……」
「そうゆうのってプラスの評価になると思う?」
「それは……」
「普段が素直じゃないんだから、こうゆう時ぐらいは素直になりなよ」
「うん……。でも、どうして……?」
「私は普段が“いい子”だから、義姉ちゃんよりも高く評価されてると思う。今の状態でお兄さんに私か義姉ちゃんを選んでもらうのなら十中八九、私が選ばれる自信があるからね」
口では強気なことを言いつつも静かに一筋の涙を零すカエデ。
どういった心境でそれを口にしたのかを考える事におそらく意味はないだろう。
なぜならそれは合理的という言葉からは程遠い“感情”によるものだからだ。
「でも、それじゃダメなの。お兄さんの中には義姉ちゃんという“亡霊”が残るだろうし、その逆であっても同じことになると思う。こうなった以上、私達にできる事といえば、正々堂々とフェアな状態で戦うことだと思うから……」
言いたい事を言い終えたカエデは堰を切ったようにその場で泣き崩れた。
血は繋がってないとはいえ姉妹二人が揃って泣くその姿。それはカエデが迷子になった時以来だったがなんとも後味が悪いものだ。
だからこそ俺は決めないといけない。二人の気持ちへのケジメとして……。
「……悪いが、一日だけ考えさせてくれないか? 答えは明日必ず出す」
「一日でいいの……?」
ハルカにしては違和感を覚えるぐらい弱気な口調――。
察するにカエデの言葉が効いたのか、ずいぶんと消極的な感じだった。
「俺は優柔不断な人間だから長引けば必ず中途半端になる。だからと言って、今この場で決めれるほど簡単な話だとは思ってない。だからこそ一日考えさせてほしい」
最もらしくそう言ったまではよかったが、その答えが出る気がしない。
ハッキリ言って答えを出すこと自体が不可能な気さえする。
それでも答えを出すしかない。二人の覚悟に少しでも報いる為にも――……。
「わかった。それなら私は先に帰るね」
「ちょっと待て」
「なに……?」
「……これもってけよ」
自分でもなぜそれを渡そうと思ったのか分からない。
ただ、無意識のままに俺はそれをカエデに投げ渡していた。
「お兄さんが大切にしてる熊サン人形……?」
「お前がそれを気に入ってるのは知ってる。俺の家庭教師してる時に合間合間で遊んでいたのもな。俺の“親友”だからあげたりはできないが、一日だけなら貸してもいい」
俺がゲーセンのUFOキャッチャーで初めてゲットした大物である枕サイズの熊サン人形をギュッと抱きしめるカエデ。
危うくカエデの部屋で見てハマってるのを知ってると口を滑らしそうになったが、事前に気付けてよかった。
うっかり口走ろうものなら本人の許可なく部屋に入ったことがバレるところだ。
「ありがとう。お言葉に甘えて借りていくね」
そう言って優しく微笑んだカエデは俺とハルカを部屋に残して帰っていった。
六日前の出来事がまるで昨日の事のように思えるぐらいだったが、良い意味でも悪い意味でも時間の経過が平等なのは不変だ。俺がこうしてベッドに寝転がって天井を仰いでる間にもハルカの誕生日は明日に迫っていた。
「はあ、どうしたものかね……」
彼女が欲しいか欲しくないかと聞かれれば、迷いなく欲しいと答えるだろう。
可愛い彼女が欲しい。綺麗な彼女が欲しい。
そう思ったことは何千回とあっても、過去の“実績”から期待なんてものは全くと言っていいぐらいしていなかったわけだが、そんな俺に訪れたチャンス――。
性格に難があるとはいえその点を除けば、ほぼすべてにおいて完璧と形容できる美少女と付き合えるという可能性。
普通なら狂喜乱舞するところなのだろうが、なぜか俺の心には言葉にできないモヤモヤが燻っていた。
「はああ……」
なんとも言えないごちゃごちゃとした気持ち。
枕に顔を埋めて足をバタつかせたところで状況が好転しないのは分かりきっている。わかっちゃいるが、今の俺にはそうすることぐらいしかできなかった。
「お兄さん。今ちょっといいかな?」
「キャ――――――――――!?」
ノックなく俺の部屋に入ってきたカエデさん。
マイマザーが“家族”として許可を出してるとはいえ、我がもの顔でさも当然とばかりに俺の部屋に侵入してくるのは如何なものだろうか?
