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四章
20話 真偽の行方
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『ではアマリエさん、またお会いしましょう』
フードを目深く被った男は自身の影へと消える間際、彼女のことを『アマリエ』と確かに呼んでいた。
微かにフードから覗いた男の口元は、意味深な笑みを浮かべていた。
『アマリエ=ヴィヴィオルド』
真っ先に、現聖女であり、ヴォルグの婚約者であるイレーネ=ヴィヴィオルドの『妹』が浮かんだ。
ヴォルグはイレーネ経由でアマリエと一度だけ会ったことがあった。
それは春の祭典が滞りなく終わり、イレーネと軽い食事を取った際のことだ。
その前にヴォルグは、母親が大切にしてる花が【穢れ】に汚染されて、イレーネに浄化を頼み込んだ。
その時、一人の女神官がイレーネの傍にいたことは覚えている。
しかし王族であるヴォルグが、聖女付きといえど格下である女神官の顔をいちいち覚えているはずがない。
さらにその日は自他国の重鎮達が多く来ていたため、尚のこと無理からぬことだ。
そしてヴォルグが初めて『アマリエ=ヴィヴィオルド』を認知したのは、イオロス村を襲撃してきたアンデッド軍討伐の時だった。
別方向からやってきたとされるアンデッド軍の残党を倒すために、イレーネとアマリエは討伐部隊と一緒に行動していた。
そして戦闘の最中、アマリエは運悪く崖から落ちて死んだ。
しかしヴォルグはこの経緯に違和感を覚えて、自ら調査に出向いた。
結局のところ真相は分からなかったが、それでもイレーネに対する不信感が生まれるのは十分過ぎることだった。
『仮にアマリエが生きてるとしたら、なぜ彼女は戻ってこない?』
ー戻れない理由があるのか…だとしたらその理由は何なのか。
そして今目の前で眠っている『マリエ』は一体何者なのか。
間一髪のところで、ヴォルグを救ったあの防御魔法。
魔法に造詣の深いと自負しているヴォルグが全く分からなった未知の魔法。
なぜ、そんな魔法を“一般人”が知っているのか。
ーそもそも治癒魔法に長けた彼女が、神官になることを拒む理由……。
「君は………」
その後に続く言葉を、ヴォルグは飲み込んだ。
彼女には聞きたいことがたくさんある。
彼女は自分に『マリエ』と名乗った。
しかしそれは噓だとヴォルグは確信している。
王族に身分や名前を詐称することは重罪だ。
少しの期間であるが一緒に過ごしてきて、彼女が良識ある人物だということは知れている。
偽名を使って、ばれたらどうなるか分かっている筈だ。
(いや。“そんな真偽”なんてどうでもいいんだ………ただ)
ヴォルグは彼女の寝顔を見ながら、膝の乗せた己の手を強く握った。
(僕の目の前に居た君は…………すべて偽りだったのか?)
もしも偽りだったなら、酷く落胆するかもしれない。
ーなぜ、今更そんな感情を抱くのか
今まで人の気持ちなど二の次に考えて、他人に対して失望することには慣れていた筈だ。
ー彼女の口から真実を聞いたら……この感情は、果たしてどう向かうだろうか
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「もう3日…」
マリエが眠り続けて、もう3日目になる。
「嬢ちゃん、本当に目が覚めるのか?まさか、このまま…」
「馬鹿言ってんじゃないよ!目覚めるに決まってるだろ!!」
弱気になった店主に、女将は一喝入れた。
「あんたはあの子が戻ってきたら、たんと食べられるように仕込みでもしてなっ!」
「マリエさんの歓迎会…どうしようね」
ミハエルが視線を伏せたまま、ぽつりと呟いた。
「大丈夫だって、あいつ。お前が思うほどやわな奴じゃねぇよ。俺が認めたやつだし」
バッカスは大剣の手入れをしながら、軽口を叩いた。
「貴様の言うことは全く当てにならん……が、きっと良くなるさ」
リエッタは元気づけるように、弟の肩を優しく叩いた。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「んっ……」
アマリエは小さく呻いて、目を開けた。
ぼんやりとした視界で白い石造りの天井を見上げる。
次第に視界がはっきりすると“前にもこんなことがあったな”とアマリエは思った。
「マリエさん」
