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第2部 空白の五年間
5-2 ※
しおりを挟むちゅぷちゅぷと中指が出し入れすると蜜液とオイルが攪拌されて粘りのある音が生まれる。
はあ、と飲み込めない唾液が口端に伝っても、陽菜は微温湯に浸かった思考では羞恥心すら無かったことになる。
背中を弓形にしならせて、官能的で抗えない愉悦と共に陽菜は口唇を小さく開けて喘いだ。
「はあ……あ……、先生……」
「気持ち良過ぎて蕩けちゃいそうな顔」
紅潮した頬の陽菜は、ふるふると膝を震わせて指の動きを遮らない。腹側を執拗に撫でて欲しくて、目で訴える。
「マッサージしたから身体も解れたし、温かくなったから余計感じるだろ」
「じわじわここ、して……は、ぁ……直ぐ達しちゃいそう、です」
最賀の腕を掴んで、腰を揺らす。臀に固いものが時折押し付ける。恍惚な表情で陽菜は振り向くと、獣欲を映した双眸とかち合う。
「先生、……お尻に、当たって……」
「悪い、甘い声聞いてたら……その」
「先生ので、奥……突かれ、たい……です」
「そんなに強請られたら、泣かせても止まらないぞ?」
ショーツを脱がされて、何も身に纏う物がなくなって、心許ない。
体を持ち上げられて、腰を支えられる。最賀に跨ると、背面のまま腰を落とされる。
既に避妊具を身に付けられた男根は反り立っており、陽菜の中に入れて欲しいと言わんばかりだ。
陽菜は足を開いて座る状態で受け入れるなんて、無理だと首を横に振ったが既に遅かった。ちゅぷぷと屹立が隘路へ侵入すると途端に陽菜は待ち焦がれたものに心を奪われた。
「山藤、ほら前を見てごらん」
「え……っあ、あ……やだ、だめ……」
立て掛けられた鏡には陽菜が足を開いて最賀のものを受け入れている姿が映し出されていた。
背面座位で、濡れそぼった秘所に突き立てる男根も鮮明に映っていたから、陽菜は顔を背けようとすると。ぐっと顎を持たれて鏡に向かせられる。
「いや、先生、恥ずかしいからっ、嫌です……っ」
「今山藤がどんな顔してるか、確認してごらん」
胎内を嬲る物を、悦んで飲み込む姿はとんでもなく淫らで、ただの女であることを示している。
「あ……っ、私、こんな、期待してる……」
「俺の美味しそうに食べてるだろう、此処、いっぱい突いてお腹いっぱいにしてやるから」
「あ、あ…っア、あ……っ!!」
突き上げられると、陽菜はくっと喉を逸らして痙攣させる。絶頂が深く長引いて、陽菜を置いてきぼりにするのだ。
びくびくと内腿を震わせて愛潮が出てしまうが、余韻に浸る間も無く再開する律動についていけなかった。
霰もない甘ったるい声で最賀の名前を呼んで、陽菜は気が付けば躊躇いがちに閉じ気味だったのに。一番気持ち良い場所に当たる様へ、心とは裏腹に体は素直だったのか開脚していた。
「自分で足大きく開いて、気持ち良い場所に当たる様にして、偉いなあ山藤は」
一糸纏わぬ姿で、遠慮無く陽菜は揺さぶられている。腰が突き上がる度に連動して陽菜の膨らみも上下に浮く。双丘は上を向いて桃色に咲いて、艶かしい。
「先生、見て下さい、見られてるのにっ、私、感じてるの、変っ、です」
切ない声で陽菜は最賀へ本音を漏らした。高揚した状態では、快楽に溺れて何でも聞いてもらいたくなるのだ。
性急な動きで、陽菜を絶頂まで真っ直ぐ追い立てるせいか、加速する電流に意識が飛んでいってしまいそうになる。
「足開いて、おねだりして……っまたくる、来ちゃう……っ、達く、達っちゃ……ァあ、あ……っ」
支離滅裂な言葉しか出ない。揺さぶられるのが好きなのかもしれない。
最賀はいつも陽菜を優しく抱くので、少し強引に辱められると陽菜の体は思った以上に悦ぶ。
駆け落ちをした時、互いに貪り合った際はとにかく相手に自分を刻み付けたくて加減を考えずに。ただひたすら熱を交換していた気がする。最賀もそれを望んだし、陽菜自身も強く希望した。
「達く、ぃ……くっ、出ちゃい、ますっ、先生ぇ……ッ!」
薄い腹が波を打って、鋭い電流が身体中を駆け抜けると強い快楽に腰を震わせる。一瞬息が詰まって、それから荒い呼吸をして酸素を取り込む。
二度目の愛潮を吐き出すと、残存したものを全て出せる様に最賀は雌芯を指の腹で緩やかに摩った。敏感になった場所は強烈な快楽を生み出して、陽菜の体に電流が走る。
びりびりっと下半身に電気が通って、陽菜は堪らず足をガクッと打ち震わせながら最後の一滴まで出し切った。断続的に襲う快楽に、陽菜はついに脱力して最賀に凭れかかった。
終わった、と油断していた。頂きを指で挟まれるまでは。びくんと急な刺激に陽菜の体は跳ねる。
「えっ、ぁあ、終わり、じゃないのですか?」
「まだ終わったとは言ってないぞ?」
「あの……先生、まだ……あれ?」
最賀が陽菜の中で達していないことを、察して恐る恐る振り向いた。
普段なら最奥を抉って嵌入し、避妊具越しに膨らんだ男根が弾け……るはずだった。
それなのに、未だに陽菜の胎内で硬結したまま留まっている。熱を持った屹立は陽菜の中を蹂躙したがっており、脈拍を打っている気がする。
だが、最賀は掠れた声で挿入した熱杭とは裏腹に、真逆のことを陽菜へ言い出すのだ。
「ーー俺はまだ……抱きたいと思ってる、が辛いなら良そう」
「あ………」
「終わりにしても良いが、陽菜ももう少し足りないだろうに」
息を呑んで、続けてもっと理性を喪失させる程の圧倒的な快楽を最賀と共有したかった。
その思惑と言うか、陽菜の願望が肌に乗った柔らかな汗や甘い香りが代わりに答えたらしい。
じゅくじゅくと憂いを帯びて、刹那げに潤んだ秘所は最賀を物欲しげに締め付けているのである。
「体は素直だな、山藤……。俺のことしか考えられないくらい、してやるから」
くにくにと芯を持った双丘の先端ばかり弄られる。無意識に胎内へまだいる最賀の屹立を収縮させて、離したくないと応えた。
最賀が欲しくて堪らないと言う陶酔感には、なるべく陽菜は己の本能に従うことにしている。嘘を吐いたり、否定をするのは何だか忍びなかったし、最賀を誰よりも愛していたからだ。
最賀が欲望赴くままに、そうしたければ、何だってしてやりたくなる。
「先生、じゃあ……そ、の…今度は正面から…手ぎゅっとしながら…して欲しい、です」
「──お望み通りに?」
体勢を変えて、陽菜の背中は柔らかいシーツに委ねる。最賀は陽菜の額にキスをして、慈しむのだ。
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