仮に運悪く俺の“紳士タイム”と鉢合わせなんて展開を想像するだけで身の毛がよだつ。
そういった観点からプライバシーは守られて然るべきだ。今度抗議してやる。
「いきなりどうした? 今日の家庭教師は休みじゃなかったのか?」
「じつはその件なんだけどね」
数日前にどうしても外せない大切な用事があるとメールをくれたはず。
そのメールを送ってきた張本人であるカエデが今この場にいるということは俺にとって違和感以外の何者でもなかった。
「お兄さんに大事な話があるの」
「えっ……」
「すごく言い出しにくいんだけどね……」
「……まさか、俺に会わせたい人がいるとかか?」
それを考えるだけで俺のテンションは瀕死。心はすでに息をしていなかった。
今なら娘を嫁がせたくない父親の気持ちが分かる気がする。
相手が誰にしろ俺はカエデが紹介する相手と刺し違える覚悟を決めた。
「えっ……? それはなんの話?」
「前にカエデが言ってた好きな男を俺に紹介しようってことだよな……?」
「…………」
「なんだその反応! やっぱり図星!? 図星か、くそが……」
たしか昔、草野球で使ってた鉄バットがクローゼットの中にあったはず。
――武器(エモノ)は決まった。
あと俺に必要なのは相手の脳天をフルスイングする覚悟だけだ。
やってやる。妬みや怒りを憎悪に変えてやってやるぞ。
「んー……やっぱお兄さんって馬鹿だね。そんなのいるわけないじゃない」
「馬鹿とは何だ! 馬鹿とはッ! こっちは真剣に……」
「まだ気付かないの?」
「へっ……?」
「……私が好きな人はお兄さんだよ」
…………は?
その言葉を聞いた直後、俺の脳は完全にその機能を停止した。
おそらくは数千の脳細胞が瞬時に死滅したのだろう。
混乱のあまり息を吸うことすら忘れた俺は馬鹿みたいに口をパクパクとさせた。
「は……? え……?」
呼吸の仕方を忘れた。そしてどうゆうわけか言葉がうまく出てこない。
気分的には夢の中にでもいるような気分だ。
「鈍感ね。私はお兄さんから告白してくれる日をずっと待ってたのよ?」
「マジ……で……?」
「だから私が今やってることはルール違反なんだけどね」
一言一言を俺以外の誰かに聞こえるようなハキハキとした口調。
どうゆうわけかカエデは窓の外を見ていた。
「……悪かったわよ」
すると、観念するように窓の外の死角から姿を現したのはハルカ。
強気な彼女にしては珍しく弱気な感じ。そして気のせいか申し訳なさそうな感じでもあった。
「先にルールを破ったのは義姉ちゃんだからこのぐらいは許してくれるよね?」
「そんなつもりは……」
「ルールは厳守。破れば灯馬は破られた相手のものって決めたよね?」
「それは……」
久々に見るハルカが他人に圧倒される姿――。
その相手が義妹のカエデというのは初めて見る組み合わせだ。
「義姉ちゃんもそろそろはっきり言ったらどうなの? でないと私が――……」
「わかってる。わかってるからちょっとだけ待って」
――場が制止したような沈黙。
とてもじゃないが何かを言えるような空気ではなかった。
「決めた!」
ハルカはそう言って鷹が地上の鼠を狩るが如く俺との間合いを一気に詰めてきた。
「トーマ!」
「なんだよ……?」
なぜか掴まれる胸座。不思議と普段は感じる怖さを感じなかった。
「私もトーマが好き。だから私と付き合って欲しい」
柄にもなくハルカはそう言ってボロボロと涙を零した。
それは子供のように我慢を知らない大粒の涙。
見ていてこっちが恥ずかしくなるぐらいのものだったが、その感情とは裏腹に俺はハルカに対して一種の尊敬のような念を抱いてしまった。
「ハルカ……」
俺には好意を寄せた相手に面向かって告白する勇気なんてない。
それができるだけでもハルカとカエデは俺なんかとは全然違う。
そんな二人の相手が俺でいいのだろうか?