呼ぶ声がして、横へ視線を向けるとヴォルグが椅子から立ち上がったところだった。
「ヴォルグ様…!どこか怪我…………っ!」
急に上体を起こしたアマリエは、眩暈を覚えて頭を押さえた。
ヴォルグはそんなアマリエの上半身を支えながら、再びベッドに寝かせた。
「大丈夫。…マリエさんのおかげで、怪我はありません」
「そ、うですか…よかった」
ヴォルグの言葉にアマリエは安心して、枕に深く頭を預けた。
「……マリエさんも無事でよかった」
ヴォルグはそう言って少し安堵したように微笑んだ。
「…………旧市街はどうなりましたか?」
「完全に焦土と化しましたが……街長が“住民に対して手厚い対応をする”と約束してくれたので、心配いりませんよ」
ヴォルグのその笑みは穏やかであるが、どうしても権力者の黒い笑みに見えてしまう。
ー深く追求するのはやめよう。
アマリエはそう判断して、「そうですか」とぎこちなく言葉を返した。
「街のことは何も気にすることはありませんよ。マリエさんは、自分の身体を第一に考えてください」
ヴォルグに優しく窘められて、アマリエは素直に頷いた。
「……そろそろ、僕は失礼しますね」
「あ…すみません。ご迷惑をお掛けしてしまって」
ヴォルグは忙しい身である筈なのに、自分が目覚めるまで待っててくれたのだろう。
あれからどのくらい経ったのだろうか。
ヴォルグの声が聞こえた途端に安心感で気を失ったが、その後はどうなったのだろう。
あの「鴉」と名乗った男は何者なのだろうか。
そんなことばかりが、頭の中をぐるぐる巡る。
「いえ、ああ…そうだ、二日後、僕は王都に戻ります」
ヴォルグは突然そう告げていた。
「その最終日……貴女の時間を僕にくれませんか」
「…………」
ヴォルグの目は真剣そのもの。彼の“意図”を察した、アマリエは腹を決めた。
「はい、分かりました」
ヴォルグから一切目を逸らず、アマリエは強く頷いた。
フードを目深く被った男は自身の影へと消える間際、彼女のことを『アマリエ』と確かに呼んでいた。
微かにフードから覗いた男の口元は、意味深な笑みを浮かべていた。
『アマリエ=ヴィヴィオルド』
真っ先に、現聖女であり、ヴォルグの婚約者であるイレーネ=ヴィヴィオルドの『妹』が浮かんだ。
ヴォルグはイレーネ経由でアマリエと一度だけ会ったことがあった。
それは春の祭典が滞りなく終わり、イレーネと軽い食事を取った際のことだ。
その前にヴォルグは、母親が大切にしてる花が【穢れ】に汚染されて、イレーネに浄化を頼み込んだ。
その時、一人の女神官がイレーネの傍にいたことは覚えている。
しかし王族であるヴォルグが、聖女付きといえど格下である女神官の顔をいちいち覚えているはずがない。
さらにその日は自他国の重鎮達が多く来ていたため、尚のこと無理からぬことだ。
そしてヴォルグが初めて『アマリエ=ヴィヴィオルド』を認知したのは、イオロス村を襲撃してきたアンデッド軍討伐の時だった。
別方向からやってきたとされるアンデッド軍の残党を倒すために、イレーネとアマリエは討伐部隊と一緒に行動していた。
そして戦闘の最中、アマリエは運悪く崖から落ちて死んだ。
しかしヴォルグはこの経緯に違和感を覚えて、自ら調査に出向いた。
結局のところ真相は分からなかったが、それでもイレーネに対する不信感が生まれるのは十分過ぎることだった。
『仮にアマリエが生きてるとしたら、なぜ彼女は戻ってこない?』
ー戻れない理由があるのか…だとしたらその理由は何なのか。
そして今目の前で眠っている『マリエ』は一体何者なのか。
間一髪のところで、ヴォルグを救ったあの防御魔法。
魔法に造詣の深いと自負しているヴォルグが全く分からなった未知の魔法。
なぜ、そんな魔法を“一般人”が知っているのか。
ーそもそも治癒魔法に長けた彼女が、神官になることを拒む理由……。
「君は………」
その後に続く言葉を、ヴォルグは飲み込んだ。
彼女には聞きたいことがたくさんある。
彼女は自分に『マリエ』と名乗った。
しかしそれは噓だとヴォルグは確信している。
王族に身分や名前を詐称することは重罪だ。
少しの期間であるが一緒に過ごしてきて、彼女が良識ある人物だということは知れている。
偽名を使って、ばれたらどうなるか分かっている筈だ。
(いや。“そんな真偽”なんてどうでもいいんだ………ただ)
ヴォルグは彼女の寝顔を見ながら、膝の乗せた己の手を強く握った。
(僕の目の前に居た君は…………すべて偽りだったのか?)
もしも偽りだったなら、酷く落胆するかもしれない。
ーなぜ、今更そんな感情を抱くのか
今まで人の気持ちなど二の次に考えて、他人に対して失望することには慣れていた筈だ。
ー彼女の口から真実を聞いたら……この感情は、果たしてどう向かうだろうか
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「もう3日…」
マリエが眠り続けて、もう3日目になる。
「嬢ちゃん、本当に目が覚めるのか?まさか、このまま…」
「馬鹿言ってんじゃないよ!目覚めるに決まってるだろ!!」
弱気になった店主に、女将は一喝入れた。
「あんたはあの子が戻ってきたら、たんと食べられるように仕込みでもしてなっ!」
「マリエさんの歓迎会…どうしようね」
ミハエルが視線を伏せたまま、ぽつりと呟いた。
「大丈夫だって、あいつ。お前が思うほどやわな奴じゃねぇよ。俺が認めたやつだし」
バッカスは大剣の手入れをしながら、軽口を叩いた。
「貴様の言うことは全く当てにならん……が、きっと良くなるさ」
リエッタは元気づけるように、弟の肩を優しく叩いた。
◇◇◇◇ ◇◇◇◇
「んっ……」
アマリエは小さく呻いて、目を開けた。
ぼんやりとした視界で白い石造りの天井を見上げる。
次第に視界がはっきりすると“前にもこんなことがあったな”とアマリエは思った。
「マリエさん」
呼ぶ声がして、横へ視線を向けるとヴォルグが椅子から立ち上がったところだった。
「ヴォルグ様…!どこか怪我…………っ!」
急に上体を起こしたアマリエは、眩暈を覚えて頭を押さえた。
ヴォルグはそんなアマリエの上半身を支えながら、再びベッドに寝かせた。
「大丈夫。…マリエさんのおかげで、怪我はありません」
「そ、うですか…よかった」
ヴォルグの言葉にアマリエは安心して、枕に深く頭を預けた。
「……マリエさんも無事でよかった」
ヴォルグはそう言って少し安堵したように微笑んだ。
「…………旧市街はどうなりましたか?」
「完全に焦土と化しましたが……街長が“住民に対して手厚い対応をする”と約束してくれたので、心配いりませんよ」
ヴォルグのその笑みは穏やかであるが、どうしても権力者の黒い笑みに見えてしまう。
ー深く追求するのはやめよう。
アマリエはそう判断して、「そうですか」とぎこちなく言葉を返した。
「街のことは何も気にすることはありませんよ。マリエさんは、自分の身体を第一に考えてください」
ヴォルグに優しく窘められて、アマリエは素直に頷いた。
「……そろそろ、僕は失礼しますね」
「あ…すみません。ご迷惑をお掛けしてしまって」
ヴォルグは忙しい身である筈なのに、自分が目覚めるまで待っててくれたのだろう。
あれからどのくらい経ったのだろうか。
ヴォルグの声が聞こえた途端に安心感で気を失ったが、その後はどうなったのだろう。
あの「鴉」と名乗った男は何者なのだろうか。
そんなことばかりが、頭の中をぐるぐる巡る。
「いえ、ああ…そうだ、二日後、僕は王都に戻ります」
ヴォルグは突然そう告げていた。
「その最終日……貴女の時間を僕にくれませんか」
「…………」
ヴォルグの目は真剣そのもの。彼の“意図”を察した、アマリエは腹を決めた。
「はい、分かりました」
ヴォルグから一切目を逸らず、アマリエは強く頷いた。
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