二人とも相手を選べる権利はいくらでもあるのにどうして俺なんかが――……。
「俺は……」
異常とも思える心拍数。
血がマグマに変わったんじゃないかって思うぐらい体が熱い。
まるで細胞が蒸発しているようだ。
今さらだが、二人の美少女から告白を受けるなんて夢でも見ているかのようだ。
「だから言ったのよ。お兄さんは優しいからどっちか片方なんて選べないって」
状況に圧倒されて俺が何も答えられないでいると、あえて優柔不断という言葉を避けるようにカエデがそうフォローしてくれた。
冷静を装っていても震えたその声。何年も見てきたからこそ分かる。
カエデもその内心は涙を零すハルカと何ら変わりがないのだ。
「でも、こうなった限りは仕方ないよね。どちらか選んでもらわないと」
「ごめんねカエデ。私の所為で……」
「済んだことは言っても仕方ないじゃない。こうなる日はいつか来るってわかってたし」
二人の会話において俺は完全に蚊帳の外だったが、なんとなく事情は分かった。
発端はおそらくハルカが俺に恋人になれと言い出したことだ。
そして、俺がそれをカエデに話したことでこの状況が生まれた。
結果論だが、パズルのピースをはめるようなものだったというわけだ。
「でも、義姉ちゃん。このままでいいの?」
「いいってなにが?」
「例えば、お兄さんに暴力を振るってきたのは好きな子に意地悪したい心理だったってきちんと説明して謝っておかないと、事情を知らない灯馬からすればただの暴力女よ?」
「う……」
「そうゆうのってプラスの評価になると思う?」
「それは……」
「普段が素直じゃないんだから、こうゆう時ぐらいは素直になりなよ」
「うん……。でも、どうして……?」
「私は普段が“いい子”だから、義姉ちゃんよりも高く評価されてると思う。今の状態でお兄さんに私か義姉ちゃんを選んでもらうのなら十中八九、私が選ばれる自信があるからね」
口では強気なことを言いつつも静かに一筋の涙を零すカエデ。
どういった心境でそれを口にしたのかを考える事におそらく意味はないだろう。
なぜならそれは合理的という言葉からは程遠い“感情”によるものだからだ。
「でも、それじゃダメなの。お兄さんの中には義姉ちゃんという“亡霊”が残るだろうし、その逆であっても同じことになると思う。こうなった以上、私達にできる事といえば、正々堂々とフェアな状態で戦うことだと思うから……」
言いたい事を言い終えたカエデは堰を切ったようにその場で泣き崩れた。
血は繋がってないとはいえ姉妹二人が揃って泣くその姿。それはカエデが迷子になった時以来だったがなんとも後味が悪いものだ。
だからこそ俺は決めないといけない。二人の気持ちへのケジメとして……。
「……悪いが、一日だけ考えさせてくれないか? 答えは明日必ず出す」
「一日でいいの……?」
ハルカにしては違和感を覚えるぐらい弱気な口調――。
察するにカエデの言葉が効いたのか、ずいぶんと消極的な感じだった。
「俺は優柔不断な人間だから長引けば必ず中途半端になる。だからと言って、今この場で決めれるほど簡単な話だとは思ってない。だからこそ一日考えさせてほしい」
最もらしくそう言ったまではよかったが、その答えが出る気がしない。
ハッキリ言って答えを出すこと自体が不可能な気さえする。
それでも答えを出すしかない。二人の覚悟に少しでも報いる為にも――……。
「わかった。それなら私は先に帰るね」
「ちょっと待て」
「なに……?」
「……これもってけよ」
自分でもなぜそれを渡そうと思ったのか分からない。
ただ、無意識のままに俺はそれをカエデに投げ渡していた。
「お兄さんが大切にしてる熊サン人形……?」
「お前がそれを気に入ってるのは知ってる。俺の家庭教師してる時に合間合間で遊んでいたのもな。俺の“親友”だからあげたりはできないが、一日だけなら貸してもいい」
俺がゲーセンのUFOキャッチャーで初めてゲットした大物である枕サイズの熊サン人形をギュッと抱きしめるカエデ。
危うくカエデの部屋で見てハマってるのを知ってると口を滑らしそうになったが、事前に気付けてよかった。
うっかり口走ろうものなら本人の許可なく部屋に入ったことがバレるところだ。
「ありがとう。お言葉に甘えて借りていくね」
そう言って優しく微笑んだカエデは俺とハルカを部屋に残して帰っていった。
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